カテゴリー「遠打、中合、限定移動」の17件の記事

2015年1月 5日 (月)

中合の意味 その6

 まずは作例追加から

⑪玉方の利きを止める

 紹介したのは藤沢英紀作だけでしたが、次の作も。

山本善章作「詰将棋パラダイス」1983年6月

Para81852705yamamoto

56角、45桂合、同角、34香打、14銀、24玉、36桂、同香、23角成、同歩、
25歩、同飛、13銀生
まで13手詰

 
34香打は、14銀、24玉、25歩、同飛、13銀生、23玉、12銀生、24玉、13角まで11手。
 
45同飛は、14銀、24玉、25歩、同飛、13銀生、23玉、12銀生、24玉、13角まで同手数駒余り。
 45角を同飛と取り返せる形ですが、中合扱いでいいでしょう。



⑫攻方の利きを通す

 鈴木康夫作のほか、次の作もありました。

柏川悦夫作「近代将棋」1959年10月

Kinsho50691927kasikawa

35飛、34桂合、同飛、22玉、33金、21玉、22歩、12玉、23金、同玉、
24馬、12玉、13歩、22玉、33飛成、21玉、23龍、31玉、43桂、同歩、
41と、同玉、21龍、52玉、61龍、同玉、51馬
まで27手詰

 
22玉は、32金、12玉、13歩、同玉、33飛成、12玉、22龍まで。



 以下は新規です。

⑬二手延ばし

柏川悦夫作「詰将棋パラダイス」1968年8月

Para66702862kasikawa

43飛、22玉、21飛、同金、55馬、
44歩合、同馬、31玉、41歩成、同角、
33飛成、32金、53馬、21玉、22歩、同金、31馬
まで17手詰

 
31玉は、41歩成、同角、33飛成、32金、64馬、21玉、22歩、同金、31馬まで15手。

 44歩合を省くと、手順に64馬と歩を取られるので2手早くなります。



柴田昭彦作「詰将棋パラダイス」1987年1月

Para86900768sibata

26銀、24玉、35銀、同玉、15飛、
25歩合、同飛、36玉、26飛、35玉、
46角、同飛、36歩、同飛、25飛、46玉、45飛
まで17手詰

 
36玉は、16飛、35玉、26角、24玉、15角、13玉、33角成、14合、23馬まで15手。
 
26歩合は、同飛、35玉、46角以下、同手数駒余り。

 正確には捨合ですが…。



⑭あとで攻駒を取る

山本民雄作「詰将棋パラダイス」1984年5月

Para81853827yamatami

52桂成、同香、58龍、54歩合、64銀、43玉、44歩、同玉、53銀生、同香、
47龍、33玉、44龍、同玉、46香、33玉、22銀生、24玉、23と、同玉、
13歩成、24玉、14と、同玉、58馬、47桂合、同馬、23玉、24香、同玉、
25飛、14玉、26桂、同金、同飛、47馬、13銀成、同玉、24金、12玉、
23金、11玉、22金
まで43手詰

 
23玉は、24香、同玉、25飛、14玉、27飛、47合、24金、15玉、25金、16玉、26金まで37手。

 83馬の利きを65飛が遮っているので、47桂合がすぐには見えませんが、手順を追えば、馬を取るためだったことが分かります。



芹田修作「詰将棋パラダイス」2010年9月

Para06105526serita

26飛、25桂合、同飛、12玉、13歩、同桂、24桂、23玉、32桂成、25桂、
33成桂、12玉、34角、21玉、43角成、同馬、24龍、31玉、22龍、41玉、
53桂、同馬、32龍
まで23手詰

 
12玉は、13歩、同桂、24桂、23玉、32桂成、同玉、14角、31玉、33龍以下。
 
25歩合は、同飛、12玉、13歩、同桂、24桂、23玉、32桂成、25桂、33成桂、12玉、23角、21玉、22歩、31玉、41馬、同金、同龍、同玉、42金まで21手。

 歩合の手順も面白く、ごく普通の実戦型で実現したところに価値があると思います。



2015年1月 4日 (日)

限定移動集 その4

 今回はまとめです。

 限定移動にはどれくらいの意味付けがあるか、掲載作から考えてみました。順不同ですが、分かりやすいものから。
 『80年代ショート詰将棋ベスト200』以外からも適宜作例を示してみます。


①駒取り狙い
 作意手順ではあらわれず、変化で駒を取る手順になることが多いです。

赤羽守作1983年9月

佐々木康作1988年9月 意味付けが二つあります。一つ目。

古関茂作「詰将棋パラダイス」1967年3月


Para66701207

79角、89玉、57角、88玉、79角打、99玉、66角、同飛、
57角、89角、
同飛、同玉、78角、88玉、66角、77銀、89飛、97玉、75角、同銀、
98銀、同玉、99歩、97玉、87飛、96玉、81飛成、78銀生、85龍、97玉、
89桂、同銀成、87龍
まで33手詰


