カテゴリー「『将棋勇略』管見」の31件の記事

2015年9月15日 (火)

『将棋勇略』管見 その31(最終回)

 いよいよ『勇略』の最終頁。跋文です。松浦写本では宗印の印影まで模写してあります。

 白文の右の※以下は古図鑑版の西村英二氏提供の跋文との違い。

余家世世有象戯作物百條今追 ※世々
其先例新作之梓而傳于 ※図 ※錄
世非曰能之也唯勵家業長欲使
子孫而知不廢時不曠日之寸忱


元禄庚辰孟秋
宗印

余家世世有象戯作物百條
余が家世世象戯の作り物百條有り。

今追其先例新作圖様鋟之梓而傳于世
今その先例を追ひ新たに圖様を作りてこれを
梓に鋟(きざ)み于世に傳ふ。
(※于世…この世)

非曰能之也
これを能(よ)くせんと曰ふには非ず。

唯勵家業長欲使子孫而知不廢時不曠日之寸忱也
ただ家業を励し長く子孫をして時を廢せず日を曠ぜざるを知らしめんと欲するのみ。これ寸忱なり。
(※曠日は無為に日々を送ること)
(※忱は本心)

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改訂版 守備駒応手率

手鑑 守備 大矢数 守備 勇略 守備 精妙 守備 手段草 守備
1 17 1 17 17 5 33 7 33
2 27 2 27 5 39 4 37 4 41 4
3 29 3 35 2 15 45 4 41 4
4 17 4 29 5 23 2 17 2 53 6
5 23 1 29 1 27 4 39 5 55 4
6 19 3 57 4 27 5 33 5 61 5
7 21 5 37 2 33 3 25 5 31 2
8 17 1 15 17 6 27 77 5
9 21 2 29 4 21 2 35 2 19 2
10 41 5 37 3 21 3 21 33 3
11 23 3 25 2 15 2 27 41 8
12 33 3 33 2 37 7 21 35 6
13 27 3 17 1 35 3 29 6 27 4
14 19 3 25 1 19 25 2 77 11
15 15 5 21 2 27 2 31 2 37 6
16 9 1 27 1 19 23 4 25 4
17 27 3 25 2 27 2 15 2 41 5
18 23 1 27 1 15 3 25 37 5
19 21 2 23 2 35 4 31 1 19 3
20 23 3 47 8 27 1 35 53 9
21 53 3 33 2 29 3 23 3 39 2
22 27 1 49 6 21 4 31 3 37 4
23 17 2 27 2 31 7 21 2 21 4
24 11 2 13 1 33 7 15 2 31 5
25 41 6 27 3 29 4 47 2 51 8
26 25 4 13 23 2 17 1 27 3
27 19 1 41 3 33 2 23 17 2
28 19 3 21 3 23 3 27 4 35 4
29 29 6 19 1 25 1 17 2 31 4
30 15 2 65 5 23 3 29 4 25 1
31 25 3 33 5 23 2 21 1 33 3
32 11 1 19 4 19 3 33 6 35 4
33 33 4 39 3 15 4 27 1 49 7
34 21 4 25 1 57 11 23 1 23 4
35 11 19 1 27 1 29 2 29 5
36 21 2 29 3 25 2 29 39 6
37 11 2 17 3 21 4 19 2 37 6
38 27 1 25 4 29 5 25 4 33 5
39 23 2 39 6 27 4 35 4 27 1
40 35 23 2 39 7 35 2 15 4
41 23 1 29 1 51 6 23 2 29 2
42 17 4 29 1 23 1 27 4 27 3
43 11 1 47 3 25 39 2 25 1
44 25 4 41 5 21 2 57 9 25 3
45 17 43 4 27 3 21 4 21 3
46 55 6 35 3 35 4 35 5 29 2
47 17 2 33 6 25 1 33 3 25 4
48 17 27 3 45 4 23 1 25 2
49 17 1 × × 13 2 23 2 33 3
50 31 2 13 1 15 4 19 4 31 7
51 25 27 23 4 25 1 35 7
52 27 3 23 3 21 5 19 21
53 17 2 21 23 4 31 2 19 2
54 17 3 × × 23 3 23 2 33 5
55 19 1 31 1 35 5 17 1 29 3
56 29 2 33 5 33 6 17 3 37 5
57 21 4 23 2 25 3 23 4 31 3
58 25 1 27 1 37 6 33 2 29 2
59 23 2 29 2 27 2 39 3 23 3
60 21 2 57 6 19 3 47 3 23 4
61 27 4 25 1 19 1 33 2 27 5
62 29 3 31 2 13 2 21 2 33 3
63 31 37 5 25 2 27 1 27 2
64 17 3 21 4 19 4 59 6 37 4
65 29 3 27 2 37 3 35 3 35 5
66 25 2 55 6 33 6 43 6 11 1
67 35 3 31 5 25 6 33 3 17 1
68 27 1 11 4 25 1 15 2 15 4
69 17 4 29 1 33 2 33 3 25 3
70 11 2 23 3 35 3 43 2 23 4
71 43 5 21 5 23 3 63 8 49 8
72 21 2 31 3 19 4 21 2 23 3
73 23 41 5 31 7 35 3 23 1
74 27 2 27 4 15 1 21 35 3
75 17 2 19 2 29 3 29 1 37 7
76 37 2 25 3 29 1 13 2 17 4
77 55 6 27 3 25 3 25 1 15 3
78 21 2 35 3 15 2 15 2 41 3
79 17 3 13 1 27 4 55 3 23 5
80 21 27 3 37 1 29 4 27 2
81 27 4 23 1 33 1 37 4 19
82 11 2 19 2 19 2 41 2 41 5
83 29 3 49 6 9 2 31 1 9 4
84 13 1 × × 29 3 29 3 41 2
85 23 3 15 1 19 3 23 2 29 7
86 21 1 27 4 25 1 27 1 27 6
87 17 3 21 47 3 19 3 21 3
88 11 2 × × 21 3 33 3 27 5
89 23 23 2 37 3 25 2 35 7
90 45 1 25 41 5 21 6 23 1
91 43 3 25 2 39 41 7 19 2
92 21 2 21 1 33 2 25 3 21 3
93 17 2 41 5 31 3 27 1 45 3
94 29 3 29 5 49 6 27 1 19 1
95 35 2 21 3 31 4 29 3 79 5
96 27 4 39 2 27 5 99 3 55 7
97 37 3 17 35 6 27 1 15 3
98 63 7 9 3 25 3 41 2 33 4
99 23 2 29 3 31 × × 39 7
100 43 2 51 5 25 3 × × 43 3
総手数 2,468 243 2,766 263 2,714 322 2,924 258 3,200 391
玉方数 1,184 1,335 1,307 1,413 1,550
応手率 0.205 0.197 0.246 0.183 0.252

 守備駒応手率については、「『将棋勇略』管見 その13」をご覧下さい。
 『勇略』の直近の作品集である『将棋大矢数』と直後の作品集である『象戯手段草』並びに同じ作者の『将棋精妙』のデータを加えました。


『勇略』について、今後守っていただきたいこと

 
山村兎月紹介による「將棋月報」に端を発した作品配列順が誤っていることは「『将棋勇略』管見 その3」に書いた通りです。
 これに引きずられた『続詰むや詰まざるや』(1978年7月・平凡社東洋文庫)、『日本将棋大系』別巻1図式集 上(1979年4月・筑摩書房)、『古圖式総覧』(2002年7月・全日本詰将棋連盟)、T-baseのデータ、ネットで見ることができる「詰将棋博物館」も作品配列が誤っています。
 特に、『古圖式総覧』は流布本の誤りを正す絶好のチャンスだったのに、逆に誤りにお墨付きを与えるような結果になったのは実に残念です。
 今後、『勇略』を紹介されるときは、正しい作品番号(配列順)に従っていただきたいと思います。


