カテゴリー「『将棋大綱』佳局選」の6件の記事

2014年1月15日 (水)

『将棋大綱』佳局選6(最終回)

『大綱』第79番
忘れてました。
079

64銀、同歩、83飛生、54玉、55金、同玉、47桂、56玉、23角、同龍、
53飛生、47玉、39桂、37玉、27金、同馬、57飛生、26玉、27飛、15玉、
16歩、同玉、17銀、15玉、25飛、同歩、27桂、24玉、23と、同玉、
35桂、24玉、34金、同玉、23角、35玉、33飛、24玉、34飛成、15玉、
14角成、同香、27桂
まで43手詰

 45歩は、作意通りに進めて
15角、13玉、12角成まで。

 主眼は23角。これを省略すると、24玉のとき
15角、13玉、24角打、同龍、同角、同玉、23と、同玉、35桂、34玉となって詰みません。23龍の形になっていればと金で取れるしくみです。
 収束で2手変長になりますが、これは直せません。(キッパリ)


『大綱』第86番
086

26と、34玉、43桂生、38銀生、35歩、44玉、53桂生、47銀、45歩、54玉、
66桂、63玉、74角成、53玉、65桂、42玉、64馬、52玉、53馬、41玉、
31馬、52玉、53桂成、61玉、51桂成、同玉、42馬、61玉、52馬
まで29手詰

 打歩詰回避の桂不成が二回。なかなかやってくれますね。
 残念ながら、これも43桂成、38銀、44成桂、同玉、43金、同玉、65角成、42玉(54合は53金以下)、64馬、41玉、33桂不成、51玉、42馬、61玉、72香成までの余詰。
 この余詰を防ぐには32銀でいいのですが、玉方23とが気に入りません。たとえ駒が増えても、ここは直したいところです。

0862


『大綱』第90番
090

55桂、同飛生、53角成、同飛、54馬、同飛、44歩、53玉、52と、同玉、
62桂成、41玉、31香成、同玉、33香、21玉、32香成、11玉、12歩、同龍、
同銀、同玉、22飛、13玉、24と
まで25手詰

 毎度おなじみの......。
 今回は飛車を取らないところが違います。(強弁)
 最後には別の方を取りますが。
 42角成、同玉、41と、53玉、54歩、52玉、62桂成、43玉、53歩成、同飛、54馬、同飛、44歩、同飛、同と、同玉、45飛、54玉、55金、53玉、63香成までの余詰。
 最後まで余詰にたたられ通しでした。

090_2

 18角の位置は絶対で、27角とか18馬にすると潰れます。

 これで『大綱』佳局選はおしまい。
 補正だらけで疲れた~。

 次はいよいよ○○○○です。しばらく、研究します。

2014年1月14日 (火)

『将棋大綱』佳局選5

『大綱』第77番
077

44桂、62玉、32飛生、73玉、74歩、同玉、56角、同龍、72飛生、63玉、
45角、同龍、52飛成、73玉、74歩、同玉、72龍、73金合、75歩、同龍、
同銀、85玉、86飛、94玉、95歩、93玉、84銀、同金、94歩、同玉、
84飛、同歩、95歩、85玉、75龍、96玉、86金、97玉、88金、同玉、
79金、99玉、88銀、98玉、89金、同玉、79龍、98玉、99龍
まで49手詰

 32飛成は、42香合、41角、53玉、33龍、54玉で不詰。
 72飛不成は、63玉、52飛成、73玉、74歩、同玉、75銀、85玉、86歩、94玉(76玉、85角、87玉、57龍以下)、95歩、93玉、94歩、同玉、85角、93玉、94歩、92玉、81角で余詰。本来、52飛成は打歩詰になるはずなのですが......。アイタタ。
 他の狙いとしては、72飛不成、63玉、45角と打たせて、54歩合、52飛成、73玉、74歩、同玉、56角打などとさせて、74玉でアレッ? となることも期待しているのでしょう。
 