 
57角は⑥守備駒の利きを止めるため、57角は駒取り狙いで、実際に飛車を取ってしまいます。



②成るため
 岡本正貴作の3手目は成るためと転回のため兼用かと思っていましたが、次に不成でも最後で成れる(成生非限定)ので、より端的な例を挙げます。


太田慎一作「詰将棋パラダイス」1988年11月


Para86902351

44銀、同玉、25角、47馬、43角成、35玉、36歩、同馬、46金、同馬、
25飛成
まで11手詰


 
47他合は43角成、45玉、25飛成以下。



③取られないため

小林敏樹作1984年7月

余詰屋本舗作「詰将棋パラダイス」1996年9月

Para96000764

98飛、37玉、27馬、同玉、39桂、37玉、38飛
まで7手詰


 57玉は、56飛、67玉、85馬、77玉、76馬まで。初手88飛だと、そこで88玉と取られる。
 飛車をヨコに振る作例です。市島啓樹氏の作品。



三谷郁夫作「詰将棋パラダイス」2000年2月


Para96004458

18銀、同玉、45角、17玉、18香、26玉、
19角、46金、36金、同金、
同飛、25玉、26飛、同玉、36金、27玉、37金
まで17手詰


 
28角は、最終手37金に28玉で逃れ。
 角の作例です。



④転回

岡本正貴作1984年6月 限定移動が2箇所ありますが、3手目、5手目ともです。

小林敏樹作1988年4月

塩見倫生作「詰将棋パラダイス」1983年11月


Para81853201

58飛成、
36玉、56龍
まで3手詰


 
24玉なら28への転回を睨んだ限定移動です。

⑤退路封じ
 一箇所だけの封鎖、二箇所を睨んだ封鎖、あとで守備駒を動かさないと利きが届かないものなど、表現方法はいろいろありますが。

長谷川哲久作1980年10月

飯田繁和作1981年9月
 結果的に邪魔駒消去になっていますが、直接の意味は3筋に逃さないためです。


有吉澄男作1983年12月

岡本正貴作1984年6月 5手目です。

橋本樹作1980年8月

赤羽守作1985年3月

赤羽守作1986年6月

吉田芳浩作1987年7月 限定移動が2箇所ありますが、初手です。

小林敏樹作1985年5月

岡部雄二作1985年8月 限定移動が2箇所ありますが、5手目です。

行き詰まり作1988年1月 意味付けが二つあります。一つ目。

岡村孝雄作1988年4月

佐々木康作1988年9月 意味付けが二つあります。二つ目。

六車家々作「詰将棋パラダイス」1979年5月


Para76803814

35金、同桂、
54香、45玉、53香成
まで5手詰


 初手は質駒をつくっておく意味。これで作意では33玉と出来なくなります。
 
52香成は43玉で取られるので、52に利かせるため。53香成も54に利かせるためなので、どちらも退路封じです。

⑥守備駒の利きを止める

金子哲哉作1984年9月

岡部雄二作1985年8月 7手目です。


行き詰まり作1989年3月

武南新一作「詰将棋パラダイス」1976年7月


Para76800622

26馬、24玉、62馬、13玉、22龍、同馬、35馬
まで7手詰


⑥中合(捨合)をさせない
捨てられ人作1981年2月

有吉澄男作1983年6月

原田清実作1984年6月

原亜津夫作1987年8月

森長宏明作「将棋マガジン」1983年12月 桂中合をさせない特殊な例です。


YYZ作「詰将棋パラダイス」
1987年3月

Para86900872_2

94龍、66玉、57金、同龍、64龍
まで5手詰


 
84龍は、74歩合で同角成なら66玉で打歩詰、同龍なら56玉で逃れます。
 
74歩合は、同角成、66玉、96龍まで同手数駒余り。従って①駒取り狙いの意味も兼ねています。
 なお、「行き詰まり」「塩見倫生」「YYZ」「呉一郎」「片山倫生」は同一人物です。


⑦合駒をさせない(無効にする)

波乱万丈作1986年11月

廣瀬崇幹作「詰将棋パラダイス」2013年4月

201304hirose

59角、57と、46香、同玉、56馬、同と、37角
まで7手詰


 
68角は57歩合、55角は、47桂合で逃れ。
 47への合駒は同香で無効です。
57桂歩合は47香まで。57打合が金銀香なら同飛。
 ⑩新たにバッテリーを形成する、にも当てはまる作品です。



⑧邪魔にならない位置へ

捨てられ人作1982年7月

行き詰まり作1988年1月 意味付けが二つあります。二つ目。

小林敏樹作2006年9月

川崎弘作「詰将棋パラダイス」1955年4月


Para54600715

27金、25玉、36金、15玉、16歩、同玉、
32香成、15玉、42馬、16玉、
52馬、15玉、43香成、59龍、16歩、同玉、44成香、15玉、42馬、16玉、
43馬、15玉、26龍、同香、16歩、24玉、33馬、13玉、22馬、24玉、
34成香、同玉、33馬
まで33手詰


 
32香成は馬の邪魔にならないため、43香成は⑪攻駒の利きを止めて打歩詰を回避するためです。



行き詰まり作「詰将棋パラダイス」2001年5月


Para01050430_2

97飛、65玉、87馬、56玉、47金、同玉、65馬
まで7手詰


 99角の利きと87馬を邪魔しないのは97飛だけです。


⑨直列にする

柳原裕司作1987年4月

武島宏明作「詰将棋パラダイス」2014年4月

201404takesima2

69角、13銀、58馬、16玉、15龍、同玉、25馬
まで7手詰



⑩新たにバッテリーを形成する

吉田芳浩作1987年7月 3手目です。

谷口均作「詰将棋パラダイス」2009年11月


⑪攻駒の利きを止めて打歩回避

橋本樹作1980年5月
 「ブルータス手筋」と呼ばれています。理由は次図の解説。

栗原壽郎作「詰将棋パラダイス」1952年2月


149

11飛、92玉、21角成96角合、同香、同桂、81角、同玉、54馬、92玉、
81飛成、同玉、71歩成、同玉、74龍、61玉、71龍、同玉、72銀
まで19手詰


 71飛は、92玉、54角、96歩合、同香、同桂、81飛成、同玉、71歩成、同玉、74龍、61玉、71龍、52玉で逃れ。
 51歩合は、同飛成、92玉、93桂成、同玉、91龍、92合、94歩、同玉、76角まで。
 96歩合は、同香、同桂、93歩、81玉、54角まで。11飛の利きが止まっているので、93歩と打てる。

 解説-郷田五郎
 シーザーはいえり"ブルータスお前もか"と。
 二月号本校で最大の問題を提示したのが、本・栗原氏作であった。あまりにも感に衝たれた私は、本稿の筆を執りながらも頻りに血が騒ぐのを如何ともし難い。この、今までさして名を知られていない作者が僅々20手足らずに醸成した類い稀なる構想を稚拙な私の筆で説こうとするさえ空恐ろしい。
 本作品を不詰と解答された相当数の生徒さん方よ、貴方がたは不幸だった。続々と寄せられる不詰解答には、成績優秀者名簿中に見える方のもあり、思わず"○○君、貴君もか!"と叫ばずにはいられなかった。
 この傑作(と私は信ずる)身をもって体験されなかったことは返す返すも口惜しいことであった。非力な私への不信と誤植危惧とが相乗されて、不詰解答した方は誰よりも先に此処を読んでいるであろう。誤植ではなかった。絶対に正しい図面であった。絶対に詰む詰将棋であった。だからここで一寸待ってくれ給え。アトの説明を読むのは待って呉れ給え。どうかもう一度、今からでもおそくはないから、詰まなかった人々は自力で考えて解いて呉れ給え。そうしなくては、解答する真のダイゴ味を味わう機会が本題に限っては、永久に去ってしまうだろうから……。



山田修司作「詰将棋パラダイス」2010年5月


201005yamada

16歩、同と、59角、26と、48龍、51飛、16歩、同と、24銀、同銀、
45龍
まで11手詰




 なお、この狙いの初出は『将棋図巧』第49番辺りかと。

Hudume091

98歩、同馬、同銀、同玉、99角成、同玉、11角、98玉、99金、97玉、
67飛、同と、98銀、86玉、87銀右、同成銀、同銀、同玉、88金、86玉、
87銀、75玉、22香成、25角合、同龍、同成桂、93角、84歩合、同角成、同香、
76歩、66玉、12成香、56玉、55角成、47玉、48歩、同玉、37馬、39玉、
28馬、48玉、37馬、39玉、29金、同玉、28馬
まで47手詰



⑫控えて動き打歩回避
原田清実作1983年10月


 他の作例が思いつきませんが…。


⑬不成で打歩回避

岡本眞一郎作1989年4月

加藤徹作「詰将棋パラダイス」1973年11月


Para71753117

23飛生、26玉、33桂生、35玉、53角生、34玉、35歩、43玉、41桂成、23龍、
42角成
まで11手詰


 
23飛成は、26玉、33桂生、35玉、53角生、44歩合で36歩が打歩詰。
 いかにも作者らしい遊び心に満ちています。



 あと思いつくのは…。

⑭四桂連合回避

若島正作「近代将棋」1979年12月

 玉方に四桂持駒があれば、四桂
連続合駒ができない場所まで遠開きします。

 他にもあると思いますが、いったん終了。

 

