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2017年8月 5日 (土)

プチ懸賞付き! 山中龍雄中篇好作集

 今回は懸賞問題がありますので、最後まで読んで下さい。

 山中龍雄は1936年生まれ、2014年没。
 『山中龍雄作品集』(1976年3月 全日本詰将棋連盟)に短篇百局が収められているので、中篇(19~49手)を選んでみた。
 今さらだが、読みきり好作集は私の好きな作集であって、一般的な好作の集ではない。(なぜこんなことを書くかというと、今回、塚田賞作をひとつ外したので)

1.1959/08 近代将棋

Kinsho50691881

28香、27角合、同香、同玉、18角、26玉、28飛、27角合、同飛、16玉、
17飛、26玉、16飛、同玉、36角、26玉、17角、15玉、35角、16桂合、
同香、同玉、17歩、15玉、27桂
まで25手詰

森田銀杏
形から息の長い手順を引き出す作風を示す、デビュー当時の佳品
(『近代将棋図式精選』より)。

 桂香合が利かないので、合駒は二回とも角合しかない。
 27角合、同飛と取ったとき、27飛は邪魔駒になっている。
 淡彩ながら、無理のない手順。



2.1960/05 詰将棋パラダイス

Para54604699

16飛、24玉、26飛、34玉、36飛、35角合、同飛上、24玉、25飛、14玉、
15飛、24玉、35角、15玉、53角成、14玉、15飛、同玉、26馬、24玉、
25馬
まで21手詰

 本局も似た構成だが、前局に比べるとやや物足りないか。



3.1962/01 近代将棋

Kinsho50692573

33角、22角合、23桂生、12玉、11飛、同角、同桂成、13玉、35角、24桂合、
同角成、22玉、31銀生、同金、21成桂、同玉、33桂、22玉、23銀、11玉、
12銀成、同玉、13馬、11玉、23桂
まで25手詰

塚田九段
 北原氏作の一寸手品を思わせる駒の回転率と収束形の良さ等、思わず感嘆の声を発しそうだった。それに対する山中氏作は、収束形に北原氏作より若干劣る点があるが、俗手の好手、31銀、21成桂等、又随所に見られる合駒の難解さ、力強さ等が私を強くひいた。
 結局私は短編同様確信の持てない尽(ママ)に、北原氏の光輝ある過去そして現在を、又山中氏の素晴しい躍進ぶりなどを考慮して山中龍雄氏に決定した。
(「近代将棋」1962年8月号より)

 第19期塚田賞(中篇)受賞作。
 実戦型に粘りのある手順を得意とする作家は何人か思い浮かべることができる。ヤマタツの特徴は、選択肢の多い接近戦に強く、駒取りを厭わないことだろう。



4.1963/01 詰将棋パラダイス

Para61651571

12銀、同玉、13歩成、11玉、22と左、同角、12歩、21玉、22と、同玉、
31角、21玉、11歩成、同玉、15飛、21玉、12飛成、31玉、13角成、41玉、
52歩成、同銀、53桂、同銀、23馬、51玉、62歩成、同銀、63桂、同銀、
33馬、61玉、72歩成、同銀、73桂、同銀、43馬、71玉、82歩成、同銀、
83桂、同銀、53馬、81玉、91歩成、同玉、64馬、81玉、82馬
まで49手詰

山田修司(大学担当解説)
趣向詰の価値は作品を構成する趣向の質によってきまる。テーマたる趣向そのものに美しさや妙味、意外性といったものがなければ鑑賞者の心をうつに至らないであろう。単に機械的な反復手に過ぎぬ趣向はそれがメカニカルな構成美にまで昇華された場合を除き退屈以外の何物でもないし、もとよりロマンたり得はしない。
本局はごく軽い趣向詰であるが趣向そのものを見るとき退屈という程ではないが平板の感はまぬがれない。
さらに5筋より左は趣向でございといった駒の配置も解者に先入主と期待を与える点で不利である。しかし序の数手は作者の実力を示す見事な出来であり不動駒もなく詰上り四駒になるなどこの主題に於ては完璧の構成であった。
(以上が予定稿であったが其の後選者としての必要性から古典を再検討したところ妙案に同一のプロットを持つ作品があった-100番-さらにこれの焼直しと見られる作が舞玉にも-選題時に考証の時間がなかったのであるが読者から指弾を受けることは覚悟していた。
しかるに森田氏が既成の趣向の様に思う?といわれた外指摘がなかったのは意外であった。ともあれこれらの作品を知らずに創作したであろう山中氏に非はないが類作を採用した選者の責はまぬがれない。お詫び申し上げる次第。)
(「詰将棋パラダイス」1963年3月号より)

