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2016年12月30日 (金)

加藤文卓の「圖巧解説」その5

月報1926年5月号

將棋圖巧解説
二峯生述

七番

53歩は必要ありや

0007

此局は妙手に富める好局でありますが聊か不審の点がありますから汎く讀者諸賢の御高見を承つて然る後斷案を出したいと思ひます

82銀、同玉、74桂、83玉、94銀、同飛、92銀、同飛、93角成、同飛、
92角、同飛、84金迄(13手詰)


變化
94同飛の所同玉ならば
93角成、同玉、82銀、93玉、92角、同玉、91銀成、83玉、84金也
此變化の手數は本文より二手多きも82銀の所82角にても詰み即ち二様の詰手順ある之れを變化とする方至當ならむかと思ふ
即ち
82銀の所
82角、83玉、84銀、94玉、93銀成、同桂、84金にても詰む

93同飛の所74玉ならば
75金、73玉、84角也

○此局に於ける玉方53歩は不要の駒ではなからうか
註 53歩なき時詰方若し53角ならば62桂間にて詰が見當らぬ

---
 駒配置の意味を細かく調べた加藤文卓の面目躍如たる指摘で、53歩は確かに不要駒です。


第八番

「91と」は原書になきも然る時は逃れあるやうなり故に假に之を加ふ

00081

此局は兩度の遠角の妙手により敵龍の活動を制する所に妙味津々たる傑作でありますが原圖の儘ではどうやら逃れがある様に思はれますから假に詰方「91と」を追加して見たのであります

43歩、同玉、33金、同歩、52銀、同馬、32桂成、44桂、同金、同角、
同と、32玉、87角、同龍、43金、同馬、同と、22玉、34桂、同歩、
77角、同龍、92飛成、32角、同と、同金、同龍、同玉、23金、31玉、
22角、21玉、12金、32玉、33香、同桂、23桂成、同玉、13角成、32玉、
22馬迄(41手詰)

(正図)

變化

43同玉の所31玉ならば
21歩成、同玉、32桂成、同玉、23桂成以下容易なり


33同歩の所
(一)同玉ならば32桂成、同金、24銀、22玉、23歩、11玉、22金、同金、同歩成以下容易
(二)同馬ならば52銀、42玉、43金、同馬、同銀成、同玉、34角、42玉、52桂成、31玉、21歩成、同玉、12角成、同玉、23桂成、同玉、13金、33玉、34香也
43同馬の所31玉ならば21歩成、同玉、32桂成、同馬、同金、同玉、43銀成也
(三)同桂ならば52銀、同馬、32桂成、44歩、同金、同角、同と、32玉、43角、41玉、52角成、同玉、92飛成、82金間、同龍、同龍、53金、61玉、83角、51玉、61金、41玉、33と迄

---
※この順は91とがないと、83角に71玉で逃れ。このため91とが必要と判断したのでしょう。52銀では、34銀、42玉、92飛成、82歩合、43金、41玉、52桂成、同馬、81龍、71歩合、53金、45歩合、52金、同玉、43銀成、同玉、44と、42玉、53角、41玉、71龍、51歩合(桂合は52角)、42歩以下で、91と無しに詰みます。
い82金合は、同龍、同龍、43金、41玉、52金打、同馬、同桂成、同龍、53金、45歩合、52金、同玉、43角、53玉、64金、同玉、65飛、74玉、63角、84玉、85飛、93玉、94香、同玉、61角成、93玉、83馬まで。
82銀合は、同龍、同龍、43金、41玉、52銀、同馬、同桂成、同龍、同玉、82飛、62金合、43銀成、61玉、81飛成、71歩合、83角、72香合、52角、51玉、71龍、61歩合、同角成、同金、52歩以下。
71桂合は、52金、同玉、43銀成、51玉、52成銀、同玉、72龍、62金合、34角、51玉、61角成、同金、41香成、同玉、61龍、51合、52金、31玉、51龍以下。この手順は39手かかります。

43銀合、同香生、同龍、42銀、同龍、同金、同玉、43銀成、同玉、61角、42玉、62飛、41玉、52角成、31玉、61飛成、22玉、23桂也、同玉、21龍、22合、24金まで、この手順も39手。
---


41玉の所22玉ならば
23歩、31玉、21角成、41玉、53と、45歩、32金、51玉、42金打、同馬、同金、61玉、52金、72玉、92飛成也
82金間の所、82銀間ならば53金、61玉、81龍、71間、43角也


44桂間の所44歩間ならば
同金、同角、同と、32玉、43金、同馬、同と、22玉、23歩、11玉、22角、同金、同歩成、同玉、32金、11玉、23桂生でも詰む

87同龍の所
(一)22玉ならば23金、31玉、21角成、42玉、43と、51玉、52と、同玉、82飛成、82間、43馬、62玉、61金、63玉、52角、72玉、71金、62玉、61角成、63玉、52馬引也
---
82間のところ、62金合で不詰。ここは43馬、62玉、92飛成、82歩合、61金、63玉、52角、72玉、71金、62玉、61角成、63玉、52馬引まで35手。
---
(二)42玉ならば43と、51玉、52と、同玉、43角成、62玉、92飛成、82間、61金以下前記(一)の手順に準ず
62玉のところ63玉ならば52角、72玉、92飛成にて容易なり

(三)76桂間ならば43金、同馬、92飛成、42馬、43と、22玉、42龍、32間、同と、同金、同龍、同玉、23角にて詰あり


43同馬のところ22玉ならば33と、同桂、34桂也

77同龍の所同香ならば29飛、11玉、21飛成、同玉、32金、11玉、23桂生也
以下の變化は容易なれば略す

○詰方「91と」無き時はロの変化三の部に於て82金間以下詰手不明なり
○「64」に殊更に成香を置きて盤面に香を四枚並べたるは終局近く92飛成に對し32角間の時若し此所に香の間駒ありては詰無きを以てなり
○本局最初43歩の所直ちに33金と指せば同桂、43歩、41玉にて以下詰なしと思ふ

---
 91と追加については、1926年10月号に「圖巧八番の訂正」として、52銀を34銀に直し、
い82金合、同龍、同龍、43金、41玉、52金打、同馬、同桂成、同龍、53金、45歩合、52金、同玉、82飛以下(これも詰み)の手順が示されています。

此詰ある事は兵庫縣今田政一氏の注意によつて知りましたので斯様に巧妙な詰手順の伏在して居たのを見落し古名人の大作に對し非難がましい事を申しましたのは全く自分の力の足らなかつた爲めで實に汗顔の至りであります


 この角の遠打を簡明に表現したことで知られる作品。

OT松田作 近代将棋1969年10月

Kinsho70850063

86金、94玉、58角、同龍、85金、93玉、57角、66角、94歩、92玉、
22飛成、同角、93角成、91玉、82馬
まで15手詰

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