カテゴリー「『象戯手段草』全作品」の10件の記事

2015年11月21日 (土)

伊野辺看斎? つづき

 渋滞に必ず先頭の車両があり、流言に必ず言い出しっぺがいるように、伊野部を伊野辺(邊)と書いた人がいるはずです。

 そもそも伊野看斎になってしまったのは、『象戯手段草』が稀覯本だからという理由もあります。序文は享保13年6月23日ですが刊記は8月、割印(発売許可)は12月で、翌年7月に絶版になってしまうまで半年程度。あまり流通していないのです。

 前回「異説まちまち」では「いのべ」とひらがなだったことを紹介しました。ところがこれを漢字にしてしまった人がいました。

「『異説まちまち』にも同じく詰將棋の大家、伊野勘齋のことが出てゐる。それに依ると勘齋は出雲の國の生れで、幼名を九右衛門と稱したのだが、盤上勘算に妙を得たので、自ら勘齋と號したと言ふ」
(菅谷北斗星「爐邊棋話」『將棋つれづれ草』所収)

 「爐邊棋話」(雑誌「維新」※①1935年1月号が初出か)、ここに「伊野」が登場しました。

雑誌「維新」の目次 爐邊棋話(「維新」より)
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 菅谷北斗星は観戦記者として知られていますが、『將棋つれづれ草』を読むとその博学多識ぶりは尋常ではありません。しかし出所が怪しげな話もあります。上記の紹介でも、原文に「幼名を九右衛門と稱した」という意味のことは書いてありません。古棋書蒐集も趣味だったようで同書にはいろいろ出てきます。

 そういえば門脇芳雄氏の『詰むや詰まざるや』に看寿閉門の伝説が出てきますが、大森書房の『詰將棋精選』第二巻(1929)の序文でこの話を紹介しているのが他ならぬ北斗星です。

 「爐邊棋話」は有馬康晴の「疑問の詰棋書」によって、「將棋月報」1943年3月号に紹介されることになります。

「筆者が本書(注:『將棋新選圖式』のこと)に疑問を抱いた抑の始まりは、故山村兎月先生の寫本、伊能看齋著『將棋神戰』なる古代詰棋書の内容と本書が仝一であつたと云ふ事からである。……そこで象戯手段草を仝誌(注:「將棋日本」のこと)小杉次郎氏藏書目録によつて調べて見ると
(以下、前回掲げた『象戯手段草』の書誌的事項を紹介。序文伊野看齋明僚)
……伊能看齋が如何なる人物であるか分らなかつた所、菅谷北斗星氏の『將棋つれづれ草』に仝人に關する記事が出て居たので次に轉載して説明にかへる」

 「爐邊棋話」に加えて小杉次郎の蔵書目録、伊野のダメ押しとなりました。

 『將棋神戰』は岩木・小林コンビによる「詰將棋大全集」(全21巻)でも刊行が予定されていました(予告は1933年8月「將棋月報」。著者名は兎月に倣って「伊能看齋」)が、予約者が少なすぎて早々に取りやめとなり『將棋妙案』以外は日の目を見ることができませんでした。

 戦後、古図式鑑賞同好会により1957年4月、『象戯手段草』という正しい書名で配本されましたが、その最終頁に享保9年の日付を持つ序文(これが幻の享保9年版と呼ばれるもの)の書き下し文があります。その序文の書き手は「伊野看齋明僚」!

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傍線「潔」、「將棋雑誌」では「源」

 享保9年版『象戯手段草』の序文(書き下し)は1911年11月の「將棋雑誌」※②に俊歩なる人物(おそらく高濱禎)が「將棋考證」と題して紹介しています。
 「我社秘藏の其原本と斷定する大本の圖式には伊野看齋の筆になれる序文があつて」とあります。この享保9年版は所在不明です。古図鑑版はその書き下ろした序文をそのまま転載しているのですが、「將棋雑誌」では「伊野看齋明僚」だったのを「伊野」と転記ミスしているのです。

 古図鑑版『象戯手段草』の解題はなかなか充実していて、上記「疑問の詰棋書」全文の他、亀井昭造、南出岩樹などの論考も掲載されています(いずれも「将棋月報」からの転載)。

 どうやら菅谷北斗星と小杉次郎に端を発した? 誤りが、増幅していったもののようですね。こうして「伊野」が一人歩きしていくことになったのではないかと思います。


※①「維新」は1934年11月創刊。当初の発行所は平凡社。のちに「發行所 維新社」、「發賣所 平凡社」。1936年8月で廃刊か。「爐邊棋話」は1935年1月号に掲載されたあと、同年『新將棋戦略』(金子金五郎・菅谷北斗星1935年2月・千倉書房)に収められ、さらに『將棋つれづれ草』(1940年12月・三學書房)にも収められました。

※②「將棋雑誌」は大阪市京町上通「將棋社」により1911年2月から翌年5月まで15号発行されました。発行人は高濱禎。余談ながら、北斗星の『将棋五十年』(1955・時事通信社)の"物故した名棋士たち"とした項目の中に高濱(五段)の名前があります。雑誌発行の頃は二段だったようです。

(了)


2015年11月19日 (木)

伊野辺看斎?

   『象戯手段草』の作者といわれている伊野辺看斎ですが、伊野部看斎という説もあります。さてどちらが正しいのか。
 名字検索サイトで調べてみたら伊野辺、伊野邊は一人もなく、伊野部は全国に350人というデータがありました。

 まず、刊本の『象戯手段草』(1728)の序文では伊野部看齋(1)。この板行許可記録である江戸本屋仲間の「割印帳」(翻刻)では伊野部閑斉(2)。(3)は「割印帳」の影印。小杉次郎の「古棋書蒐集目録」(「將棋日本」1939/03)では伊野邊看齋(4)。

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 齋は旧字、斎は新字なので、江戸時代の字としては齋ですが現在の表記としては斎でもかまわないと思います。ただし斉は別の字なので看斉ではいけません。
 小杉次郎の蔵書は三巻本で正規の刊本と思われる(現在は西村家所蔵、非公開)のですが、陽明文庫所蔵本と同じとすれば伊野邊看齋というのは誤りで伊野部でなくてはならないのですが。

 次に、看斎らしき人物の記事ではどうか。

 「いのべ九右衛門は出雲の者也。盤上算勘に妙を得。自ら勘斎といふ程の者なり」(和田正路「異説まちまち」)。

 あいたた。ひらがなでした。
 和田正路は関宿藩藩士。生没年不詳。「異説まちまち」は日本随筆大成(旧版1927・吉川弘文館)で初めて活字化されたそうで、関宿藩家老が文化10年(1813)の書簡の中で「四五十年以前」の随筆と書いています。

「三段之名寄 … 江戸 井野邊九右衛門」(『將棊圖彙考鑑』1717)

 ここでは井野邊ですね。
 井野辺、井野邊は合わせて60人というところです。

 指将棋の棋譜も残っているそうですが、未見なのでどのような名前になっているかが分かりません。

 『象戯手段草』に関しては伊野辺(邊)、井野辺(邊)を積極的に後押しする史料は見当たりません。伊野辺(邊)看斎とする通説の根拠が知りたいところです。

 ちなみに『三百人一局集』(1981)では伊野辺看斎、『四百人一局集』(2011)では伊野部看斎と表記されています。
 伊野部看斎が正しいのではという気がしてきました。

2013年12月30日 (月)

『象戯手段草』全作品補遺

 年内の更新はもうないと思った人は、まだまだ甘いのである。

 ところで、市川靖雄氏の作品だが、『詰将棋工学母艦』には二線回りの作が一局だけ掲載されていた。信太氏恐るべし。

 どんだけ物知りやねん。
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『手段草』第21番
021

43飛成、22玉、12角成、同玉、13歩生、21玉、22歩、同玉、14桂、21玉、
33桂、同香、12歩成、同玉、32龍、13玉、22龍、14玉、25銀、15玉、
16銀、同玉、25龍、17玉、18歩、同成銀、同金、同玉、29銀、17玉、
28銀、18玉、27龍、29玉、37銀、39玉、28龍、49玉、48龍
まで39手詰

 『手段草』には打歩関係の不成物も多いです。攻方と玉方の飛不成・桂不成・香不成、攻方角不成・歩不成です。打歩回避の
桂不成は珍しいですね。
 打歩を避ける銀不成はなく、玉方の角不成と歩不成もありません。ちょっと不徹底なのが惜しいですね。
 本局は、攻方歩不成作品です。強引に清涼詰に持ち込んだ印象はありますが。

※『將棊新選図式』の解答の部には「歩不化」とあります。


 ところで、攻方歩不成の初出を調べてみましたが、『将棋智実』第84番(二代大橋宗古1636年)か『素庵作物』第81番かというところでしょう。
 『素庵作物』は作成年も作者も特定されていないようですし、『将棋智実』が初代大橋宗桂の作だとするとこちらの方が古いということになるのではないかと思いますが、
『素庵作物』が駒余りで素朴なのに対して、『将棋智実』のこの作品はかなり高度なのが気になるところではあります。

『将棋智実』第84番
084

52角成、同玉、53成銀、41玉、52成銀、同玉、53歩生、41玉、52銀、32玉、
41角、21玉、33桂、22玉、23銀、33玉、25桂、同歩、22銀生、24玉、
25歩、15玉、16歩、25玉、28香、35玉、26金、45玉、36金右、54玉、
65銀、53玉、64金
まで33手詰

 うーん、これは歩不成にヒモが付いていないこと(取れば64角、52玉、53銀、61玉、52銀打、72玉、84桂以下)、不成の意味が分かるのが20数手後であることなど、『手段草』よりよくできてますね。


『手段草』第83番
083_2

82銀、同銀、71馬、同銀、73桂、同馬、93桂、同香、92銀
まで9手詰

 『手段草』で唯一の不動玉です。これは候補作だったのですが92玉とする厄介な変長があり、補正できなかったので正編では採り上げませんでした。


 その後、根性で変長を直しました。

083_3

 飛車の位置を変えたために51飛成とする余詰対策が必要になり、玉方41金配置ではダメなので、苦肉の策です。
玉方とはいえ大駒が二枚残るのはどうかと思いますが......。92玉は、93銀打、83玉、75桂、同馬、73とまで7手。

 不動玉といえば、世の中にはすばらしい作品があります。

「詰将棋パラダイス」2012年1月
不動都氏作「ボクハ更新サレマシタ」
201201hudou

54と、同金上、45と、同金右、56歩、同金、25飛、同銀、19馬、28飛合、
同馬、同と、53飛、54角合、同飛、同金、37角、46飛合、同角、同金、
35飛、45角合、同飛、同金引、33角、44飛合、同角、同金右、57飛、56角合、
同飛、同金、37角、46飛合、同角、同金、53飛、54角合、同飛、同金、
77角、66飛合、同角、同銀、35飛、45角合、同飛、同金右、33角、44飛合、
同角、同金、66成香、同香、75飛、65香合、91馬、64金、同馬、同桂、
47桂、同金、56金、同桂、64銀
まで65手詰

 66同玉は、67銀、55玉、56飛、同金、同銀、66玉、67金、75玉、74角成まで63手。
 65角合は、同飛、同金、同馬、同玉、83角、76玉、77金、75玉、74角成まで同手数駒余り。
 91同龍は、47桂、同金、56銀まで。

終了図
201201hudoue

 終始、不動。このしつこさがたまりません。傑作!!



