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2017年1月 8日 (日)

加藤文卓の「圖巧解説」その8

月報1926年8月号

圖巧解説
二峯生

第十三番

0013

此局も何れの手順を本詰とすべきかは議論の餘地がありませう先づ原書載の手順を假りに本文とは做す事に致します

81飛、
同玉、92銀、82玉、72銀成、同香、73銀、同玉、64銀、同金、
74歩、
同金、84角、同金、74角成、同玉、64金也(17手詰)


變化

81同玉の所73玉ならば
72角成、同香、84金にて容易

73同玉の所他の駒にて取れば

81金にて直ちに詰む

74同金の所84玉ならば
94金、同歩、同角成、74玉、83角、73玉、72角成、74玉、83馬の手順あり

84同金の所同玉ならば
94金、73玉、74角成、同玉、64金迄

◆此變化
の部は本文に記せしものより二手延びる此手順を以て本文となすも或は可ならむか但原書の手順には74角成り捨ての好手が現れて居るが此變化の部には其れが缺けて居る斯かる場合何を本詰とすべきかは議論の分るゝ所と思ふ

◆此局に於て玉方85香は桂であつても差支はないが歩では餘詰を生ずる即ち前記72銀成の所に91銀打と指しても詰となり左に其手順を略記せば
72銀成の所
91銀打、73玉、72銀成、
84玉、94金、同歩、
同角成、74玉、83銀生、同龍、64と、同金、83馬、
同玉、82飛、74玉、
84飛成、
65玉、64龍、76玉、66龍、87玉、88歩、97玉、77龍、98玉、
87角、99玉、98金、89玉、78龍也

變化

84玉の所72同香ならば
64銀、同金、82角、84玉、94金也

83同玉の所63玉ならば
33飛、52玉、43角也

65玉の所84同玉ならば
73角、93玉、82角也、84玉、73馬、93玉、82銀生、92玉、91銀成、93玉、92成銀の手順あり

76玉の所56玉ならば
38角、47香間、66龍、45玉、46龍、34玉、44龍、23玉、33金以下詰なり

47香間の所47角間ならば
46金、57玉、47金、58玉、59歩、同玉、77角也

23玉の所25玉ならば
16金、36玉、46龍也

97玉の所98玉ならば
87角、89玉、69龍、79金間、99金の手順あり

98玉の所96玉ならば
87龍、95玉、96金、84玉、85龍也
作者が85へ歩を置かずに香を配置したのは餘詰に備へたものと思ひます

---

 本手順の変化84玉だと、94金、同歩、同角成、74玉、83角以下23手で、6手変長駒余りです。
 しかし、85歩では余詰を生じるので香にしたというあたり、実によく調べています。


第十四番

0014

此局は玉稍もすれば中原に逸出せむとする形勢なるに詰方は飛龍を犠牲として巧妙に之を防ぎ次に四桂を捨てゝ玉を雪隠に追ひ詰める手段實に巧なる好局と思ひます

22飛成、
同玉、34桂、12玉、21龍、同玉、31歩成、11玉、22銀、12玉、
24桂、同馬、21銀生、11玉、22桂成、同玉、32馬、11玉、23桂、同馬、
12銀成、同馬、23桂、同馬、21馬迄(25手)



變化

22同玉の所同馬ならば
24桂、11玉、12銀、同馬、同桂成、同玉、24桂、22玉、44角、33間、31馬、23玉、13馬、同玉、16龍、23玉、14龍、22玉、12龍也

11玉の所23玉ならば
34銀、24玉、42馬、33桂間、25歩、15玉、17龍、16間、27桂也

22玉の所23玉ならば
12角、24玉、34角成、15玉、42馬にて容易なり

33間の所23玉ならば
31歩成、24玉、42馬にて容易なり

11玉の所12玉ならば
24桂、同馬、22桂成、同玉、32馬、12玉、23銀、同馬、21馬也

12同玉の所22同馬ならば
同桂成、同玉、32馬、12玉、23角にても詰む

◆此図に於て玉方「55と」を缺く時は餘詰を生ずる其手順を略記せば次の如くである
24桂、同馬、23銀、同馬、同飛成、同玉、31歩成、
33玉、22角、43玉、
47龍、53玉、44角成、64玉、56桂、
73玉、77龍、83玉、74馬、94玉、
86桂、93玉、71馬、82間、97龍にても詰む

33玉の所24玉ならば
42馬、33間、15角、同玉、33馬にても詰む

73玉の所75玉ならば
77龍、85玉、86龍にても詰みあり

83玉の所82玉ならば
71馬、91玉、97龍、92間、83桂也

◆筆者所持の將棋新報社發行の將棋圖巧には此図の55とを詰方の駒として記し、註に「原書55とは玉方の駒としてあり然る時は22飛成、同玉とせず22飛成、同馬、24桂、11玉、12銀、同馬、同桂成、同玉にて此時55と詰方のとにあらざれば詰手なし故に改む」と書いてありますが之れは大なる誤と思ひます


第十五番

0015

本局は詰方の86香が玉方の94桂に狙はれて居る爲め詰め難き局面を呈して居り且つ稍々もすれば打歩詰とならむとする形勢も見えますが92桂のなり捨て72龍51角不成等の妙手を以て巧みに成功する所巧妙なる局と思ひます

84桂、
83玉、92桂成、同玉、82香成、同金、91飛、83玉、72龍、同玉、
63歩成、同玉、64歩、同と、53金、
72玉、73角成、同玉、51角生、72玉、
71飛成、83玉、84歩、93玉、82龍、同玉、73角成、同玉、83金迄(29手詰)



變化

83玉の所93玉ならば
92桂成、同玉、91桂成、93玉、84角成、同龍、63龍、73間、同龍、同龍、92金也

93玉の所
(一)91同玉ならば82香成、同玉、71龍也
(二)91同龍ならば93歩、同玉、71角成、同龍、83金也

92同玉の所86桂ならば
82成桂、同金、84飛、93玉、91龍、92間、82飛成也

72同玉の所同金ならば
84歩、82玉、81桂成也

72玉の所53同香ならば
同角右成、72玉、71飛成、83玉、85香也

72玉の所62歩間ならば
同角生、72玉、71飛成、83玉、84歩、93玉、82龍、同玉、73角成、同玉、83金迄
にて本文より二手延びるも詰上り歩一つ残る且つ此手順にては前記73角成の所73金、91玉、92歩と指しても詰を生ずる

◆原書及將棋新報社發行の圖巧には皆51角成と記されてあるが其れでは62歩間と指されて逃れとなる且此51角不成と指す事が原作者の意であらうと思はれるから斯く改めたのである

◆玉方94桂を歩とせば種々の餘詰を生ずる即ち
(一)91桂成、同龍、84桂、83玉、72龍、同金、同桂成にても詰み 又
(二)84桂、83玉、72龍、同龍、同桂成と指しても詰となる

---
 収束、73角成に同玉と取るのが妙手説です。現在なら92玉で変長駒余りとされます。

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