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2017年8月 2日 (水)

石阪久吉好作集

 石阪は1937年生まれ。東京の人。1954年から57年にかけて27局発表。活動期間は短かったが、実戦型をベースにしたセンスの良い短篇が多い。

『三百人一局集』では28局となっているが、27局しかなさそうだ。


1.1954/12 新・王将

Photo

32金、同銀、23桂、同銀、32歩成、同玉、42金
まで7手詰

 本局は「王将」廃刊号に掲載されたもの。入選回数は「近代将棋」
1回分も含んでいる。
 これが作意かどうかは分からない(32歩成、同銀、42金かも知れない)。絶対手の連続だが、無難にできている。



2.1955/07 近代将棋

Kinsho50691189

54角成、22玉、31銀、23玉、45馬、32玉、24桂、同馬、23馬、同玉、
22金
まで11手詰


41玉は、63馬、31玉、32金まで変化同手数。

塚田九段
七月号北川氏、石阪氏、と八月号何氏がいいと思った。
中でも石阪氏が、まぎれはあり、型もよし、力強いので、これをとった。手順などは玄人っぽい。

作者
 家業(農業)の手伝いをするかたわら、××高等学校定時制へ通っております。受賞通知の日は、嬉しさに、折からの中間試験の勉強も身が入らず、ほうほうの態でした。
 作品自評──主眼手の23馬は、前半に捨駒がないため、きわ立った好手になっていると思います。
 好きな諸作家──柏川悦夫氏、金田秀信氏、植田尚宏氏
 抱負──低棋力のため、と、時間の問題で長篇作は敬遠してましたが、受賞を機会に取組んでみたく思います。なお、私の次の夢は実戦型の新開拓です。
(「近代将棋」1956年2月号より)

 第6期塚田賞(短篇)受賞作。
 前半はつかみどころのない手順だが、24桂~23馬の放り込みで一気に盛り上がる。変同でなければなお良かった。



3.1955/11 詰将棋パラダイス

Para54601323

22金、同玉、23香、12玉、24桂、23玉、34銀、同角、同龍、22玉、
31角、同玉、33龍、同桂、32金
まで15手詰

23同金は、42龍、32合、31銀、12玉、24桂、同金、32龍まで。

さて三手目24香以下の手順を踏み十数名の方が失格。24香、同金、42龍、32合、31銀、12玉、32龍迄。
及び24香、23合、同香成、同金、42龍、32合、31銀、12玉、24桂、同金、32龍迄の二方法である。
これらは24香、同金、42龍、32桂合、31銀、23玉、24と、同桂、22龍、34玉以下不詰。32桂合とは誠に旨い防手があったもの。因って此処は23香とヂックリ腰をすえる処。五手目も亦奇抜で一寸その例を見ない程の珍品である。24桂とは又素晴しい手があったものである。今にも23から14へ抜けられそうな錯覚に陥るからで誠に無理からぬ盲点である。然し其処には34銀という手を作者は用意してある。九手目の同龍も当然なる捌きとは申せ作者の新感覚の現れで、同金には41角の清冽なる変化を秘めている。十手目22玉とすべき処を同金以下13手詰とされた方が大部あったが無理からぬミスであった。31角以下は別に別に変り栄えのしない手順。
この簡素な棋型から発散する妙麗なる手順の妙は最近稀に見る好局で短篇中の傑作と申しても過言ではない。
(『半期賞作品集』1979年3月 石沢孝治編)
結果稿の引用だろうか。

 1955年度下半期、小学校半期賞作品。
 一連の手順の中では、24桂が一見指しがたく、34銀が筋が悪そうで異質な手と思う。



4.1955/12 詰将棋パラダイス

Para54601418

32飛、23玉、24香、同角、34銀、13玉、31馬、14玉、12飛成、同香、
32馬、13玉、23馬
まで13手詰

13玉は、14銀、同玉、34飛成、23金合、32馬、13玉、14香、同金、同龍まで11手。

 やや薄味だが、邪魔な飛車を捌いて型どおりの仕上がり。



5.1956/01 詰将棋パラダイス

Para54601444

31角、12玉、13歩、同桂、22角成、同玉、24香、23飛合、33銀、11玉、
21馬、同飛、同香成、同玉、23飛、31玉、22飛成
まで17手詰

25香は、23銀合で逃れ。
23玉は、25香、24合、32銀、12玉、21銀生、11玉、33馬以下。

今井-華麗さの中に渋味を加え、石阪時代到来の感。
(『三百人一局集』より)

