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2017年8月29日 (火)

「詰棋界」 その62

 プチ懸賞出題中です。9月10日まで。

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 通巻第23号です。1955年1月1日発行

23195501_2

1頁 表紙

2頁 目次 新年広告

3頁 Aクラス、Bクラス、Cクラス(出題)

4~5頁 勇略百番(2)清水孝晏
※第8~16番までの解説。『将棋勇略』管見に引用済み。

6~7頁 両王手の研究(3) 長田富美夫

8~9頁 詰将棋の話  桑原辰雄
      胸のときめくもの 田宮克哉

10頁 Aクラス(結果稿)

11~12頁 Bクラス(結果稿)

12~13頁 新人コンテスト(結果稿)

14~15頁 Cクラス(結果稿)

16~17頁 初心詰将棋室(結果稿)(出題)

18~21頁 新春 短篇競作会(出題)

22~23頁 マド
       名作探訪
       新会員

24~25頁 続岡田秋葭作品集

26頁 ベテラン閑談 駒形駒之介

27頁 ジュニア詰将棋(結果稿)

28頁 編集雑記

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両王手の研究(3)
長田富美夫


続 B型両王手

 第十一図は(土居八段著ポケット虎の巻より)


11

23金、同歩、21角成、同玉、12金、同香、11金、同玉、31龍、21香、
22金
まで11手詰

 土居八段は類似作でよく批難の的になる人ですが、その責任はむしろジャーナリズムの負うべきものと思います。
 しかしそれ以上に、同氏のものには氏の旧作の改良(改悪もまま見受ける)が、相当多く見られるようです。
 本作も筋はよく見かけるものですが、簡素な構図と、極々初心者の記憶すべき一連の手順を含んでいるので、採り上げました。


『詰将棋ポケット虎の巻』(1950年8月 大阪屋號書店)


 第十二図は(梶八段作 奇襲と詰手より)
※2

12

73桂、同歩、72銀、同金、82角成、同玉、91飛成、同玉、92金
まで9手詰

91金の質駒を見越しての82角成の両王手で解決します。もち論、82角不成としても詰みますがね。


※2『将棋・奇襲と詰め手』(1951年7月 大阪屋號書店)


 第十三図(塚田六段<当時>著 新選詰将棋自作二十番の第四番)
※3

13

23飛成、35玉、
27桂、同香成、26角、同成香、36歩、同成香、同金、同玉、
37香、46玉、26龍、55玉、44銀生、同玉、53角成、55玉、64馬、44玉、
35龍
まで21手詰


44銀不成、同玉、66角、同銀、36桂、35玉、24角成、同桂、同龍で余詰。下記では、44銀不成は詰まないとして説明している。

 新選詰将棋は古作から図式をとり出して独特の筆まわしで解読した塚田氏の著書で、巻末に六段当時の作物が二十番紹介されています。難易とりまぜてと言いたいが今の塚田九段のものには見られぬ難解なものが多く、本図式なども本手順は簡単だが、一度迷い出すと中々詰まない紛れに富んだ作物です。
 初手23飛と両王手が登場します。同玉だと34角で詰むので、35玉は絶対だが、ここで36歩が打歩詰の形です。
 そこで23飛不成だなと思ったりすると、36歩に24玉と下られて根(ママ)輪際詰みません。
 23飛成は絶対です。
 つぎに27桂以下、26香を36成香として、同金と取るのが本手順ですが、一見44銀の好手筋に気づきます。同歩だとそれこそ27桂以下香を取り、37香、46玉、26龍、55玉、64角成で駒が余らずに詰みます。
 ところが44玉と取られると、たとえ66角の好打をみせても同銀成で以下、64角成、44玉で56桂が成銀の効きで打てず、僅かに詰まないのです。
 ここまで来て、やむなく先述の香をとる手順が本手順だとわかります。
 37香、46玉、26龍、55玉で参考図です。

(参考図)

13_2

 参考図では53銀が邪魔駒ですので44銀とする手はすぐわかるでしょう。これで解決です。


※3『新撰詰将棋』(1937年6月 博文舘)


 第十四図(右に同じ十番)

