« 江戸文芸に見る「将棋」その3 | トップページ | 江戸文芸に見る「将棋」その5 »

2017年7月 2日 (日)

江戸文芸に見る「将棋」その4

『江戸談林三百韵』(1676年 松意・正友)。『談林俳諧篇』(1948年6月 養德社)より。
---
なり上り家中に人もなき様に 松意
     桂馬飛して大小金鍔 正友

---
 三百韵の第二。今一つ意味が分からないが、成り上がり者だからまっとうに昇進したのではなく、トリッキーにうだつを上げたことを「桂馬飛」と見立てたか。
 大小金鍔は刀と脇差しを金(または鍍金)の鍔でけばけばしく飾っている風体。


『俳諧三部抄』(1677年 岡西惟中編)上掲書より。
---
     宮古のうちハ水をふすかせ 
佐々木重賢
將棊の盤よハき馬をハ下手に立て 同

鎗つかふ跡は都へかよふらし 惟中
    香車へたつる遠山の雲 同

---
 「宮古」は都。「水をふすかせ」は水を伏す(押さえつける)風か。
 「馬」は角の成駒でなく、駒であろう。

 「香車へたつる」は香車隔つるだと思うが、「鎗(やり)」からの連想だろう。しかし意味は分からない。


『二葉集』(1679年 杉村西治編)。『古典俳文学大系3 談林誹諧集一』(1971年 集英社)より。
---
盛(さかり)には花見の庭もつまりけり 水田西吟
        王手飛車手にかゝる藤浪 
梶山保友

つなげ馬あとより恋の責(せめ)くれば 
前川由平
        しのび宿には香車一まい 
立花

---
 「藤浪」は藤の花が波のように揺れるさま。「つまり(詰まり)」から「王手飛車」への流れか。

 「あとより恋の責くれば」は上掲書に典拠あり。…「枕よりあとより恋のせめくればせむかたなみぞ床中にをる」(『古今和歌集』巻十九 1023 『新編日本古典文学全集』1994年 小学館 より引用)。歌の意味、枕元からも足もとからも恋が私に迫ってくるので、どうにもこうにもしかたがなくて、寝床のちょうど中ごろで小さくなっているのだ」(上掲 全集より)。
 「香車一まい」…あとで西鶴の句にも出てくるが、おそらく、やり手婆の意。


『西鶴大矢數』(1681年 井原西鶴編)
---
わるくるひ唯山姥が業なれや
     夫上臈に香車うらめし

---
 一昼夜独吟4000句の内。「それじょうろうに」云々の「香車」は「遊女を監督する遣手」と『定本西鶴全集 第十一巻下』(1975年 中央公論社)の註にある。

« 江戸文芸に見る「将棋」その3 | トップページ | 江戸文芸に見る「将棋」その5 »

江戸文芸に見る「将棋」」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1793064/71023616

この記事へのトラックバック一覧です: 江戸文芸に見る「将棋」その4:

« 江戸文芸に見る「将棋」その3 | トップページ | 江戸文芸に見る「将棋」その5 »

サイト内全文検索

酒井桂史『琇玉篇』解題

無料ブログはココログ