 しかし石阪時代は来なかったのである。
 詰パラ表紙作。
 初手上部から押さえておく手が見えるので、31角はやや意外。
 桂を跳ねさせて元の形に戻すところは巧い。
 玉方17とは、23香成、同玉、33飛、24玉、34飛成、15玉、16銀、同玉、36龍以下の余詰防止駒。この順を防ぐのに17とは要らない。41歩を香にすればよいと思う(玉方42歩は余詰む)。



6.1956/04 詰将棋パラダイス

Para54602048

49角、同金、27角、29玉、38角、同玉、49金、同玉、29龍、48玉、
38金、同桂成、59龍、47玉、57龍
まで15手詰

83角は47歩合で逃れ。

 作者には珍しい入玉図。
 初手質駒をつくっておいて、27角で取り返すと見せて一路動くのが肩透かし。邪魔駒消去だ。



7.1956/05 近代将棋

Kinsho50691219

34飛、23玉、32角、同飛、24馬、22玉、32飛成、同玉、41銀生、22玉、
32銀成、11玉、33馬、同桂、21飛、12玉、22飛成
まで17手詰

34同飛は、25角、23玉、34馬、32玉、43馬、22玉、32飛、11玉、33馬、同桂、12歩、21玉、31銀成まで15手。
12玉は、21角成、同飛、14飛、23玉、13飛成、32玉、33龍まで。

 初手24飛、13玉、34飛は12玉で届かない。
 34飛、41銀生、32銀成と小気味よい手が続く。
 『近代将棋図式精選』に収録されている秀作。



8.1956/05 詰将棋パラダイス

Para54602140_2

14桂、同金、13金、同香、42龍、11玉、21馬、同玉、33桂、11玉、
31龍、12玉、21龍
まで13手詰

 3手目の13金が好手。龍が4段目にいるうちに上部を封鎖してしまう狙いである。



9.1956/06 詰将棋パラダイス

Para54602247

15桂、13玉、22銀、同玉、23銀、13玉、22銀打、同角、12銀成、同香、
23桂成、同玉、34馬、13玉、24馬
まで15手詰

15同角は、34銀、13玉、22銀、同玉、23銀打、13玉、14銀成、同玉、32馬、13玉、23馬まで13手。

 何が何でも22地点を塞ぐ手順。12銀成から23桂成と持駒をすべて捨てて詰み上がるのが良い。
 玉方44歩は不要駒。



10.1956/07 詰将棋パラダイス

Para54602310

42角、22玉、34桂、同金、31角成、同玉、41飛、22玉、32龍、同玉、
43飛成、22玉、31角、同玉、42龍
まで15手詰

12玉は、13飛、同桂、22桂成、同玉、33角成以下。

 3段目の風通しを良くしておいて玉を戻す。収束までスッキリしている。


 巧い作家だが、全体に淡泊。筋の良い手にこだわりすぎて迫力に欠ける印象を受ける。

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コメント

T-Baseには石井久吉という人もいますが何か怪しいですね。

EOGさま

コメントありがとうございます。
DB入力時のミスということも考えられるので、図書館で確認してきました。
将棋世界1955年4月号は確かに「石井」、6月の結果稿も「石井」。この当時は東京などの住所表記はなく、「読者」とあるだけです。
作品としては、石阪久吉に通じるものがあるように思います。
将棋世界1957年6月号は「東京 石井久吉」とあります。これは懸賞ではなく、当月号別頁に手順も記載されていますが、そちらは「E」だけで名前はありません。また不出来な作品と思います。
1955年4月号は石阪作と言われてもおかしくはありませんが、名前を二度とも間違えるかどうか…。

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