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2017年8月13日 (日)

眞木一明好作集

 眞木一明(まきかずあき)は1950年代、有力作家と目されていた。
 すでに紹介した「王将」1954年1月号に「詰将棋 第一線の作家陣」という記事があり、そこに紹介された18人の中に名を連ねている。
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 正統派というべきか。実に癖のないものを作る。そこが彼の長所とも短所とも言えよう。21才
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 また「旧パラ」1951年8月号の「詰将棋新人作家紹介」に
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(一)住所 東京都目黒区…
(二)年令 満十八歳(昭和七年十一月三十日生)
(三)職業 なし
(四)棋力 此の三月広津先生に二枚で勝たせて貰つたのを始めとして、京須、飯塚、坂口先生の順に二枚で勝たせて貰つた事により想像して大体八、九級は有ると思ひますが。
(五)棋歴 …詰将棋に興味を持ち出したのは……確か、それから丸一年位経た昭和二十三年、高校一年の夏頃からだと思います。最初は学校で疲れて来た頭脳を癒す為の一つの手段に過ぎなかつた積り?でしたが、何時の間にか、本業そつちのけに熱中し、加えて其の年の暮れ頃からでしたが、"へぼ"のくせに創作等と称す大それた(当時としては)考えを起しネチネチ愚作をデツチ上げ始めたのです。
当時は、一月に一、二題ずつ作つては評論へ気休め的に投稿しては月々の詰棋欄を、胸はずませて見ていたのですが、皆目出ず、やつと二十四年の七月号(評論)に入選した時の喜びは如何ばかりか、お察し下さい。

Photo_5

12角、32玉、21角成、同玉、22銀成、同玉、33金、12玉、22飛、13玉、
23飛成、同桂、31角、12玉、22角成迄15手詰

(六)処女入選作と思ひ出 此れは誰しも同じでせうが、自己の作品が本に出題される事に依つて、其の人の創作欲に拍車が加えられる事は確かの様です。私の場合もそうでした。其れからと言ふものは月、一、二題が三、四題と成り更に増えんとした矢先(少し下手な表現でしたが)、昨年の九月「詰パラ」を発見するに及んで、詰将棋に対する情熱は其の頂点に達しました。
(七)将来への希望 凡そ、何事も頂点に達すると言ふ事は、次に当然下りを示すものですが、私の場合一つの段階に達したので、将来は更に腕を磨き上達したいと思つて居ります。どうぞ宜しく御指導の程お願ひ致します。
(八)創作に対する抱負 今迄の私の作品を見て、それ等のすべてが小品で有りました。実は今年の正月頃一つ、今年も11香、21桂の型で短篇を主に作らうかな、と方針を立てパラ等へも其の旨回答したりしたのですが、最近棋友から私の作が余りにも良く有る様なものばかりだと苦言を呈されました。此れに就いては私も前々より感じて居た事なのですが、如何にしても微力、自分のマンネリズムから脱する事が出来なかつたのです。此れからも自己のマンネリズムを廃す様心がけ、何か新傾向の中篇作でも出来ればと思う様に成りまして、目下作戦を練つて居りますものの……。
(九)将棋界えの希望 最後に月並ながら一日も早く、詰将棋憲法、詰将棋連盟等設立されん事をお祈り致します。
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※原文通り。手順の漢数字は半角数字に変更。

ここに置いている
一局は、改めての掲示はしない。


1.旧・王将 1949/12

0133

24桂、同角、13銀成、同角、24桂、同角、22金打、13玉、12金打、同香、
23金引、同馬、25桂
まで13手詰

 上部を塞いでから銀を捌き、22金を打つためにまた24桂を打つ。
 53金は不要駒だが、初々しさを感じる。



2.旧パラ 1951/05

Para1488

23金、同角、33銀、同桂、34桂、同角、23角成、同玉、35桂
まで9手詰

 これも桂吊し。41飛は香でも差し支えない。



3.近代将棋 1951/06

50690294

11飛、同玉、32飛生、33角、同角成、同桂、22角、12玉、24桂、同歩、
11角成、同玉、23桂、21玉、31桂左成
まで15手詰

 33歩合に備えて32飛不成。詰上りがちょっと重いか。



4.近代将棋 1952/05

50690466

23飛打、22香合、同飛成、同銀、43角成、12玉、13歩、同銀、34馬、21玉、
23飛成、22金、43馬、31玉、33香、41玉、32龍、同金、同香成、51玉、
52金
まで21手詰