2015年1月 3日 (土)

限定移動集 その3

 限定移動集の続きです。今回、ボリュームが少なめなのは掲載を予定していた2局が余詰だったので撤去したため。残念。

原亜津夫作1987年8月

Para86901206

35銀、同歩、48飛、37玉、46銀、同桂、18飛
まで7手詰

 
58飛等は48歩合で逃れ。

 2枚の銀捨てはいずれも退路封じ。無理のない形でできたのが良いですね。


行き詰まり作1988年1月

Para86901547

46香、56玉、66飛、同龍、38馬
まで5手詰

 
46同玉は、66飛、45玉、44と右まで同手数駒余り。44歩はこのための配置。

 飛車を動かすのは58玉で詰まないので、香を動かす一手ですが、44香と歩を取ったりするのはまずない手です。
 最終手で47香ではダメな理由が分かります。つまり香移動は馬の邪魔にならないようにしながら45への利きを残すためですね。


岡村孝雄作1988年4月

Para86901776

53馬、
44香合、47金、同香成、26馬
まで5手詰

 
44他合は、47金、同玉、44飛成まで同手数駒余り。
 
同飛成は、59玉で31角の利きが通っているため逃れ。

 86馬と26馬の双方を睨んで、初手は53馬ですが、焦点に打つ香合が最善。以下中合の香を動かす手順。玉方応手に重心が掛かった作品です。


小林敏樹作1988年4月

 既に紹介済みの作品です。17角に転回するための限定移動ですが、16香の短香、61角の遠打との組合せです。


佐々木康作1988年9月

Para86902150

49馬、95馬、48馬
まで3手詰

 これは非常に分かりやすいですね。限定移動の意味は、2手目95飛なら59馬と取ってしまおうというもの。同じようでも、初手58馬だと25銀で詰みません。49馬なら、16に利いています。


行き詰まり作「新たなる殺意」1989年3月

 既に紹介済みの作品です。守備駒の利きを通す中合を避けるための限定移動。


岡本真一郎作1989年4月

Para86902735

53飛生、35玉、26角、同桂、24銀生、同銀、37飛、同銀成、55飛成
まで9手詰

 
53飛成は、67歩合、同角、35玉で打歩詰。
 
67歩合は、同角、54玉、74飛、35玉、24銀生、同銀、34飛まで同手数駒余り。

 作者名を見てとりあえず不成物だと分かります。
 53飛は23銀に狙いを付けた限定移動です。あとは退路を塞いで気持ちのいい詰上り。

 たぶん、つづく…。

2015年1月 2日 (金)

限定移動集 その2

 前回ははしょりすぎて、いろいろ抜けていました。
 『80年代ショート詰将棋ベスト200』には限定移動作品が50局くらいあるのです。全部は紹介しませんが…。

橋本樹作1980年8月

 既に紹介済みなので、そちらで。退路に利かせるための限定移動です。


有吉澄男作1983年6月

Para81852761

35飛、36桂合、46銀、同玉、48龍、同桂成、39飛
まで7手詰

 
27玉は、18龍、16玉、15飛まで。

 初手35飛は15のと金に狙いを付けた限定打。角の利きを塞ぐのでやりにくい手かもしれません。一時期よく見かけました。
 本局は最終手が限定移動。33飛成では35歩合と捨合を打たれて詰みません。


原田清実作1984年6月(『夢銀河』修正図)

15jan02a

68香、
56玉、59香、46玉、45飛、同香、69角
まで7手詰

 
67歩合は、63飛、56玉、67飛成、56玉、54角まで同手数駒余り。
 
14角は36歩合で逃れ。

 これも最終手が限定移動。68香、59香は、この角の引き場所を空けるためだったことが分かります。


金子哲哉作1984年9月

Para81854174

67角、79玉、55香、35飛、69金打、同桂成、73飛
まで7手詰

 55香は飛車の利きを止めるため。最後は飛車打ち一発の詰上り。


赤羽守作1985年3月

Para81854782

15金、35玉、48角、26玉、35龍、同玉、36歩
まで7手詰

 初手32馬は33銀合、57角は35歩合でいずれも逃れ。
 48角から35龍で突歩詰。同馬は16金までですが、玉で取るのがエチケットでしょう。


小林敏樹作1985年5月

Para81854925

56飛、同玉、58香、
66玉、67金、同と、59馬
まで7手詰

 
58同とは、35馬、47玉、46龍まで同手数駒余り。
 
67同桂は44馬まで同手数駒余り。

 これは出題時に解いて、感心した覚えがあります。この作者の作品はたいてい感心するんですが。(笑)
 変同を極力避けて手順の絶対性を求める姿勢は学ぶべきだなと思います。


岡部雄二作1985年8月

Para81855187

36香、
46玉、38飛、19歩成、34香
まで5手詰

 
39香は、37歩合で逃れ。
 
44玉は、24飛、34合、55馬まで同手数駒余り。

 初手の短香が秀逸。中合をかいくぐる意味です。
 38飛はあらかじめ退路に回っておく意味、34香は玉方角の利きを止める意味ですね。


赤羽守作1986年6月

Para86900339_2

79桂、
同銀生、98金、78玉、59飛、34龍、89角、同玉、88金打
まで9手詰

 
79同龍は、76角、78玉、58飛、69玉、59金まで。
 
78玉は、59飛、34龍、56角、67合、69金まで。
 
98同玉は、96飛、97合、76角、87合、89金まで同手数駒余り。

 初手いろいろな手が見えますが、桂の使い道がなさそうなのでとりあえず79桂。同銀生が味良く、3手目の98金が強烈無比。
 89角からちょっと変わった詰上りになります。8手目68玉の変同はありますが、普通は取る手でしょう。


波乱万丈作1986年11月

Para86900633

35銀、
同と、44馬、15玉、33馬
まで5手詰

 
33馬は、46歩合、同飛、35玉、24馬、44玉で逃れ。
 
同玉は、24銀生、46玉、56馬まで同手数駒余り。

 すぐに両王手がかかる形ですが、15玉で詰みません。
 わざわざ蓋をしてから44馬と行くのがユーモラス。


柳原裕司作1987年4月

Para86900925

59香、56金合、58龍、46玉、55角、同金、57龍
まで7手詰

 
57香は、56歩合で逃れ。
 
57歩合は、68龍、66飛、57龍、64玉、54龍まで同手数駒余り。
 
56歩合は、作意に準じて55角を同玉、56龍まで同手数駒余り。
 
56同香は、同玉、58龍、57銀合で逃れ。

 59香から58龍と二段ロケットの狙い。作者得意の合駒を取らずに動かす手順です。
 なお変化
57歩合の68龍、66飛は実にうまく出来ていて、68龍を58龍と回るのは65玉、67龍、54玉、57龍、63玉、53龍でどうしても9手かかってしまいます。


