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2017年2月 9日 (木)

加藤文卓の「圖巧解説」その10

月報1926年10月号

圖巧解説
二峯生述

第十九番

0019

84歩、92玉、83歩成、同玉、82桂成、同馬、94銀、74玉、75歩、同玉、
85飛、74玉、65龍、73玉、75飛、84玉、73飛成、同玉、74歩、84玉、
85龍也(21手詰)


變化

83同玉の所81玉ならば
82歩にても82桂成にても容易に詰む

82同馬の所同玉ならば
94銀、92玉、83飛成、91玉、71龍也

74玉の所
(一)92玉ならば82飛成、同玉、73歩成也
(二)94同玉ならば95歩、同玉、65龍、96玉、85龍也


73同玉の所94玉ならば
74龍、95玉、84龍、96玉、85龍右、97玉、87龍也

◯此變化
の部は本文より手數多きも詰上り歩一つ殘る
◯84歩、92玉、83歩成と指して詰方92歩を取らせるのは前記變化
(二)に記せる95歩の順を作らむ爲である
---

 
94玉は、駒余り4手変長となります。


第二十番

0020

本局は55桂と跳んで明き王手なすとき78馬と寄る間手の妙手を主眼とする傑作であります

23歩成、43玉、44銀、34玉、55桂、
78馬、24と、同玉、79馬、同馬、
23成香、34玉、35歩、同馬、33銀成、同龍、同成香、同玉、43桂成、同桂、
23飛、42玉、43香成、
51玉、52歩成、同金、同成香、同玉、64桂、62玉、
52金、71玉、73飛成、81玉、72桂成、92玉、82龍迄(37手詰)


變化

78馬の所78歩間ならば
35歩、同馬、33銀成、同龍、同と、同玉、23成香、34玉、33飛也

79同馬の所
68間ならば
同馬、同馬、23成香、34玉、35歩以下本文に準ず

51玉の所31玉ならば
33飛成、21玉、31龍、同玉、23桂、21玉、11桂成、同玉、12飛也
他は容易なれば略す

◯此圖に於て玉方37とを缺く時は次の餘詰を生ずる即ち23歩成、43玉、44銀、34玉、55桂、78馬、同馬、56歩合、33と、同龍、23角、24玉、33銀生、35玉、45角成、26玉、28飛、37玉、46馬也

---
 35地点の利きを外す78馬の移動中合に対して、これを取らずに79馬と捨ててあくまで玉方馬を取歩駒に引き戻すのが絶妙の構想です。
 これは文政版図巧の解だそうですが、『詰むや詰まざるや』では31玉以下35手詰になっています。作意としては飛車の邪魔駒消去が入る35手でしょうが、正解は何かといえば37手詰でしょう。
 将棋世界付録『将棋図巧』(上)(1961/06清水孝晏解説)、古図式全書版『象棋奇巧図式』(1964/09門脇芳雄解説)でも37手になっています。
 なお、22成香は22とでも同じです。


第二十一番

0021

本局は駒の運用複雜せる所に妙味ある好局であります

62龍、同香、83金、
64玉、65歩、同龍、75銀、同銀、76桂、同銀、
75金、同龍、54金、65玉、57桂、同と、55金、同銀、43角、64玉、
54角成也(21手詰)


變化

64玉の所
(一)83同玉ならば72角にて容易に詰む
(二)83同香ならば91角
82銀間、同角成、同玉、71銀、73玉、62銀生、同玉、63銀、73玉、65桂、64玉、54金、65玉、55金、同と、74銀生、同玉、66桂、同と、75飛、64玉、73銀也
此變化本文より手數多きも持駒餘り又55金以下種々の手順あり

82銀間の所82香間ならば同角成、同玉、72金、93玉、94歩、同玉、95香、同龍、同金、同玉、86銀也

62同玉の所
(一)82玉ならば94桂、93玉、82銀、94玉、93金也
(二)64玉ならば63金、65玉、76銀也

64玉の所
(一)65同とならば72銀成、74玉、73金也
(二)82玉ならば72銀成、93玉、94歩、同玉、95香也

65同龍の所
(一)65同玉ならば76角、64玉、54金也
(二)65同とならば73角、74玉、84角成、64玉、73馬
(三)65同桂ならば42角、53間、76桂也

75同銀の所同龍ならば
54金、65玉、57桂、同と、55金、同銀、43角也

75同龍の所同玉ならば
86角、85玉、95金也

◯此局に於て玉方48とを缺く時は次の餘詰を生ずる
62龍、同香、72金、64玉、65歩、同龍、76桂、同龍、54金、65玉、
55金、同と、76金、
同玉、86飛、75玉、87桂、64玉、66飛、同と、
73銀、同と、75銀、65玉、43角也

變化

76同玉の所64玉ならば
56桂、同と、54飛、63玉、41角、52間、72銀也

75玉の所
(一)77玉ならば59角、68間、69桂也
(二)65玉ならば66飛、同と、43角、75玉、86銀也

◯48とある時は前記59角の手無き故此余詰消ゆ
◯此局に於て前記75銀の所76桂、同龍、54金、65玉、55金、同と、43角にて詰ある如く見ゆるも此時54飛間と指されて逃れとなる
---

