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2016年3月 6日 (日)

『闘魚』再録版 その25

 一、詰將棋に於ける類似手筋の問題

 詰將棋といふものは何分多くの作家が異つた時、異つた場所に於て夫々自由な構想に基づいて作るものであるから相似た乃至は同一の手筋を含む作品が生ずるのは蓋し止むを得ない事であらう。之がこゝに云ふ類似手筋の問題である。勿論意識的に模倣せるが如きものはこゝの問題ではないのであつて、こゝでは新舊作品間に於ける手筋の偶然の一致について論ずるのである。
 三月臨時號に於て杉本氏は次の二局間の類似性を指摘して居られる。

昭和10年6月「日の出」
山本七段出題

0027

12飛、同香、33飛、同玉、11角、24玉、25金
まで7手詰


※1「日の出」は新潮社発行の雑誌。1945年12月廃刊。

昭和8年10月「將棋時代」※2杉本兼秋氏出題

0028_2

※2「將棋時代」は1932/05~1934/12まで27号。「將棋時代社」(石原明)発行。

24桂、同桂、12飛成、同香、33金、同玉、11角、32玉、22角成
まで9手詰

 氏は本局の主眼12飛成と前局の12飛打との間に何等かの關係なきやと云はれてゐるが私は更に同様の手筋を取扱つた作品をもう一つ掲げやう。

0030

82銀、92玉、93飛、82玉、74桂、72玉、84桂、同金、92飛成、同香、
73角成、同玉、91角、72玉、82角成
まで15手詰

 之は木村八段著將棋大観の巻末にある圖であるが本局も矢張り92飛成の手筋を主眼としてゐる。之は勿論杉本氏の圖よりも古いものであるから同様な手筋を取入れた(勿論無意識的に)杉本氏の作品が或程度の價値を減少する事は否まれないであらう。殊に更にそれよりも新しい山本七段の圖に至つては著しくその價値を減ぜざるを得ない譯である。
 現今和歌に於ても新舊作品間の辭句の類似が問題になつてゐるさうだが、之と同様な事が詰將棋に於ても云ひ得るのではないかと思ふ。妄言多謝
(將棋月報1936/03里見凸歩「私の研究室」。つづく)


第47番

47 46

76飛成、同桂、75角、同玉、85角成、66玉、76馬、57玉、58馬、66玉、
67馬、75玉、85馬、64玉、74馬、53玉、52馬、44玉、43馬、35玉、
25馬、46玉、36馬、57玉、58馬、66玉、67馬、75玉、85馬、64玉、
74馬、53玉、52馬、44玉、43馬、35玉、25馬、46玉、38桂、同成香、
49飛、48歩合、36馬、57玉、58馬、66玉、67馬、75玉、85馬、64玉、
76桂、53玉、52馬、44玉、43馬、35玉、25馬、46玉、36馬、57玉、
58歩、66玉、69飛、75玉、86銀、同玉、87銀、75玉、86銀、同玉、
89飛、75玉、87桂、86玉、95桂、75玉、74成香、同玉、83飛成、75玉、
84龍、66玉、67香
まで83手詰
(將棋朗作選改)

64玉は、74馬、53玉、52馬以下4手早い。

49同成香は、38桂以下早い。

 馬の回転追いです。原図は月報1935/09、義舜名義。朗作選と同じ図です。

鶴田諸兄解説
「特にうまいと思ったのは39手目38桂と打ち同成香を余儀なくし、29飛を世に出し、49飛の活用で、同成香と取れぬとはオドロキで、相当な妙手と思う。本書中でも五本の指に入る佳作と思う」



第48番

48 3254

 右は、將棋月報1941/01。99手詰。

21と、同玉、33桂、11玉、12歩、同玉、23金、11玉、21桂成、同玉、
32馬、11玉、33馬、21玉、43馬、11玉、44馬、21玉、54馬、11玉、
55馬、21玉、65馬、11玉、55馬、21玉、54馬、11玉、44馬、21玉、
43馬、11玉、33馬、21玉、32馬、11玉、66角、同桂、33馬、21玉、
43馬、11玉、44馬、21玉、54馬、11玉、55馬、21玉、65馬、11玉、
66馬、21玉、76馬、11玉、77馬、21玉、87馬、11玉、88馬、21玉、
98馬、11玉、88馬、21玉、87馬、11玉、77馬、21玉、76馬、11玉、
66馬、21玉、65馬、11玉、55馬、21玉、54馬、11玉、44馬、21玉、
33桂、31玉、32歩、42玉、43歩、52玉、62歩成、同銀、42歩成、同玉、
41桂成、同玉、43香、52玉、42香成、同玉、33金、51玉、52歩、41玉、
42歩、52玉、43馬、51玉、41歩成、同玉、42金
まで107手詰
(將棋月報1941/01改)

 66角と行くために、32馬まで戻るのが面白く(65馬の形で66角は22歩合で逃れ)
全体に無駄のない構図と手順です。


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コメント

47番、原図は月報1937/02とありますが、月報1935/09にもあるようです。

EOGさま

ご指摘ありがとうございます。
直しました。

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