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2016年10月17日 (月)

『將棋王玉編』の雑誌未発表作

 1938年頃に頒布されたという山村兎月編『將棋王玉編』100局(2局は重複しているので実質98局)には雑誌未発表作が最大で39局あります。最大、というのは「將棊の國」に掲載された作品が不明だからです。
 これらの作品は雑誌からでないとしたらどこから来たのか。当然、酒井桂史自筆作品集『王玉篇』50局から来たというのが自然でしょう。
 このうち第25番から第50番はイロハ字詰(ノまで)ですが、『王玉篇』にもあったことは、さまざまな証言から確実だと思われます。高橋與三郎は
「詰上がり片假名文字形態に構成したる詰手既に二十六局も成案ありしといふ」とハッキリ26局と書いています。
 現在確認できる雑誌発表作の最も古いものは1925年1月号掲載作です。『王玉篇』は1925年には出来ていたと言われていますが、全局が『王玉篇』作成時点では未発表作だったかも知れません。残る24局のどれが『將棋王玉編』に組み込まれたのか? それが分かれば苦労はしませんが。(笑)

『將棋王玉編』第3番(『酒井桂史作品集』第13番)

013

72と、同玉、63金、同玉、54銀、同玉、66桂、同と、43飛成、63玉、

36角、74玉、63角成、同玉、54龍、72玉、63龍、同玉、52馬、54玉、
46桂、44玉、45歩、35玉、25馬、46玉、47馬、35玉、37香、36桂合、
同馬、34玉、35馬、43玉、44歩、同銀、同馬、同玉、45銀打、43玉、
55桂
まで41手詰

解答は54銀とのみ。成っても成らなくても良い。


54龍は、同歩、52馬、72玉で逃れ。
『酒井桂史作品集』では玉方32歩脱落のため36歩合で詰まない。

 邪魔駒だらけの図です。43銀は52馬から85馬とする変化の邪魔。47飛と58桂は69角の邪魔。47飛は43飛成となった時点では34馬の邪魔なので、歩を取ったあとの角で引き戻し、54→63と押し込むのが良い味。



『將棋王玉編』第4番(『酒井桂史作品集』第11番)

0072


13香成、同玉、14銀、同玉、15金、23玉、32馬、34玉、26桂、同と、
46桂、同銀、24角成、44玉、33馬引、53玉、42馬、44玉、33馬左、53玉、
44馬、52玉、53馬、同玉、42馬、44玉、45歩、35玉、24馬、36玉、
46馬、27玉、28銀、18玉、19銀、27玉、28馬、36玉、46金
まで39手詰

 この図は紹介済みの將棋月報1925年6月号作。上記作品に似た雰囲気があります。
 発表図は玉方58とがなく、21馬、23玉、13香成、34玉、43馬、同歩、45銀、25玉、29香、28角合、同香、27歩合、15飛、26玉、48角以下の余詰がありました。

月報1928年8月号
加藤文卓
此餘詰ある事を作者酒井氏に通知しました所同氏よりは極めて謙譲なる御解答に接しました而して此圖に玉方「五八と」を加へたならば餘詰は消失すると思ふ(即ち前記四八角打の手がなくなるから)との御意見を寄せられました


『將棋王玉編』第5番(『酒井桂史作品集』第63番)

063


54角左成、42玉、52角成、33玉、42馬、22玉、31馬、同金、同飛成、13玉、
22銀、14玉、36馬、25金合、13金、同銀、同銀成、24玉、33銀、13玉、
22銀生、14玉、11龍、24玉、15龍、同玉、27桂、16玉、19飛、17合、
28桂
まで31手詰

19飛は作意。

52角成、44玉(52同玉は43銀から41飛成)、34馬、55玉、54角成、46玉、41飛成、57玉、58銀、同玉、36馬、68玉、78金以下の余詰。

 この図は前半の馬の動きに面白さはありますが、後半は腰砕けの感。


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