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2016年6月23日 (木)

今田政一研究 その10

 38年の発表作はありません。

 既に紹介した3月号の「まぼろし」名義の「詰將棋對話」に次のようなくだりがあります。
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酒井先生のあの精彩に富んだ流麗高雅の作品は君仲の上位に位すべき作品、否、宗看、看壽と共に並び稱されるべき名品であらうと僕は信ずる。其の他、田代、田邊、今田等の諸氏の作品も、君仲と優劣を競ふ作品ばかりだよ。他に未だ未だ十指に餘る名作を創る作者がゐる
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 さらに11月号、前田三桂の「酒井先生訪問記」(38年10月10日訪問)に「今は創作は廃して居られるが、月報は時々披見せられると見へて今田君の作など激賞されて居ました」とあります。


 同じ11月号、松井雪山の「精觀中巻のページ」に今田の名前があります。
 『將棋精觀』中巻は38年8月に棋研會から出版された本で、広告(月報39年3月号)によれば、「上巻發行以來刻苦精勵二箇年にして愈々絢爛の本書成る。夫れ第一部新研究集成諸篇中より『飛車落桂跳違』一章を採つて見るも初めて完全茲に信頼し得る事を知る。第貳部『三代宗看圖式極め』に至つては、正に斯界二百年來の疑義解決の新紀元を劃し其業績不滅の光彩を放つものであらう。實賈部數僅少壹百卅部限定出版。速かに購められて將棋道の神髄を玩味把握亦以て子孫の爲にも人智の最高一記録を示す發奮の資として一冊を傳へられんことを。」
 相当な鼻息です。ちなみに『將棋精觀』上巻(1936年)は指将棋の本のようですが、上巻、中巻とも未見です。
 その11月号では『将棋無双』の第8番(余詰局)について、今田が57とを56ととする補正を行ったことが記されています。

三代宗看『将棋無双』第8番

090008

41金、同玉、44香、31玉、53馬、同香、42角、22玉、12香成、23玉、
22成香、同玉、31角生、33玉、22角生、24玉、25歩、23玉、13飛成、同桂、
32飛成、同玉、33金、21玉、31角成、同玉、42香成、21玉、32成香、12玉、
22成香
まで31手詰

53角、42歩合、同香成、同金、同角成、同玉、43歩、33玉、44金、23玉、34金、同玉、35飛、43玉、45飛、54玉、44馬、64玉、94龍、74歩合、66香以下。玉方56となら66香と打つ手はない。

 門脇芳雄の『詰むや詰まざるや』には今田補正案とともに山村兎月補正案(36金を36と金に)も紹介されています。


 さらに第37番(不詰局)、今田は玉方86歩が脱落しているのではないかと述べたようですが、それでは作意が成立せず、凡庸な手順の駒余りになります。
 12月号の「精觀中巻のページ」では松井雪山が前田三桂と今田の名を挙げて、補正協力に対するお礼を述べています。


 これも12月号、蒼門寺喬なる筆名の「偶感雜記」で、土居市太郎の新刊書『初心詰將棋讀本』『近代詰將棋讀本』(いずれも38年8月、博文舘)について、「酒井、今田の名手の作と比較論評するには其差が多き過ぎるが土居氏の作としては此の集成は先づ成功であると思へる」とあります。

 今田の名を挙げる人が次第に増えていきます。

つづく

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