『勇略』の真の作者は添田宗太夫か

 私はそう思っていません。添田作も混じっているかも知れないという程度に受け止めています。「『将棋勇略』管見 その12」に書いたことは大まじめな話で、『将棋秘曲集』をもって『勇略』を云々するのは不可能だと思います。
 『勇略』をつくる力量があれば『将棋秘曲集』はあんな程度ではないはずです。


 『将棋精妙』との関係

 「『将棋勇略』管見 その2」で「そのうち分かります」と書いた初形玉位置図は『将棋精妙』(以下、『精妙』と称)です。
 『精妙』との関係についても書きたかったのですが。
 『精妙』は『勇略』の選に漏れた作品の集成なのか、それとも『勇略』以後の作品を一本にまとめたものなのかといったことです。
 例として、既に『精妙』第96番(龍の二往復作品)ができていたとしたら、一往復(『勇略』第87番)でとどめることはないはずで、『勇略』成立時点で『精妙』第96番はできていなかった…とは簡単に言えないのです。なぜなら72玉という初形位置は『勇略』にはないからです。『勇略』はすべて中段・入玉図であることを思い出して下さい。
 それなら、同じ玉位置、同じテーマなら比較できるのではないかと考えられます。つまり、『勇略』も『精妙』の作品群も成立していたとすれば出来の良い方を採ったはずなので、調べてみる意味はあります。実際、そのような作品があります。テーマは不成です。
 『精妙』は全編不成を含む作品集ですが、『勇略』にも不成作品は9局あります。これらの作品が、いずれも『精妙』より優れているのかどうか。ただし、玉位置が一致している作品は3局しかありません。『勇略』第39番と『精妙』第87番、『勇略』第77番と『精妙』第41、67番、『勇略』第99番と『精妙』第38番です。
 サンプルが少なすぎてこれだけでは判断できませんが、
『精妙』第38番は『勇略』第99番より後にできたことは確実だと思います。
 個々の作品について前後の判断は非常に難しいのですが、全体的な傾向としては、収束の仕方の違いが挙げられます。『勇略』は三手収束どころか五手七手収束も多く、収束が間延びしている作品が目につきます。これに関しては、三手以上収束が『勇略』7割、『精妙』5割という結果になり、全般的に『精妙』は締まった収束が多いということは言えると思います。
 しかしながら、よく分からないというのが自然な結論ですが。(笑)


『勇略』の意義

 『勇略』の詰将棋史に残る意義とは何でしょうか。
 私は、入玉図の開拓であると思っています。『将棋駒競』第59番、無住僊良編『将棋大矢数』第57、93番など『勇略』以前にもごく少数の入玉図はありました。従って入玉図を発明したわけではありませんが、10局も入玉図があるのは『勇略』が初めてです。
 九段目の玉に対しては桂香歩では直接王手できず、空き王手に拠る方法しかない。また九段目には桂香歩の合駒はできないなど特有の世界があります。ただし、入玉図の特徴を生かしたような作品は見当たらず、やはり『将棋無双』まで待たなければならないようです。
 また、技法的には守備駒の翻弄が上げられます。これは『手鑑』にも萌芽的に見られる手法ですが、第8番、第41番、第97番など、より徹底してあり、さらに三代宗看、看寿に受け継がれたものと思います。

 

古図式における善本

 古典には何が善本かという問題がつきまといます。善本とは原本または原本に近い姿をとどめている本のことです。
 写本は神ならぬ人の身が制作するものですから、どうしても誤写や脱落が生じます。書写者が新たに書き加えたりすることもあるので、諸本の校合という作業が重要になります。
 古図式は古いと言っても江戸時代より前に遡ることはなく、刊本もある(ものもある)ので、写本に写本を重ねてこんにちに伝わっている典籍に比べれば善本の確定ははるかに容易です。
 ただし『将棋妙案』のように民間の作者で写本でしか伝えられていない場合は、その図が正しいのかどうか、配列はどのような意図によるものかなど難しい問題が生じますが、献上本があればこれに優る善本はありません。たとえ不詰、余詰など不完全作があってもです。後世の補正図はあくまで参考図であって原図に取って代わるものではなく、補正図が原図を押しのけて一人歩きすることは本末転倒です。
(この点では、むしろ現代の方が複雑です。個々の作品は通常、雑誌に発表されたのち、作品集にまとめられたり選集に収められたりする過程で作者が改作することがあるからです。この場合、普通は初出図でなく最終図を以て確定するのですが、その図が歴史的な価値を持つ作品だったりすると一筋縄ではいかない問題があると思います)
 『勇略』の献上本は行方不明ですが、これに準じた刊本が数冊存在します。『勇略』の刊本とは印刷された本ですが、一般に市販されたものではありません。
 「詰所からただちに老中、若年寄、他の寺社奉行達にお礼のために参上する。それぞれの者に、詰所に置いてあった『台附の図式箱』を進上する。この年の記録は一六ヶ所に進上したとある」(『将棋の歴史』増川宏一・2013年2月・平凡社新書)
 これは九代宗桂の『将棋舞玉』献上の際、将軍に献上したあとの動きを大橋家文書が伝えたもので、この16冊は刊本です。献上本自体は刊本か手書きか議論のある図式集もありますが、『勇略』は少なくとも大橋家本、伊達文庫本、天理本、西村家本の刊本が存在しているのは間違いありません。ただし西村家本は、図面の一部が欠落していることが分かっているので、刊本といえども一様ではありません。


山村兎月が所持していた写本

 兎月が所持し、月報掲載図の元になった写本の存在は明らかではありません。献上本に準ずる刊本が存在する以上、写本が誤った作品配列になっていることは明白ですが、その写本が出てこない限り、兎月は実際に写本に基づいて月報に掲載したのか、それとも兎月が配列を変えたのか、結論を得ることができないままです。
 当初、山村写本には単純な錯簡が生じていたのではないかと思っていました。錯簡とは綴じる際に頁の順序が乱れてしまうことです。しかし、作品配列の誤りは組織的で、合っている方がはるかに少ないので、ことはそう簡単ではなさそうです。


『古圖式総覧』は大橋家本に忠実なのか

 『古圖式総覧』の『勇略』は大橋家本を底本としたと門脇氏が書いていることは「『将棋勇略』管見 その3」で紹介しましたが、『古圖式総覧』の図はあまりにも他の本との違いがあります。考えられるのは、大橋家本に後世の書き込みがあり、そのまま総覧に掲載したのではないかということです。
 「詰棋めいと」第9号に、同じ版木であるという将棋博物館所蔵本(当時)と島原図書館本の『将棋馬法』に違いがあり、調べてみたら
博物館所蔵本には図面に駒の書き込みがなされていたという話を田代達生氏が書いています。従って、あり得ないことではありません。
 大橋家本は現在非公開なので、確かめる術がありません。実物を見れば直ちに解決できることなのですが。

(終)

2015年9月14日 (月)

『将棋勇略』管見 その30

第97番

060097

66銀、同龍、76金、同龍、66歩、同龍、75馬、同龍、74銀、同玉、
73龍、同玉、63角成、82玉、83銀、
91玉、73馬、同龍、92歩、81玉、
82歩、同龍、同銀成、同玉、72飛、83玉、84歩、同玉、75飛成、83玉、
95桂、92玉、72龍、91玉、83桂生
まで35手詰

【山】

55玉なれば66金、45玉、46飛、54玉、63龍迄

83同玉なれば75桂、92玉、74馬、81玉、71飛、82玉、83馬迄

本局は最初銀の犠牲にて敵龍を釣り寄せ殘り銀二枚の打捨ては實に巧妙なり。以下73馬捨て打歩詰を消す手段は鮮なり

 初手は質駒をつくるため呼んでおく意味。76金は馬筋を通すため、66歩は単に75馬なら55玉で詰まないので、龍を66に移動させて75馬に55玉、66馬と手順に龍を取れるというわけ。
 得意の翻弄物です。収束もあっさりしていますが、現在なら72龍に82合として2手長駒余り変化となるところです。