 
それでは皆様良いお年を。
 年内の更新は今度こそ終わりです。
 クレタ人は嘘つきだとクレタ人は言った。(笑)

2013年12月29日 (日)

『象戯手段草』全作品7(最終回)

 毎日の更新はしないとか、次は来年だなどと明言して、やる気のなさそうなときは必ず更新するのである。
 天の邪鬼なのである。(笑)
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『手段草』第82番(85番)

210082

69金、同玉、67龍、79玉、99飛、同馬、68龍、89玉、78銀、98玉、
87銀、同玉、86成香、同馬、同成桂、同玉、53角、95玉、65龍、94玉、
85龍、93玉、71角成、同金、94金、82玉、83金、91玉、92金、同銀、
82銀、同金、同龍、同玉、94桂、71玉、72歩、同玉、73金、71玉、
82桂成
まで41手詰


99飛、同馬、67龍も可。

86桂、93玉、95龍、82玉、73金、91玉、92龍、同玉、83と、同金、同金、同玉、74銀、92玉、83金、91玉、64角成以下。

 単調な追い手順。



『手段草』第84番(13番)

21tedate0084

92飛、同歩、91角、72玉、82金、73玉、81金、72玉、82角成、61玉、
71金、同銀、52馬、同玉、43金、同玉、53飛、34玉、33飛成、45玉、
56銀、同玉、36龍、57玉、46馬、58玉、47龍、69玉、67龍、59玉、
68馬、48玉、57馬、38玉、47馬、28玉、46馬、38玉、47龍、29玉、
27龍
まで41手詰

※83番は補遺にあります。

 終わってみれば清涼詰。そんな感じがします。



『手段草』第85番(27番)

210085 27

73金、同桂、同銀成、同金、同と、同龍、95桂、同成銀、84金、同玉、
93馬、同龍、74金、94玉、84金打、同龍、同金、同玉、74飛打、93玉、
73飛成、94玉、74飛、85玉、84飛、96玉、76龍、同と、88桂
まで29手詰

95桂、84玉、93馬、同玉、83金、同金、同桂成、同玉、73金、84玉、74金打、同龍、同金、93玉、73飛、82玉、83金以下。

93馬、72玉、73飛成、同玉、43飛、63銀合、83金、64玉、44飛成、54銀、63金、同玉、53金、74玉、84馬以下。

 右は『土屋土佐守作詰物』第27番。3手目同と、同金、95桂、同成銀、73銀成も可。ただし
93馬は63金合、83金、64玉、44飛成、54歩合で75地点にと金と成桂が利いているので詰みません。



『手段草』第86番(33番)

210086

76桂打、同金、同桂、同銀生、85金、同銀、同飛、94玉、95銀、同銀、
同飛、84玉、85飛、94玉、95銀、同と、同飛、84玉、94飛、75玉、
85馬、66玉、67歩、77玉、97飛、同銀成、78金
まで27手詰

 駒取りが多く、面白くありません。



『手段草』第87番(47番)

210087

96金、同と、74馬、同玉、83飛成、同玉、82銀成、同玉、83金、91玉、
92金、同玉、93歩、82玉、83金、71玉、61歩成、同銀、73飛成、同角、
63桂
まで21手詰

 例によって隅に追い込む手順。



『手段草』第88番(53番)

210088

77金、同成桂、64角、同香、75銀、同玉、77飛、84玉、74飛、93玉、
94銀成、同金、73飛成、92玉、65馬、同香、84桂、同金、93香、81玉、
91香成、同玉、71龍、92玉、82金、93玉、91龍
まで27手詰


81玉は、92馬、同玉、84桂の迂回手順の他、83龍以下の順もあります。

 質駒をつくっておいて追いかける手法。



『手段草』第89番(67番)

210089

97馬、同香生、79桂、同香成、88歩、78玉、69銀、同成香、同龍左、88玉、
68龍引、87玉、89龍、96玉、95金、同玉、65龍、同銀、84銀生、同桂、
96香、同玉、85銀、95玉、96香、同桂、84銀、94玉、93と、同金、
同銀成、同玉、83金、94玉、84龍
まで35手詰

 打歩詰に誘う
97同香不成。成るとただちに88歩と打てます。

※『將棊新選図式』の解答の部には「玉之香不成」とあります。


『手段草』第90番(73番)

210090

79金、97玉、88金、同玉、77銀、同玉、67銀、同玉、76角成、57玉、
46銀、56玉、45銀、同馬、65馬、同玉、45龍、74玉、52角、84玉、
95龍、同玉、85金
まで23手詰

 49龍の利きの範囲まで移動させて、46銀が取れない捨駒。
 収束は鮮やか。



『手段草』第91番(87番)

210091

99金、78玉、88飛、67玉、58銀、56玉、47銀打、同金、同銀、同玉、
25馬、同馬、36銀、同玉、38飛、47玉、48金、56玉、57金
まで19手詰

 36銀、おなじみの退路に捨駒の手筋です。



『手段草』第92番(9番)

210092

93香、同龍、55馬、同と、92香、同龍、同角成、同玉、82金、同玉、
72金、同玉、74香、62玉、64香、53玉、33龍、64玉、63飛、74玉、
73飛成
まで21手詰


63香合、61飛、53玉、33龍、54玉、34龍、53玉、63香成、42玉、31飛成まで4手変長。

※『將棊新選図式』の解答の部には「香四牧(ママ)」とあります。



『手段草』第93番

093

93香生、81玉、91香成、同玉、92歩、同玉、94飛、81玉、82歩、同玉、
93と、73玉、63銀成、同玉、64飛、52玉、42銀成、同玉、62飛生、33玉、
32飛生、44玉、34飛生、55玉、65金、同桂、88馬、同龍、56歩、45玉、
37桂、同歩成、46歩、36玉、25銀、同玉、26金、14玉、15歩、23玉、
32飛成、24玉、34龍
まで43手詰


 82玉は、83歩、81玉、91香成、同玉、82歩成、同玉、83飛、91玉、92歩、同玉、93と以下。
 
88馬、同龍、65金の手順前後あり。
 非常に簡単ですが、まずは香不成。そのあと三回の飛不成。不成の効果は、
56歩が打歩詰にならないことで表れます。現在では20数回にわたって飛不成を繰り返す作品があったはずで、それに比べれば萌芽的ともいえますが、こうやってだんだん発展していくんだなあと思いました。

※『將棊新選図式』の解答の部には「飛香不成」とあります。



『手段草』第94番(29番)

210094

83角成、同玉、93金、同玉、95香、同と、82飛成、同玉、71角成、同玉、
72銀打、82玉、83銀打、73玉、82銀打、62玉、71銀左生、73玉、82銀上生
まで19手詰

 非常に易しいですが、詰上り四銀詰です。
 『將棊新選圖式』の解答には「銀牧」とあります。「四」を書き忘れています。



『手段草』第95番(31番)

095 31

86桂、同金、93馬、同玉、92龍、同玉、91桂成、同玉、95飛、82玉、
92飛成、73玉、83龍、64玉、63龍、55玉、56金、同金、65龍、46玉、
56龍、37玉、47龍、28玉、29金、同玉、49龍、28玉、29龍、37玉、
38龍、46玉、47龍、55玉、56龍、64玉、65龍、73玉、63龍、84玉、
85銀、同金、83龍、75玉、85龍、66玉、65龍、57玉、56龍、48玉、
47龍、39玉、29金、同玉、49龍、28玉、29龍、37玉、38龍、46玉、
47龍、55玉、56龍、64玉、65龍、73玉、63角成、82玉、87香、同と、
73銀、93玉、95龍、94金、同龍、同玉、84金合、95玉、85馬
まで79手詰

 斜めに並んだ歩の配置から、これは趣向だなと期待させる作品。
 93馬から始めると、同玉、92龍、同玉、91桂成、同玉、95飛、82玉、92飛成、73玉、83龍、64玉、75銀、54玉で、以下63龍なら45玉、63角成なら43玉、53馬、34玉で詰みません。
 金を奪っては29金と捨てて二回折り返し。これは楽しめますね。
 残念ながら、92玉、81馬、83玉で不詰。

 直すのは簡単で、玉方96歩を置くだけ。これなら83玉に82馬、94玉、74龍、95玉、84龍まで79手。作意は84金合が飛合になるので二手長くなり81手詰。めでたしめでたし。

※『土屋土佐守作詰物』には、玉方96歩がありました。『將棊新選図式』の解答の部には「追戻」とあります。



『手段草』第96番(49番)

210096

84銀、同玉、94飛、同歩、66角、75桂、同龍、93玉、73龍、92玉、
93歩、同桂、同角成、同玉、85桂、92玉、84桂、同歩、93龍、81玉、
83龍、82銀、73桂生、71玉、61桂成、同玉、63龍、51玉、53龍、52銀上、
62金、41玉、52金、同銀、42銀、32玉、33銀生、21玉、11歩成、同玉、
13香、21玉、12香成、同玉、52龍、13玉、24銀打、14玉、12龍、25玉、
15龍、34玉、45龍、同玉、44金
まで55手詰