吉田芳浩作1987年7月

Para86901107

74角、44玉、84飛、34玉、56角
まで5手詰

 56角・58香と88飛・99角の二組のバッテリー。
 63玉と躱されると詰まなそうなので、74角と限定移動。さらに84飛と角の影に隠れるのがうまく、56角とスイッチバックして詰み上がります。
 捨駒がなくても充分鑑賞に堪える佳作です。

 つづく

2015年1月 1日 (木)

限定移動集

 皆様、あけましておめでとうございます。
 今年こそブログはそこそこにして、作図に注力したい。
 昨年も同じことを書いていたような。(笑)

 初詣に行ってきました。北野天満宮です。

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 なかなかたどり着けません
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 『80年代ショート詰将棋ベスト200』(将棋天国社1994年3月)というACT編集のアンソロジーがあります。文字通り80年代の「詰将棋パラダイス」に掲載された9手詰までの好短篇を集めた本です。

802001 802002

 これを眺めていたら、限定移動作品がやたら目につきました。
 限定移動とはどういう手筋でしょうか。
 私の理解では、動く駒じたいは王手をかけない手筋であるということです。ただし、桂は右にも左にも跳べますが、どちらかしか詰まなくてもこれを限定移動とは言わない。ソッポ行きという用語がありますが、香以外の小駒の動きを限定移動とは呼ばないと思います。
 つまり飛龍角馬香のいずれかの組合せでバッテリーを形成している状態で、動く駒じたいが王手をかけずに特定の場所に移動するとき、限定移動と呼ばれる事象が生じる、と思っています。できればすぐには思いつかない場所への移動というのが理想的ですが。
 四の五の言ってないで、図面で示した方が早いですね。(笑)
 今回は短手数作品ばかりなので、動く将棋盤は省略します。

 

橋本樹作1980年5月

Para76804664

99角、64玉、88飛、19龍、65歩、55玉、89飛
まで7手詰

77角は、64玉、18飛、46歩合で逃れ。
 66桂合は、24飛、19龍、66角、64玉、56桂まで同手数駒余り。

 よく見ると、99遠打+88限定移動+89限定移動という豪華な組合せですね。
 88飛は99角の利きを遮って打歩詰を避けるため、89飛は19龍の利きを止めるためです。
 遠打の作例にも使えたなあ。


長谷川哲久作1980年10月

Para76805018

66角、45玉、58角、54玉、36角、同香、58飛
まで7手詰

 55合は、25角、54玉、43角成、同金、同飛成まで同手数駒余り。

 本局もすぐには動かず66角の限定打(57に利かせる)からスタート。
 58角は、67に利かせるためです。54玉となったとき、邪魔駒になっているのが面白いですね。


捨てられ人作1981年2月

Para81850164

49飛、14玉、26桂、25玉、14桂、同玉、19飛
まで7手詰

 47飛は、37桂合、同馬、14玉で逃れ。

 49飛と深く引いて、焦点に中合を打たせないのが狙いです。


飯田繁和作1981年9月

Para81850791

36龍、54玉、66龍、44玉、64龍
まで5手詰

 初手46龍のような手では34玉で捕まりません。3筋への逃げを封じるために36龍と動くしかありませんが、歩を取られてしまいました。
 これが狙いで、54歩が邪魔駒だったというわけです。


捨てられ人作1982年7月

Para81851701

51香成、59銀合、同飛、48玉、57銀、同と、58飛、同と、42飛成
まで9手詰

 53香成は、58玉で52飛成ができず逃れ。
 48玉は、59角、49玉、37角、58玉、68金まで。

 最遠地の51まで移動して、82飛の動く邪魔にならないようにする狙いです。


赤羽守作1983年9月

Para81853033

55飛、77玉、66龍、同玉、57銀、55玉、76桂
まで7手詰

 54歩合は、76龍、97玉、95飛まで。
 65桂合は、同角成、97玉、98銀、同桂成、同馬引まで同手数駒余り。

 初手はいろいろありそうですが、95歩に狙いを付けて55飛が正解。同じようでも94飛では、77玉で逃れ。
 詰んだかどうか目を凝らさないと分からないような詰上りからの逆算だと思いますが、限定移動じたいは素直な感じがします。


原田清実作1983年10月

Para81853116

83角左成、95桂合、74馬、86玉、87歩、同桂成、76金
まで7手詰

 74角成は、86玉で打歩詰。
 95歩合は、74馬、86玉、87歩、97玉、95飛成まで同手数駒余り。

 74角成で両王手をかけたくなりますが、83角成と控えて動かし75玉の余地を残すのが渋い手です。これで95に壁をつくらせれば飛筋が止まるので87歩が打てます。あまり類例のない狙いかもしれません。


有吉澄男作1983年12月

Para81853294

74馬、16玉、25龍、同玉、45飛、同馬、36金、同馬、52馬
まで9手詰

 これは限定移動の典型的な形。16玉の対策を考えれば52と38を睨む74馬の一手となります。
 25龍で引きずり出して45飛~36金が馬の利きを絞る好手です。


岡本正貴作1984年6月(『竹馬』改良図)

Okamoto

58角、56玉、25角、65玉、52角成、76玉、85馬
まで7手詰

 3手目は左辺へ転回するため、5手目は74玉と逃さないため。
 7手で角が見事に一回転。素晴らしい!


小林敏樹作1984年7月

Para81853982

39飛、44玉、33飛成、同玉、22角成
まで5手詰

 38飛は、46玉、24角成、47玉で逃れ。
 46玉は、24角成、47玉、57馬まで同手数駒余り。

 39まで深く引いて玉に取られないようにします。無理、無駄のない構図で狙いを端的に見せることができる作家です。


柳原裕司作1986年2月

Para86900103

66金、44玉、74龍、45玉、44龍、同玉、56金
まで7手詰

 さて、どこに龍を開くかと見せかけて、実は重く金を打つという皮肉な作品です。


長谷川哲久作1986年5月

Para86900277

59龍、47玉、56龍、同玉、58龍
まで5手詰

 58龍は、57歩合で逃れ。
 57合は、48龍寄、67合、57龍まで同手数駒余り。

 これも皮肉なことでは負けていません。78龍がどこに動くかと思いきや、何と68龍が邪魔駒で、原形のまま消去するという妙技を見せてくれます。

 はしょってきましたが、これでやっと半分。あと半分はそのうち気が向けばということで。

 

2014年12月29日 (月)

不定期講座 遠打 その6

 私の遠打作品集です。連載の最後に地雷が。(笑)

「詰将棋パラダイス」1994年2月

15

59香、54歩合、45桂、同歩、54香、42玉、52香成、同玉、44桂、53玉、

54香、64玉、65歩、同玉、56馬、同玉、45龍、66玉、75龍、56玉、
57歩、同と、45龍、66玉、77金
まで25手詰

 
56香は、54歩合、45桂、64玉、66香、65歩合、同香、同玉、76馬、74玉、86桂、83玉、94馬、92玉、32龍、72歩合、同龍、91玉で打歩詰。
 
56歩合は、45桂、同歩、56香、54歩合、同香、42玉、52香成、同玉、44桂、42玉(53玉は、54歩、64玉、65歩、54玉、45馬、65玉、66歩、同玉、67香まで21手)、32龍、53玉、52桂成、64玉、34龍、54桂合、65歩、同玉、45龍、55合、56馬、64玉、74馬まで同手数駒余り。
 