第98番

060098

36歩、同馬、27桂、同馬、25飛生、44玉、56桂、54玉、55飛、43玉、
53飛生、32玉、44桂、
22玉、23飛生、11玉、12歩、同玉、24桂、11玉、
13飛成、同桂、12歩、22玉、32桂左成
まで25手詰

【山】

41玉なれば51歩成、同龍、同飛成、同玉、52歩、41玉、51飛迄

31玉なれば32歩、41玉、21飛成迄

本局は三筋へ打歩をする為に36歩と突き捨てゝ桂打にて敵馬を遠ざけて飛不成は巧妙なる指方なり。以下再三再四の飛不成は含みあり。終局13飛と犠牲にして一歩を得ての終局は至極鮮なり。

 攻方飛車一回転。
 この図は以前に改良図を考えたことがありました。大した図ではありませんが。



第99番

060099

84龍、同玉、73角、75玉、64角成、
66玉、55馬、同玉、36歩、44玉、
55馬、同玉、65龍、44玉、34金、同玉、35龍、23玉、24歩、22玉、
23歩生、
同玉、15桂、22玉、23歩、11玉、12歩、同玉、32龍、11玉、
22龍
まで31手詰

【山】

84玉なれば74馬、95玉、85馬迄

75玉なれば65龍、84玉、85龍、93玉、92馬迄

11玉なれば12歩、同玉、32龍、11玉、22龍迄

本局は最初三枚の大駒を犠牲にして敵の右翼へ追撃して23歩不成は初心者の研究すべき所なり。以下桂及び二歩使用して終局は至極好局なり。

 歩不成だけでは…。



第100番

060100

26桂、同金、37龍、同金、45金、同玉、36銀、
56玉、45銀、66玉、
77銀、
同玉、87金、66玉、78桂、同香成、76金、同玉、32馬、75玉、
65馬、84玉、74成香、93玉、83成香
まで25手詰

【山】

34玉なれば26桂、24玉、34金迄

77同香成なれば78桂、同成香、78桂、同成香、76金、同玉、32馬、75玉、65馬、84玉、74成香、93玉、83成香迄

本局は最初金桂を犠牲にして敵金の釣り上げ面白し。以下龍を犠牲にして通路を防ぎて36銀は妙手なり。以下再度の金桂を犠牲にし馬の活動を計りて終局する處は申分無し

 初手26桂から37龍は、第97番の66歩から75馬の呼吸と同じ。大模様の割に軽すぎる感じです。
(余詰)
78飛、86玉、76馬、96玉、97香、同玉、98飛まで



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「将棋月報」1933年12月号
解答を終りて

本圖式は三代宗看作圖式及び伊藤看壽作圖巧に次ぐ名著と存じます
本圖掲載に就ては曾て本誌詰将棋の雄将十一名(内佐々木香雪氏へは十六題)へ各八題の解答を嘱託したのでありましたが、佐々木氏、山本東城、高橋與三郎の三氏が解答を完成されましたが他の分は遺憾ながら解答は頂けず一ヶ年餘にして遂に中止となりましたので、僭越ながら全部を引受け漸く本月を以て不完全ながらも終了する事が出來たのであります
何れ單光本或は本誌へまとめて合冊する豫定であります
就ては不完全の箇所も多々ある事と存じます、御氣附きの方は御教示に預りたい
未だ本圖式の解答ある出版はないやうでありますから完全を期したいと思ひます、何卒御協力を御願ひします
終りに臨み佐々木香雪氏の解答は懇切丁寧にして十六題に對し變化の記入約百頁に亘りましたが、全部を之れに倣ふ事は餘り複雑にして且つ誌面の都合もありましたから省略致しました惡しからずご了承下さい
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2015年9月13日 (日)

『将棋勇略』管見 その29

第93番

060093

55金、46玉、38桂、同馬、56金、同玉、65銀、同玉、55金、74玉、
64金、83玉、73金、92玉、93歩、同玉、94歩、同金、82銀、92玉、
93歩、同金、91銀成、同玉、21飛成、92玉、81龍、同玉、72と、92玉、
82金
まで31手詰

【山】
56同馬なれば35銀、同玉、44馬、46玉、35銀迄

45玉なれば44馬、46玉、35銀迄

94同玉なれば95馬、93玉、83金打迄又92玉なれば93銀、81玉、82金迄

本局は最初より澤山なる手駒の打捨てに興味ある妙作なり。最初55金にて玉将の位置を變更して更に桂を犠牲にて敵馬の働きを封鎖するは妙味あり。以下金銀を再三犠牲にしての攻防手段は共に妙局なりと思ふ 

【古】
持駒が多く、曲詰でもない
 

 6手で玉方の馬の位置だけ変えてしまうのが鮮やか。二度目の55金からは後片付けですが、収束が長いのは『勇略』全般に共通した特徴です。
(余詰)

73と、93玉(92玉は83銀、同馬、同と、95桂、83玉、94歩、同玉、83角、85玉、74角成、94玉、93金、同玉、83馬まで)、94歩、同金、82銀、92玉、93歩、同金、同銀、同玉、94歩、同玉、76馬、同歩、95金、93玉、94香まで



第94番

060094 060094_2


67桂、54玉、
65角、同歩、同金、同香、55飛、43玉、53飛生、34玉、
23銀生、24玉、36桂、同桂、24成銀、同玉、25歩、34玉、35歩、44玉、
45歩、53玉、52龍、64玉、55龍、63玉、75桂、62玉、52龍、71玉、
61と、82玉、83歩生、91玉、92歩、同玉、72龍、91玉、82歩成、
同歩、
92歩、同玉、83桂成、91玉、82龍、同銀、92歩、81玉、72香成
まで49手詰

【山】
43玉なれば52龍(※以下、記載変更)、
32玉または33玉、42龍、同玉、41飛、33玉、23歩成、同歩、25桂、34玉、35香、24玉、44龍迄
34玉、23銀不成、24玉、25飛、33玉、22銀不成、同馬、42龍、同玉、22龍、51玉、52香、61玉、31龍、52玉、61角、63玉、55桂迄

53同玉なれば(※記載変更)52龍、64玉、55龍、63玉、64歩、62玉、52龍、71玉、61龍、82玉、73香成、同歩(同玉なれば74銀、82玉、83歩不成、91玉、92歩、同玉、72龍、91玉、82歩成、同歩、92歩、同玉、83銀以下

82同銀なれば92歩、同玉、83桂成、91玉、82龍、同歩、92銀迄

附記本局の變化は複雑なれば主なるもののみ記入したり諒解せられたし。
本局は本書中の第一の難解なり。11手目の53飛不成の含みある一手は妙手中の妙手なり。以下龍本位として攻撃に攻撃を加へつゝ敵の右翼へ追退して龍の犠牲にて終局は妙局なり

【古】
詰方の飛、歩不成は打歩詰回避

 左は松浦写本、月報図、伊達文庫本です。右は『古圖式総覧』。
 左図では
55飛、43玉、55飛、43玉、53飛不成、34玉、23銀不成、24玉、35銀、25玉(同玉は33龍、25玉、17桂、26玉、24龍以下)、26歩、35玉、33龍、26玉、18桂、17玉、37龍以下で詰みます。そこで右図のように玉方17とを配しておけばこの順はありません。
 しかし、これでも
94桂、同歩、83歩成、91玉、92と、同玉、72龍、82歩、83桂成の方の余詰は成立しています。



第95番

060095

46龍、
同龍、44馬、同龍、56金、64玉、65金、73玉、74金、72玉、
73金、同玉、74馬、82玉、83馬、91玉、73馬、82金、同馬、同玉、
94桂、93玉、83金、94玉、84金、95玉、97香、同成銀、85金、96玉、
86金
まで31手詰

