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2017年8月18日 (金)

三桂小僧好作集

 本名岩井則幸。1934年生まれ、1979年没。岩井銀吉の筆名もある。
 好作集は10局をめやすにしているが、絞るのに悩んだ。この作者は20局でも良いと思ったほどである。

1.将棋世界 1951/09

Sekai46800555

99金、同玉、69龍、79金合、33角、同龍、79龍、89金、98金、同玉、
88金、同金、97金
まで13手詰

79銀合は、33角、同龍、79龍、89金合、88銀、98玉、97金まで11手。

44角は、88歩合で逃れ。

 1950年代初頭の作とは思えない。80年代と言っても疑われないだろう。
 玉方龍の利きを外すための69龍に対して、79金が疑似中合。
 33角を限定するための31角が所在なげだが、31銀とどちらが良いかは分からない。



2.旧パラ 1952/03

Kyupara2472

87飛、同香成、86銀、同成香、88銀
まで5手詰

 香の成らせもの。これ以降の同一の狙いの作は類作の誹りを免れない。
 完成品である。




3.詰将棋パラダイス 1956/09

Para54602523

41銀生、23玉、15桂、14玉、13飛、同玉、35角成、12玉、23桂成、同玉、
13金
まで11手詰

 簡素図式。簡素であればいいというものではないが、本局は紛れもあり、攻駒が躍動している。
 12香は12歩でも手順に変わるところはないが、七色図式ということか。




4.将棋世界 1962/02

Sekai46802318

14金、同玉、12飛、23玉、35桂、12玉、34馬、11玉、12歩、22玉、
23馬
まで11手詰

11飛は、13銀合、26桂、23玉、34馬、32玉で逃れ。

 とどめの駒として残しておきたい金を捨てるのが好手。12飛は当然の打点のように見えるが、11飛との比較に多少悩む。
 取られるのが目に見えているからだ。



5.詰将棋パラダイス 1962/03

Para61650903

22桂成、同玉、34桂、12玉、13歩、同玉、31角、22桂合、同角成、14玉、
32馬、23金合、15歩、13玉、23馬、同玉、22桂成、同玉、14桂、23玉、
22金、13玉、12金、同玉、32龍、13玉、22龍
まで27手詰

13同桂は、21角、23玉、22桂成、同玉、32龍以下。

 桂の打ち換え。二度目の22桂成のあと、持駒角桂歩歩が金桂に変わっている。角歩を金に替えたことになるが、そんな理屈を考えたわけではなく、リズミカルな捌きをめざした結果だろう。



6.将棋世界 1962/06

Sekai46802365

43角、22玉、34桂、12玉、23角、同玉、24金、12玉、22桂成、同玉、
23金、同玉、34龍、12玉、32龍、22合、34角成
まで17手詰

31玉は、22角、41玉、61角成、42銀合、51馬、32玉、31角成、同銀、41馬まで。

 34桂は重い手で打ちにくさがある。
 12玉、23角、同玉のとき、34桂は案の定邪魔駒になっている。積み崩しのような手順。



7.近代将棋 1962/07

Kinsho50692520

39馬、28角合、同馬、16玉、17馬、同玉、35角、26角合、同角、同歩、
18歩、16玉、34角、25角合、同角、同金、17歩、同玉、39角、28角合、
同角、16玉、25銀、同玉、14角、34玉、25金、33玉、22銀生、同玉、
52飛成、11玉、55角、44桂合、同角、同歩、23桂、21玉、31桂成、11玉、
21成桂、同玉、32角成、11玉、22馬
まで45手詰

53角も可。

42玉は、31銀生、同玉、51飛成、22玉、62龍以下。62香配置の意味がここで分かる。

 『近代将棋図式精選』に収録された作品。当時、37手以上は長篇扱いだった。
 角打角合の間に金を呼んでおけば、局面が進展する。
 28角の活用も入って、うまくまとまった作品。

 塚田九段(近代将棋 1963年4月号、塚田賞選評より)
 長篇は7月号岩井氏作が良いと思われたが山中氏作と細かく比較検討してみて、やはり山中氏作の実戦的な味を推したい気持になった。



8.詰将棋パラダイス 1963/05

Para61651855

32歩成、同歩、31銀、12玉、45角、34銀合、同角、23銀合、同角成、同玉、
22銀成、同玉、24龍、23飛合、31銀、12玉、13歩、同桂、21銀、同飛、
同龍、同玉、22飛
まで23手詰

32同玉は、14角、23角合、同角成、同玉、45角、32玉、23銀、41玉、43龍、42金合、63角成、51玉、63香、61玉、52龍以下21手。
23飛合は、同角成、同玉、24銀、12玉、13歩、同桂、22飛、同玉、33龍以下。

単に23合は14龍。
34桂合は、同角、23桂合、同角成、同玉、35桂、13玉、14歩以下。

 銀の二段合。収束23飛なら3手かかるが、当時の解答者は誰も気にしなかったのだろう。少なくとも、誌面にそのことに触れた短評はない。
 なお本局は、井上雅夫作と同点首位で、現在風に平均点を出すと、2.80となる。



9.詰将棋パラダイス 1964/02

Para61652393

22飛、同金、13歩、同玉、23角成、同玉、34龍、12玉、13歩、同玉、
14歩、12玉、22角成、同玉、13歩成、同桂、23金、11玉、31龍、21合、
22金
まで21手詰

 金を質駒にしたあと、単に取ると打歩詰なので、なかなか取らないのが面白い。



10.詰将棋パラダイス 1965/02

Para61653290

17金、同玉、16飛、同玉、36飛、17玉、28金、同玉、37馬、18玉、
17金、同玉、16飛、同玉、26馬
まで15手詰

25玉は、26飛、35玉、45金、同玉、55金、35玉、57馬まで13手。

 26馬までの詰上りはすぐ見える。「17金、同玉、16飛、同玉」を繰り返して詰むのだが、やっていることは37飛をどけて、48馬が37に動いただけなのである。
 67桂は変化に備えた駒だが、攻方27歩→香にして省くことも考えられる。

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「三桂の詩」には触れるべきでは。

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