 陣形図式崩れのような図。
 うまく隅に持っていくものです。



『手段草』第97番(51番)

210097

85馬、同桂、97飛、同玉、86銀、同成銀、88銀、96玉、87銀打、同成銀、
同銀、同玉、88銀、98玉、99龍
まで15手詰


85同玉は、75飛、96玉(94玉は83銀、同玉、73飛成)、97銀、同玉、95飛、96歩合、86銀、同成銀、88銀以下2手早い。



『手段草』第98番

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89桂、同飛生、98銀、96玉、88桂、同飛生、97銀、同玉、99龍、98金合、
88馬、86玉、76飛、同玉、79龍、65玉、68龍、75玉、66馬、86玉、
87歩、96玉、98龍、97歩合、同龍、同玉、98歩、同玉、88金、99玉、
78金、98玉、88馬
まで33手詰

 今度は玉方の飛不成二回。いずれも直ちに打歩詰になるので分かりやすいですね。
 現代なら短篇にするところでしょうが、この時代は二回だけでも相当なものだったのかもしれません。収束まで過不足なくまとまっていると思います。

※『將棊新選図式』の解答の部には「玉之
飛不成」とあります。


『手段草』第99番(71番)

210099

99銀、同玉、89飛、同馬、同金、同玉、98角、同玉、78龍、97玉、
77龍、87金、88金、96玉、87金、85玉、86金、94玉、85金打、同成銀、
74龍、84金、85金、93玉、84金、同歩、94銀、82玉、83金、91玉、
92金、同玉、83銀成、91玉、92銀、同銀、71龍、81合、82成銀
まで39手詰

※『土屋土佐守作詰物』第71番では、56馬が67馬になっています。



『手段草』第100番(89番)

210100

89金、同玉、79飛、同金、78銀、同玉、88飛、67玉、57金、同玉、
56と、47玉、39桂、36玉、38飛、26玉、37馬、35玉、46馬、26玉、
35馬、15玉、27桂、14玉、13馬、同玉、33飛成、12玉、13歩、11玉、
21歩成、同玉、23龍、22銀、12歩成、31玉、22龍、41玉、52銀、同香、
42香、51玉、31龍
まで43手詰



 これで『象戯手段草』佳作選は終わりです。

 では皆様、良いお年を。

2013年12月28日 (土)

『象戯手段草』全作品6

『手段草』第60番(61番)

060 61_2

49桂、同金、69桂、同歩成、67金、58玉、68金、同玉、77龍、59玉、
49馬、同玉、47龍、39玉、49金、28玉、38金打、同銀、同金、29玉、
18銀、同龍、49龍
まで23手詰

※右は『土屋土佐守作詰物』第61番。どちらも完全作です。

 49桂は質駒づくり。67金は、58玉、68金、同玉で69に潜られて詰みません。先に69桂と打つと、同歩成、49桂に68玉でダメ。
 67金は、やはり58玉以下潜られます。手順前後を許さないのって結構難しいんですよ。
 57金は59玉で不詰。
 59玉は、直ちに49馬が成立。これに対して68玉なら67金、78玉、77龍まで。玉方89とはこのための配置です。
 収束も鮮やか。
 現代的な雰囲気のある作品だと思います。



『手段草』第61番(78番)

210061

68金、同金、67銀、同玉、78金、同金、76龍、同玉、78龍、86玉、
87金、95玉、75龍、85金、86金、94玉、85金、同歩、83銀生、同玉、
84金、同角、72角、82玉、81角成、同玉、71龍
まで27手詰

 送りの手筋で玉を動かしていく手順です。



『手段草』第62番(79番)

210062

57龍、同玉、67金、同玉、57金、同玉、46銀、同玉、35角、同玉、
45金、24玉、28龍、33玉、34金、同玉、25龍、33玉、45桂、32玉、
42銀引成、同金、同銀成、同玉、22龍、32銀合、53金、41玉、33桂生、同銀、
51歩成、同玉、52金
まで33手詰

67同歩成は、47金、同玉、38銀、57玉、47金まで。

いずれも42銀引生の手順前後あり。

 邪魔な78金を消去して28龍と回ればあとは容易です。



『手段草』第63番(80番)

210063

69金、同玉、36角、同飛、58銀、同玉、67馬、同銀成、69金、同玉、
67龍、79玉、88銀、89玉、69龍、88玉、99銀、97玉、87金、同玉、
89龍、96玉、97歩、同玉、98銀、96玉、87龍
まで27手詰

 66銀を質駒にして67龍と取ればヤマは越えます。
 玉方83歩は、これがないと88歩合と捨合を喫して詰みません。



『手段草』第64番(81番)

064

58金、49玉、38角、同玉、49龍28玉、37角、同玉、39龍、26玉、
25金、同金、同成桂、同玉、14銀、同玉、34龍、13玉、33龍、23銀、
24金、12玉、23龍、同桂、13銀、21玉、51龍、同銀、22銀打、32玉、
33金、41玉、31銀成、同玉、22銀成、41玉、32成銀
まで37手詰

 見せ場は49龍の切れ味。同玉なら48金打、同成銀なら47角、37玉、36金、28玉、29金までです。
 39龍は、同玉、48角、49玉で不詰。
 ただし、27金、同玉、28歩、同玉、19角、同玉、39龍、29金合、28銀以下の余詰があります。

 18玉は、27角、19玉、39龍、29金合、同龍、同玉、38銀以下。
 29玉は、38角、28玉、39龍、37玉、47金、26玉、36金打まで。
 玉方17歩を17とにすれば完全作になります。
 49龍の後はこれといった手がないので、短篇としてつくるべきだったでしょう。



『手段草』第65番(3番)

210065

41飛、51香合、73桂生、同桂、72金、同銀、51飛成、同玉、41金、同玉、
52金、同銀、42金、同銀、32桂成、51玉、42成桂、62玉、52成桂、63玉、
53成桂、同玉、42銀、43玉、52銀、同玉、41銀生、同玉、43香、51玉、
42香成、62玉、43成香、63玉、52飛成
まで35手詰

 箱庭風の詰将棋です。72銀と壁を作ってしまえば、あとは気持の良い手順が続きます。



『手段草』第66番(17番)

210066

74桂、61玉、72銀、同玉、54馬、同銀、64桂、81玉、73桂生、91玉、
83桂生
まで11手詰

61玉は、73桂生、52玉、63桂成、41玉、33桂、31玉、21馬まで13手駒余らず。

 四桂詰ですが、2手長くなって駒も余らないのは痛いです。

※『將棊新選図式』の解答の部には「桂四牧(ママ)」とあります。



『手段草』第67番(23番)

210067

54銀、同金、73飛、同玉、72飛成、84玉、95金、同玉、75龍、96玉、
76龍、97玉、87金、98玉、78龍、99玉、88龍
まで17手詰

 端へ誘う95金が冴えた手です。



『手段草』第68番(37番)
068

74と、同玉、73角成、85玉、76銀、94玉、86桂、同龍、85銀、同龍、
86桂、同龍、76角、同龍、84金
まで15手詰

 私の大好きな翻弄物です。
 出っ張っている
玉方43歩が気に入りませんが、これがないと初手から63と、同玉、55桂、同銀、73角成、52玉、63銀、41玉、32金まで。
 76銀と打ってから、龍の翻弄が始まります。理屈を言うと、94玉となった途端に76銀は邪魔駒になっているのです。そこで94玉の形のままで76角と出るために一連の手順が必要になるわけです。
 『手段草』は玉を追い回す作品が多いので少し退屈なところがあるのですが、これは文句なしです。



『手段草』第69番(43番)

210069

64金、同金、57桂、同と、54銀、同金、74角、同玉、84飛成、同玉、
73馬、93玉、92銀成、同玉、93香、同玉、84銀、92玉、83銀成、81玉、
91馬、同玉、93香、81玉、92香成
まで25手詰

 駒取りが多く、あまり感心しません。



『手段草』第70番(57番)

210070

67銀、同馬、58桂、同馬、76飛、67玉、77金、68玉、79金、同成銀、
78金打、69玉、79金、同玉、78金、89玉、79金、99玉、88銀、98玉、
96飛、同歩、99香
まで23手詰

96飛、同歩、88銀も可。

 46からの脱出を防ぐ57銀、48桂が好手順。



『手段草』第71番(63番)

210071 63

66銀、同玉、65金、同玉、67龍、66馬、57桂、75玉、87桂、同銀成、
85金、同玉、87龍、95玉、86銀、94玉、85銀、93玉、96龍、83玉、
94龍、73玉、65桂、同馬、93龍、83金、84銀、72玉、83銀成、同香、
82金、61玉、91龍、52玉、41龍、同玉、42銀、52玉、53歩成、61玉、
51銀成、同玉、42と右、61玉、52と右
まで45手詰

65同馬は、58桂、75玉、87桂、同銀、85金、同玉、87龍、95玉、96銀、94玉、84龍まで。

 右は『土屋土佐守作詰物』第63番。36とがありません(不要駒)。
 これも送りの手筋。ところどころ非限定があります。



『手段草』第72番(77番)

210072_2 77_2

69金、同銀生、同飛、同玉、78銀、79玉、57馬、78玉、67銀、同歩成、
79飛、87玉、86金、同成銀、同角成、同玉、75馬、87玉、96銀、同玉、
76飛、87玉、86馬
まで23手詰

69同銀成は、78金以下。従って不成限定。

76銀とする迂回手順あり。

 右は『土屋土佐守作詰物』第77番。これなら
96銀はないので、76銀が本手順となり27手詰です。



『手段草』第73番(83番)

210073

59金、79玉、68金、同玉、58金、同玉、59金、47玉、46馬、同玉、
36飛、55玉、47桂、54玉、44と、63玉、55桂、72玉、32飛成、71玉、
63桂生、同香、62龍
まで23手詰

77玉は、67馬、86玉、78桂、95玉、96歩、94玉、86桂、93玉、94金、92玉、83金、同玉、84歩、72玉、94馬、71玉、61馬、82玉、83歩成、91玉、92銀、同銀、同と、同玉、83銀、91玉、92飛、81玉、82飛成まで。

 77玉の変化は『將棊新選圖式』の手順ですが、49飛が関係なくなるので疑問。
83歩成のところは83馬や74桂など手段もたくさんありますので、23手が作意ではないかと思います。