14

17角、同成桂、38金、29玉、19金、同玉、17飛成、18金、28銀、29玉、
18龍、同玉、19金
まで13手詰

 なるべく読者のご存じない図式をと心掛けている(心掛けていないぞ-陰の声)のですが、写本が多いために見あきた図の陳列で申し訳ありません。というわけで本図は紹介するにとめます。間接両王手B型の見本ですし変化にもB型が登場します。本作は塚田九段の傑作の中でも五指に入るかと思います。
 18成桂の◯※も何故18とだといけないのか研究して下さい。


 第十五図(詰将棋パラダイス誌百人一局集)
※4

Para1251

32角、12玉、34角、同歩、21角成、同玉、32飛成、同金、同銀生、同玉、
33金、41玉、53桂生、同金、42金打
まで15手詰


 脇田博史氏の作風は実戦型の中に新味をもったものと思われます。寡作ですが、知る人ぞ知る、私の大好きな作家の一人です。
 本図は序盤が主眼で後半が既成手筋ですがその既成手筋へもってゆく序盤の角二枚の捨ては小気味よき哉です。
 筋が良いだけにスラスラと詰みます。
 B型の両王手はA型に比べて数多く見られるようです。それに、まだまだ新しい味を出すことも可能のようです。
 以上紹介した図の中でも第十五図のごとき角二枚の捨て方はいかにも練れた感じで初心者の心掛けるべきものでしょう。
 この他に、近代将棋短篇傑作集の中の、小川悦勇氏作、前藤浩氏作と二作あり、また古図式にも多く見られるようですが、ここでは割愛させていただきます。
(ツヅク)


※4
「新撰詰将棋 百人一局集(1951年1月 旧パラ付録)

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詰将棋の話
桑原辰雄

 将棋会などへ行くとよく「詰将棋はどういう方法で作るのか」と聞かれます。
 なるほど作図したことのない人達から見れば当然の質問であるがさて答へ(ママ)るとなると、このようにして作るのだと説明することは出来そうにもありません。
 詰将棋の作り方は雑誌や単行本で見られるが、創作過程における急所を例を掲げて文章にまとめたに過ぎず、作図を初めて試みる人達には役に立つでしょうが、一般作家にはピンとこないものです。
 また、これを読んだから上達するなどということも考えられません。
 以前発行された村山隆治氏著の詰将棋の考え方という本に「詰将棋の作り方の奥義を述べることは剣術の極意をペンで表現するのと同じで剣の刃渡りよりも至難な業である」と述べているが、まことに巧い表現だと思いました。
 こんなことばかりいうと創作がエヴェレスト山の頂上にでもあるように聞こえますが、どうしてどうして続々と創作家が出現している現在、他人が思うほど難解なものでもないようです。最もこれは短篇作に限られるでしょうが…
 しかし新鮮奇抜な作品を作るとなると、やはり経験によって得たカンと各自の持つコツを存分に活用しなければ出来得ないでしょう。
 四・五年前の自作手帳を取り出して眺めて見たが、まったく見られたものではない。それでも当時は一生懸命になって投稿したものですが、これはやはり詰将棋に対するすべての経験が不足しているからでしょう。
 どんなものでも頭に浮んだものは全部作品として表は(ママ)してしまう。こんな態度で無我夢中で創っているうちに、いわゆる作風なるものが次第にわかって来るものです。
 以前野口益雄氏が将棋世界誌上に連続発表した「金気なし図式」は皆様の記憶にも新しいと思いますが、経験と多作によってわかってきた軽妙な氏の作風が"金気なし図"の持つスッキリとした魅力と一致して、一路この方へ走ってしまったのでしょう。