65歩合は、72飛不成、63玉、54角、同玉、52飛成、53合、45金まで。
 65香は、同角、同香、75香、64玉、73角、54玉、55歩、43玉、34金、53玉、52龍まで。
 56同成銀は72飛不成、63玉、45角、54角合、52龍、73玉、74歩、同玉、56角、65香、同角、64玉、54龍、73玉、74龍、82玉、83龍、71玉、73香、62玉、72香成まで。
 73他合は、75歩、同龍、同銀、85玉、86飛、83龍まで。

 飛車が72と52を往復する間に玉方龍の位置を変えておくのが面白いです。45から先に打つと詰まず、また同成銀の変化で分かるように、45に利かない駒で取ると早詰になります。二度龍で取らせて、取歩駒にするのが真の狙いです。これは見事。

077_2

 さてどうやって直すか。57成銀を取られる手が王手にならないように玉方67とと置けばすむかと思ったら、これでは95金で潰れるのでした。67とが退路塞ぎになってしまっているのです。
 この図では、56角が打ちやすくなった感じで今一つですが、67に利かせておくことと58銀が素通しにならないことが必要なので、これ以上の対策を見つけることができませんでした。


『大綱』第78番
078

45桂、同飛生、65桂、同飛、55龍、同飛、54歩、同飛、同銀成、52玉、
43成銀、61玉、51馬、72玉、61馬、同玉、62金、同金、同桂成、同玉、
42飛、71玉、82金、61玉、52飛成
まで25手詰

 54銀不成、52玉、43飛、61玉、51馬、72玉、82金、同金、52飛成、83玉、82龍、74玉、84龍、同と、同馬で余詰。

 もう食傷気味? ごもっとも。(笑)
 61馬と寄る手が手筋風で良いですね。
 しかし、私ならこんなところへと金は絶対に置きません。攻方の桂でなく玉方の桂にして一路ずらせば金にできます。

078_2


『大綱』第81番
081_2

91と、同玉、46馬、同金、92金、同玉、84桂、81玉、82歩、71玉、
73飛、61玉、72飛成、51玉、52歩、42玉、46香、同龍、51歩成、31玉、
42龍、同龍、21金、同玉、26香、22銀合、12金、31玉、22香成、同角、
同金、同玉、23銀打、13玉、35角、24合、14歩
まで37手詰

 92金は、同玉、84桂、81玉、82歩、71玉、73飛、61玉、72飛成、51玉で52歩が打歩詰。72桂成は、51玉、53飛成、52歩合で不詰。
 55歩合は、92金、同玉、84桂、81玉、82歩、71玉、73飛、61玉、72飛成、51玉、52歩、41玉、35馬、45歩合、同香、同桂、51歩成、同角、42歩、31玉、41金、21玉、26香、同龍、12金まで。
 64銀合は、61飛、81銀合、92歩、82玉、64馬、同龍、91銀、93玉、83香成、同玉、84金、同龍、81龍、74玉、84龍、65玉、64飛、76玉(55玉は56歩、同玉、47銀、57玉、69桂まで)、87銀、77玉、86龍、88玉、98銀、78玉、87龍、79玉、89龍まで。
 41玉は、61龍、51香合、同歩成、同角、52金、31玉、51龍、41歩合、42角、22玉、24香、13玉、23香成、14玉、24角成まで33手。
 45桂跳で不詰。
 12香成、同玉、23金以下余詰。

 香が素通しにならないように馬を捨てて遮断駒をつくっておくのがミソで、そこそこ潜伏期間があるので伏線といえるでしょう。42龍も鮮やか。

081_3

 不詰を直すには、53桂を53歩にするだけで良さそうですが、収束は余詰順を生かす方向で直しました。冴えませんが、原図の収束も負けずに冴えないので。(^^; 39手詰。


『大綱』第82番
082

33香生、27と、同馬、同香生、46歩、34玉、35歩、25玉、26銀、同玉、
17金、25玉、16金、14玉、15金、13玉、14金、22玉、13金、21玉、
31香成、同金、22歩、同金、同金、同玉、32金
まで27手詰