『手段草』第74番(5番)

210074 05

72歩、同飛、同銀成、同玉、92飛、同香、82金、同玉、71角、72玉、
62角成、同玉、53銀、同玉、51飛成、43玉、42金、33玉、53龍、22玉、
32金、同玉、24桂、同と、44桂、21玉、32銀、22玉、31銀生、21玉、
32桂成、同玉、42龍、21玉、22龍
まで35手詰

同金は、同銀成、同玉、62金、同玉、71角以下。

64桂、同歩、54角、63金打、71飛打、82玉、81飛成、93玉、91龍、92歩合、同龍、同玉、97香、96歩合、91飛成、92香合、82銀、94玉、92龍、93桂合、96香、85玉、86香、96玉、87金、95玉、96歩、94玉、76角、85香合、同角、同馬、93龍まで。

 右は『土屋土佐守作詰物』第5番。先後がひっくり返っています。思い違いでしょう。
 71角を打ってからは隅へ追っていく手順ですが、面倒な余詰がありました。



『手段草』第76番(25番)

210076

72金、同銀、64銀、同角、72馬、84玉、85銀、同桂、73銀、同角、
94馬、同玉、74龍、84合、83銀、93玉、92金
まで17手詰


84玉、75銀直、83玉、74銀、92玉、83銀打、91玉、82銀成、同玉、83銀直、同銀、同龍、92玉、83銀以下同手数駒余らず。

73銀、同角、85銀も可。

94馬、73玉、72馬、同玉、74龍、73飛合、63銀、81玉、72銀打、91玉、82金、同玉、73龍以下。

※第75番はその2にあります。



『手段草』第77番(35番)

210077

83銀、同玉、92銀、同香、82龍、同玉、91角、同玉、73馬、82金、
83桂、81玉、72銀、同金、91馬
まで15手詰

64玉は、73馬、同玉、72龍以下。

 83銀から92銀、さらに82龍、91角と強引に隅に引き込む手順。これは好作。



『手段草』第78番(45番)

210078

86金、同香、65金、同銀、64角、76玉、85馬、同玉、86龍、74玉、
75龍、63玉、73龍、52玉、42銀成、同玉、41桂成、同玉、42角成、同玉、
34桂、同金、43飛、31玉、33香、22玉、32香成、同玉、23飛成、41玉、
43龍左、51玉、21龍、62玉、32龍右、71玉、73龍、81玉、72龍右、92玉、
83龍寄
まで41手詰


61桂成、32玉、42角成、同玉、34桂、同金、43飛、31玉、33香、22玉、32香成、同玉、23飛成、31玉、33龍左、同金、同龍以下。

32香、同玉、23飛成以下早詰。

 強手連発で龍追いに持ち込む得意の手順でしたが…。



『手段草』第79番(55番)

210079

65銀、同歩、67角、同金、86金、同玉、87馬、85玉、96馬、同玉、

97歩、同玉、94飛、同香、87飛、96玉、97歩、同と、86飛、95玉、
96歩、同と、85飛
まで23手詰

94飛、同香、97歩も可。

 飛車を取られないようにするのが肝要。



『手段草』第80番(65番)

210080

89桂、同香成、88銀、66玉、76金、同玉、87馬、66玉、77銀、57玉、
68銀、同玉、78飛、57玉、35角成、同歩、68銀、58玉、59銀、同玉、
69飛、同玉、48飛、59玉、77馬、69玉、68馬
まで27手詰


88同玉は87金以下。
88同成香や同銀、同飛は76金打まで。

35角成、同歩、78飛も可。

 3手目の88銀が何の駒でも取れない好手です。



『手段草』第81番(75番)

081

77金、88玉、79角、98玉、99金、同玉、88角、同玉、78金、同玉、
88金、同玉、77馬、89玉、88金、99玉、78金、98玉、88馬
まで19手詰

 初形の68角が邪魔駒。これを10手かけて原形のまま消去します。盤面もすっきりしていて好ましい作品ですね。

※塚田正夫の「新撰詰將棋」で『將棋新選圖式』の作品として唯一採り上げられているのがこの作品です。

 88金、同玉、79角は、同玉なら69金で詰みますが、87玉で逃れ。79角のところ、77角でも87玉です。
 86歩は実は不要駒です。初手から88金、同玉、79角、87玉、77馬、96玉、86金、同飛、97金、85玉、86金、74玉、75金と行くのが危ない(同玉は詰む)ですが
83玉で堪えています。
 ところで、収束の78金は87金でも良く、当時は全く問題にならなかったと思いますが、これは余詰でしょうか?それともキズ?
 私は人様の作品に関してはこういうのは全然気になりませんが、自作なら許せないです。(笑)
 不要駒である玉方86歩を攻方87歩にすれば限定できるので、そのように置くと思います。清涼詰にはなりませんが、そもそも清涼詰が付加価値だとも思えないので......。

※『將棊新選図式』の解答の部には「金四牧(ママ)」とあります。

-----次の更新こそ必ず来年だと思いながら、つづく-----

2013年12月27日 (金)

『象戯手段草』全作品5

『手段草』第40番(19番)
040

63龍、同歩、64桂、同歩、53香、同角、同桂成、同玉、71角、同龍、
62角、同玉、63金、51玉、43桂生
まで15手詰

 25番からずいぶん跳びましたが、手を抜いているわけではありません。
 不完全作であっても、それがあるから評価しないということは全くありませんが、私にはどうにも妙味が感じられない作品が並んでいましたので。(>_<)

 さて本局は、伊野辺看斎得意の退路塞ぎです。


 こういうの見たことあるなあと思う人が多いのではないでしょうか。
 私は古図式にそれほど詳しくありませんので、最初の作はこれ、と特定することはできませんが、『素庵作物』にこういう作品がありました。

『素庵作物』第63番(江戸初期?)
150063

44香、同玉、22角、同龍、33角、同玉、53飛成、43歩、44金、32玉、
43金、31玉、32歩、同龍、同金、同玉、42飛、31玉、51龍
まで19手詰


『手段草』第41番(98番)

210041 98

63金、同桂、64桂、同と、51金、同玉、61歩成、同玉、62角成、同玉、
73銀成、同玉、84金、同玉、93銀、94玉、95飛、同玉、84銀生、86玉、
95銀、97玉、86銀、88玉、97銀、99玉、88銀、同玉、99銀
まで29手詰

51金、同玉、61歩成、同玉、62角成、同玉、73銀成、同玉、84金、同銀、85桂、64玉、56桂、53玉、62銀、52玉、53歩、同金、同銀、同玉、52金まで。

 千鳥銀。右は『土屋土佐守作詰物』第98番で、余詰はありません。



『手段草』第42番(99番)

210042

51桂成、同玉、53飛、42玉、43飛成、同玉、44金、同玉、53銀、43玉、
45飛、同銀、55桂、同馬、44歩、同馬、同銀成、同玉、53角、43玉、
55桂、52玉、63桂成、43玉、42角成、同歩、53馬
まで27手詰

51玉で変長。

 出番を待っているような置駒が多いのが難点です。



『手段草』第43番(20番)

210043

52角成、同玉、63飛成、同玉、73飛、64玉、65金、同玉、63飛成、75玉、
73龍、85玉、76銀、94玉、93銀成、同玉、84銀、94玉、85銀、同玉、
75龍、94玉、86桂、同と、95龍
まで25手詰

 飛車の打換えが好手。龍の横這いもとぼけていて、攻方不動駒皆無の佳作。



『手段草』第44番(21番)

210044

65桂、同歩、45桂、同飛生、54銀成、同玉、45金、同玉、55馬、34玉、
35歩、同玉、45飛、34玉、26桂、同歩、23銀、同玉、25飛、32玉、
21飛成、同玉、11角成、32玉、33馬左
まで25手詰

 打歩詰誘致の玉方飛不成。収束は例によって清涼詰。



『手段草』第45番(96番)

210045

65桂、同歩、64角、同香、62飛成、同玉、73銀成、同玉、72金、83玉、
95桂、同歩、73金、93玉、94飛、同玉、72角成、84玉、74金、93玉、
83馬
まで21手詰

 35歩は63金、83玉、95桂、93玉、83飛、92玉、81飛成、同玉、73金に36歩と角を取るために必要な駒です。



『手段草』第46番(97番)

210046

43金、同金、52馬、同玉、82飛、63玉、52角、53玉、62飛成、42玉、
43角成、同玉、42金、33玉、32金、23玉、22金、13玉、12金、同香、
25桂、23玉、32銀、22玉、31銀生、同玉、23桂、41玉、33桂生
まで29手詰


43角成、同玉、42金以下の手順前後あり。

31銀成も可。



『手段草』第47番(38番)
047

65金、同玉、69香、同馬、66香、同成桂、75金、同歩、66馬、64玉、
55馬、74玉、86桂、84玉、73馬、同玉、74飛、83玉、93香成、同歩、

92銀、同玉、84桂、81玉、73桂
まで25手詰

 遠香のテーマでしょうか。
 69香を省くと、86桂を同馬と取られてしまうため、馬の利きを変えておくという意味付けです。
 
75金も看斎らしく、あらかじめ退路を塞いでおく手です。これをせず66馬なら64玉、55馬、75玉で逃れます。
 92銀も退路に捨駒の手筋。最後は、飛車が詰上りに関係のない駒になっているのが残念です。


『手段草』第48番(39番)

210048

55銀、同龍、44馬、同龍、43銀、同玉、44馬、32玉、42飛、同玉、
43馬、51玉、42銀、62玉、61馬、同玉、41飛、62玉、51飛成、72玉、
81龍、62玉、51銀生、52玉、42香成
まで25手詰

 龍を質駒にする手順。



『手段草』第49番(94番)

210049

74飛、同馬、64金、同馬、32角、44玉、43角成、35玉、15龍、36玉、
25馬、27玉、26龍、38玉、28龍、49玉、58馬、同金、同龍、39玉、
28龍、49玉、48金、59玉、58金、69玉、68金、79玉、78金、89玉、
79金、同玉、78龍
まで33手詰

