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2017年8月27日 (日)

「詰棋界」 その60

 通巻第22号のつづきです。全体のページ構成はこちら

両王手の研究
長田富美夫

 生来ズボラな性質ですので、思い付いた図をそのまま陳列しましたが、前号に引き続き大駒の部を研究してみます。

第五図 (岩谷良雄氏作)


Photo

 短篇貧乏図式では、駒形氏がすぐピンと思い出されますが、作品の数こそ少なけれ(ママ)岩谷氏もすばらしい感覚を示してくれます。
 本作はその中でも新味のある合駒を含んだ重厚な作で、最終両王手が変化として出てきます。
 ご存じの方が多いと思いますので、正解は略します。


「旧パラ」1952年1月(百人一局集)。『古今短編詰将棋名作選』に収録されている。


第六図 (駒形駒之介氏作)
※2

Photo_2

 本作はB型に属する両王手であるが、駒形氏の名が出ましたので序でに紹介しましょう。
 序でというものの、本作は既成手筋を実に簡潔な構図で表現した好作と思います。手順は変化の方が難しいくらいで、難解味に乏しいので、解説は省きます。


※2「将棋世界」1952年1月


第七図 (詰むや詰まざるや)
※3

090014

11銀成、同玉、22銀、12玉、13銀引生、同金、22歩成、同玉、13銀成、同玉、
23金、14玉、26桂、同と、24金、15玉、25金、同と、16と、同と、
同龍、24玉、25龍、33玉、43歩成、同龍、23龍、44玉、43龍、55玉、
47桂、同金、45龍、66玉、67飛、同玉、47龍、66玉、56金、同と、
同龍、77玉、78歩、同成香、同金、同玉、67龍、88玉、78龍、97玉、
98歩、96玉、76龍、95玉、97香、84玉、83と、同玉、82桂成、同玉、
81桂成、同金、83歩、同玉、56角、82玉、92角成、同金、72香成、91玉、
81成香、同玉、92香成、同玉、72龍、93玉、73龍、94玉、84金、95玉、
75龍、96玉、85龍
まで83手詰


 いわずと知れた伊藤家三代宗看の傑作集の一作品です。
 実際に、詰まないものが二、三あるとのことです。
 宗看ものは勿論難解味が主軸ですが、それ以上に意表味に富み初手が俗手で始まるのも面白い所です。
 さて本作は宗看ものとしては割合にスラスラとゆく軽快作で、詰上り四枚しか残りません。
 解答を記しておきましたから盤に並べて研究して下さい。
 私は最終の92角成から詰上りの捌きにホレボレとしてしまいました。なお、本作の中には飛角の両王手以外に角歩の両王手も含まれており、貴重な?作品です。


※3『将棋無双』第14番


第八図 (塚田詰将棋第二集)
※4

Photo_3

 本作は心理的両王手詰将棋に入れたいものです。13龍によって同桂と取られるが、その33のアキエ(ママ)42の角が成りかえる狙いでヤヤ苦しいが心理的のものに入れたいのです。
 以上A型両王手をいろいろ紹介しましたが、まだまだ名作はあるようです。が、棋書が全く少いので、この辺でB型へ移ります。


※4「近代将棋」 1952年1月号付録


B型両王手

第九図 (原田八段作)
※5

Photo_4

 この種の図式は、相当綾をおりこまないと、類似作と見られますから注意して下さい。


※5『新しい詰将棋百題』(大阪屋號書店 1951年4月)ヵ

※EOGさんと佐原さんから、第八図が原田八段作、第九図が塚田前名人作との指摘をいただきました。長田氏の思い違いだったようです。


第十図 (図巧第六番)