 32香成、同金、22歩、31玉、32成桂、同玉、43金、31玉、41銀成以下余詰。

 双方香不成です。意味付けはとても分かりやすく、33香成なら、46歩でただちに打歩詰。同香成なら26歩、同成香、同銀、同玉、27香まで。
 の余詰は、玉方51歩と置けば避けられます。
 それにしても不完全作の多いこと、多いこと。

-----決して補正マニアではないと思いながら、つづく-----

2014年1月13日 (月)

『将棋大綱』佳局選4

 『大綱』の不完全作は、どうやら61局あるようです(手順前後を除く)。
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『大綱』第38番
038

47桂、同飛生、56角成、同玉、36龍、55玉、66龍、45玉、
37桂、同飛成、
36龍、55玉、47桂、同龍、56歩、同龍、同龍、同玉、57飛、45玉、
46歩、35玉、37飛、25玉、16金、24玉、34金、同歩、27飛、14玉、
25金、23玉、24金、32玉、33金、同玉、22飛成、43玉、52銀生
まで39手詰

 本局では飛車を横に翻弄するので、ちょっと新鮮な感じがします。翻弄物というより、成らせ物かな。
 玉方53角の意味ですが、これは57桂、同香成、46歩、35玉、55龍、45金合、36歩、25玉、45龍、同歩、16金、同玉、26金を同角と取るためです。
 22とで余詰。どうも詰めが甘いですね。(誰がうまいことを言えとww)

038_3

 玉方53角を省きました。攻方43香を玉方41香に。これにより収束が二手長くなって、41手詰。53角を置いたままなら作意と同じ39手になりますが、57桂は、同香成、46歩、35玉、55龍、45歩突きで、角がなくても余詰はありません。
 
22とは、33玉、34金、42玉で逃れます。

『大綱』第45番
045

73馬、93玉、82馬、同玉、73角生、83玉、84歩、93玉、85桂、同龍、
94歩、同龍、同金、同玉、95飛、同玉、83歩成、85玉、84角成、76玉、
66馬、85玉、84金、95玉、94金、85玉、84と、同飛、同金、95玉、
85飛
まで31手詰

 第31番の角版のような作品です。
 上記は解答本の手順ですが、どうもおかしいですね。
 83玉はいったん72玉が正しいです。76金、95玉、84馬までの余詰もあります。
 95飛あたりでおいしいところは終わっているので、収束まで手数をかけ過ぎですね。
 バッサリ削って、こんな感じにしたいところです。

045_2

73馬、93玉、82馬、同玉、73角生、72玉、62と、83玉、84歩、93玉、
85桂、同龍、94歩、同龍、同金、同玉、95飛、同玉、83歩成、85玉、
84角成
まで21手詰

『大綱』第47番
047

82歩成、同玉、83飛、91玉、92歩、同玉、73飛生、82玉、83飛生、91玉、
92歩、同玉、53飛生、82玉、83飛生、91玉、92歩、同玉、43飛生、82玉、
83飛生、91玉、92歩、同玉、33飛生、82玉、83飛生、91玉、92歩、同玉、
23飛生、82玉、83飛生、91玉、92歩、同玉、13飛左生、82玉、83飛生、91玉、
92歩、同玉、12飛、52歩合、同飛、同金、53飛成、82玉、52龍、73玉、
72龍、84玉、85金、同金、83龍、75玉、85龍、66玉、65龍、57玉、
56龍、48玉、47龍、39玉、38金、29玉、28金、同玉、38龍、17玉、
18歩、16玉、17金、15玉、26金、同玉、27香、15玉、35龍、14玉、
24龍
まで81手詰

 その後のすばらしい作品を見ているのであまり驚きませんが、本局が飛による本格的な連取りの一号局です。連取りの目的は12飛となって表れます。52歩合がうまく限定されています。
 残念ながら同香成で不詰。
 角不成による連取りの一号局は図巧第39番ですね。