 74飛~64金で退路を閉じるところがうまい。



『手段草』第50番(95番)
050

44金、同歩、46桂、43玉、61馬、同金、35桂、同と、33成銀、同玉、
35龍、23玉、32角、同金、同龍左、14玉、15歩、同玉、26金、14玉、
25龍、同銀、同金、同香、15歩、同玉、26銀、同香、35龍、14玉、
25龍
まで31手詰

 序奏は、典型的な伊野辺流です。こういう追い方が『手段草』には実に多いのです。
 25金は、同銀なら15歩、同玉、25龍、同香、26銀、14玉、25銀、15玉、16銀、14玉、15歩以下で詰みますが、同香、34龍引、24歩合で手も足も出ません。龍を捨てて金を残さないといけないのは打歩詰を避ける意味ではない(龍が残っていても打歩詰にならない)ので、いわゆる龍先龍金ではありませんが、印象に残りました。収束26銀を同香と取って玉方が協力するのは、この時代では当たり前の儀式だったのでしょう。



『手段草』第51番(40番)

210051

56歩、同金、同金、同玉、58龍寄、同金、55金、同角、58龍、65玉、
67龍、66桂、56金、75玉、66金、86玉、59馬、96玉、95馬、同玉、
97龍、96桂、87桂、84玉、94成香、同玉、96龍、83玉、75桂打、同銀、
同桂、84玉、83桂成、同銀、75銀
まで35手詰

83同玉は85龍、84合、94銀で変長。

 59馬から95馬が気持の良い跳躍。



『手段草』第52番(41番)

210052

54飛、同玉、44銀成、同玉、43飛、55玉、45飛成、64玉、44龍、73玉、
53龍、82玉、83角成、91玉、92馬、同玉、74角成、82玉、73龍、91玉、
93龍
まで21手詰

 左右対称形。二枚角の連結を見せて、隅に追い込む手順です。



『手段草』第53番(92番)

210053

46金、同銀、35龍、同銀、57飛、45玉、56馬、54玉、55馬、63玉、
73馬、同玉、53飛成、84玉、83角成、95玉、94馬、同玉、93龍
まで19手詰

57飛、56歩合、51龍、46玉、56馬、35玉、46金、26玉、27金、25玉、36金上、14玉、17飛、15歩合、同飛、同玉、11龍、14歩合、16歩、同玉、38馬、27飛合、14龍、15歩合、17歩、同玉、15龍、16桂合、18歩、同玉、16龍、17金合、27馬、29玉、19飛以下の余詰。



『手段草』第54番(93番)

210054

82角、73桂合、同角成、同金、46銀、同飛、65馬、44玉、56桂、同飛、
45銀、35玉、34と、46玉、56馬、37玉、38飛、27玉、36銀、17玉、
18歩、16玉、25銀、同玉、35飛、16玉、38馬、27歩成、28桂、26玉、
36飛、25玉、35と
まで33手詰

73歩合は、同角成、同金、46銀、同飛、65馬、44玉、45歩、同飛、同銀、35玉、34と、46玉、47飛まで。

 最終、馬が用無しに終わるのが残念です。



『手段草』第55番(58番)

210055

47金、同桂成、45銀、同角、66飛、同玉、55角、56玉、76龍、55玉、
64銀、同玉、66龍、73玉、72銀成、同角、同成香、同玉、81角、同玉、
61龍、82玉、92歩成、83玉、63龍、92玉、72龍、91玉、92金
まで29手詰

82金、73玉、72金、83玉、81龍まで。



『手段草』第56番(59番)

210056

67銀、65玉、87馬、75玉、76馬、64玉、65金、同金、同馬、同玉、
76銀、54玉、65金、44玉、56桂、同金、35と、43玉、33歩成、同玉、
34と、32玉、24桂、同歩、33香、同角、同と、31玉、21歩成、同玉、
32角、同銀、同と、12玉、23銀、同玉、33香成、12玉、22と
まで39手詰

 平板な追い手順。



『手段草』第57番(90番)
057

58香、同成銀、67銀、同歩成、46飛、55玉、58飛、同と、64銀、同玉、
44飛、63玉、64飛、73玉、85桂、83玉、63飛成、84玉、83龍、同玉、
73馬、92玉、93桂成、同玉、84銀、92玉、83銀成、91玉、81香成、同玉、
82馬
まで31手詰

 『手段草』らしい序奏です。捨駒で質駒をセットしておき、それを取っては捨てて追いかけていくという手法です。
 58同飛は、57香合でも67玉でも詰みません。67銀は、第13番の35銀と同じく、同玉と取れないのを見越して退路を塞いでいるわけです。これはもう作風ですね。
 何ということもなさそうな作品ですが、73桂は変化のための駒かと思ったら、初手58香に対する57桂合をなくした合駒制限なのでした。68成銀が金だと3手目45銀、57玉、58飛、同玉、78飛以下余詰になり、52銀を金にすると2手目57銀合で詰まなくなります。つまり、68成銀、52銀は最善の配置のようです。


『手段草』第58番(91番)

210058

48桂、同銀成、45角、同玉、46金、54玉、55金、63玉、73飛成、52玉、
53角成、同金、62龍、43玉、33銀成、同玉、53龍、24玉、23龍、35玉、
46金、同玉、26龍、55玉、65金、45玉、46歩、56玉、66金
まで29手詰

 還元玉。2手目48同銀不成でも同じです。



『手段草』第59番(60番)
059_2

58金、同と、67金、同角、同飛、56玉、45角、同玉、65飛、54玉、
63飛成、同玉、64金、72玉、73金、71玉、83桂生、81玉、91桂成、同玉、
72金、37香、83桂
まで23手詰

 もう一局、らしいのを。
 45角といい、63飛成といい、伊野辺流です。壁駒として機能している34香が最後に動く辺りはうまいですね。
 ただし、49金を置いたのはどうだったでしょうか。持駒を金三枚にしても余詰はないので。また、95桂と83桂が見合いしているのも物欲しそうでどうかなという気がします。


 私は持駒が多いのは気にならず盤面はすっきりさせたい方なので、次のように改作してみました。

059_3

65飛、57玉、58金、同と、67金、同角、同飛、56玉、45角、同玉、
65飛、54玉、63飛成、同玉、64金、72玉、73金、71玉、83桂、81玉、
91桂成、同玉、72金、37香、83桂
まで25手詰

 玉位置のこととか、忘れてます。(笑)
 77玉は、59馬、68香合、87金、同玉、69桂、96玉、87金、95玉、68馬、84玉、76桂、83玉、84香、72玉、82金、73玉、83香成、74玉、84成香まで21手。

 88玉は、85飛、87金合、79角、同玉、69金以下物量で詰みます。
 ろ
78玉は88金、同玉、85飛、77玉、88角、78玉、67銀、89玉、99金まで。
 
 同とは86金打、94玉、85金、73玉、74香、83玉、63飛まで。
 73玉は95馬、72玉、61飛成、81玉、82銀、同玉、73金まで。


 なお、32歩は4手目49桂、同と左、69桂、同と、67金、同角、同飛、56玉、57金、45玉、65飛、54玉、32角以下の余詰防止駒です。

-----次の更新は来年だと思いながら、つづく-----

2013年12月26日 (木)

『象戯手段草』全作品4

『手段草』第15番
015

46龍、同銀、36金打、同馬、同金、同玉、72角、37玉、26角成、同玉、
27龍、35玉、36龍、44玉、45龍、53玉、54龍、62玉、63角成、71玉、
74龍、82玉、73龍、92玉、81馬、同玉、83香、同銀、同龍、82飛合、
72銀、91玉、95香、同と、92銀、同飛、81龍
まで37手詰

 テーマは遠角かな?
 63角と一路近くに打つと端に追いつめられないので、詰みません。
 あまり妙手感はありませんが、三間空いているので遠打らしさはあります。
 玉方95銀は四銀品切れのための配置ではなく、95歩だと、83同龍のとき82歩合で詰まなくなるため、その対策です。

※『將棊新選図式』の解答の部には「遠角」とあります。



『手段草』第16番
016

36角、同玉、18角、同龍、37金、35玉、26金、同桂、46龍、34玉、
26桂、33玉、25桂、22玉、34桂、21玉、33桂生、同歩、22歩、32玉、
41銀生、同金、同龍、同玉、42金
まで25手詰

 これも二枚桂追撃ですが、序奏で角二枚を打ち捨てるのが良い味です。
 易しい作ですが、難しいだけが詰将棋ではありませんね。



『手段草』第17番
017

29銀、19玉、18金、29玉、21飛、18玉、17金、同玉、28金、16玉、
27金、15玉、26金、14玉、25金、13玉、24金、12玉、23金、21玉、
31歩成、同銀、同香成、同玉、64馬、同桂、53角、同銀、32銀、42玉、
43歩成、51玉、41銀成、同玉、32金、51玉、42金、同銀、56香、同桂、
52金
まで41手詰

 これは遠飛がテーマですね。
 72馬、63桂合、同馬、同歩、17金、同玉、28金、16玉、27金、15玉、26金、14玉、25金、13玉、24金、12玉、23飛成、11玉、14龍、12歩合、23桂、22玉、12龍、同玉、13歩、22玉、14桂、21玉、31歩成、同銀、同桂成、同角、12銀までの余詰があります。73角ならこの余詰はありませんが、初手29銀に同桂成、18飛打、37玉、27金、同玉、72馬とできないので、変化が詰まなくなります。
 28金と据えてからは追い詰ですが、53角と捨てる辺り、伊野辺看斎らしさが表れています。

※『將棊新選図式』の解答の部には「遠飛」とあります。



『手段草』第18番
018

28金、19玉、29金打、同角、同金、同玉、39飛打、同馬、同金、19玉、
46角37銀合、28角、同銀、同角、18玉、37角、27玉、28飛、37玉、
38金、46玉、47銀、57玉、48金、68玉、58金、78玉、68金、88玉、
78金、98玉、97成香、同玉、87金、同香、96金
まで37手詰

 序奏がごちゃごちゃしていますが、全格配置のために無理をしたことが見えるような手順ですね。
 11手目46角は冴えた手筋。退路塞ぎです。これを同歩と取ると、28角、18玉、37角、27玉、28飛、37玉、38金まで。そこで、46を空けたままにしておくため、取らずに37銀合が受けの妙手。この2手は圧巻ですね。あとは淡々と進みますが、詰上りがちょっと変わった感じ。