57歩合は、56香、55銀合(桂香が出尽くしているので飛角金銀合しかできない)、同香、同桂、45桂、54玉、76馬、65金合、同馬、同玉、75金、66玉、76金、56玉、48桂、同と、57銀まで。
 
55角合は、同香、同桂、45桂、同歩、31角、42銀合、33龍、64玉、42角成以下。
 
54歩は、64玉、66香、65歩合、同香、同玉、56馬、同玉、45龍、66玉、75龍、56玉で57歩が二歩。

短評
  熊谷瑞彦-序盤の峠をやっと登りきると頂には香先香歩の花が。
    足利太郎-二歩禁を利用した香先香歩だが、遠打からの序奏が凄い。完璧な構成。
    梅本拓男-59香は直感でいけたが、まさか香先香歩がはいっているとは驚き。変化紛れに富み実に詰めにくい。
    西村詩-二歩禁回避の香先香歩が初手の最遠打との対比で一層引き立っている。

 主題は二歩禁回避の香先香歩。
 香の遠打の狙いは、58や57歩合なら56香で合駒請求。安い合駒がないので困るというわけです。



「近代将棋」1995年6月修正図

86993078

32飛、22歩合、24桂、同金、13歩、同桂、22飛成、同玉、33角、同玉、
25桂、44玉、45歩、同玉、36角、
44玉、49飛、46銀合、同飛、35玉、
45飛、34玉、43飛成、同玉、54角、同桂、33桂成、44玉、55銀、45玉、
46歩、同桂、54銀、44玉、43成桂
まで35手詰

 
47飛は、35玉、54角、37歩合で逃れ。
 35玉は、55飛、44玉、53飛成、34玉、45角、25玉、26銀、同玉、56龍以下。
 
 35玉は、45角、25玉、29飛以下。
 
 46桂合は、同飛、35玉、45飛、34玉、26桂、23玉、43飛成、12玉、13桂成、11玉、12歩、21玉、32龍、同玉、54角、41玉、32角成まで同手数駒余り。

 中合を避けるタテの飛遠打。選択肢が47と49くらいしかないのが今一つです。
 原図は27手詰。変化手順で飛合の強防を見落としてあえなく不詰でした。
 序奏からつくり直しましたが、原図ではできた46香合が他で使わざるを得なくなり、合駒制限のようになってしまったのが心残りです。一度よく考えてみたいと思いながら十年は経ってます。(^^;



「近代将棋」2006年3月

28

94飛、25玉、26香、15玉、16歩、26玉、27銀左、37玉、38歩、48玉、
93角、58玉、57角成、69玉、99飛、78玉、77金、88玉、78金、同玉、
67馬、87玉、77馬
まで23手詰

 
74飛は、25玉、26香、15玉、16歩、26玉、27銀左、37玉、38歩、48玉、93角、75歩合、同角成、49玉で逃れ。同じ理由で64飛には66歩合、54飛には57歩合で逃れる。
 
84歩合は、同飛、25玉、26歩、15玉、16歩、26玉、27銀右、17玉、39角、28合、18香まで。

 中合を避けるヨコの飛遠打。飛車と角の組合せは珍しいかなと思いました。守備駒が絡むようにできなかったのが残念。



「近代将棋」2006年7月

0005kaneko30

83歩成、94玉、84と、同玉、62馬、73歩合、同馬、同玉、64飛成、83玉、
82金、同玉、84龍、83飛合、64角成、71玉、72歩、同玉、54馬、82玉、
55馬、71玉、72歩、同玉、45馬、82玉、46馬、71玉、72歩、同玉、
36馬、82玉、37馬、71玉、72歩、同玉、27馬、82玉、28馬、71玉、
72歩、同玉、18馬、82玉、28馬、71玉、72歩、同玉、27馬、82玉、
37馬、71玉、72歩、同玉、36馬、82玉、46馬、71玉、72歩、同玉、
45馬、82玉、55馬、71玉、72歩、同玉、54馬、82玉、64馬、71玉、
72歩、同玉、63馬、同飛、同香成、同玉、73飛、52玉、59香、41玉、
44龍、42角合、同龍、同玉、24角、31玉、32歩、22玉、33角成、13玉、
14歩、同玉、15銀、25玉、75飛成、36玉、25龍、37玉、26銀、48玉、
37銀、59玉、77馬、68金合、29龍、39金合、同龍、同歩成、58金、69玉、
68馬、同歩成、59金打、同と、68金打、79玉、78金右、69玉、68金右
まで119手詰

 
58香は、59玉、77馬、68香合で55龍と回れず、逃れ。

 馬鋸ですが、歩を消費しながら18香を取りに行って戻るだけの単純な狙い。
 収束については当初何も考えておらず、最短は80手台で終わる案もありましたが、せっかくなので100手超えをしようと頑張ったのがこれです。
 香遠打は潜られないため。
 馬鋸より収束の評判の方が良かったという本末転倒の一局。
 動く将棋盤では歩11枚と表示されていますが、なぜか歩10枚のときはこうなります。詰上り歩1枚余るように見えますが実際には余りません。kif2swfのバグと思われます。



「詰将棋パラダイス」2007年8月

54

34桂、同銀、52飛、33玉、45桂、同銀、22飛成、43玉、44歩、同玉、
36桂、同銀、24龍、34飛合、22角成、43玉、35桂、42玉、43歩、41玉、
23馬、32角合、42歩成、同玉、32馬、同飛、97角、
41玉、21龍、31歩合、
32龍、同玉、34飛、33桂合、31角成、同玉、33飛成、41玉、43龍、31玉、
23桂生、21玉、22歩、同玉、34桂、21玉、41龍
まで47手詰

 
24角成は、33角合(限定)で逃れ。
 
86歩合は、同角、41玉、42歩、同飛、同角成、同玉、22龍、32合、43飛まで。
 
86桂合は、同角、41玉、33桂、同飛、44龍、32玉(43歩合は、52香成、32玉、31角成、同玉、33龍、32合、41飛まで41手。43合が金なら同龍、同飛、31金まで)、31角成、同玉、33龍、32合、43桂、21玉、31飛まで41手。
 
31桂合は、62香成、同玉、32龍、63玉、53飛、75龍、85玉、83飛成、84香合、75龍、96玉、86龍、同香、同龍まで45手。

 得意の桂打捨ての連発から始まります。(笑)
 遠打の狙いは潜られないため。
 左辺に駒を置きたくはなかったのですが、どうにもうまくいきませんでした。


 それでは皆様、よいお年を。

2014年12月28日 (日)