伊藤看寿『将棋図巧』第39番
039

66銀、56玉、57銀、47玉、48銀、38玉、39銀、同と、同龍、47玉、
48龍、56玉、57龍、65玉、66龍、74玉、75龍、83玉、82馬、同玉、
81桂成、同玉、82歩、同玉、73角生、81玉、82歩、72玉、64角生、62玉、
73角生、61玉、62歩、72玉、55角生、62玉、73角生、61玉、62歩、72玉、
46角生、62玉、73角生、61玉、62歩、72玉、37角生、62玉、73角生、61玉、
62歩、72玉、28角生、62玉、73角生、61玉、62歩、72玉、19角成、62玉、
73馬、61玉、64龍、同金、53桂、同香、52銀成
まで67手詰

 ......『大綱』の補正図はないのかって? 収束は苦手ですので。(笑)

『大綱』第62番
062

47角成、同成桂、38飛、同成桂、59金、47玉、77飛生、56玉、57飛、65玉、
55飛、64玉、76桂、74玉、73成香、同金、75歩、63玉、53飛成、72玉、
73龍、同玉、95馬、63玉、53金、72玉、64桂、61玉、94馬、51玉、
84馬、62歩合、52桂成、同銀、同金、同玉、53歩、61玉、83馬、72金、
52銀、71玉、72馬、同玉、83金、71玉、82金
まで47手詰

 50番台、60番台は不完全作多し。

 持駒に歩がない状態で飛不成と行くのが狙いでしょう。
 原図は玉方36と配置で不詰。余詰はまだしも不詰はいけません。
 加藤文卓氏の案です。
 36とだと、62桂合で詰みません。
 95馬からミニ馬鋸風になるのがちょっと面白いです。

----- 一昨日は山田修司氏の誕生日、昨日は私の誕生日、つづく ----

2014年1月11日 (土)

『将棋大綱』佳局選3

※ 1月13日、あらたな補正図を追記しました。
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 今回は、作品紹介の前に「取れる駒を取らない」ことの意味付けについて少し書いてみます。

①取ると退路が開く
 作例はたくさんあります。

三代宗看『将棋無双』第35番
035

85角、同銀、74飛、同銀、85飛成、同銀、72馬、84玉、73銀、74玉、
64銀成、84玉、73馬、94玉、95馬、83玉、73成銀
まで17手詰

 初手、単に74飛と打って詰みそうですが、84歩合、93飛成、同玉、82角、94玉で不詰。
 83玉は、95桂、82玉、72馬、同玉、73銀、同玉、83飛以下15手。
 85同飛成は、同玉、95馬、74玉、64飛、83玉、94銀、同銀、同馬、82玉で逃れています。単に打てば取られないのに、わざわざ銀に取られる場所に74飛と打つのは何とも不思議ですね。
 84歩合は、93飛成、同玉、82銀のとき、94玉なら72馬で85が塞がっているので詰みます。
 取れる銀を捨駒で動かして85飛成が眼目の一手。85角、同銀の時点で、83飛は72馬と寄る手の邪魔になっているのです。玉方にとっても85銀は邪魔な駒なので、85飛成と銀を取ってもらうと退路が開けてくるというわけです。

株本正貴氏作「近代将棋」1969年6月
Kabumoto

44歩、42玉、43飛、32玉、31金、同金、41飛成、同金、54角、42玉、
43角成、31玉、21金
まで13手詰

 41飛成と金を取ると、同玉、42金、同玉、43金、31玉では全く話にならず、52とは同玉なら詰みますが、31玉で以下42とでも31とでも同玉で不詰。42金から32金打では同銀、同金、同玉で攻駒不足になります。
 実は43飛は32玉の瞬間に邪魔駒になっているというわけで、盤面から43飛だけを消せば54角と覗いて詰むのです。
 同玉は33飛成以下。
 同玉は、51金、42玉、52金、32玉、54角まで。
 宗看作は最初から置いてあった飛車が途中で邪魔駒となりましたが、本局は打った駒が邪魔駒になる点に違いがあります。
 あっさりした構図で明快な短篇ですね。

杉本兼秋氏作「将棋世界」1939年1月
Photo

12香、同玉、24桂、同銀、13歩成、同銀、24桂、同銀、23銀、13玉、
14銀成、12玉、23成銀、11玉、22と、同香、12歩、21玉、32角成
まで19手詰