『手段草』第19番(4番)

210019 4

22銀、同玉、34桂、同銀、14桂、同歩、32飛、同龍、同銀成、同玉、
33銀、43玉、41飛、52玉、42銀成、53玉、52成銀、同玉、42角成
まで19手詰

33飛、32歩合(22玉は34桂、同銀、14桂、同歩、13銀、同香、同飛成、21玉、22銀以下)、22銀、同玉、34桂以下、作意手順になる。

14桂、同歩、34桂でも良い。手順前後。

 34桂で銀の利きを外し、14桂で退路を封鎖して清涼詰に向かいます。左の『將棊新選圖式』では余詰が生じていますが、右の『土屋土佐守作詰物』では持駒に飛がないので初手33飛の余詰はありません。収束も違います。



『手段草』第20番

210020

23歩成、同玉、12銀、同玉、34馬、23飛、24桂、22玉、32金、同龍、
同桂成、同玉、44桂、42玉、32飛、53玉、52桂成、63玉、75桂、同と、
62金、同銀、同成桂、73玉、72成桂、83玉、82成桂、同銀、61馬、93玉、
82飛成、同玉、71銀、93玉、82銀打、92玉、74角、同と、93歩、同金、
同銀、同玉、94歩、同と、83金、同飛、同馬、同玉、81飛、73玉、
82飛成、63玉、62龍
まで53手詰

23同飛は、44桂打、22玉、41銀、12玉、22金以下。

 初手は、玉の全格配置という関係で入れざるを得なかったのでしょう。以下、長い収束になり、清涼詰。



『手段草』第22番(34番)

210022

45銀、同銀、24成香、同玉、14金、同飛、44飛成、同金、42角、13玉、
31角成、24玉、42馬引、13玉、14馬、同玉、15飛、23玉、25飛、12玉、
13歩、同玉、24馬、22玉、34桂、同銀、同馬、31玉、42銀、同玉、
22飛成、41玉、23馬、51玉、33馬、41玉、42馬
まで37手詰

※第21番は補遺にあります。

 どれと言って目覚ましい手はありませんが、飛車を奪って最後は清涼詰。清涼詰へのこだわりは尋常ではありませんね。
 14成香はと金でも同じです。



『手段草』第23番(44番)

210023

45金打、同飛、同金、同香、25飛、同歩、44龍、同玉、45馬、43玉、
44馬、42玉、41成桂、52玉、54香、41玉、62馬、47馬、52香成、31玉、
53馬
まで21手詰

 25飛~44龍で馬の射程に入れてからは容易。31成桂はと金でも同じ。



『手段草』第24番(54番)

210024

37金、同成銀、27金、同飛成、46飛、25玉、37桂、同龍、34銀、24玉、
25歩、同と、23成銀、14玉、13成銀、同玉、22馬、同玉、42飛成、同歩、
33金、11玉、12歩、21玉、22歩、12玉、23銀成、11玉、21歩成、同玉、
22金
まで31手詰

 質駒をつくっておいて、27金と退路に捨駒の手筋は何度も出てきます。
 11成桂、33成銀は11と、33とでも同じですが、38成銀は34銀と打つ関係で金やと金に替えることはできません。



『手段草』第25番(64番)

025

64

57龍、同と、46銀、36玉、45銀、同銀、37歩、同玉、46銀、36玉、
45銀、
同銀、37歩、同玉、46銀、36玉、45銀、同と、25銀、35玉、
36歩、同と、24銀、同玉、44龍、13玉、24角、22玉、33角成、31玉、
41龍、同玉、52馬、同玉、51金、62玉、61金、73玉、51馬、83玉、
87香、同金右、同香、同金、94金、同香、93金、同玉、85桂、82玉、
73馬
まで51手詰

 右は『土屋土佐守作詰物』第64番。22歩がないので、初手から57龍、同と、38歩、28玉、29歩以下で潰れています。

 銀はがしです。46銀を同銀と取ると38龍までという単純なしくみですが、面白いですね。第2番は別格として、本局も秀作だと思います。
 同銀成(同銀生は38銀、36玉、47龍まで)は、45銀以下作意をなぞって、はがす銀が一枚少ないので、持駒に歩が二枚ある状態で45同との変化に合流します。
 ロ
45同とと取ると、25銀、35玉、36歩、同と、24銀、同玉、44龍、13玉、24角、22玉、33龍、21玉、22歩、11玉、31龍まで早詰になります。銀で取って、持駒の歩を使い切らせるのがミソなのです。
 左の香二本並んだ配置は第75番を思い出させますね。
 例によって、趣向の後は大駒を捌きにかかるわけですが、左辺に追わずにさっさと収束する方法もあったのではないでしょうか。


 ・・・と書いた手前、ちょっと考えてみました。
 左辺を取り去っただけなので、あっという間にできました。あんまりたいしたことはないです。(^^;

025_2

49龍、37玉、57龍、同と、46銀、36玉、45銀、同銀、37歩、同玉、
46銀、36玉、45銀、同銀、37歩、同玉、46銀、36玉、45銀、同と、
25銀、35玉、36歩、同と、24銀、同玉、44龍、13玉、24角、22玉、
33角成、31玉、41龍、同玉、52馬、同玉、51金
まで37手詰

 「」で括った部分は同じ手順です。


『手段草』第26番(74番)

210026

39歩、同金、49銀、同金、29銀、37玉、28銀、36玉、27銀、37玉、
26龍、28玉、29歩、同玉、18銀、同玉、19歩、同玉、46馬、37飛合、
同馬、同角成、29飛、18玉、19銀、同馬、27龍
まで27手詰

46同と、28銀、18玉、27龍、29玉、17銀(37銀)、39玉、28龍まで同手数。

 銀と歩を細かく使う捌きの手順。『將棊新選圖式』の手順は46同と以下ですが、37飛合の方が非限定もなく、好手順かと思いますが、如何。



『手段草』第27番(84番)

210027

28銀打、同馬、同銀、同香成、49飛、38玉、47角、49玉、67馬、39玉、
48銀、同玉、58金、49玉、59金、同玉、58馬
まで17手詰

38玉は、27銀、同香成、同馬、同玉、28銀打、38玉、27角以下。

 現在なら駒取りは避けるところでしょう。易しい作品。



『手段草』第28番(2番)

210028

52銀、同銀、32龍、同玉、42飛、33玉、25桂、同と、22飛成、同玉、
31角打、33玉、42角左成、44玉、53銀生、同銀、同馬、33玉、42馬、44玉、
53銀、54玉、64銀成、44玉、45歩、同金、54成銀、同玉、64馬、44玉、
45金、同玉、46金、44玉、55馬
まで35手詰

 駒がいろいろ当たっていますが、31角と打ってからは容易な手順です。



『手段草』第29番(16番)

210029

43銀、同桂、31馬、同玉、32飛、41玉、53桂、同飛、42歩、51玉、
31飛成、62玉、71龍、73玉、83銀生、84玉、74龍、95玉、86銀打、同金、
75龍、85金、86銀、96玉、85龍、87玉、97銀、77玉、78金、同玉、
88龍
まで31手詰

 龍追い。練習局のような手順です。



『手段草』第30番(22番)

210030

42飛、33玉、15角、同歩、43飛打、24玉、22飛成、35玉、36歩、同玉、
37歩、同玉、38香、同玉、29龍、同玉、49飛成、18玉、38龍、17玉、
37龍、18玉、28金、19玉、39龍
まで25手詰

73飛、53歩合、52角、33玉、53飛成、24玉、34角成、同玉、33飛、24玉、44龍以下。

52角、同玉、72飛、62歩合、42飛、63玉、62飛右成、54玉、74飛成、45玉、65龍右、46玉、55角成、35玉、36歩以下。

 これは虫が良すぎる手順でした。



『手段草』第31番(36番)

210031

54金、同龍、43桂成、同龍、35角、54玉、43馬、同玉、44飛、53玉、
54銀、同金、41飛成、63玉、52龍、73玉、72銀成、83玉、63龍、94玉、
93龍、同玉、71角成、94玉、83銀、同玉、82成銀、93玉、94香、同玉、
72馬、93玉、83馬
まで33手詰

 初手一発、退路に捨駒。あとは龍追い手順になります。



『手段草』第32番(42番)

210032

36龍、同銀成、37桂、34玉、52角、33玉、25桂、32玉、22金、同銀、
同成香、同玉、13馬、21玉、22銀、32玉、33桂成、同銀、同銀成、同玉、
34銀、32玉、43角成、41玉、51と、同玉、24馬、62玉、74桂、同歩、
51馬、71玉、61馬上、82玉、73馬、同玉、83金
まで37手詰

32玉は、41銀、21玉、33桂以下。

 駒交換が多く、今一つの出来。



『手段草』第33番(56番)

210033

55銀、同桂、同馬、同金、58桂、同成香、37銀、同と、同龍、35玉、
46龍、同玉、47歩、35玉、26馬、24玉、22龍、同歩、35馬、33玉、
24馬、32玉、33銀、21玉、22銀成、同玉、34馬、25歩、同香、同桂、
24香、31玉、32歩、42玉、43と、51玉、52歩、62玉、44馬、63玉、
53馬、74玉、75馬、83玉、95桂、82玉、93馬、同玉、83金
まで49手詰

37銀、同と、55馬も可。

37銀も可。

 46龍で打歩詰を解消した後は馬追いになります。

※『將棊新選図式』の解答の部には「無持馬」とあります。馬は駒のこと。


『手段草』第34番(62番)

210034

37金打、同銀成、同金、同龍、39桂、同龍、58銀、同金、56馬、同玉、
58龍、45玉、47龍、55玉、54金、同玉、44龍、63玉、53と、72玉、
42龍、71玉、62龍
まで23手詰

 送りの手筋から龍追いになります。



『手段草』第35番(76番)

210035_3

57角、同と、39銀、同金、37馬、同玉、39龍、46玉、36龍、55玉、
54金、同歩、44銀、同玉、46龍、33玉、43龍、22玉、32金、12玉、
15香、同飛、13歩、同飛、22金、同玉、32龍、11玉、21と
まで29手詰

 これも送りの手筋ですが、途中ぼんやりした46龍がちょっと面白い手。



『手段草』第36番(82番)