【山】
46同玉なれば56金、36玉、26馬、同玉、16飛、35玉、45金(※月報では46金としているが、それでは逃れ)、同玉、56馬、35玉、44銀不成、同玉、46飛、33玉、42飛成、22玉、23歩、21玉、41龍、31角合、同龍、同玉、13角以下

本局は最初二枚の大駒を犠牲にして敵龍の位置を變更して金打にて敵の右翼へ追撃して馬及び金を犠牲にして83金以下引下がりの途中97香にて入玉を閉鎖する所は面白き好作物なり

【古】
敵龍の位置変更がねらいの主眼

 金と馬がバトンタッチする辺りが、わずかに面白いところです。




第96番

060096 060096_2


46金、
同玉、37龍、56玉、45銀、同歩、68桂、同飛成、74馬、65金、
48桂、
66玉、75銀、76玉、88桂、同龍、65馬、同玉、67龍、54玉、
63龍、44玉、36桂、34玉、23龍、同馬、44金
まで27手詰

【山】
54玉なれば43銀、64玉、74銀成迄

45玉なれば46銀、54玉、43銀、64玉、74銀成迄

45同玉なれば54銀、同玉、46桂、45玉、34馬迄
56玉、65銀、同玉、67龍、66歩、43馬、54香、75飛、64玉、74銀成迄

48同龍なれば67銀あり

本局は變化に富みたる非常に難解なる作物なり。最初金を犠牲にして龍を入替りての攻撃は至極巧妙なり。以下の駒捌き手順は一手毎に興味湧くが如き妙局なり

【古】
駒捌き手段は興趣あり

 45銀、68桂と手筋連発。収束もきれいに決まっています。
 左図は松浦写本、月報図。右は『古圖式総覧』です。
 左図では
67銀、同龍、65馬、同玉、67龍、66歩合、64金、同玉、66龍、73玉、63飛、82玉、74桂、92玉、84桂以下の余詰があります。83香があると、84桂を同香と取れるので詰みません。


2015年9月12日 (土)

『将棋勇略』管見 その28

第89番

060089

48金、同玉、38金、同玉、16馬、37玉、27馬、46玉、35銀、56玉、
45馬、65玉、66金、同玉、67歩、65玉、66歩、同玉、68龍、76玉、
67馬、86玉、88龍、
87歩、77馬、85玉、87龍、94玉、67馬、76銀、
同馬、同歩、95歩、同玉、96銀、94玉、85龍
まで37手詰

【山】

48同香成、同金なれば67馬迄

48玉なれば38金、58玉、47銀迄

35同玉なれば45金、24玉、34成桂、15玉、16馬迄

本局は最初手駒の金二枚を犠牲にして馬の活動を計り中央より退却し敵の右翼へ追撃するに手駒の全部を犠牲にして二枚の大駒の働きによりて退路を無くして駒を投ずるに至れり

【古】
33成桂の意味は終束76桂合の防止

 初手58金は退路の先着の手筋。以下左辺に誘って66歩~65歩は邪魔駒消去。
 87桂合があれば詰みませんが桂は品切れ。
 古図鑑版に
76桂合の防止とあり間違いではありませんが、正しくはその前の87桂合の防止ですね。前に利く駒しかないので95歩で叩けるというわけです。
(余詰)
67馬、48玉、49馬、同桂成、38金、同玉、47銀、同玉、49龍、48銀合、38金、56玉、58香、57銀打、67金、45玉、48龍、45銀打、34銀、35玉、27桂、44玉、43金、同龍、同銀成、55玉、57香、同銀成、66銀まで



第90番

060090

68銀、
同香成、55龍、同角、69桂、66玉、56飛、75玉、76飛、64玉、
73飛成、54玉、53金、44玉、43金、34玉、16馬、23玉、44金、73角、
34馬、22玉、33金、21玉、22歩、同金、同金、同玉、33金、21玉、
22歩、11玉、12香、同金、同馬、同玉、23金打、11玉、21歩成、同玉、
22金左
まで41手詰

【山】

68同玉なれば69金、57玉、58歩(※月報では単に56飛としているが、47玉で逃れ)、同成銀、56飛、同玉、45龍、57玉、58金、同玉、49龍、68玉、79銀、57玉、58歩、56玉、45馬迄

69同成香なれば67飛、58玉、57金、59玉、69飛迄

84玉なれば85歩、同金、同成香、同玉、86歩、94玉、84金、同玉、73飛成、95玉、84龍、同玉、85金、93玉、94香迄

25合なれば33金、44玉、43龍迄

14玉なれば15歩、同玉、16香迄

11玉なれば12歩、21玉、22香迄

本局は大作物にて非常なる難解なり。最初銀を犠牲にして入玉を防ぎての69桂は妙手中の妙手なり。以下飛金の攻撃にて三筋退却の時16馬の一手は本筋なり。以下馬金の協力して終局は研究課題として好局なり

【古】
駒の配置は大模様だが、その割合に取柄は序盤だけ

 69桂は良かったのですが、収束でもう一働きさせたかったところです。



第91番

060091

67金、同玉、59桂、57玉、66銀、同玉、68龍、55玉、47桂、45玉、
65龍、34玉、35龍、43玉、55桂、52玉、32龍、51玉、63桂生、61玉、
71桂成、同玉、73香、81玉、72香成、92玉、73成香、93玉、82龍、94玉、
83龍、95玉、96歩、同玉、87龍、95玉、96歩、94玉、83龍
まで39手詰

【山】
本局には難解の變化としては無きに付略す。
本局は最初金捨ての一手は初心者には研究の餘地あり。以下はサラサラとしたる大道將棋にもありそうなる一局なり

【古】
盤面の位置は左右対称、桂四段跳

 これは古図鑑版の評で尽きています。曲詰第一号局らしいですが、大事なのは中身。
 四段跳はお見事!



 桂の四段跳といえば、次の作品を思い出す人も多いのではないでしょうか。

橋本孝治作「詰将棋パラダイス」1983年6月



第92番

060092

65金、同玉、43角成、
同角、61龍、同角、66龍、54玉、55香、44玉、
64龍、43玉、53龍、32玉、33龍、21玉、23龍、11玉、13龍、21玉、
32香成、同玉、44桂、41玉、42歩、同玉、53龍、31玉、33龍、21玉、
32桂成、12玉、22龍
まで33手詰

【山】

54歩合なれば(※記載変更)66龍、74玉、76香、84玉、75龍、93玉、73龍、83合、85桂迄

55玉なれば66龍寄、44玉、64龍引、54角、55龍上、43玉、54龍直、32玉、43角、31玉、31角成、13玉、14香迄

本局は最初金を犠牲にして龍を通し二枚の大駒を再び犠牲にして龍の通路を開き終局桂歩を捕虜にしての終局味ひあるべし

【古】
終束は大道棋の味

 
66龍、54玉、51龍は、52歩合、同龍、同角、55香、33玉、43香成、同玉、42桂成、同玉で持駒角歩では詰まない。
 収束の手順はちょっとユーモラスですね。

2015年9月11日 (金)

『将棋勇略』管見 その27

第85番

060085

36金、同馬、34馬、同玉、44飛成、23玉、22金、同銀、24龍、32玉、
22龍、41玉、52銀、同玉、42龍、61玉、73桂、同飛、62金
まで19手詰

【山】

36同玉なれば46飛成、25玉、37桂、甲同香成、24金、15玉、35龍迄
37同馬、24金、15玉、16龍迄

14玉、24金、15玉、25金迄

34同香なれば23飛成、35玉、24龍迄

52同飛なれば53桂、同飛、42龍迄又52同香なれば42龍迄

本局第13手目の52銀の妙手に驚きました。本局最初金を犠牲にして敵馬の位置を變更して34馬の捨場鮮なり。以下龍にて攻撃を加へつゝ52銀の一手は實に妙手中の妙手なりと思ふ。味ひありたし