22桂合は、43角成、32歩合、22飛成、同玉、34桂、12玉、13歩、21玉、23飛成、22合、同桂成、同銀、32馬まで。

 初手重ね打ちがゴツイ手。23飛成は22香合で詰まず、43角成は32銀打で詰まない。
 32龍も(すぐ詰むのだが)何となく面白い。



5.近代将棋 1952/11

50690535

14香、13角合、同香成、同玉、14金、12玉、21角、11玉、22馬、同玉、
13金、同玉、12金
まで13手詰

 2手目桂合なら、25桂~13金で早い。こういう形は角合が多いものだ。
 いったん打った金を13に滑り込ませる手触りがよい。



6.近代将棋 1953/06

50690665

24桂、同歩、11角成、同玉、44角、33角合、同角成、同桂、22角、12玉、
31角成、23玉、12飛成、同玉、14香、23玉、13香成
まで17手詰

 3.に少し似ているが、飛車を捌く分、こちらの方が出来が良さそうだ。
13合、同香成、11玉で2手変長。(解答欄魔さん指摘)嫌がらせのような捨合だが、変長とみなすしかない。



7.新・王将 1954/07

0142

32飛生、21玉、22歩、11玉、12歩、同玉、13歩、同玉、33飛生、12玉、
23角生、11玉、12歩、22玉、32角成、12玉、23飛成、11玉、22馬
まで19手詰

21歩成、同飛、12歩、22玉、32角成、12玉、21馬、同玉、31飛打、12玉、32飛上成、22合、21飛成以下。

 「飛角の三度の不成がねらい」と結果稿にあった。
 このとき入選30回。植田尚宏は8回、北原義治は19回、桑原辰雄は23回というところである。創刊して7箇月なのに30回はおかしいように見えるが、吸収した「将棋評論」「旧・王将」、及び本体の「近代将棋」の入選回数を合算しているのである。
 本局の出題図は15銀でなく金で、初手から32角成、11玉、12歩、同玉、13歩、11玉、22馬、同玉、23歩の余詰があった。15金は8月号で銀に修正(結果稿は9月号)されたが、この図にも余詰がある。
 簡単に直すなら玉方53角追加だが、不動の大駒を2枚も置いては興ざめであろう。



8.近代将棋 1956年4月

50691204

33歩成、同桂、62飛、32金合、13馬、同飛、同桂成、同玉、14飛、22玉、
34桂、21玉、11飛成、同玉、13香、21玉、12香成、同玉、32飛成、13玉、
14金
まで21手詰

32歩合は、13馬、同飛、34桂、31玉、42飛成以下。

 62飛と三間離して打つ。以遠打である。52飛なら31玉、43桂、41玉でつかまえられない。
 金合以降はやや単調。



9.将棋文化 1958/11

0093

23飛成、22歩、13香、同龍、同龍、12金合、同龍、同玉、23金、同歩、
11飛
まで11手詰

 22歩と突き出すのが面白い。ここからも締まっている。
 「将棋文化」は1957年9月~58年12月まで16号で終刊。ダイヤモンド社から発行されていたらしい。



10.近代将棋 1964/07

50693089

42銀、21玉、23飛成、22飛合、同龍、同玉、23歩、11玉、31飛、21角合、
22歩成、同玉、23角成、同玉、21飛成、22飛、33銀成、同桂、34角、13玉、
12角成、同飛、14香
まで23手詰

21歩合は、22歩成、同玉、23角成、11玉、21飛成、同玉、32香成以下。

 二度の飛合も角合も分かりやすい。四香配置の必然性はなく、24桂でも良かったのではないか。


 以上10局、形はまことにキレイで、軽く仕上がってはいるのだが、今一つ手応えがない憾みがある。この方向を進んでも、楽しい世界には出会わないという気がする。

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コメント

4番の収束の作品を大学に発表したことがあります。
危うく夕刊フジに収束を再利用するところでした。助かりました。

6番は16手目13合とする変長が気になってしまうのは、やはりビョーキですか。

解答欄魔さま

コメントありがとうございます。
1997年4月号ですか。確かに。
眞木作は何か不思議な感じのする収束だなあと思っていましたが。
6番が変長なのは気がつきませんでした。
変長かな?…変長ですね。

6番の13合は嫌がらせじゃなくて手筋の捨て合でしょ。
これでまとめて1作創りたいところですが、小西さんの作品がありますからね。

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