 
の変化の記入がありませんが、原文通りです。
76同銀で同龍なら54金、55玉、57桂、同と、55金、同銀、43角以下19手。
 75銀を省いて76桂なら54飛合で逃れるあたり冴えています。
 加藤記載の83同香、91角、82銀合の変化は6手変長ですが、74銀成、同玉、66桂以下駒余り4手変長です。この時代は変長を許容していたと言われていますが、変長でない作品と全く同等だとは思っていなかったはずで、なぜ完全に仕上げなかったのかなと思います。


第二十二番

0022

本局は二枚角と桂の活用甚だ興味ある傑作であります

35桂、
33玉、34香、44玉、43桂成、同玉、55桂、44玉、43桂成、同玉、
42と、
44玉、76桂、54玉、66桂、44玉、43と、同玉、64桂、54歩合、
44歩、同玉、54桂、99龍、45歩、43玉、42桂成、同玉、52歩成、同金、
同桂成、同玉、43角成、62玉、72金、51玉、61金、41玉、31歩成、同銀、
同香成、同玉、42銀、22玉、33銀生、13玉、24金、12玉、21馬、同玉、
22金也(51手詰)


變化

33玉の所44玉ならば
45香、33玉、43香成也

44玉の所42同玉ならば
52歩成、同金、同香成、同玉、53金、41玉、31歩成、同銀、42歩、同銀、同金、同玉、43銀、41玉、32香也、同金、同銀、52玉、53金也

54玉の所99龍ならば
45歩、54玉、66桂也

54歩間の所44玉ならば
54桂99龍、45歩、43玉、42桂也以下本文に合す
原書には此手順を本文としてあるが54歩間と指す方二手長くなるから前記の如く改めて見たのである

99龍の所43玉ならば
42桂成、同玉、43歩、41玉、52歩成、同金、同桂成、同玉、53金の手順を生ずる
---

 盤上の四桂が跳ねては消え、跳ねては消える趣向。
 『詰むや詰まざるや』では
44玉とする49手詰になっていますが、この手順が正しく51手詰です。


第二十三番

0023

本局は駒數少き割合に變化に富める好局でありますが何れの手順を以て本詰とするが至當なるかに就ては議論の分るゝ所と思ひます此所には假に原書記載の手順を以て本文と看做す事に致します

74角、
同銀引、65龍、同銀右、85角、74香、75桂、72玉、83桂成、61玉、
72銀、同金、同成桂、同玉、94角、
同龍、73金、61玉、71銀成、同玉、
82香成、61玉、72成香迄(23手詰)


變化

74同銀引の所
(一)同銀上ならば65龍、同銀右、85角、74香、75桂、72玉、64桂、61玉、72銀、同金、51と、同玉、52金也
(二)同香ならば65龍、()同銀、45角、()54桂間、64銀、72玉、83香也、(
)同龍、73銀打、61玉、62銀成、同玉、73銀行、同龍、同銀、同玉、85桂、()82玉、73金、91玉、93飛、92桂間、同飛成、同玉、84桂、91玉、83桂、81玉、93桂生迄
この變化は本文に記せしものより八手多く之を以て本詰としても差支ないやうに思はれる

65同銀の所72玉ならば
73銀打、同金、同銀成、同玉、85桂、72玉、73金、71玉、62角、81玉、93桂生の詰あり

54桂間の所
(一)54角間又は54銀ならば前記の手順に準ず
(二)54歩ならば64銀、72玉、83香也、同龍、73銀打、同金、同銀成、同龍、同銀成、同玉、85桂、62玉(此時82玉ならば前記の手順に合す)73金、61玉、34角、71玉、72飛、81玉、82飛成也

83同龍の所同玉ならば
93銀成、同玉、85桂、82玉、83銀、71玉(此所83同玉ならば73銀成、同金、93飛也)、72飛、同金、同銀成、同玉、73銀成也


82玉の所62玉ならば
82飛、72間、73金、61玉、72金迄

61玉の所83同龍ならば
同香成、同龍、同角成
、同玉、73金、94玉、84飛也
他は容易なれば略す
◯此局に於て玉方95歩を缺く時は逃れがある即ち
74角、同香、65龍、同銀、45角、54桂間、64銀、72玉、83香成、同玉、93銀成、同玉以下詰が見當らぬ

但前記54桂間の所他の間をすれば詰となる例へば
45角、54歩、64銀、72玉、83香也、同玉、93銀成、同玉、84銀、92玉、93飛、81玉、54角、同銀、73桂、同金、82歩の詰を生ずる
---

 
の部分は誤り。ここは同香成、同玉、84飛、72玉、94角、63玉、64銀まで。
 原形のまま邪魔な飛車を消去する狙いですが、加藤の書いた通り駒余り8手変長です。
 この次の頁では、「圖巧八番の訂正」として第8番は攻方91とを置かなくても今田政一の指摘通り詰むという説明が掲載されていました。

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