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2016年12月31日 (土)

加藤文卓の「圖巧解説」その6

月報1926年6月号

圖巧解説
二峯生述

九番

0009

此局は駒の活動の甚だ複雜なる所に妙味津々たる傑作であります

52桂成、同龍、82龍、同金、74桂、61玉、62歩、
同龍、72銀、52玉、
62桂成、同銀、63銀成、同桂、53馬、同銀、51飛、62玉、71飛成、52玉、
51龍、同玉、41歩成、同玉、32銀生、52玉、43銀成、62玉、51馬、同玉、
52金迄(31手詰)


變化
52同龍の所同玉ならば53馬、同玉、54銀、()62玉、72香成、()同玉、64桂、61玉、34馬、()43桂間、同馬、同金、53桂、62玉、63歩、同桂、同銀成、71玉、72桂成、同銀、同成銀、同玉、64桂、62玉、72金、51玉、41歩成也
62玉の所
(一)64玉ならば84龍、74間、75銀也
(二)52玉ならば64桂、61玉、62歩、同玉、72香成、同金、53銀成、61玉、52成銀、同龍、同桂成、同玉、51飛、同玉、41歩成、同玉、32銀の詰みあり
72玉の所同金ならば
53銀成、61玉、62歩、同金、同成銀、同玉、74桂、72玉、62金、81玉、82桂成也
43桂間の所
(一)43歩間ならば62歩、同玉、53銀成、61玉、43馬、同金、62歩、51玉、41歩成、同玉、52桂成也
(二)43金打ならば同馬、同金、52金、同龍、同桂成以下容易なり

82同金の所72歩間ならば、
74桂、61玉、62歩、()51玉、41歩成、同玉、32銀、同龍、52銀、同龍、31金、同玉、53馬、同龍、32銀也
51玉の所
(一)62同龍ならば同桂成、同銀、72香成、同金、同龍、同玉、82飛、61玉、72金也
(二)62同銀ならば72香成、同金、同龍、同玉、82桂成、61玉、72金、51玉、41歩成、同玉、32銀以下前記ロに合す

62同銀ならば72銀、同金、同香成、同玉、82桂成、61玉、72金、51玉、41歩成、同玉、32銀、同龍、42金也

63同桂の所同銀ならば直ちに51飛と指して詰あり
以下の變化は容易なれば略す

○變化の部に於て72香成の所74桂にても詰あり此手順も亦面白き故參考迄に次に記す
74桂、61玉、71香成、同玉、62桂成、同玉、63銀成、61玉、34馬、()43香間、同馬、同金、62香、71玉、72歩、同金、同成銀、同玉、64桂、62玉、72金、51玉、41歩成、同玉、43龍也
43香間の所43角間ならば
同馬、同金、52角、同龍、同成銀、同玉、64桂、42玉、32飛也

○變化の部に於て74桂又は62歩の所を72香成と指しても詰あれど却つて複雜なれば略す

○此圖に於て詰方35歩玉方45と及21桂の三駒は殆んど不要の駒の如く見えるが之れは皆必要である即ち
○詰方35歩を缺く時は終局近く41歩成の時52玉と指されて逃れとなる
○玉方45とを缺く時は72銀の所に62桂成と指しても詰ある事となり甚だ面白くない即ち72銀の所に直ちに62桂成と指し此時同銀ならば72銀以下本文の手順となり同玉ならば51銀、61玉、62飛、同銀、同銀成、同玉、44馬の詰を生ずる
○玉方21桂を缺く時はハ62同龍の所51玉、41歩成、同玉、32銀、同龍、52銀、同龍、31金、同玉、53馬、21玉の逃を生ずる
但此21桂は歩でも差支はないやうに思ふ

---
 この月から「將棋圖巧解説」でなく、「圖巧解説」になります。
 また、○番になったり第○番になったりしていますが、原文通りです。次の第十番からは必ず「第」が付きます。
 本局の狙いは63銀成(邪魔駒消去)から53馬の連続技でしょう。ちょっとゴチャゴチャしているような気がします。また加藤の指摘通り21桂は21歩でも可。21桂の方が自然ですが。


第十番

0010

本局は金桂を利用して玉を斜に左上隅へと追ふ所に最も妙味ある傑作です

31馬、同玉、32歩、42玉、52と、同銀、43歩、同銀、53銀、32玉、
43金、同玉、44銀打、54玉、45金、同成桂、同龍、同玉、37桂、同龍、
36金、54玉、46桂、同龍、45金、63玉、55桂、同龍、54金、72玉、
64桂、同龍、63金、同龍、73馬、61玉、71銀成、同玉、82と、61玉、
72と、同龍、同馬、同玉、82飛、63玉、62飛成、54玉、64龍、45玉、
55龍、36玉、46龍、同玉、47金、45玉、46金、54玉、55金、63玉、
64金、72玉、73歩、71玉、62銀成、同玉、53銀成、61玉、72歩成、同玉、
63金、71玉、62成銀迄(73手詰)


42玉の所32同玉ならば
44桂、31玉、32歩、42玉、52と、同銀、同桂成、同玉、53銀、61玉、62銀にても容易

52同銀の所同玉ならば
53銀、()61玉、21龍、51間、71銀成、同玉、51龍、71玉、62龍也

61玉の所51玉ならば
21龍、41間、43桂、61玉、41龍也

43同銀の所51玉ならば
21龍()41香間、63桂、()61玉、41龍、同銀、62香、同玉、53銀、72玉、71桂成也

41香間の所41角間ならば
63桂、61玉、41龍、同銀、71銀成、62玉、51角、52玉、42歩成也

61玉の所63同銀ならば
42銀、62玉、53銀成、61玉、41龍にて容易なり

54玉の所32玉ならば
33銀成、同玉、23龍也

37同龍の所54玉ならば
46桂、63玉、55桂、72玉、64桂也

以下の變化は容易なれば略す

○本局の詰手順は甚だ巧妙でありますが變化は皆容易であります
又中盤82飛の所原書には62飛、73玉、82飛成、63玉、62龍と記されてあるが其れでは無意味に二手延びて面白くないから前記の如く改めたのです

○古名人の下された解答に對して吾々弱輩が是非を論ずるなどは潜(ママ)越非禮の極と思ひますが之れも研究の爲に外ならないのでありますから何卒諒として戴きたい、又之れは單に小生の憶測に過ぎないのであるが此大作圖巧は圖式のみが看壽先生の作であつて解答は他の人多分門下の人の發表されたものではなからうか、斯様な疑を抱かしめる局も全篇を通覽するに數局見えるやうである

---
 「夏木立」です。これも将棋評論で命名されたものとか(『詰むや詰まざるや』による)。
 なお、文中「又中盤82飛の所原書には62飛、…其れでは無意味に二手延びて」云々とありますが、これは文政版図巧の手順とのことで、迂回手順です。

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