100006

32銀、同玉、43角、同金、同歩成、21玉、32と、同玉、24桂、23玉、
33飛、24玉、23飛成、同玉、24金、32玉、41馬、21玉、31馬、11玉、
22馬、同玉、23歩、32玉、33歩、42玉、43歩、52玉、53歩、62玉、
73歩成、同歩、63歩、71玉、72歩、同玉、84桂、71玉、81龍、同玉、
93桂生、82玉、92金、71玉、81桂成、61玉、72桂成、同玉、82金、61玉、
71成桂、51玉、62歩成、同玉、72金、51玉、61成桂、41玉、52歩成、同玉、
62金、41玉、51成桂、31玉、42歩成、同玉、52金、31玉、41成桂、21玉、
32歩成、同玉、42金、21玉、31成桂、11玉、22歩成、同玉、32金、11玉、
21成桂
まで81手詰


 図巧を登場させるのは、どうも解説する力がないので、シュンジュンしたのですが、持前の心臓で紹介させていただきます。
 図巧はいわずと知れた鬼宗看の弟看寿の傑作を集めた図式で、詳しくは将棋奇巧図式といいます。
 奇巧の名は正に本図式の主題を貫いた言葉で、難解作を特に選ぶよりは、かえって平易な作を探した方が楽なくらいで、この作六番などはまだまだ尋常な方です。
 本作の両王手は単なる手筋で主題は並び歩の成り捨てです。
 図は81金の質駒を取る含みと解せられますが、しかし41馬のような平凡な手では21玉で不詰、すなわち、21玉ともぐられると玉をひきもどす手段に困りますから、当然初手は32銀の一手となりましょう。同玉、ここで24桂は23玉で失敗します。
 43角から参考図になった時、いよいよ主題に入ります。

参考図

Photo_5

 参考図では、24桂しかないのですが、23玉と上がった時の対策が無いと困ります。その時24桂がなければ24金、32玉に龍の活躍をうながす41馬が考えられる訳です。そうです。33飛、24玉、23飛成と邪魔駒の除去が私の言わんとする両王手B型です。
 以下は並び歩の登場でキレイな詰手順を見せてくれます。


---

-金田氏にお答え-
創作規定に関する私見
大塚敏男

 余詰作品は不完全という従来の創作規定の欠点を取り上げて金田氏が前回述べられておりますが、私は、この問題に対してこう考えます。

A図

Photo

 すなわちA図の場合91銀成を正解とし93銀以下の手順を余詰とは見なさないこと。
 と云う事は最后の一手というところに問題の鍵があるのです。最終の一手は普通の場合発見困難という事はほとんどなく、したがって、その一手の他に例え別手順が存在しても、ほとんどその別手順方え(ママ)紛れるという心配はない。
 「それにまた、大ていそうした最終手の余詰は修正することが困難である」
 そこで、この最終手に余詰が存在してもほとんど正解手順をたどる上に不便を感じなく、最終手以外の時に存する余詰よりは、それほど気にもならぬから、こうした場合は便宜上余詰手順を無視しようというように決められて来たと記憶しております。このようにして決められたと思われる規約が他にもあり、結局それらが、詰キストにとってほとんど気にならない規則違反であり、逆にそうした例外規約を設ける事による利点が大きいために大方の人達が暗黙のうちに、あるいは知らず知らずのうちに、少しの矛盾も感ぜず使用して来たものと推察いたします。したがってたまたまこの様な例外規約があちこちに点在する為に詰将棋規約なるものを作ろうと試みてもうまく定義できずに苦しむといった現象が見られます。もう少しこうしたものを明確に整理することも、詰将棋規約の作成上において役に立つのではないかと思います。 以上

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コメント

同一作検索をすると第八図は原田泰夫、第九図は塚田正夫と出ます。塚田詰将棋第二集は持っていますので第九図は確認しました。

第九図は原田さんの「新しい詰将棋百題」には収録されていませんね.
最も私が持っている本は1966年版なので初版にはあったのかもしれ
ません. 本図は塚田九段が新青年の1940年6月号に出題しており,
複数の作品集にも収録されているので, 解説者の勘違いではないで
しょうか.

EOGさん、佐原さん、ご指摘ありがとうございました。

原文はこの通りですが、実物を確認していただいたので、長田(小西寛)氏の書き間違いということですね。

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