 13歩成と銀を取ると、上部が開けて詰まないのは一目瞭然。24桂と二度捨てる間に14歩を消去します。23銀はいつでも打てますが、14歩があると12歩が打てないというしくみです。前二局と違うのは、歩のある場所が何かの駒の利きを邪魔しているのではなく、二歩禁を解消するために犠打で玉の行く手を阻みながら歩を消す点にあります。

 このように、退路を開かないためにあえて取らないという意味付けでは同じですが、細かく見ていくといろいろな工夫がなされていることが分かります。

②取るとその駒を合駒される

三代宗看『将棋無双』第2番
002

16歩、14玉、15歩、13玉、14歩、24玉、35銀、同玉、85飛成、34玉(図)
26桂、同歩、44馬、23玉、25龍、24桂、34龍、同歩、33馬、同玉、
25桂、22玉、13歩成、同歩、23歩、同銀、13香成、11玉、12歩、同銀、
同成香、同玉、13歩、11玉、12銀、22玉、23銀成、同玉、41角成、32桂、
同馬、同玉、33金、31玉、43桂、41玉、51と
まで47手詰

 図は、初形から10手経過した局面です。ここで44馬、23玉、25龍と歩を取ってしまうと、24歩合、34龍、同歩、33馬、同玉で不詰。
 24香合は取って25香まで。
 33同銀は、41角成、22玉、13歩成、同歩、23金以下。
 歩合以外は詰むので、歩を取らないように動かしてから25龍とするのが奥ゆかしいですね。
 私もこの筋で一局つくったことがあります。「近代将棋」2007年8月号ですが、拙作は歩を取らずに龍が回り込んだとき合駒せずに身を躱す点が違います。見たいですか? そんなもん見たくない? ...さよか。(>_<)

③取った駒を捨てるとその駒を合駒される
 この表題では説明不足ですが......。

伊藤看寿『将棋図巧』第17番
017

71角生、84玉、62角生、73桂、96桂、同香、73角生、93玉、94歩、83玉、
95桂、同と、72角成、同玉、95角成、61玉、71龍、同玉、62銀、81玉、
82歩、同玉、73馬、81玉、63馬、72飛合、同馬、同玉、73銀打、63玉、
64飛、52玉、61銀生、同龍、同飛成、同玉、63飛、71玉、62飛成、81玉、
82龍
まで41手詰

 『図巧』の中でもひときわ輝く傑作(と私は思っています)。
 73角不成といくと、どうなるのでしょうか。以下93玉、94歩、83玉、72角成、同玉、95角成と香を取り、作意同様に71龍...63馬のとき、72香合で逃れ! この香は95で入手したものを82香と捨てて玉方にわたったものです。
 そこですぐに取れる香ではなく、歩を取る(7筋に歩合はできない)ために桂二枚を打ち捨てるのです。桂二枚に香を持っても詰まず、歩一枚あれば詰むとは。桂を持つと、余詰むときはどうしようもなく余詰むんですけどね。(笑)
 恐ろしい冴えを感じます。

 完本『詰将棋トライアスロン』その43で駒場さんも触れておられますので、参考にしていただければ幸い。

④取ると打歩詰になる
 この作例も多いです。

三代宗看『将棋無双』第15番
015

93歩、83玉、86香、84飛合、同馬、82玉、92歩成、同香、93馬、同玉、
95飛、94歩合、同飛、同玉、85金、93玉、84金、82玉、73金、同玉、
83飛、64玉、65歩、54玉、44角成、同香、55歩、同玉、53飛成、54金合、
44龍、同金、56香
まで33手詰

 84桂合なら、同馬、82玉、73馬、同玉、83飛、64玉、76桂、54玉、44角成以下作意に短絡します。
 
73馬は、同玉、83飛、64玉、65飛、54玉、44角成、同香、55歩が打歩詰。83飛のところ53飛は、63銀合で不詰。
 そこで、飛を歩に変える92歩成以下の手順が宗看の独創です。結局飛は取るのですが、単に取ると持駒飛飛になってしまうので飛歩になるように下工作が必要なのです。
 ところで、これは玉方飛先飛歩ではありません。歩合はできないので。歩合の余地があればなお良かったかなと思います。