210036

38銀、同成銀、39金、59玉、26馬、同桂、49金打、同成銀、同金、同馬、
48銀、同馬、39龍直、同馬、同龍、58玉、49角、47玉、57金、同玉、
37龍、56玉、66金、同玉、67龍、75玉、76龍、84玉、85龍、93玉、
94龍、82玉、83歩、72玉、92龍、61玉、16角、51玉、52角成
まで39手詰

 これも龍追い。49に打った角が最後にもうひと働きして納得。



『手段草』第37番(1番)

210037

42金、同金、同銀成、同龍、41金、同玉、31歩成、51玉、41と、同玉、
32金、同龍、同桂成、同玉、42飛、33玉、43馬、24玉、64飛、同金、
25歩、同馬、同馬、同玉、45飛成、16玉、15龍、27玉、26龍、38玉、
28龍、47玉、65角、同金、48龍、56玉、46龍
まで37手詰

41金、61玉(同玉は42金以下作意に合流)、71金、同龍、同馬、52玉、62飛、41玉、42銀成、同金、61飛成、51銀合、31歩成、同玉、51龍、41金打、32銀、同金寄、41龍、同玉、32桂成、同玉、43金、同玉、73飛成、54玉、53馬、45玉、36銀、同玉、35馬、37玉、15角、38玉、48金、29玉、79龍以下。

 鮮やかな中空での詰上りですが、余詰がありました。



『手段草』第38番(100番)

210038

61桂成、同玉、51飛、同玉、84角、同歩、62銀、同金、42銀、同銀、
61飛、同金、同角成、41玉、42桂成、同玉、43金、31玉、32銀、22玉、
33金、同玉、43馬、22玉、24香、同銀、34桂、12玉、21銀生、23玉、
22桂成、同玉、32馬
まで33手詰

61飛、同金、42銀の手順前後あり。

 これも駒取りが多い作品。62銀~42銀の手順が限定できていればというところです。



『手段草』第39番(18番)

210039

62金、同玉、72金、同玉、82飛、73玉、83飛成、62玉、63金、51玉、
81龍、42玉、34桂、同銀、72龍、43玉、52龍、54玉、64金、同玉、
63龍、75玉、86銀、同玉、66龍、95玉、96金
まで27手詰

 これは平板でした。



-----絶対に毎日更新ではなく、不定期につづく-----

2013年12月25日 (水)

『象戯手段草』全作品3

『手段草』第3番(28番)
003

15香、同桂、23香成、同玉、24飛、13玉、44飛、23玉、24飛、13玉、
27飛、14玉、24飛、13玉、
25桂、同桂、64飛、35香合、同角、23玉、
24歩、33玉、34香、43玉、55桂、52玉、63桂成、41玉、52金、同金、
同成桂、同玉、63金、41玉、44飛、31玉、42飛成、同玉、53角成、41玉、
52金
まで41手詰

 縦横の連取りです。
 初手、桂を取らず15香(退路塞ぎ)、同桂として空成りするのがオシャレですね。
 
64飛を先にしても、24香を先にしても同じなのが惜しまれます。
 ところで、玉方67龍配置の意味ですが、これは
63飛成以下の余詰防止駒であると同時に、合駒制限も兼ねています。つまり、初手15香に14飛合で詰まないのです。四金配置も合駒制限で、玉方17金がと金だと14金合で詰みません。なお、玉方27成桂は生桂でも良さそうです。
 23玉は63飛成、33歩、24歩に32玉の一手となり早詰。35角と呼んでおけば24歩に34玉とできるわけです。

※『將棊新選図式』の解答の部には「戻手詰」とあります。



『手段草』第4番(30番)

210004

16香、同飛、15金、同飛、26桂、24玉、34角成、同銀、33飛成、同玉、
44金、22玉、34桂、12玉、21銀、同玉、32成桂、同玉、54馬、31玉、
42成香、同銀、同桂成、同玉、43金、51玉、52銀、同金、同金、同玉、
64桂、61玉、62歩、同玉、63金、61玉、52桂成、71玉、62成桂、82玉、
72金、91玉、81金、同銀、同馬、同玉、72銀、91玉、82銀、同玉、
93と、同玉、83金
まで53手詰

 駒交換の多い、追い手順です。



『手段草』第5番(48番)

210005

16歩、同玉、13桂生、15玉、27桂、同と、16歩、14玉、24金、同玉、
46角、同香、22龍、35玉、25龍、44玉、45龍、33玉、32銀成、同玉、
43龍、31玉、21桂成、同玉、11香成、31玉、23桂、22玉、12成香、同玉、
11桂成、同玉、13龍、21玉、12角成、32玉、22馬、42玉、33馬、52玉、
51馬、63玉、72銀生、同玉、73金、同金、同馬、同玉、53龍、74玉、
76香、同と、85金、65玉、55龍
まで55手詰

 打歩詰を回避するための桂不成です。この桂を活用して龍追い手順になりますが、軽手を交えて冗長感のない収束になっています。

※『將棊新選図式』の解答の部には「桂不化」とあります。



『手段草』第6番(50番)

210006

18飛、17歩合、25銀、同桂、15金、同玉、17飛、同桂生、14と、同香、
24銀、26玉、18桂、36玉、35馬、47玉、57馬、36玉、37歩、45玉、
35馬、55玉、65金、同玉、57桂、54玉、45馬、53玉、65桂、62玉、
72馬、51玉、61馬、同玉、71飛、62玉、73香成、71玉、82歩成、61玉、
72と、51玉、62と、41玉、32銀成、同香、同金、同玉、34香、21玉、
32銀、11玉、12歩、同玉、23銀上成、11玉、21銀成、同玉、32香成、11玉、
22成香
まで61手詰

 今度は打歩詰を誘致する玉方桂不成です。最後は定番の収束。

※『將棊新選図式』の解答の部には「玉方桂不化」とあります。


『手段草』第7番(68番)
007

26銀、同玉、18桂、15玉、27桂、14玉、26桂、23玉、15桂、22玉、
14桂、11玉、23桂生、同香、31龍、同飛、22角、21玉、31角成、同玉、
51飛、32玉、41飛成、33玉、34歩、同玉、45龍、33玉、34歩、32玉、
41龍
まで31手詰

 二枚桂の追撃物。非常に易しいですが、理屈ではなく駒の動きが楽しいです。残った桂が詰上りに参加しているのも良いですね。
 玉方の39角はそのまま残ってしまうので39銀にしたいと思います。



『手段草』第8番(70番)

210008

28龍、同玉、73角、27玉、37角成、16玉、28桂、25玉、36馬、24玉、
14金、同金、16桂、23玉、14馬、12玉、24桂、21玉、32金、11玉、
22金、同玉、13銀、31玉、32桂成、同飛、同馬、同玉、12飛、33玉、
22飛成、44玉、45と、53玉、65桂、63玉、74金、同玉、72龍、65玉、
75龍、56玉、55龍、47玉、46龍、58玉、59歩、同と、57龍、69玉、
79金、同成香、59龍、78玉、79龍、87玉、89香、88角合、同龍、76玉、
77龍、65玉、54角、64玉、65歩、53玉、73龍、52玉、43角成、41玉、
42歩、31玉、21馬、同玉、23龍、31玉、22龍
まで77手詰

 馬追いから龍追いに変わって、88角合がうまい延命。この角を使って隅に追い込み、無駄なく捨てています。



『手段草』第9番(88番)

210009


18龍、同玉、17馬、29玉、47角、同桂生、19金、38玉、27馬、同玉、
28金打、26玉、18桂、25玉、15と、34玉、35歩、同飛、26桂
まで19手詰


18金、29玉、19金打、39玉、17馬、49玉、16角、38銀合、69龍、48玉、49歩、47玉、36角、同玉、35馬、37玉、36飛、47玉、59桂、56玉、45馬まで。

 47角から27馬の強手と、力強い作品ですが、余詰がありました。なお、47同桂生は桂成でも短くはなりません(別詰は生じる)。

※『將棊新選図式』の解答の部には「玉方桂不化」とあります。



『手段草』第10番(6番)

210010_2

22金、同玉、34桂、同金、62飛、32金、12金、33玉、32飛成、同玉、
21角、42玉、43銀、53玉、54銀成、62玉、52金、同玉、43角成、51玉、
52歩、61玉、62歩、同玉、53成銀、同桂、54桂、61玉、51歩成、同玉、
42桂成、62玉、52馬
まで33手詰

22銀、32玉(同玉は34桂、同金、52飛、32金合、12金、33玉、32飛成、同玉、21角以下)、21角、42玉、33銀成、53玉(同玉は35飛以下)、52飛、64玉、54飛成、75玉、65龍、84玉、76桂以下。

 盤上に攻駒のない無仕掛図式ですが、初手から余詰がありました。

※『將棊新選図式』の解答の部には「無仕掛」とあります。



『手段草』第11番(12番)

210011

14桂、同歩、13銀、同香、23香、同金、21飛、同玉、23龍、22銀、
12金、31玉、22金、41玉、52銀、同金右、32金、同金、52金、同玉、
32龍、53玉、63金、同銀、同香成、同玉、72銀、73玉、63金、82玉、
81銀生、同玉、72金、91玉、94香、同と、92歩、同玉、73金、93玉、
82龍
まで41手詰

 今度は銀不成が狙いでしょうか。基本的に追い手順なので、あまり妙味は感じられません。



『手段草』第12番(26番)
012

24香、12玉、23金、同角、同香成、同玉、32角、同飛、45馬、34桂、
24歩、22玉、23金、31玉、32金、同玉、44桂、41玉、43飛、42歩合、
同飛成、同玉、22飛、53玉、62飛成、同玉、63銀、71玉、72歩、61玉、
34馬、同歩、53桂、同香、52桂成
まで35手詰

 とりたてて称揚するほどの作品ではないかもしれませんが、退路塞ぎの32角や45馬を取らずに桂を跳ね、その桂を最後に奪っての収束など、うまいものです。
 玉方74との意味ですが、34歩突なら24歩、33玉、44馬、42玉、43金、31玉、32金、同玉、23歩成、41玉、43飛、42歩合、同飛成、同玉、43歩、52玉、42飛、63玉、62飛成のとき、74玉とさせないための退路塞ぎ駒です。