 初手34馬は26玉で詰みません。そこで16への馬の利きを外す36金が肝要な一手。
 52銀は退路に先着の手筋。たまたまこの手が入ったというわけではなく、逆算でしょう。



第86番

060086

75角生、
77玉、78歩、76玉、66飛、85玉、86飛、94玉、84飛、93玉、
83飛成、同玉、95桂、
94玉、93角成、同玉、83桂成、94玉、84成桂、95玉、
85成桂、96玉、26飛、同馬、86成桂
まで25手詰

【山】

96玉なれば94飛、85玉、96飛迄又85玉なれば84飛、96玉、86飛迄
(※94飛、同桂で不詰)
96玉なら26飛、同馬、66飛、85玉、86飛、94玉、83飛成、同玉、95桂、94玉、93角成、同玉、83桂成以下が正しい。


92玉なれば83桂成、81玉、95成桂迄

95玉なれば84馬、96玉、85馬迄

本局は最初の75角不成は初心者の一寸気附かざる手なり。以下飛本位にて撃退したる飛の捨場大事なり。95桂跳以下の寄せ手は至極巧妙なり。味ひありたし。

【古】
大駒三枚を次々に気前よく捨てる

 成桂ずらしですが…。
(余詰)

26飛、同馬、66飛以下。
 月報の手順では26飛に同馬ではなく86合とする余地があり2手変長になるので、
26飛が作意ではないかと思いますが。



第87番

060087

37金打、25玉、16銀、
同と、同角、同馬、26歩、同馬、同金、同玉、
37角、25玉、15龍、36玉、26龍、45玉、46龍、54玉、55龍、63玉、
64龍、72玉、73龍、81玉、91歩成、同玉、71龍、92玉、91龍、83玉、
82角成、
74玉、71龍、63玉、73龍、54玉、64龍、45玉、55龍、36玉、
37金、同玉、35龍、27玉、37馬、17玉、26龍
まで47手詰

【山】

16同馬なれば同角、同と、14角、15玉、23角成、25玉、34馬迄

16同玉なれば27金直、25玉、26歩、同馬、同金迄

84玉なれば93龍、74玉、73角成迄

本局は本書中の大作物なり。最初金銀と角歩の交換となりて37角以下龍本位にて正面攻撃を加へて敵の右翼へ退却したる時91歩成にて二枚の大駒の威力甚大なる為龍及び馬の兼用にて再び以前の位置追ひ戻しての終局は面白き作物なり

【古】
角の利き筋を龍の追い廻し

 龍追いで一往復。『手鑑』第28番・、『勇略』第45番(いずれも 『将棋勇略』管見 その17)を一歩進めています。

既に『象戯記大全』第3番(1695)に田代市佐衛門の二往復作品がありましたが、さらに二代宗印の『将棋精妙』第96番、後年、伊野辺看斎が二往復。

田代市佐衛門作


83銀打、93玉、91飛成、84玉、94龍、75玉、85龍、64玉、65龍、53玉、
63龍、44玉、43龍、35玉、34龍、26玉、25龍、37玉、28龍、36玉、
27龍、35玉、25龍、44玉、34龍、53玉、43龍、64玉、63龍、75玉、
65龍、86玉、85龍、77玉、88龍、76玉、77歩、75玉、85龍、64玉、
65龍、53玉、63龍、44玉、43龍、35玉、34龍、26玉、25龍、37玉、
28龍、36玉、27龍、35玉、25龍、44玉、34龍、53玉、43龍、64玉、
63龍、75玉、65龍、84玉、85龍、93玉、94龍
まで67手詰

25銀、35玉、34金までの早詰。

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二代伊藤宗印作


61龍、83玉、74と、同玉、83角、同玉、72龍、同玉、63銀生、同玉、
64金、同金、62飛成、54玉、64龍、45玉、55龍、36玉、37金、同成銀、
46龍、27玉、37龍、18玉、19歩、29玉、18銀、19玉、39龍、18玉、
19龍、27玉、28龍、36玉、37龍、45玉、46龍、54玉、55龍、63玉、
64龍、72玉、82桂成、同銀、62龍、83玉、82龍、74玉、84龍、65玉、
64龍、56玉、55龍、47玉、57龍、38玉、37龍、29玉、18銀、同玉、
19歩、29玉、18銀、19玉、39龍、18玉、19龍、27玉、28龍、36玉、
37龍、45玉、46龍、54玉、55龍、63玉、64龍、72玉、62龍、83玉、
84歩、93玉、94歩、同玉、95歩、同玉、65龍、86玉、85龍、97玉、
88龍、同玉、78金、98玉、99金、同玉、55角成、98玉、88馬
まで99手詰

(余詰)

初手82桂成以下。

64金以下。


第88番

060088

78龍、
68馬、67龍、同馬、59馬、47玉、36龍、同玉、37馬、25玉、
17桂、
24玉、15馬、13玉、25桂、22玉、33馬、21玉、13桂生、同香、
11金
まで21手詰

【山】

78同馬なれば59馬以下本手順となるなり。又68金合なれば69龍引、同金、67角、47玉、37龍迄

17同成桂なれば15馬、36玉、37金迄

15同玉なれば25金迄又同成桂なれば23金迄

12玉なれば13桂成、同玉、23金、14玉、24馬迄
(※13桂成、21玉、22金以下、現在なら2手長駒余りになるところ)

本局は最初の龍引き面白き手なり。以下再度の龍の犠牲にて追詰となり好局なり。

 78龍に68馬と凭れかかって2手稼ぐのは良かったのですが。
 桂の三段跳が狙いでしょうか。
(余詰)

同馬、同銀成、36角、
47金合、同角、同玉、37龍、56玉、66金、同玉、68龍、75玉、77龍寄、76歩合、66龍右、85玉、86銀、同玉、77龍上、95玉、87桂、94玉、64龍、84歩合、95銀、93玉、84銀、92玉、83銀成、同玉、86龍、72玉、76龍、81玉、61龍、92玉、72龍直、82合、81龍寄以下。

香合は69龍寄、67玉、68龍、46玉、37銀以下。
47桂成は38龍、48金合(香合は47龍、49玉、48龍、同玉、68龍、49玉、58龍、39玉、18角、同玉、37銀以下)、47角、59玉、48龍、同玉、68龍、47玉、49桂、36玉、38龍、26玉、35銀打、同香、同銀以下。



2015年9月10日 (木)

『将棋勇略』管見 その26

第81番

060081

45金、同桂、46桂、44玉、43角成、同玉、33飛、52玉、53飛成、同玉、
73飛、62玉、63桂成、61玉、71飛成、同玉、62銀、82玉、73銀生、92玉、
93香成、同玉、84銀生、92玉、93歩、82玉、73銀生、93玉、94歩、同玉、
84銀成、95玉、85成銀
まで33手詰

【山】

45同玉なれば46飛、34玉、26桂迄

64玉なれば63桂成、65玉、76飛成迄

94玉なれば95歩、同金、同銀、同玉、85金、96玉、86金迄

本局は最初金を犠牲にして飛打を造る處至極巧妙なり。以下飛の交換にて再度の飛打にて運命も切迫して終局の寄せ手は二歩の使い別け面白し

 三度にわたる銀不成が眼目なのでしょうか。



第82番

060082

94金、
同玉、95香、同飛、83銀、同銀、86桂、84玉、83角成、同玉、
72銀、92玉、83金、91玉、81銀成、同玉、72金右、91玉、82金
まで19手詰