柏川悦夫氏作「詰棋界」1953年1月
Photo_2

85飛、96玉、97銀、同玉、95飛、同香、85歩、75角、76香、96玉、
97歩、同角、同飛、同玉、53角、96玉、86角成
まで17手詰

 
75香は、87角桂合で不詰。75角は取歩駒で、これを取ると97歩が打歩詰になってしまうのです。北原義治氏が、「近代将棋」だったかで「私の好きな詰将棋」としてこの作をあげていたことを思い出しました。

相馬慎一氏作「詰将棋パラダイス」1992年2月
Photo_3

37角、26角合、46角、14玉、15歩、同角、25銀
まで7手詰

 35角は、14玉、25銀、15玉で不詰。
 14玉は、25銀、13玉、18飛まで5手。
 
26同飛は、14玉、25銀、15玉で、これもどうやっても詰みません。
 取歩駒を中合で出現させ、これを取らずに打歩回避に逆用する大傑作。

 とりあえず、思い付いたところまで。
 まだまだ意味付けはあると思いますので、追々書き足していきます。


『大綱』第32番
032

43桂成、同玉、45香、同と、53飛、44玉、35角、同と右、45歩、同と、
同香、35玉、36歩、45玉、56飛成、44玉、45歩、43玉、53龍
まで19手詰

 『大綱』随一の秀作です(これまた私見)。
 単に45歩とと金を取ると、35玉で、17角なら26歩合、同角、同銀で詰みません。取れると金を取らず、35角が絶妙手。同玉なら、36歩と打てて簡単。同と右、45歩、同とで角一枚無駄に捨てたようですが、同香がヒモ付きでないので、あとは36歩が打てて詰みます。こんな表現が他にあったでしょうか。
 問題は同飛で、45歩、同飛、同香、同玉、56飛成、34玉、35歩、23玉、24香、13玉、16龍、14合、23飛、同金、同香成まで4手変長になることです。
 さらに大きな問題は、同金で不詰。
 この作品だけは直さないといけません。

0322

 
同銀は、45歩、同と、53角、55玉、56香、同と、45飛、54玉、64角成まで。同歩も同じ手順で詰み。
 17角は、26桂合で逃れ。
 同飛は、45歩、同飛、同香、同玉、56飛成、34玉、35歩、同玉、25飛、44玉、45龍まで同手数駒余り。
 73桂が残念な配置ですが、これがないと5手目65角でどうしても詰んでしまうのでやむを得ないところです。同じようでも玉方64歩配置では、同銀、45歩、同とで53角、55玉、56香、56玉で逃れます。他の案としては玉方76銀配置でも良いと思います。また、玉方23歩は攻方24歩でも良く、どちらかといえば玉方の駒配置かなと思います。

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※ 2014年1月13日追記

 こう置いてもいい、ああ置いてもいいという図は最善形に達していないのでは......と思い、もう一度考えてみたところ、やはりもっと良い配置がありました。

0323_2

 2手目同銀は、上記補正図と同じく45歩、同と、53角以下です。
 5手目65角は、54歩合、53飛、42玉で不詰。42地点を空けておけば73桂は要らないことに気がつきました。
 6手目42玉は、52飛成、31玉、13角、21玉、22角成、同玉、23歩成、11玉、22とまで15手。
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 この図を見て思い出したのが図巧第2番です。
002_2

27金、15玉、16金、同と、27桂、同と、16歩、同玉、25角、同玉、
36角成、15玉、16歩、同玉、27龍、15玉、25馬、同と、16歩、同と、
24龍
まで21手詰

 27龍や27角成は15玉でどうやっても打歩詰。25角では角一枚丸損のようですが、角の利きがなくなるので打歩詰にならずに詰みます。もっとも、25角、同玉、36角成と、ここへ引きつけておく狙いもあるので、意味付けの純度では『大綱』第32番が優っています。

----- 一局だけの紹介に終わり全然先に進めずに、つづく ----

2014年1月10日 (金)