『手段草』第13番(32番)
013

35銀、同龍、25香、同龍、同馬、13玉、24馬、同角、25桂、12玉、
21銀生、同玉、22銀打、32玉、
33桂成、同角、同銀、同玉、42角、43玉、
53飛、32玉、33飛成、41玉、51角成、同玉、42龍
まで27手詰

 初手26香と合駒を稼ぎたくなるところですが、25桂合、同香、35玉で逃れ。35銀は退路塞ぎで、『手段草』にはこの手筋がよく出てきます。
 
33桂成は33銀でも同じです。現在はこういうところはうるさくなっていますが、当時は歯牙にもかけなかったことでしょう。
 以下、気持ち良く捌いて清涼詰です。
 攻方12歩は11飛と打つ余詰を防止する駒で、玉方11香の方が自然ですが、12歩だと玉に取られて残らないのでそれを重視したのでしょう。



『手段草』第14番(46番)

210014

24金、同香、同成桂、同銀、15金、同銀、26香、同銀、同銀、同玉、
16龍、同玉、17馬、同玉、26銀、16玉、17歩、同馬、25銀、15玉、
16歩、同馬、24銀、14玉、15歩、同馬、23銀生、13玉、14歩、同馬、
22銀生、12玉、13歩、同馬、21銀生、11玉、12歩、同馬、同銀、同玉、
34角、11玉、19飛、22玉、12飛成、33玉、23龍、42玉、43角成、51玉、
61馬、同玉、63龍、71玉、62金、81玉、72金、同金、92香成、同玉、
72龍、93玉、85桂、94玉、95金、同玉、86銀、96玉、92龍、87玉、
97龍、76玉、77龍、65玉、66歩、64玉、73龍
まで77手詰

 銀歩送りから龍追い。銀歩送りは『将棋勇略』第34番が一号局ですが、これが二号局になるのでしょうか。収束でなく、序奏に使っているのが新機軸でしょう。

※『將棊新選図式』の解答の部には「追詰 并 歩六牧」とあります。「牧」は枚の誤り。このあとも出てきます。


-----不定期に、細々とつづく-----

2013年12月24日 (火)

『象戯手段草』全作品2

 「この配置は?」の末尾にTETSUさん、連載開始と書いちゃダメですよ~と入れようかと思ったのだが、不定期掲載と書いたので、念押ししなくてもいいよな...と安心していたのが良くなかった。
 連載スタートと書いてあった。(>_<)

 仕方なく、明日アップする予定のものを連載らしく急遽出すハメに...。
 不定期掲載ですからね、次は期待しないで下さいねっ。
-----

『手段草』第2番(10番)

002

22桂成、同玉、13金、21玉、22飛、同銀右、同金、同玉、13銀、33玉、
34歩、43玉、76馬、同歩、44歩、同玉、55金、53玉、54金、52玉、
53金、61玉、52金、71玉、82と、同歩、73香、72桂、同香生、同玉、
73金、71玉、72金、同玉、84桂、71玉、61金、同玉、73桂生、71玉、
81銀成
まで41手詰

 『手段草』で最も有名なのは第2番でしょう。史上初の攻方飛先飛歩です。
 完本『詰将棋 トライアスロン』その42でも触れてありますので、参照して下さい。
 いうまでもなく、22歩と打つと34飛となり、44歩が打歩詰になるというしくみです。
 これは大発明ですね。
 31手目、作意73金のところ73桂成、71玉、62成桂、同角、63桂以下の余詰があるのが残念ですが、構想部分に影響を及ぼすものではありません。
 また、構図の点でも横には広がっていますが、縦は6段目までに収めた辺りも買えます。
 現在なら収束を短く切り上げて、20手台にするところでしょう。
 ところで、攻方飛先飛歩の作例、他にご存じですか?
 私は打歩関係の作品をずいぶん収集しているつもりですが、玉方飛先飛歩はあっても攻方飛先飛歩は非常に少ないのではないかと思います。ひょっとしたら七条兼三氏作(「詰将棋パラダイス」1981年5月)くらいしかないんじゃないかと。あと私の未発表作にひとつあるくらいです。(^^;

※『將棊新選図式』の解答の部には「飛歩」とあります。



『手段草』第75番(15番)

075 15

81飛成、同銀、94角、同歩、83金、71玉、72香、同銀左、同金、同玉、
83銀、63玉、64金、52玉、53歩、42玉、47香、同と、同飛、同と、
同香、同馬、43歩、51玉、63桂、同香、52歩成、同玉、44桂、51玉、
52歩、62玉、63金、同玉、64香、53玉、45桂
まで37手詰

 この作品もここで紹介しておくのが妥当でしょう。
 これもまた史上初の攻方香先香歩です。ただし、できばえは第2番に比べると数段落ちると思います。
 81飛成、同玉、84香(83香は82角合で不詰)、82歩合、同香成、同玉、83歩、同玉、84歩以下の余詰あり。

※右は『土屋土佐守作詰物』です。玉方93歩が95とになっており、これなら余詰はありません。

72歩は、作意と同じに進めて53香となり、43歩が打歩詰になります。冴えないのは47地点での物々交換で、冗長感があります。構図も茫漠と広がっている感じです。

 これは打歩詰回避の不利先打全般に言えることですが、通常、歩は二枚必要で、一枚は持駒にあるのでもう一枚をどのように入手するかでかなり印象が変わります。第2番は駒場さん風に言えば中策、第75番は下策ということになるでしょう。

※『將棊新選図式』の解答の部には「香歩」とあります。


-----金輪際、不定期につづく-----

2013年12月23日 (月)

この配置は?

※『象戯手段草』佳作選について、岡田乾州所蔵写本『土屋土佐守作詰物』(現在は国会図書館蔵)の情報も加味して、一部の作品だけでなく、全作品に編成し直すことにしました。※ではじまる文は、2016年3月9日以降の加筆です。
---

 問題です。
 初形の玉位置がこのようになっている作品集は何でしょう?

Tedatehaiti_4

 知っている人は知っている(当たり前か...)と思いますが、『象戯手段草』(以下『手段草』と略)です。黄色い部分は2局同居、青い部分は4局が同居していることを示しています。

※『土屋土佐守作詰物』は次のような配列になっています。第5番がヘンですが、これは書写間違いによるもので、これを正しくすれば、大橋家本の配列
(「謎の詰棋書象戲手段草』」詰パラ2011/07・福田稔氏)と同じになります。

Photo_6    

 ちなみに『将棋無双』『将棋図巧』『ゆめまぼろし百番』はつぎのようになっています。

Musohaiti_2

Zukohaiti_2

Yumehaiti_2

 『手段草』のシンプルな美しさが際立っているのではないでしょうか。
 同書は享保9年刊らしいのですが、確認されているのは享保13年刊のものしかないらしい。

 また、発禁になったということですが、これが行政処分だとすると風聞ではなく文献として確認できるはずです。その原物(もしくは影印)を見た人がいるのでしょうか?
(明和8年の京都本屋仲間による『禁書目録』にありました)

 享保13年(1728年)でも、『将棋無双』(享保19年)まで6年あります。駒場説のように、三代宗看が23歳から無双を準備したとしても、その時点で『手段草』を見ていたことはまず間違いないところでしょう。

 玉配置が美しいだけではなく、内容も当時の水準を上回っていると思います。
 では、私が秀逸だと思う作品を紹介することにします。

※この時点では「佳作選」と銘打っていましたが、2016年3月、「全作品」に変更しました。

 なお、私は『手段草』に関して図面以外の知識はほとんどなく、既に書かれたことを結果的になぞる部分もあるかもしれませんが、そこは大目に見て下さい。

※なお、このブログの底本は京都府立総合資料館の『將棊新選図式』上下(題簽による。東亰本郷區春木町三丁目拾三番地 東亰書肆 武田傳右衛門版)で明治期の出版ですが、見返しに
---
文 大橋宗珉先生 校正
久 福泉藤吉先生 選
新 將棊新選圖式
刻 江都書賈 山静堂
---

※1珉の字によく似ているので代用しましたが、正確には同じ字ではありません。
 さらに後印に
---
大橋宗珉 校正
福泉藤吉 選
文久元酉初秋新刻
東都書林 山崎屋清七板
---
とあるので、武田傳右衛門が板株を買い取ったものでしょうか。武田傳右衛門は天明5年の出版物が確認されています。
 また、上記『土屋土佐守作詰物』、古図鑑版『象戯手段草』(山静堂=山崎屋清七
に依る)も参照しています。

Photo
(古図鑑版『象戯手段草』)


『手段草』第1番(8番)括弧内は『土屋土佐守作詰物』の作品番号
001

12歩、同玉、23歩成、11玉、22と、同玉、13角生、11玉、12歩、同玉、
24桂、11玉、22角成、同玉、32飛成、13玉、12龍、24玉、25銀、同玉、
36金、34玉、35金、43玉、44金、同玉、14龍、43玉、34龍、42玉、
41成桂、同玉、31龍
まで33手詰

 第1番といえば、図巧のようにその作品集を代表する作品であって欲しいと思うのですが、無双ではそうなっていないので、『手段草』第1番も11玉から始めたという以上の意味はないのでしょう。

※『土屋土佐守作詰物』は51玉から始まっています。また、51成桂は成銀になっています。
『將棊新選図式』の解答の部にはところどころ狙いのようなものが書かれてあり、この作品には「一番 角不化」とあります。

 『手段草』は明確なテーマを持った作品が多いので、この作品もテーマがあるはずです。もちろん、攻方角不成がテーマなのでしょうが、これだけならもっと短くできるはず。33→32→12→14→34→31という飛の回転も主張点だと思います。回転物には甘いんです。(笑)
 41成桂はと金でも同じです。
 なお、この図も含めて『手段草』には48局もの清涼詰があります。これだけの数となると意図的なものでしょう。このうち、盤端での詰上りは38局、端に接しない詰上りは10局です。端に接しない場合は、玉方の駒を壁にしているわけです。
 ところで、玉方28とは何をしているのでしょうか。なくても余詰はないし、作意、変化のいずれにも影響がありません。
 ハテサテ??


-----不定期に、つづく-----

 『手段草』については不定期掲載で、出たとこ勝負ですので何回になるか分かりません...。

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