不定期講座 遠打 その5

⑩捨てて空き王手で取る

八代宗桂作『将棋大綱』第48番1765年

1765taiko048

11金、13玉、12金打、同馬、同金、同玉、11桂成、同玉、88角、同龍、
22角、21玉、88角生、28と、11飛、32玉、12飛成、43玉、42龍、54玉、
44龍、65玉、55龍、76玉、77歩、86玉、87歩、同玉、85龍、同と、
78金、86玉、97角、96玉、75角
まで35手詰

 
77角は、33歩合、22角、21玉、33角成引、28龍で逃れ。

 本局は守備駒の利きを止める意味付けの中に含めても良さそうなのですが、取られた後その駒を空き王手で取る、というのは別項目にしてもいいかなと。テキトーな分類ですので。(笑)

 そういえば岡田秋葭作;にもありました。



山田修司作「流れ星」「近代将棋」1966年2月

19662yamada

37銀、19玉、28銀、18玉、19銀、同玉、
91角、同金、37角、28歩、
同角、18玉、91角生、48歩成、19金、17玉、28角生、16玉、17歩、27玉、
37と
まで21手詰

 
91角じたいは成るためですが、後で空き王手で角を取った駒を取りに行くので、91が絶対で73角や82角では歩しか取れません。



浦壁和彦作「詰将棋パラダイス」1977年8月

Para76802084


93飛、同銀、23飛、34玉、93飛成、12香、23銀
まで7手詰

 
83飛は、同金、23飛、34玉、83飛成、12香で逃れ。
 
83歩合は、23飛以下同手数駒余り。

 山田作は金かと金かで分かりやすいですが、本局は金か銀かです。金の手の届く範囲に打つと同金で逃れ。93だけが金では取れず同銀を余儀なくされます。これは秀逸。


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⑪攻方の利きを止める

 打歩禁関係です。

 桜井龍逢作駒場和男作渡辺三郎作は既に紹介しましたので、別の作品を。

伊藤看寿作『将棋図巧』第91番1755年

1755zuko091

92桂成、同馬、82銀、同飛、73桂生、91玉、82桂成、同馬、81飛、同馬、
同桂成、同玉、18角、91玉、27歩、19と、92歩、81玉、26歩、18と、
93桂、71玉、72飛成、同玉、73歩成、71玉、72と
まで27手詰

 
36角などでは、91玉で92歩が打歩詰となる。

 18角から27歩で打歩詰を避けるのが見事な構想です。



桑原君仲作『将棋玉図』第5番1792年

1792gyokuzu005

44金、46玉、45金、同玉、46歩、同玉、55銀、57玉、66銀、46玉、
43飛成、同歩、
91角、47玉、82歩成、92と、48歩、46玉、81と、91と、
47香、同飛成、同歩、45玉、55飛、44玉、56桂
まで27手詰

 
73角は、47玉、82歩成、92とで48歩が打歩詰。

 看寿の影響は明らかで、収束も数段落ちますが…。



伊藤正作「詰将棋パラダイス」2003年1月

200301ito

98角、31玉、42銀打、同と、同銀生、同玉、53銀生、31玉、42銀生、同玉、
72龍、同歩、97角、41玉、53桂成、31玉、54成桂、32玉、64成桂、31玉、
65成桂、32玉、75成桂、31玉、76成桂、32玉、86成桂、87歩合、同角、31玉、
76成桂、32玉、75成桂、31玉、65成桂、32玉、64成桂、31玉、54成桂、32玉、
53成桂、31玉、42成桂、22玉、21角成、同玉、22歩、同銀、31成桂、同銀、
同角成、同玉、32銀、同玉、24桂、31玉、32歩、22玉、12桂成、32玉、
22成桂、同玉、27飛、同と、24香、31玉、32歩、同玉、23桂成、21玉、
22成桂
まで71手詰

 
31玉は、87成桂、22玉、23歩、32玉、42角成まで。
 
32玉は、88成桂、22玉、23香まで。

 角を2枚とも遠打するのは成桂鋸の邪魔にならないため。鋸引の目的は88香を取ることです。87成桂が実現すれば、98角の利きが塞がるので打歩詰にならないしくみで、これを許さないために87歩の中合で延命するというわけです。傑作ですね。



駒場和男作「同床異夢」「近代将棋」1987年4月修正図


19874


83飛成、62玉、72と、同歩、65香、52玉、51金、同玉、33馬、42金、
同馬、同飛、52銀、同飛、62金、同飛、同香成、同玉、69飛、52玉、
59飛、42玉、49飛、32玉、39飛、22玉、72龍、23玉、63龍、14玉、
15歩、同玉、13龍、14歩、16歩、同玉、14龍、15歩、17歩、同玉、
15龍、16歩、18歩、同玉、16龍、17金、19歩、同玉、17龍、18金、
同龍、同玉、28金、19玉、18金打
まで55手詰

 
68飛は、18歩が打歩詰。
 
38歩合は、同飛、22玉、33飛成、11玉、81龍、同金、23桂以下。

 上記の作品群は、遠打してあとでその利きに蓋をするというものですが、本局は初めから蓋(29香)がしてあって、その蓋に合わせて遠飛車を打つという特徴のある作品です。


 つづく




2014年12月26日 (金)

不定期講座 遠打 その4

⑦合駒を入手する

三代宗看「将棋無双」第81番1734年

1734081

68龍、76玉、77龍、65玉、66銀、56玉、65銀、同玉、57桂、同と、
66龍、74玉、85金、同桂、29角、56と、同角、同桂、75歩、84玉、
64龍、95玉、94龍
まで23手詰

 
38歩合は、同角、同飛、75歩、84玉、64龍以下。
 
47桂合は、同角、同と、86桂以下。

 角はアタマが丸いため接近戦に弱く、役に立たないことがよくあります。
 そこで遠くから打って、他の駒を手に入れようというわけです。この作品の面白味は、むしろ29角を打つまでのやりとりにあるとは思いますが。
 角合がないので、何を合駒しても取って同手数で詰みます。玉方応手非限定というわけですが、当時は誰も気にしていなかったのでしょう。



巨椋鴻之介作「詰将棋パラダイス」1957年10月

195710

32銀、12玉、13歩、同龍、45角、
34角合、同角、同香、13桂成、同玉、
79角、68角合、同角、同金、57角、46歩合、同角、14玉、13角成、同玉、
33飛、24玉、23飛成、35玉、26龍、44玉、45歩、33玉、53飛成、同銀、
23龍、42玉、43龍、51玉、41龍
まで35手詰

 
34歩合は、同角、同香、13桂成、同玉、33飛、24玉、23飛成、35玉、26龍、44玉、45歩、33玉、53飛成、同銀、23龍、42玉、43龍、51玉、41龍まで。
 
34桂合は、同角、同香、13桂成、同玉、23飛、14玉、26桂、15玉、13飛成、25玉、14龍、35玉、34龍まで。
 
68歩合は、同角、同金(正しくは46歩合)、33飛以下、作意に短絡。
 
57角合は、同角、同金、46角、24香合、33飛、14玉、23飛成、25玉、24龍、36玉、34龍、26玉(47玉は57飛以下。67とでなく、67金なのはこのため)、37龍、15玉、35龍、25金合、37角、14玉、15香、同金、同龍まで。
 