【山】

94同飛なれば76桂、93玉、92金迄

95同玉なれば96歩、同玉、88桂、95玉、96飛、84玉、94金迄

93玉なれば92金、84玉、76桂迄

本局は最初金桂を犠牲にして玉将及び敵飛の位置を變更して桂打を造り83銀と再度の犠牲と終局の寄せ手は至極鮮なりと思ふ

 86桂を打つまでが考えどころです。初手95銀は同飛、76桂とは打てますが以下94玉で手段なし。



第83番

060083

25銀、
同銀、36桂、同銀、14飛、25玉、24飛、同玉、15金
まで9手詰

【山】

25同桂なれば14飛、同玉、15銀、13玉、12金迄

本局は最初銀桂を犠牲にして敵銀の妨害なるを除き殊に退路を閉じ飛の捨場面白し。味ひあり

 銀を近づけて36桂と打つのが好感触。同銀と決まれば邪魔になった飛車の消去。
 現代的な作品です。78角は離れすぎですが、56まで近づけると初手14飛で潰れます。



第84番

060084

97桂、同馬、75飛、同銀、77桂、74玉、65龍、83玉、73銀成、
同玉、
63香成、82玉、73成香、
81玉、82銀、92玉、93銀成、同玉、85桂、92玉、
83成香、同玉、63龍、82玉、73龍、81玉、83龍、82歩、73桂生
まで29手詰

92玉なれば83銀、93玉、85桂迄

73同玉なれば85桂、72玉、83銀、同玉、63龍、82玉、73龍、92玉、93桂成、81玉、82龍迄

本局は最初桂を犠牲にして馬の働きを除きて大駒を犠牲にして桂打以下の寄せ手は至極巧妙なり。味ひありたし

【山】
馬の利きを外し一貫したねらい

 
87飛は86歩合で逃れ。
 よく捌けますが、4手目以降は無抵抗になるので物足りません。


2015年9月 9日 (水)

『将棋勇略』管見 その25

第77番

060077 060077_2


57桂、同桂生、49龍、同桂成、46飛、同桂、54角生、34玉、26桂、23玉、
14角、12玉、21角生、13玉、23角成、
同玉、32角成、12玉、13歩、同玉、
14馬、12玉、13歩、21玉、32銀成
まで25手詰

【山】

56玉なれば57歩、56玉、65成銀迄又55玉なれば65成銀、56玉、66成銀迄

21同玉なれば32角成、12玉、13歩、同玉、14馬、12玉、13歩、21玉、32銀成迄

23同香なれば14歩、22玉、32銀成迄

本局最初57同桂成なれば49龍、47桂、46歩、56玉、57銀、67玉、58龍、77玉、78龍迄の早詰となるなり。其他金合等は尚早なり味ひあり。
本局は最初の駒捌き面白し。57桂、同桂成なれば9手目の54角不成の時49龍にて早詰となるなり。初心者の味ふべき處なり

【古】
詰方玉方の双方不成図式。
(※これ以下は兎月評をなぞる)

 左図は松浦写本、月報図。右は『古圖式総覧』。
 初手56飛は、同桂、54角不成(角成は34玉以下打歩詰)、66玉で逃れ。成れば34玉、成らなければ66玉です。
 桂を49まで動かしておくのは57歩を打つため。54桂を取らずに角を動かすのは飛車を消去して26桂と跳ねるため。21角不成以下の収束も良かったのですが。
(余詰)

36角、同香、54角成、34玉、36飛、23玉、22と(32銀不成も可)、同玉、31飛成、12玉、21龍、13玉、11龍、23玉、35桂、34玉、23銀、35玉、36香以下。
36角が成立。

 左右の図とも、この余詰があるので、右図の3筋の歩は意味不明です。
 右図は
32銀不成、12玉、13歩、同玉、33飛成、23角合、同銀成、同香、31角、22金合、同角成、同銀、同龍、同玉、34桂、33玉、22銀、34玉、35歩、同玉、36金以下。
 71香を削除し(22金合でなく、香合を用意する。もともと71香は不要駒)、玉方33歩を置く(攻方34歩は不要)くらいでしょうか。
 なお、「詰棋界」での紹介は第76番で終わっているとのことで、これ以後、古図鑑版は兎月評を簡略化して引いているようです。



第78番

060078

63龍、
同玉、72飛成、64玉、73馬、75玉、65金、同銀、84馬、同玉、
85歩、同金、83金、94玉、92龍
まで15手詰

【山】

75玉なれば74金、85玉、95金迄

72同玉なれば73金、81玉、72金打迄

65玉なれば63龍、75玉、74馬迄

本局は多大なる變化も無き局なり。最初62龍捨にて脱出を防ぎて72飛成は面白し。中就(なかんづく)65金は本局中の妙手なり。味ひあり

 63馬から65金は好手順。収束に手間暇かけないのがいいですね。



第79番

060079

54金、
同桂、34角成、同玉、24龍、同香、同銀成、44玉、45歩、同玉、
34銀、44玉、
45香、同成桂、33銀生、同銀、同馬、53玉、62銀、52玉、
51馬、43玉、33成銀、44玉、53銀生、同玉、62馬
まで27手詰

【山】

45玉なれば46銀、同玉、37銀、45玉、48龍、47香合、同龍、同金、57桂、同金、46香迄

45同成桂なれば33銀、同銀、同馬、53玉、62銀、52玉、53香迄

53玉なれば62馬、43玉、32銀不成、42玉、33銀打迄

本局は最初銀を犠牲にして馬の行路を開きて34角と成り捨ては至極巧妙なり。以下再度の大駒の犠牲銀角協力して攻撃は面白し

 
24龍の手順前後成立。
 45歩でも良い。
 いずれにしても、85龍は何の役にも立っていません。



第80番

060080

65角、
同玉、83角成、同香、74銀、55玉、35龍、54玉、46桂、43玉、
34龍、53玉、62銀、42玉、54桂、41玉、51銀成、同玉、62と、41玉、
52と、同玉、32龍、53玉、42龍、54玉、45銀、55玉、44龍、46玉、
36銀、同玉、37金、25玉、26歩、15玉、16歩
まで37手詰

【山】

84玉なれば64龍、93玉、83角成、同香(※月報は同玉としているが取れない)、82銀、92玉、93銀打迄

55玉なれば35龍、54玉、46桂、43玉、34龍、53玉、44銀、42玉、44桂、51玉、42銀迄

74同玉なれば66桂、84玉、64龍、93玉、82銀、92玉、94龍、同と、93歩、同と、81銀不成迄


本局は最初角を犠牲にして着手し再度の角を犠牲にして74銀は妙手なり。以下龍本位として手駒の銀桂の使ひ方によりて右翼へ追撃して終局突歩詰とは奇抜なり

 
74銀は、同玉、66桂、84玉、64龍、93玉、83角成、同玉、82と、同玉で以下73銀は71玉、83歩は93玉、84香は83歩合で詰みません。
 この図でも99飛は不要駒です。68成香は退路封じの駒です。


2015年9月 8日 (火)

『将棋勇略』管見 その24

第73番            

060073 060073_2

58金、同龍、56銀、同龍、57馬、同龍、39桂、56玉、34馬、55玉、
15飛、64玉、65飛、73玉、72金、
同玉、62歩成、81玉、45馬、54香、
同馬、同龍、71と、同玉、73香、72銀、83桂、81玉、61飛成、同銀、
71香成
まで31手詰

【山】

56玉なれば65銀、55玉、15飛迄又36玉なれば45銀、35玉、25金迄

56同玉なら58飛、57銀打(57香合は34馬、47玉、38金、同と、同馬、36玉、26飛まで)、同馬、同銀、54飛、57玉(55香合は同飛、同玉、56飛、64玉、53馬、73玉、62馬、64玉、75金まで)、57飛引、36玉、45銀、26玉、45銀、同玉、26金まで
(※なぜかロハニの変化手順の記載がないので適宜補います)

57同銀なら39桂、36玉、35金、同玉、15飛、25歩合、34馬、36玉、25馬まで

83玉なら75桂、72玉、62歩成、81玉、72と、同玉、63飛成、81玉、92香成、同玉、83桂成、91玉、72龍まで同手数

【古】
15飛から65飛と捌く大味あり

 序盤は例によって龍の翻弄でしたが…。
(余詰)