A図


46800600

 A図はその内の一つで作意は

32飛、24玉、34飛打、25玉、24飛、同玉、25角成、13玉、14馬、同玉、
15歩、24玉、25歩、同玉、35飛成
まで15手詰

 その時の選者の評をかりると「普通作品となればいかにも苦心がほの見へ(ママ)、金気なし図にはほとんど苦心の跡が見えない」とあるが、確かに得意物の作図は素材の発見よりは、むしろ一種のカンで、アッと見るまに良い作品が生れるものです。(ちょっと極端な表現かも知れませんが)
 自作品を眺めてみても半数は駒を並べている内に巧い筋を発見するとかして作図するという。どうもあてのない方法で、自分ながらまったくあきれてしまうが事実であるからおもしろいものです。
 と同時に、もしもその日、駒をもたなかったならば、この作品は生れなかったのだなと思うと、いやはや、どうも不安極まりないものです。
 皆様もこんなことはよくある思いますが?
 何事でもそうですが、創作はちょっとしたことからヒントを得るものです。また、他人の作品を解いているうちに巧い筋がピンと頭に浮ぶことはよくあります。
 B図は自作で極く初心向の作品ですが、これは確か柏川氏の作品を解いているうちに、31金から22飛成の筋が浮んだので頭の中でまとめたものでした。


「将棋世界」1952年1月

B図
※2

Para54604738

 難解作は別ですが、手筋物ならば皆様も一度はあることでしょう。これから見ても詰将棋にはいつも接触していて、その中から何かを求めるという力を盛り立たせて置くことが創作家としては必要だと思います。


※2
「将棋評論」1954年2月

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Aクラス
S・T生

 例年のことですが、まず新年おめでとうございます
と御挨拶を申し上げ、本年もお手ヤワラカにとお願い申し上げる次第

①北原義治氏作

1055

85銀、95玉、76銀、85角合、94金、同玉、85銀、95玉、96銀、同玉、
41角、63角合、同角成、同飛、74角、85桂合、同角、95玉、63角成、75桂、
85飛、94玉、95歩、83玉、82と、同玉、84飛、83飛合、74桂、91玉、
81馬、同飛、同飛成、同玉、82飛、91玉、83桂
まで37手詰


▽角の長短をこれ以上端的に説明することは筆をもってしてもおそらく出来得ないと思う。
=津野山呆鳥=

▽最後まで一分のスキも無い構成と、四回に及ぶ合駒の妙はサスがである。強いて難をいうならば56金が本筋に関係ないことであろう。
=沢島将吉=

▲85角を桂合では21手の早詰になる。また63角も同じ。実に巧妙な作。

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Bクラス
22号
椿春男

 新しい年である。皆さんオメデトウ。今年は大いに頑張って余詰などを追放する心算でおりますから、何卒よろしく御支援をお願い申します。

22 平田好孝氏作

1060

34角、同金、21銀生、22玉、32銀成、11玉、21成銀、同玉、43角、32角合、
同と、同飛、同角成、同玉、23角、33玉、32飛、24玉、34角成、14玉、
25銀、同龍、同馬、同玉、36金、16玉、15飛、27玉、37金、28玉、
38金、29玉、39金
まで33手詰


▽長篇でのスバラシイ才能を中篇に圧縮した感がある。最後まで力を抜かさぬ所、見事の一語であろう。
津野山呆鳥

▲43角に32角合とするのが本局のねらいであり、このねらいはピリッと辛い。追撃に入って玉が囲いの外で詰むのもおもしろい。実に末頼もしい新人が現われたものである。

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Cクラス 22号
馬井紋太

19 長田富美夫氏
   木村薄氏  合作

1063

42金、同玉、53角、32玉、33銀成、同玉、25桂、32玉、41銀、22玉、
31角成、同玉、32金
まで13手詰


 初めこの作品を見た時まず形の良さに心惹かれた。手順も際立って秀れていたので真先に入選としたのだが、解答を見ると津野山氏以外の方は24を上位としていた。
 「33銀の一手だけ。畠山氏」という評であったが41銀、21玉として33銀、同玉、25桂として全題正解を逸した。
 33銀の一手だけとは云へ(ママ)上部脱出を抑えているが如き銀を捨てると云う意外性が流れるような手順に難解さを持たしている。一般に好評だった。

---
マド

▼発行日を確立して下さい。
 会計報告は大変良いのですが、今の方法では赤字か黒字か全然不明です。「詰パラ」のようにすれば一目瞭然でしょう。一応今年(二十九年度)の十二月末で決算をすれば良いと思います。赤字が出れば繰越しとして徐々に消すか、寄付を集めれば段々と基礎が固まって行くと思いますが。以上大変失礼なことを申し上げましたが、詰棋界の発展を祈る私の気持を述べました。
(大阪市 和田清登)