35角合は、同角、同香、33飛、14玉、23飛成以下。
 
35香合は、33飛、14玉、23飛成、15玉、26龍(35歩合はここで48角)、14玉、23銀生、13玉、35角以下。

 本局は角合ができるようになっていて、その分複雑です。
 57角に対しては角合が利かず、歩の中合を打たざるを得ないので、ようやく角を歩に換えることができます。


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⑧直列にする

原田清実作「詰将棋パラダイス」1996年11月

Para96000947

19香、23玉、33香成、同と、18飛、89馬、13飛成
まで7手詰

 19香に対して、歩合はできず桂合もすぐ詰むので躱す一手。
 そこで33香成と邪魔な香を捌けば、二段ロケットになります。同じようでも、
17香だと18飛のとき22玉で詰みません。



若島正作「詰将棋パラダイス」2014年7月

201407wakasima

19香、24玉、16桂、14玉、24桂、18歩合、
28飛、69香成、18飛、24玉、
25歩、同玉、15飛、24玉、35馬、同歩、25歩、34玉、44と
まで19手詰

 
17歩合(16歩合でも同じ)は、同香、24玉、25歩、同玉、26歩、24玉、36桂まで。
 
24同玉は、25歩、同玉、28飛以下。
 
17歩合は、18飛、69香成、17飛以下。
 
18飛は、24玉で打歩詰。

 本局は歩合が可能になっていますが、二段ロケットが主題ではなく、18歩合を直ちに取ると打歩詰になるので、いったん28飛と一手パスのような手を指して角を取らせるところに主眼があります。
 しかし、香の上に飛車を乗せないとうまくいかないのは原田作と同じですね。


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⑨並列にする

 攻駒が直列(重なる)にならないようにするための遠打です。
 有名な99飛の山本民雄作、桑原幹男作佐々木浩二作はいずれもその作例で、中合との位置関係が問題になります。また谷口均作は、同じ意味付けを
遠打でなく飛車の遠開きでおこなった例です。

森長宏明作「詰棋めいと」1985年2月

19852

48金、同金、39金、同金、98飛、88歩合、同飛左、37玉、87飛引、36玉、
38飛、同金、37歩、同金、86飛
まで15手詰

 
78飛は、37玉、87飛、77桂合、同飛寄、36玉で逃れ。桂合させないため、8段目に中合を打たせるのが狙いです。

 山本民雄作は9段目で合駒の種類が限られることを利用していますが、本局は8段目に中合。8段目には桂合ができないので歩合。ところが
78飛だと7段目に焦点が来るので桂合で逃れるという、うまいしくみになっています。


 つづく

2014年12月24日 (水)

不定期講座 遠打 その3

2.遠打の目的 つづき

④成るため

 遠打は第一義的に距離の問題だと考えていますので、成るための打ち場所選択も遠打の仲間にいれてもかまわないと思います。
 成るだけの意味付けなら誰でもつくれるやんけ、ドアホ。と息巻いているアナタ。誰でもつくれないのを紹介しましょう。(笑)

山田修司作「稲妻」「近代将棋」2006年8月

20068

87歩、同玉、79桂、同と、
43角、同馬、88銀打、86玉、87歩、同馬、
同銀、同玉、43角、86玉、76角成、97玉、98歩、同と、同馬、86玉、
76馬、97玉、75馬、87玉、65馬、86玉、64馬、87玉、54馬、86玉、
53馬、87玉、43馬、86玉、87歩、97玉、42馬、同金、98歩、87玉、
88歩、86玉、81飛成、85歩、87歩、同玉、85龍、86飛、同龍、同玉、
87歩、同玉、88飛
まで53手詰

 
54角は、76歩合、同角で香の利きが塞がるので逃れ。54角も同様。

 二回とも角打の直接の意味は成るためです。玉方が角打に反応するのも成られては堪らないからですし。これを取歩駒(42馬)を動かして打歩詰を回避するのが目的とか、二度目の角打は守備駒移動のためとか言っていると細分化しないといけなくなるので、ざっくりやります。



宮原航作「詰将棋パラダイス」2014年6月

2014064


92角、83角合、同角成、同龍、58金、37玉、91角、82角合、同角成、同龍、47金、同玉、92角、同龍、87飛まで15手詰

 
58金は、37玉、91角、64香合、同角、同龍で逆王手となり失敗。
 
83歩合は、同角成、同龍、58金、37玉、38歩、27玉、26飛まで。
 
83桂合は、同角成、同龍、58金、37玉、49桂、27玉、26飛まで。
 
46歩合は、同角成、27玉、37馬、同玉、49桂、27玉、26飛まで。

 三回とも成るための遠打だというと異論が出るかもしれませんが、実際のところ、化成区域に打たないと躱されたり捨合を打たれたりして詰まないのです。
 92角を打つ時点で、玉方は龍の位置が変わっただけ。龍は背後に強くて前には弱いということを学びました。


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⑤守備駒の利きを外す

伊藤看寿作「将棋図巧」第66番1755年

100066

38銀、18玉、19香、同玉、82角、同歩、29飛、18玉、81馬、27歩、
19歩、17玉、27馬、同桂成、同飛、16玉、28桂、15玉、17飛、24玉、
14飛、同玉、25金、13玉、12と、同玉、22歩成、同銀、23金、同銀、
同銀成、同玉、24歩、33玉、43金、22玉、32と、11玉、22銀、12玉、
23歩成、同玉、33金、12玉、11銀成、13玉、12成銀、同玉、22と、13玉、
23金
まで51手詰

 
73角は、46歩合で逃れ。
 
82同飛は、同馬、同歩、29飛、18玉、19飛打まで。

 わざわざ歩頭に打つ82角! 同歩と取らせて背後に潜り込めば飛車には取られないというわけです。
 なお原図は
19歩、17玉、18香、同桂成、同歩、同玉、16飛、17歩合、29銀、27玉、38角以下の余詰があり、攻方16桂が追加配置されています(駒場和男氏補正案)。



小林敏樹作「詰将棋パラダイス」1986年3月

19863

79角、
同龍、46角、同銀、23と、14玉、34龍
まで7手詰

 
68歩合は、同角、同と、25歩、同龍、23銀成まで同手数駒余り。

 角打は簡単に合駒で止められそうですが、歩合でも桂合でも入手すれば簡単に詰みます。これを角から他の駒への持駒変換が狙いとしても良さそうに思えるかもしれませんが、龍の利きに打ち、作意で取られるからには、あくまで守備駒移動が目的としておいた方が分かりやすいです。