 付け加えることは何もない。選者には、これくらいの鑑賞眼と見識があって欲しいものだ。



5.1965/01 近代将棋

Kinsho50693240

22銀、同玉、13馬、
11玉、12馬、同玉、14香、13桂打、同香成、同桂、
32飛、21玉、22飛成、同玉、42龍、32飛合、14桂、11玉、12銀、同飛、
同龍、同玉、32飛、11玉、22飛成
まで25手詰

13同玉は、14飛、22玉、42龍、32合、31銀、11玉、12飛以下。

 すぐに取れる42銀を取らずに、玉方桂香を整理してから、なおも42龍でなく32飛と打つところが巧いと思う。



6.1965/07 詰将棋パラダイス

Para61653687

22角、同玉、33歩成、同銀、32飛、13玉、25桂、24玉、33桂生、35玉、
21桂成、26玉、18桂、27玉、16角成、同玉、36飛成、17玉、26龍、18玉、
29銀、19玉、28龍
まで23手詰

33同玉は、23飛成、同玉、35桂、12玉、34角成以下。

 変化手順を追っているような作意だが、稲富豊風の明き王手が出るところが面白く、馬も捨ててまとまっている。



7.1965/08 近代将棋

Kinsho50693390

37銀、17玉、34歩、35歩合、26銀、16玉、35銀、17玉、26銀、16玉、
37銀、25玉、36銀、16玉、47銀、25玉、36銀、16玉、35銀、17玉、
26銀、16玉、37銀、25玉、26飛、34玉、33角成、35玉、36飛、45玉、
46飛、35玉、36歩、25玉、45飛、35歩合、同飛、同桂、26歩、16玉、
17歩、同玉、18歩、16玉、34馬
まで45手詰

36歩合は、17歩、25玉、36銀、24玉、33角成、13玉、23馬、同玉、63飛成、32玉、33歩成、21玉、13桂、31玉、32歩、41玉、61龍、51合、53桂生まで35手。
46歩合は、同飛、25玉、36銀、16玉、35銀、17玉、26銀、16玉、37銀、25玉、26飛、34玉、33角成、35玉、46飛以下作意と同じ手順で詰む43手。
24玉は、33角成、13玉、23馬、同玉、33桂成、24玉、25歩、13玉、23成桂、同玉、43飛成、12玉、24桂、11玉、12歩以下39手。
56桂合は、同飛、25玉、26飛、34玉、33角成、45玉、57桂、35玉、36飛、25玉、34馬まで。

35桂合は、同飛、同桂、26歩、16玉、34馬、17玉、29桂まで43手。

 本局は傑作である。
 2手目の局面と12手目の違いは攻方の持駒が一歩増えていること。さらに24手目の局面でさらに一歩増えている。ここからは収束だが、左辺を54歩一枚で済ませているところなど実に無駄がない。



8.1966/03 近代将棋

Kinsho50693657

18香、23玉、27香、33玉、36香、43玉、45香、53玉、65桂、52玉、
54飛、63玉、73角成、54玉、63角、65玉、74角成、54玉、64馬寄、45玉、
55馬、36玉、46馬、27玉、37馬、18玉、28馬
まで27手詰

17香、23玉、27香、33玉、36香、43玉、45香、53玉、65桂、52玉、54飛、63玉、53飛成、74玉、73龍、65玉、74角、55玉、53龍、54銀合(54歩合は、73角成、45玉、43龍、44金合、同龍、同玉、34金、53玉、63馬以下)、73角成、45玉、54龍、同玉、63角成、65玉、74馬右、54玉、64馬寄、44玉、53銀、43玉、33香成、同玉、55馬、43玉、44馬、32玉、22香成、41玉、63馬以下。

22玉は、32歩成、同玉、35香、33桂合、同香成、同玉、35香、43玉、45香、53玉、65桂打、52玉、54飛、61玉、51飛成、同角、同角成、72玉、73馬、81玉、72角、92玉、83角成、81玉、82馬まで変化同手数。これより早い順はなさそうなのだが。
22玉は、34桂、21玉、24香、23桂合、81飛成、51歩合、同龍、同角、22歩、32玉、42桂成以下23手。

53飛成、74玉、73龍、65玉、74角、54玉(
55玉は53龍、54銀合、73角成、35玉、54龍、同玉、63角成、65玉、74馬右、54玉、64馬寄、44玉、35銀、45玉、55馬、36玉、46馬以下)、43龍、55玉、53龍で手順に合流。。