『将棋大綱』佳局選2

『大綱』第20番
020

24銀、同玉、43角成、28桂成、15金、同香、16桂、同香、15金、同香、
25歩、23玉、14角、12玉、23金、11玉、33馬、同桂、13香、21玉、
32金
まで21手詰

 
15金からむりやりこじ開ける手順に面白味を感じます。
 
25金と打つのでは同銀、同馬で、金は一枚余分に残りますが馬の位置が悪くなって詰まないのです。
 玉方43成桂でなく歩にして、攻方持駒の歩を桂にした方が良さそうですが、いずれにしても本局は変長があります。
 野田市立図書館の解答本(これが正解なのかどうか分かりませんが)を見てみると、「二十番目 初手角ノ頭ニ銀打玉ニテ取角ニテ成桂取ナル桂ニテ龍王取ナル玉ノスミニ金打香ニテ取香ノ頭ヨリ桂打香ニテ取香ノアトヨリ金打香ニテ取玉ノ頭ヘ歩打玉ニテ香取香ノアトヨリ角打玉右ノ方ヘ引玉ノスミヨリ金打玉引龍馬ニテ香取桂ニテ取角ノ頭ヨリ香打玉ヨル桂ノアトニ金行也」とあるので、上記の手順と一致しています。
 変長は、
13玉、22角、23玉、33角成、同桂、24香、13玉、14金、同玉、32馬、13玉、23馬まで23手。33角成のところ、13金、同桂、33馬、12玉、13角成、同玉、14香、同玉、24馬も23手。
 考えてみましたが、この変長はそう簡単に直せないようです。
 なお、45銀は過剰防衛で、これがなくても余詰はありません。
 まだしも、こんな感じでしょうか。

020_2


『大綱』第21番
021

87桂、同飛生、85馬、同飛生、87桂、同飛生、96歩、85玉、82飛、75玉、
86銀、同飛、76歩、同飛、84龍
まで15手詰

 これも翻弄物です。好きなのでつい採用してしまいます。
 同玉は、82飛、95玉(75玉は86銀で作意に短絡)、84銀生、同飛(85玉は86歩、同飛成、93銀生、95玉、86龍まで2手早い)、96歩、85玉、86歩、75玉、87桂まで2手早い。
 9手目、82飛は成っても成らなくてもいいので、最初から52龍と配置した方が良いと思います。
 また、82歩は持駒にしても余詰はありません。この場合は、52龍だと3手目94馬、同玉、95歩以下、63金の質駒を狙われて潰れるので、52飛でないといけません。
 ところが、同飛成だと96歩、同龍、同銀、同玉、97飛、86玉、82飛成、85合(金合は同龍、同玉、76金まで)、87歩、75玉、84龍まで17手になってしまいます。またしても変長。
 直せませんねえ、これも。


『大綱』第25番
025

88桂、同飛生、86馬上、同飛生、88桂、同飛生、87銀、同飛、97歩、同飛、
同馬、85玉、84飛
まで13手詰

 あはは。またも翻弄してます。
 不成物ならいくらでもつくれますよ、という雰囲気ですね。
 あえて不満を言えば、玉方71香は73香くらいにして欲しかったかな......というところでしょうか。


『大綱』第31番
031

83龍、64玉、73龍、同玉、83飛生、74玉、75歩、64玉、56桂、同馬、
65歩、同馬、同金、同玉、63飛成、同香、83角、66玉、56角成、76玉、
87銀、85玉、96銀、同玉、74馬、95玉、85馬
まで27手詰

 85龍が83龍となった時点で打歩詰の局面になります。これを捌いて、今度は飛不成で行き打歩詰を回避しますが、さらに83飛も角の打ち場所を塞ぐ邪魔駒になるのがうまい構成です。
 62香は62歩でも良さそうですね。

 次の第32番は傑作です。

-----変長が直せずガッカリしながら、つづく----

2014年1月 8日 (水)

難問です

 ※ 1月9日、補正図を追記しました。
-----
 これは難問です。
 玉の初形位置が次の配置になっている作品集は何でしょう。
 黄色の部分は2局以上同居していることを示しています。
1




