上田吉一作「将棋世界」付録第10番2005年3月

10

27香、
同龍、87角、同龍、25飛
まで5手詰

 
27同角成は25飛まで。

 複数の守備駒の利きを絞るための遠打。別項目にしてもいいかなと思いましたが。
 既に一局は紹介しました。

 龍と角の利きの焦点に打って、守備駒の利きを一本化する狙いです。


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⑥動けるスペースを空けておく

小林敏樹作「詰将棋パラダイス」1998年11月

199811

12飛、43玉、46香、54玉、52飛成、同馬、64角成
まで7手詰

 
22飛は、43玉、46香、33玉で逃れ。
 
33玉は22飛成まで。

 打った飛車が動くスペースを空けておくための遠打。実に簡潔な構図で実現しています。



宮浦忍作「詰将棋パラダイス」2005年4月

200504miyaura

59金、78玉、58飛、同と、
 12角、87玉、78角打、76玉、77香、65玉、
85龍、64玉、65龍、同玉、66香、54玉、55香、43玉、44香、33玉、
23角右成、44玉、34馬、55玉、45馬、66玉、56馬、77玉、67馬
まで29手詰

 
23角は、作意をなぞって33玉、34角成、22玉、23馬、21玉、12馬、31玉で逃れ。
 
67歩合は、79香、同玉、88角、78玉、79香以下。
 
23歩合は、同角成、87玉、78角、76玉、77香、65玉、66香、54玉、55香、43玉、44歩、42玉、52香成、同玉、34角、51玉、61香成、42玉、43歩成、31玉、32馬まで27手で2手早い。

 スペースを空けるための角の遠打と言えば山本民雄作が有名ですが、本局は2枚目の角ではなく、自らが動くためのスペース確保。
 23角でなく、12角と打つのは23角成と成り返るためです。四香は角の利きを遮らないように短く打ちます。この趣向(四香追戻詰)は三代宗看の無双第73番や駒場和男作「朝霧」に見られるもので珍しくありませんが、遠打の狙いに良く似合っていると思います。


 つづく



2014年12月19日 (金)

中合の意味 その5

⑩不利中合

 玉方不利合駒を中合で行うもの。打歩禁関係です。

若島正作「2013詰将棋解答選手権」チャンピオン戦第3番2013年3月

20132

78桂、同と、96龍、86銀合、同龍、57玉、66龍、同玉、57銀、同玉、
47龍、66玉、84馬、同金、67龍、75玉、65龍
まで17手詰

 
57玉は47龍まで。
 
86歩合は、同龍、57玉、66龍、48玉、57龍、同玉、47龍、66玉、84馬、同金、67龍、75玉、65龍まで同手数駒余り。
 
66同玉は、67歩、75玉、45龍、55歩合、76歩、同玉、86馬まで。

 玉方銀先銀歩です。
 通常、不利合駒は酒井桂史作の46銀合のように攻駒を取り返せる位置に打つものですが、本局ではそれを中合で表現しています。タダ取りです。
 86歩合だと
の変化66同玉で67歩~76歩と打てますが、86銀合なら67銀と打つと76歩が打歩詰になります。
 ただし、まったくのタダ取りではさすがに玉方にメリットがないので、龍馬の利きを絞る意味も兼ねています。



相馬慎一作「相馬慎一個人作品展」③2013年10月

2013103

66金、54玉、65金、同玉、69飛、68金合、同飛、55玉、65飛、同玉、
83馬、74桂、66金、54玉、72馬、63飛、同馬、同玉、73桂成、54玉、
65金、同玉、75飛、54玉、56龍、同桂、55歩、44玉、35馬、33玉、
24馬、44玉、45歩、同玉、35馬
まで35手詰

 
54玉は、72馬、63桂合、64飛、同玉、66龍、65飛合、63馬、同玉、65龍、72玉、84桂、83玉、93飛、84玉、73銀生まで。
 
67歩合は、同飛、54玉、56飛、55金合(同桂は、72馬、55玉、63馬、44玉、45歩、同玉、35馬以下)、同龍、同玉、66金、44玉、45歩、44玉、55歩以下。
 
68歩合は、同飛、55玉、65飛、同玉、83馬、74桂合(54玉は、55歩、44玉、35馬、33玉、24馬、44玉、45歩、同玉、35馬、55玉、75龍以下。74歩合は、同馬、同玉、73桂成、65玉、66歩、54玉、55歩、同玉、75龍、54玉、65龍、44玉、35馬以下)、66歩、54玉、72馬、63歩合、同馬、同玉、73桂成、54玉、55歩、同玉、75龍、54玉、65龍、44玉、35馬、33玉、24馬、44玉、64龍、54香打、45歩、同玉、35馬まで同手数駒余り。
 
68銀合は、同飛、55玉、65飛、同玉、83馬、74桂合、同馬、同玉、66桂、65玉、74銀、55玉、75龍以下。

 玉方金先金歩の中合です。
 
68歩合だと66に打つ駒は歩、そして63の合駒は歩・香・銀・金・飛(桂合は品切れ)のどれでも55に打てます。そこで68金合と打てば66金の形になって55に利きができ、さらに63飛合と飛を渡して、55飛では45に利きができるので35馬、33玉、24馬、44玉で45歩が打歩詰になります。
 63飛合は中合ではありませんが、68金合と連携した不利合駒で、66→55→45と通電しているため玉は55飛も45歩も取れずに感電死の反則。
 2駒以上の利きによって打歩詰に誘致する「グループ不利合駒」の構想でした。
 
この図も飛馬の交点の中合です。攻駒の利きを絞る中合が不利合駒になっているという理解でもいいのかも知れませんが…。


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⑪玉方の利きを止める

藤沢英紀作「詰将棋パラダイス」2006年8月

Para06100778

12銀、22玉、28香、27歩合、同香、25歩合、同香、32玉、23銀生、41玉、
42歩、同玉、43歩、41玉、85角、52香合、42歩成、同玉、36桂、45歩合、
同香、33玉、43香成、同玉、52角成、同歩、44香、33玉、53龍、同歩、
34歩、同馬、22銀生、32玉、33歩、同馬、21銀生
まで37手詰

 玉方馬の利きを中合で遮って、打歩詰に誘致する狙いです。
 中合だらけで複雑ですが、全体像は解説をお読み下さい。
 ここで問題になるのは45歩合です。
 
33玉なら、53龍、同香、34歩と打てますが、45歩合、同香が入っていると馬の利きが届かず、34歩が打歩詰になるというしくみです。


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 ⑫攻方の利きを通す

鈴木康夫作「日めくり詰将棋カレンダー2012」2012年10月14日

201210suzuki

36角生、44玉、42龍、同銀、45歩、55玉、63飛成
まで7手詰

 
36角成は、63歩合、同飛、44玉で、91角の利きが55に及んでいるため45歩が打歩詰。
 
63歩合は、同飛、44玉、45歩、35玉、25金まで同手数駒余り。

 上記藤沢作は玉方が自ら馬の利きを止めますが、今度は攻駒の利きをわざわざ通します。
 中合を取らせることによって攻駒を動かして、その背後にある攻駒の利きを通し打歩詰に誘致する狙いです。
 ただし、本局の場合は紛れ順に潜んでいるので、作意にはあらわれません。



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