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2017年6月11日 (日)

江戸文芸に見る「将棋」その2

 くどいようだが「将棋」を探しているのではなく、知りたいのは別の語句なのであるが。

『新撰犬筑波集』(山崎宗鑑 1524年以降)
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碁うち双六しやうぎさすなり
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『犬子集』(松江重頼編 1633年)
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さか馬にいられて後はつめにくし 貞徳
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 えのこしゅうと読む。
 『新撰犬筑波集』だの、『古今犬著聞集』だのと「犬」が付くのはそれぞれ本家『新撰菟玖波集』や『古今著聞集』に対する卑称である。
 『犬子集』の本家は何かといえば、序文に「犬子集といふ事、犬筑波をしたひて書(かき)たる」とある。


『塵塚誹諧集』(斎藤徳元 1633年)
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将碁さすかたへにうてる碁寸五六(すごろく)
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 管見の範囲では、碁や双六は将棋より出現度合いが高い。特に「碁」は一音ですむので、17音という限られた文字数しかない俳句では重宝されるのである。


『新増犬筑波集』(松永貞徳 1643年刊)
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まけかたの馬はかひなし中将碁
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 中将棋を詠んだ句は珍しいのではないだろうか。


『正章千句』(安原正章 1647年)
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様々の手ある将棊のこまかさよ
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『崑山集』(鶏冠井(かえでい)令徳編 1651年刊)
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将棊さしの上手(じやうず)にみせな金銀花 
喜多正友
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 金銀花は漢方薬らしい。


『紅梅千句』(有馬友仙編 1653年ヵ)
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天道よかたせてたまへ此将棊 可頓

まけさうに成ても強き中將棊 友仙
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『懐子』(松江重頼編 1660年刊)
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自慢めきさせる将棊ハ位詰め 宗立
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 ふところご。国会図書館のデジタルライブラリーを眺めていて見つけた。
 影印本は「近世文學資料類従」にあるらしいが、翻刻はされていないようだ。上記は合っていると思うが自信はない。
 ところで「くらいづめ」は将棋用語ではなく、「敵を身動きできないようにすること」(『日本国語大辞典』)。
 名前を見て、五代宗桂との棋譜が遺っている森田宗立かと思ったが、別の誹諧集に大坂之住 川崎宗立とあるらしく(『貞門談林俳人大観』 1989年 中央大学出版部)、別人なのだろう。
 森田宗立は『京羽二重』(1685年刊)の「諸師諸藝」の「將棊」の部に鎰(かぎ)屋重兵衛として登場し、『象戯綱目』(1707年 赤縣敦庵編 竹村新兵衛刊)では「江戸 森田宗立 鎰屋十兵衛事」と掲載されている。


『宗因千句』(西山宗因 1673年刊)
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将棊をもさす月影のさやかにて
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 指すと射すを掛けている。

 このほか、歩三兵にやられたという句もあったが、メモを取らなかったので思い出せない。『
誹風柳多留』ならありそうだが、初期誹諧集で見たのである。
 歩三兵とは上手方盤上玉一枚で持駒歩三枚。24歩、同歩、23歩で角を取られるというアレ。

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