65馬、56金合、58金、同龍、56馬、同龍、38金、36玉、37金、同玉、29桂、36玉、37歩、26玉、36金、同銀、17馬、25玉、16馬、24玉、34馬、13玉、15飛、14歩合、同飛、同玉、26桂、15玉、16銀以下。
56銀合、58銀、同龍、56馬、同龍、38金、36玉、37金以下い56金合の余詰筋に合流する。
56香合は58銀、同龍、56馬、同玉、58飛、57銀打、同馬以下ロの変化になる。

 左図はこの余詰があるので、修正したのが23歩を置いた右図。
 左図は松浦写本、月報図。右図は『古圖式総覧』です。
 88歩は不要駒です。



第74番

060074


68龍、
同龍、75角、同玉、76金、74玉、85金、83玉、93歩成、同玉、
94金、同玉、72馬、93玉、83馬
まで15手詰

【山】

67銀合なれば99角、75玉、85金迄

本局は駒數の少き局面なり。最初龍を犠牲にして敵龍の位置を替へて角の打捨巧妙なり。以下金にて追詰は大道將棋の如き感あり

【古】
初手68龍は巧い手で、終束のまとめ方などは気がきいている。

 短篇らしくまとまった作品です。



第75番

060075

55銀、
同玉、44銀、同飛、37角、46金、66銀、64玉、46角、同銀、
65銀、73玉、72金、同玉、82歩成、73玉、72と、同玉、71成香、73玉、
83龍、同玉、61馬、93玉、85桂、82玉、72馬、91玉、81馬
まで29手詰

【山】

55同金なれば68角、57歩、同龍、35玉、37龍迄

46玉なれば24角、同飛、37銀迄

45銀なれば又44銀、64玉なれば65銀、73玉、91角、72玉、82角成迄

66同玉なれば85龍、66玉、76馬、57玉、58馬、66玉、77銀、同玉、76龍迄又85龍の時64玉なれば46角、同金、55銀、73玉、82銀、72玉、71銀成、73玉、65桂迄

71同玉なれば44馬、53歩、81飛、62玉、82龍、72歩、71龍、73玉、85桂迄
72歩合の時72金合なれば71飛成、52玉、72飛成、62金、51金迄

本局は最初手駒の二枚銀の打捨にて敵飛の位置を變更して角打を造りて玉の脱出を妨げる手段は面白し。以下65銀の妙手にて退却せしを二枚の大駒にて攻撃しつゝ終局83龍の捨場一大妙手なり。以下の寄せ手至極巧妙なり

【古】
手が多く複雑であるが、主眼のねらいは83龍捨であろう。

 これという手も狙いもなく雑駁な印象です。



第76番

060076

55金、同金、54銀、
同玉、44角成、63玉、13龍、52玉、53龍、41玉、
33桂、32玉、22成銀、同玉、21桂成、同玉、23龍、31玉、22馬、42玉、
32龍、53玉、44馬、63玉、72龍、同玉、62金、81玉、71金
まで29手詰

【山】

同金なれば57桂、同龍、76龍迄

同金なれば57桂、同龍、76龍迄

本局は最初金銀を犠牲にして二枚の大駒にて攻撃を加へ最后に72龍と捨てゝの寄せ手は鮮なり

 古図鑑版の評はありません。これは不出来。


2015年9月 7日 (月)

『将棋勇略』管見 その23

 『勇略』には、これまで触れてこなかった重要な写本があります。国会図書館にある岡田乾州の蔵書だった写本です。
 作品配列がどうなっているか気になっていたのですが、磯田征一氏からの連絡で、やはり献上本系の配列であることが分かりました。
 ということは兎月が所持していた写本と同様の配列になったものは、今のところ発見されていないままです。
 兎月が所持していた写本も実は献上本系で、佐々木聡氏が書かれたように、「月報に掲載された時点でこのような移動がなされた」のでしょうか。
 しかし、配列順を勝手に改変してほおかむりしますかねえ。


第69番

060069

Photo

67銀、
同玉、76銀、68玉、77馬、同玉、79龍、66玉、65飛、56玉、
67銀、65玉、75龍、54玉、45銀、
同と、64龍、43玉、55桂、同と、
35桂、52玉、62香成、41玉、52成香、同玉、51金、同玉、43桂生、52玉、
63龍、41玉、61龍
まで33手詰

【山】

47玉なれば56銀、同と、37馬迄又68玉なれば79龍、同玉、69金、89玉、79飛迄

(※記載変更)76同玉なれば79龍、67玉、77飛、58玉、49銀、47玉、57飛、同と、37金迄又58玉なれば67銀打、47玉、37金、同と、同龍迄

58玉なれば67銀、47玉、56銀打、同と、37金迄

78歩合なれば67金、86玉、75銀、85玉、86飛、94玉、84と、95玉、85と迄

47玉なれば49龍、48銀成、38銀、57玉、58金、同成銀、同龍迄

43玉なれば35桂、52玉、55龍、54歩合、33桂成、41玉、23桂、同歩、32金、51玉、42金迄

41玉なれば51龍、同玉、43桂生、52玉、64桂、43玉、44金迄

33玉なれば25桂、22玉、(※記載変更)24龍、23飛合、13桂成、31玉、43桂生、同飛、21龍、同玉、22金迄

31玉なれば61龍、22玉、23金迄

本局は駒數の少き手順の永き殊に變化に富みたる好局なり。最初銀の犠牲にて玉将の位置を變更して再度の銀の犠牲は好手なり。以下77馬にて敵龍を素抜きにして正面攻撃にて退却し終局の寄せ手の巧妙なるは驚嘆の外なし

【古】
三手目の76銀引が好手で、以下変化を生じるが『図巧』の巧みさには及ばぬ

 図は『古圖式総覧』です。その下の画像は松浦写本です。おそらくこの図に関しては献上本=『古圖式総覧』(伊達文庫本も同じ)で、それでは詰まないので八代伊藤宗印が83桂を加えたのでしょう。手順は月報に拠っています。月報図は松浦写本と同じで83桂があります。
 83桂がないと、
52玉で詰みません。では83桂があると? やはり52玉で詰みません。即ちこの手順は誤りで、64龍のところ64とであれば83桂の意味がありますが、上記の手順(おそらく作意)にはならず、43手詰一歩余りになります。
 松浦写本に、83桂を消して玉方24桂とする書き込み(鉛筆)が見えます。誰の仕業かけしからん行為ですが、これは好補正で問題なく作意が成立します。
 玉方28歩は余詰筋を消したものですが、27歩・28歩の代わりに玉方26香で良いですね。

 入玉図は、入玉のままで詰めたらいいのにと思ってしまいますが、やはり追い返してしまう手順。ただし、適度に捨駒を配して単調さを免れている点は評価できます。



第70番

060070

57銀、
同玉、66銀、同龍、68銀、46玉、55銀、同龍、47馬、35玉、
24龍、同玉、25馬、33玉、43香成、22玉、12成香、同玉、24桂、22玉、
32成香、11玉、21成香、同玉、43馬、22玉、32馬、11玉、33馬、22金、
12歩、21玉、22馬、同玉、32金
まで35手詰

【山】

同となれば69銀、79玉、88銀、89玉、78銀、88玉、89龍、87玉、87龍、同龍、同馬迄又78玉なれば87銀、77玉、88銀迄

68玉なれば77銀打、同龍、同銀、同玉、79龍、78角成、87飛迄又46玉なれば55馬、36玉、25龍迄

68同玉なれば79銀、57玉、47馬迄又68同となれば47馬迄

37玉なれば47馬迄又36玉なれば25龍、37玉、47馬迄

本局は手駒の四枚銀の打捨てには興味多大なり。中盤68銀等の妙手及び24龍より等は筆紙に盡し難き興味ある妙手と思ふ

【古】
序盤の四枚銀連続打捨ては巧妙

 銀は残さずにすべて打ち捨てたかったところです。銀捨てで龍を退路塞ぎに逆用し大駒を捌く収束は良かったのですが、玉方の大駒が二枚とも残ったのは残念です。



第71番

060071

37角、
57玉、49桂、同龍、46角、同玉、55銀、同玉、65金、同銀、
54金、同銀、37馬、45玉、46馬、34玉、24馬、同玉、26龍、14玉、
15歩、13玉、22龍
まで23手詰