 分かりましたか?
 八代宗桂の『将棋大綱』(1765年。以下、『大綱』と略)です。全格配置をめざしたにしては、ずいぶん空きがありますね。もう少しで全格という雰囲気でもなければ、左右対称形でもないので、あまり気合が入っていないような。
 ちなみに九代宗桂『将棋舞玉』の玉配置はこのようになっています。

2

 これは51玉配置の作品どれかを45へ持ってくれば、左右対称形にはなったのに、残念ですね。
 八代宗桂は三代宗看の9歳下の弟で、伊藤看寿の4歳上の兄。九代宗桂の父です。
 『大綱』は打歩詰回避・誘致の不成物が多く、ざっと数えてみたら54局ありました。
 また不完全作は半数以上、53局あります。どうも気合が入っていませんね。
 以前、三上毅氏の作品集『木葉』に付いていた門脇芳雄氏の『大綱』解説を見た記憶はありますが、何が書いてあったかさっぱり思い出せません。他の解説も見ていませんので、例によって無手勝流で思うところを書くことにします。

 なお、野田市立図書館のホームページには、『大綱』(「八代目作物」という表記です)の図面だけでなく解答(「図式諸書下書」という表記)もあり、無双、図巧などいろいろ揃っていて、いずれも影印なのでとても楽しめます。

『大綱』第4番
004

44飛、53玉、43飛生、62玉、42飛生、73玉、72飛生、83玉、82金、84玉、
95角、同飛、
96桂、同飛、95馬、同飛、96桂、同飛、85歩、95玉、
87桂
まで21手詰

 『大綱』100番を並べてみて、八代宗桂は翻弄物が好みであることが分かりました。看斎は退路塞ぎ、八代は翻弄物、これ大事です。(笑)

 飛不成を連ねる軽い序奏。そして95角からの手順は何をやっているのかというと、打歩詰を回避するために囲い駒を消去して85歩を打てるようにしているのです。途中で飛を取ってしまうと、退路ができて詰まない.....はずが、この図は95同馬、同玉、97飛、84玉、96桂、同香、85歩、94玉、74飛成、84合、96飛、95合、83龍までの余詰がありました。
 修正は、玉方98と配置で簡単に直ります。

※ 2014年1月9日記
 37金は何のためにあるんだろうと思ったら、
 95馬、同香、85歩、94玉、74飛成に84金合をなくすための合駒制限でした。これなら41銀でなく、51金と置けばいいですね。ただし、単に37金を取り去ると44飛に55玉で詰まなくなるので、そこら辺を直してみました。持駒の歩は無くして捨合で入手します。23手詰。
 もう一枚置けば初手は限定打になりますが、せっかく右辺がすっきりしているのでこれでもいいかな。
 2手目53玉は、26馬、35歩合(42玉は、54桂、51玉、31飛成以下)、同馬、同桂、52金、同玉、32飛成、61玉、62歩、51玉、42龍まで。4手目55玉は、66角、同銀、45飛、56玉、46飛、67玉、77金打、同銀、同金、57玉、69桂まで。8手目51玉は、41飛成、62玉、26馬、73玉、71龍、83玉、72龍、84玉、62馬、73合、85歩、74玉、63馬まで21手。おお、馬も右へ左へ活躍しているじゃあーりませんか。(^^;

0042


『大綱』第7番
007

73桂成、同桂、65金右、同桂、85金、同玉、77桂、同桂生、89龍、同桂成、
95角成、同歩、94角、74玉、83角成、85玉、86歩、同と、94馬、74玉、
75歩、73玉、83と、62玉、84馬、53玉、52銀成、同玉、44桂、53玉、
62馬、同玉、52金
まで33手詰


 玉方桂の四段跳ね出し。うーん、ホモ・ルーデンスですなあ。
 常にその応手しかないように局面を単純にしてうまく手順を絞っているのに、86歩の手順前後が成立しているのは惜しいですね。
 これは66金を66銀にし、攻方67歩を置けば限定できます。

-----そこはかとなく、つづく----

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