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2016年6月28日 (火)

今田政一研究 その14

 41年2月、藤井朗が「一月號の各稿に就て」で、「新入生」も「作品再檢討」で『龍光』の不具合を指摘します。さらに7月号に「新入生」の「龍光批判」、9月号に佐賀聖一の「將棋龍光再檢討」と続きます。
 これに対し、今田は2月、9月、10月、11月、翌年3月、6月号まで対応を余儀なくされます。

2月号 新入生「作品再檢討」
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 今田政一氏の作品はわれわれ純創作型フアンの讃仰の的であつたゞけに前號發表の『將棋龍光』中に不審な數局を見出した時には一寸失望した。もとより不肖棋力乏しければ宜しく讀者諸賢の御批判を待つ
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7月号 新入生「龍光批判」
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廿世紀棋書出版界における最大の収穫とは云ふまでもなく龍光の刊行であつた。それだけにあの五十番のうちにまだまだ再檢討を要する──つまり不完全な作品があるのを識つて一寸意外な感がした。
で、わたしは、昭和藝術の一異彩としてかかるすぐれた圖式の完璧を期して頂きたいためにおこがましくも再び批判の筆をとつた次第である。もしも今田氏にいま少しの御努力をお願ひできるならば龍光は、眞に愛棋家の崇敬措くあたはざる現代詰將棋の聖典として不滅の光芒を放つであらう。

…最後に附言したいのは、この圖集がたとへ二三の微瑕をもつてゐやうとも、質的に低下してゐる現今の將棋壇にとつて龍光の發表はひとつの驚異であり、痛快事でもある
われわれは今田氏について未開の曠野に鍬を入れよう
そこにのみ絢爛たる黄金時代の再現は約束されるのだから
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 藤井、佐賀は前文なく、いきなり指摘から入っています。5月に刊本(50局)が上梓されたため、これ以降は第31番以下も検討の対象になります。

 以下に、新入生、
藤井、佐賀の指摘と、今田の対応を表にしました。手順の誤りの訂正は記していません。

作品番号 41年2月 2月 7月 9月 9月 10月 11月 42年3月 6月
1 藤井 今田 今田 今田
2 今田 今田
3 藤井 今田 新入生 今田 今田 今田
4 新入生 今田 今田 今田
5 新入生・藤井 今田 今田 今田
6 新入生・藤井 今田 今田
7 新入生・藤井 今田 新入生 今田 今田 今田
8
9 藤井 今田
10
11
12 藤井 今田 今田
13
14 今田
15
16 今田
17 藤井
18 今田
19
20 今田
21
22
23
24
25 今田
26
27
28
29
30
31
32
33
34 佐賀
35 新入生 佐賀 今田
36
37
38 今田
39 新入生 今田 今田
40 新入生 今田
41 新入生 今田
42 佐賀 今田 今田
43 今田
44
45
46 今田 今田
47 今田 今田
48 佐賀 今田
49 新入生 今田 今田
50

訂正記事を一覧にした大塚写本の表では脱落していますが、第49番も訂正されています。ただし大塚写本の最終図は正しい。

 指摘者の話題に上らなかったのは、2、8、10、11、13~16、18~33、36~38、43~47、50番の33局でした。その中にも不完全作があります。
 指摘がなく、問わず語りに今田が直した作品もあります。

 41年2月号の「編輯後記」に「將棋龍光は再檢討完全を期するため少々遅れますが三月中旬には發行することが出來ると存じます」とあります。


つづく


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