【山】

37同龍なれば同馬、57玉、49桂、58玉、59金迄又58玉なれば49銀、57玉、69桂、68玉、59金迄

58玉なれば56龍、同銀、68金、59玉、49馬、同玉、58銀、39玉、49飛迄

57玉なれば66龍、48玉、68龍、58銀成、37馬、39玉、29金打迄

46玉なれば37馬、57玉、66龍、58玉、68金迄

本局は37角以下駒の打捨てに興味津々たり。尚ほ最后に24馬捨てゝ龍廻りにて終局は是非も無き所なり

【古】
持駒を捨駒として56銀の移動をはかる気前のよさだが、終束は是非なし

 玉を移動させて収束用の配置まで連れて行くところは良くも悪しくも一貫しています。



第72番

060072

77金、同馬、59桂、
同馬、69香、同馬、77飛、66玉、75馬、55玉、
25龍、46玉、38桂、37玉、47飛、同と、26龍、38玉、39金
まで19手詰

【山】

57玉なれば69桂、66玉、65飛、76玉、77歩、87玉、97馬迄

68歩合なれば77飛、66玉、68龍、同馬、同香、67歩、93角迄
(※67歩合、同飛、76玉、77歩、85玉、88龍、94玉以下どうしても21手駒余りの変長となる)

本局は最初敵馬の働きを薄くする為に手駒の金桂香を犠牲にして馬の位置を變更して飛打を造るは面白し。以下大駒三枚の威力にして再び右翼に廻し入玉して飛の捨場好手なり

【古】
持駒を犠牲にして馬の位置を変更して飛打を作るのは面白い。25龍とトビ出して38桂とする処は、いかにも古風でノンビリしており、型もサラッとしている。

 序盤はいわゆる翻弄物ですが、自陣まで追い落とさない構成。
 図は松浦写本=『古圖式総覧』。月報図は18成桂が17成桂になっています。

2015年9月 6日 (日)

『将棋勇略』管見 その22

第65番

060065

34金、同馬、14成銀、同玉、22歩生、13玉、14歩、12玉、24桂、同馬、
21馬、23玉、32馬、12玉、13香、同馬、同歩成、同玉、24角、12玉、
21馬、23玉、33角成、13玉、24馬、同玉、15金、13玉、14歩、23玉、
32馬、12玉、13歩成、同玉、14金、12玉、21馬
まで37手詰

【山】

13玉なれば(※原文は14歩、同玉以下だが取らずに12玉で逃れ。手順誤りにつき訂正)24金、同玉、15金、13玉、14歩、12玉、22歩成、同香、13歩成、同玉、14金、12玉、13歩、11玉、23桂、同香、12歩成、同玉、23金、11玉、22金迄

23香合なれば15金、13玉、14歩、12玉、21馬迄

24同玉なれば15金、13玉、14金、21玉、21馬迄

23玉なれば32馬、12玉、13歩、同玉、14金、12玉、21馬迄

本局は駒數の少き好局なり。最初金を犠牲にして中盤歩不成の一手には驚嘆したり。流石は名人の作なり。以下馬の活力巧妙にして37手の終局は妙局中の妙局なり。

【古】
明るい近代的感覚の作品で、デリケートな味でキレイな捌きである。

 馬が細かく21と32を往復します。玉の可動域が狭く、やりくりしながら詰む。現代の作品といわれても信用されそうです。一発妙手を中心に組み立てたというつくり方ではなく、全体がひとかたまりになった手順。秀局です。
 
23玉の変化が2手早く詰む辺り、運も味方した作品といえるでしょう。



第66番

060066

85銀、93玉、84銀、同玉、76桂、
73玉、63馬左、同飛成、74歩、同玉、
72飛成、73金、63龍、同金、64飛、75玉、63飛成、
64角合、同龍、86玉、
77金、
96玉、63角、74歩合、同角成、97玉、96馬、同玉、97歩、同玉、
84龍、53香、86龍
まで33手詰

【山】

93玉なれば94歩、同玉、85馬、93玉、84馬迄

53香なれば85金、76玉、67龍迄又64歩合なれば同龍、86玉、77金、96玉、97歩、同玉、84龍、53香、86龍迄

77同玉なれば67龍、88玉、97角、89玉、69龍迄

本局は最初銀を犠牲にして桂を捌きて83馬と再度の犠牲は妙手なり。其時亦も一歩を犠牲にて71飛成は巧みなる手順と思ふ。以下63飛成に對し64角合及び63角に對する74歩合等は一ツの奇手と思ふ。攻方味方の駒捌きは奇々妙々と云ふべし

【古】
序盤は軽快で中盤は巧妙、ねらいは63飛成に64角合で63角に74歩合も軽い応酬、終始ねらいが一貫した佳作

 角の捨合と歩の中合。意味付けはどちらも二枚の大駒の利きをダブらせるため。
 ただし、74歩合は桂合でも同じです。さらに…
(余詰)

64同角成、76玉、43角、77玉、45馬、86玉、76龍、97玉、88金、同玉、77龍、89玉、88龍まで



第67番

060067

25銀、
同桂、13金、同飛、25成銀、同歩、26桂、同角、24金、同玉、
35金、
15玉、25金、同玉、36金、同成香、同飛成、15玉、16歩、同玉、
17香、同成桂、34馬、15玉、25馬
まで25手詰

【山】

25同歩なれば24金、同角、同成銀、同玉、33飛成、同玉、44金、42玉、33角、52玉、63金、61玉、62金打迄
(※15玉は14金、26玉、35角、同飛、同飛成、17玉、37龍、16玉、27馬まで)


25同玉なれば34飛成、16玉、27金、同成香、同馬、同玉、38金、16玉、27金打迄

26同歩なれば34飛成、24合、25金迄

15玉なれば25金、同玉、36金、16玉、26金、同玉、35飛成、16玉、26金、17玉、37龍まで

本局は駒數の少き割合に手駒の多き為其手順は長き手數なり。最初銀を犠牲にして13金と打捨て敵飛の位置を變更して味方の飛筋を開きての攻撃甚だ面白し。中盤桂の犠牲より金三枚の打捨至極巧みにして其手數も譜の如く25手詰となり好局なり

【古】
三枚の金の捨て方が主眼であろうか。終束の16歩から17香は軽妙

 軽く打ち捨てる手順ならともかく、こう駒取りが多いと物量に物を言わせた感が残ります。



第68番

060068

49銀、
同玉、38銀、同玉、49角、37玉、26龍、同玉、27金、15玉、
51角成、同龍、16金、14玉、25金、13玉、
24金左、12玉、67角、11玉、
12角成、同玉、13歩、11玉、23桂
まで25手詰

【山】

49同金及び49同馬なれば68金にて早詰となる

38同成桂なれば29龍、同成桂、27角、38歩、48金、39玉、38金、49玉、39金、58玉、48金迄

49同玉なれば29龍、58玉、68金打迄

本局は最初49銀打捨て及び38銀49角等は妙手のみなり。以下27龍以下寄せ方は實に妙局なりと思ふ

【古】
初手より玉の逃げ場所へ捨駒をする手法を採っており、五手目の49角が主眼であろう

 これも隅に追いやる作品です。
 24金直、12玉、23金左、11玉、12金以下が成立。これは余詰に近い
迂回手順でしょう。



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