塚田九段
作者のねらいがこの位的確に表現出来れば、文句のつけようがない。

作者
 本作は序奏の階段状四香連打、収束の玉による四香消去の構想を、如何に結合させるかに随分苦心したもので、完成までには十時間位消費したと記憶している。
 創作過程では龍馬による小型煙詰が有力で未練があったが、総合的な観点から断念して二枚馬を選択した結果、詰上り歩の残留となった。作図に当っては構想の特徴から使用駒最少、初形美と持駒との調和、流動的な詰手順、綺麗な詰上りを外面的な目標としたところ金銀不使用で完成したため、最初の予想より以上に軽快となり、しかも簡潔にまとまったので典型的な構想趣向の快心作となった。
 一方内面的にみると、変化順は適度と思うが棋形持駒からある程度黙殺できるのは確かである。二手目22玉の変化を消す攻方23歩の配置は香打を渋滞させない意味から当然考えられるが、小生の作風として置きたくない駒である。作品としての均衡はとれているのでこれ以上の推敲はできない。
 以前は候補に上ると思われる作品を発表した場合にはある程度の期待を掛けたものだが本作が受賞するとは不思議にも夢想だにしなかった。その理由としては山田修司氏の中、長篇における五期連続受賞、柏川悦夫氏の二十一期から二十六期にかけての四期受賞、最近作の質の向上が挙げられる。そして以前長篇に不詰作を出した事に対して自発的に行った本誌への一年余の投稿中止(覚悟してはいたがこの期間の何と長かったこと!)以後の張合い抜けが未だに大きく影響している。
 とにかく作風にマッチした作品での受賞なので喜びも格別です。
 これを契機としてねらいを持った作品に力を注ぎたいと思っております。
(「近代将棋」1966年8月号より)

 第27期塚田賞(中篇)受賞作。
 ひときわ美しい図と手順。完全なら名作だったが、二箇所も潰れていた。



9.1967/03 詰将棋パラダイス

Para66701205

22角、同玉、23香、12玉、14飛、13角合、同飛成、同玉、31角、22銀合、
同角成、14玉、13馬、同玉、14銀、12玉、22香成、同玉、23銀成、31玉、
32成銀
まで21手詰

13銀合など前に利く駒は同飛成、同玉、14に打って簡単。13桂合は、22香成、同玉、24飛、31玉、32歩以下。

22金合は同角成以下、同手順。

 飛→角→銀の持駒変換。22合が限定されなかったのは残念。



10.1969/01 詰将棋パラダイス

Para66703367

75飛、54玉、56香、55飛合、同香、45玉、47飛、46歩合、同飛、35玉、
45飛、同玉、46歩、35玉、54香、65歩合、同飛、同香、36歩、同玉、
26馬
まで21手詰

65角合で不詰。

☆玉方飛先飛歩の応用である55飛合を中心に実に華麗にまとめられた一局と思っていたら不詰でした。

★不詰 2手目
65角合でどうしても詰まない。

作意不詰双方解
海老原辰夫、若島正の二氏。
(「詰将棋パラダイス」1969年3月号結果稿より)

 飛合をすると歩に換える手間が増えるので延命になる。飛合が成立したので安心してしまい、角合がすっぽり抜けてしまったのだろう。


 さて、ここからが懸賞問題。
 この図を完全作にするにはどうしますか?
 条件1:修正三原則で行うこと。修正三原則とは、
 一、玉位置を変えない
 二、作意を変えない
 三、持駒を変えない
です。つまり玉を除く置駒の変更だけで何とかして下さい。
 条件2:詰将棋パラダイス入選99回までの方に限ります。パラ同人には簡単な問題ですから。
 条件3
応募作を当ブログに掲載することを承認する方に限ります。
 最優秀作は
当ブログに掲載します。その他の作品も掲載することがあります。これを承認しない方の応募は控えて下さい。ただし、私の腹案にも劣るような作ばかりの場合は、賞品無し(ケチ!)

 賞品は最優秀作1名のみ(ショボイ)
 かつて詰将棋パラダイスとは別料金で「詰棋通信」という小冊子が頒布されていました。これを差し上げます。後に製本されて単行本として刊行されたものですが、「詰棋通信」を持っている人はあまりいないらしいです。綴じられておらずバラですが、ある作品集の全頁揃っています。さて、それが何かはお楽しみ。
 結果発表は最優秀作だけでなく、主だったものについても行いますので、何も当たらないのに恥だけかかせるんかい! という方は応募しないようにして下さい。

 応募方法
 コメント欄に書かれる場合は、テキストになりますので、13歩削除、攻方14歩追加といった具合に配置が分かるように書いてください。さわらない配置についての記載は不要。非公開にします。
 メールの場合は画像添付でもテキストでも結構です。
 メールアドレス 
botanmn@gmail.com
 ツイッターのDMも可。 @_karineko
 締切 8月20日(日)


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