☆お手紙有難く拝見致しました。詰棋界の会計は現在のところ黒字には一寸ほど遠いようですが、全然赤字というほどでもなく、いいかえれば、ギリギリの線を維持している訳なのであります。

▼伊藤宗印の勇略百番の解説されたのを賞する。けれん味のない正統派大屋台の詰物は立派ですよ。
 両王手の研究の宗看の例題は第何番ですか。これはワンダフルの上級品で驚きが一つ殖えました。第八図と第九図逆ではないかしら。このままではおかしい。なお図の解説も手順が八手ほど落ちている。
(東京 石井藤雄)

☆宗看図式は第14番です。第八図と第九図は確かにお説の通りです。図巧の指し手(11頁下段)は16行目の72桂成、同玉の後に82金、61玉、72成桂、51玉、62歩成、同玉、72金、51玉の八手を入れる。
その後に61成桂と続く訳です。おわび申し上げます。

※このブログではその部分の手順の脱落はない。

▼第四巻になってからの充実ぶりはすばらしいの一語につきる。
 ここに前から考えていたことをちょっと紹介したい。
 変型詰将棋としてはいろいろあるようだが、今までに①二つ玉詰将棋 ②玉以外の駒を詰める詰将棋(良い名がないかな) ③安南詰将棋などが発表されております。
 ③については内藤国雄氏が難解作をものされておりいずれ御紹介されるでしょう。(期待しております)私も次のような安南詰将棋を創りましたが、こんなものでも検討は厄介です。

Photo

32飛、41玉、42銀、同銀、31飛、同玉、32銀、22玉、12角成、同香、23銀生まで

(大阪 長田富美夫)

─────
本誌に望む
─────
▽詰将棋の量をますこと(Aクラスを特に)
 実戦譜必要なし。その他は申し分なし。
(富山市 岩本一郎)

▽第一に発行日を厳守。第二に早く活版刷り、月刊になること。
(東京 北原義治)

▽増頁、専門棋士の作品の掲載、堅実にあまり無理をせぬこと。
(堺市 柴田昭彦)

▽他誌に出来ない独特の企画すること。今の所はそれが見当らない。しいていえば詰将棋病院くらいでは……
 具体的には既成作家の詰将棋の作り方ばかりでなく新人の「私はかくこの作品をものにした」とか「この作品はかくて失敗したが名案はないか」等いかがですか。
(三重県 関邦夫)

---
名作探訪5
大塚冬月

凡チャン元気デスカ。先月ハ名作探訪ノバトンアリガトウ。初雪ノコロハ、ヤマノオヤジガデルソウデスネ! 顔ハミンナ黒イデスカ? デモボクノ家内モ黒イデス。
ボクノ探訪ハキミノ迷作ニキメマシタ。ダカラコンドダケハ迷作探訪デス。コノ詰将棋ハ金ト玉ダケガ動クナンテ、随分ゼイタクデスネ。ホントニオドロ木モモノ木デス。凡チャンハ炭鉱デ石炭ヲホッテイルノカトバカリ思ッテイタラ、ホントウハ宝物ガメアテダッタナンテ随分ヤマシ デスネ。デモデフレノ正月ニハコレガヨイデショウ。金ヲヒッパッテ香ノアタマヘピョン、トハネタ図ハ、彼女カラ手紙ヲモラッタ時ト同ジ気持。コノ気持ガワカル凡チャンハ、サゾハンサムナンデショウ(ヤマノオヤジヨリハ)
コノ金サンハ、下(南)ヘサガッテ左(西)ヘハシリ右(東)ヘマワッテ詰トナリ、動イタ方向ハ東西南(キタナイ)デス。動イタコマハ金ト玉。ダカラコノ詰将棋ヲ東西南金玉トシテハイカガデスカ。

黒坂凡棋作


50690854

88金、99玉、89金打、同金、97金、88金、98金打、89玉、88金、79玉、
78金打
まで11手詰


「近代将棋」1954年7月

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新会員です よろしく

大阪 北川明
広島 鍛治之孝
岡山 吉田正直

15人のうち、名前を見た記憶がある人だけ。

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