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2016年2月22日 (月)

「詰棋界」 その48

 第4巻第1号(通巻第18号)のつづきです。全体のページ構成はこちら

創作規定について
金田秀信

 創作詰将棋について、不完全とされるべき作品が看過されているのを見る。
 それらの作品の一つを挙げて、これに対する私見をかんたんに述べてみたいと思う。

(A図)塚田正夫出題
近代将棋1953/06

50690653

42銀、同玉、53桂成、32玉、22金、同銀、43飛成、31玉、42龍
まで9手詰

 A図は変化と作意の手数が同一で、しかも、その両者を区別するものがない。この種の作品は比較的多い。これについては近代将棋の既刊号で、考える所を充分書いたつもりなので、ここでは省略する。
 A図のような場合、5手目22金以下、これを取る手順と逃げる手順のどちらを本手順にしてもよいとするのはおもしろくない。どちらでもよいとするのは玉方の最後の応手だけにしたい。そういう意味からa図など、他から意見があれば不完全としてまっ殺するにちゅうちょしない。

a図自作
将棋評論1951/03

0281_2

---
※「詰棋界」にはありませんが、
原図はこれです。

0281_5  

24歩、同玉、25金、23玉、34金、12玉、24桂、同角、23金、同金、
21角
、22玉、32と、13玉、25桂
まで15手詰


a図は21角と打った局面
---

 次に、B図の詰手順中63飛成(C図)に対する玉方の応手に疑問を持つ。

(B図)柏川悦夫氏作
近代将棋附録1953/01

06081723

71銀、92玉、84桂、同歩、74角、同歩、82金、93玉、63飛成、同銀、
83金打
まで11手詰

(C図)

06081723_2

作意はこれを同銀とし83金打迄であるけれども、63同銀では73金(飛)合が最善と思う。つまりC図を合のきく場合と見る。(73金合の次に83金または73同龍の一手で詰まないし、合駒をする地点に玉方の駒-81桂-がきいている点D図とその性質を異にするから)

(D図)

195401

ちなみに、B図はコンクール第二位を得た作品である。そこで、規定をきびしくするために、このような作品が不完全となるとしたら、それは惜しいということになるが、現在のように佳作品の続出している時、それらをはかるフルイの網の目をこまかくしたところで鑑賞者の不満を買うような結果は起こるまい。したがって、作者にしても、創作に非常な不自由を感じるようになるとは考えられない。
 以上について、読者の御意見がうかがえれば幸いである。
(28.12.1記)

※掲載年月は補いました。


新春一題集
長篇之部

住所 作者 手数 結果
1 福島県 渡部正裕 33
2 松江市 田中佐市 33
3 和歌山市 山下延義 35 2位
4 横須賀市 猪瀬達郎 35 佳作
5 高知市 小南夏樹 49
6 静岡県 村木徳 39 佳作
7 横浜市 早川茂男 41
8 東京都 浅野博 35
9 東京都 堤浩二 57 3位
10 神戸市 田宮克哉 53
11 東京都 北原義治 75 1位

 11局の出題でしたが、10局不完全。1~3位全滅という結果でした。掲載されなかった作者へのお詫びに加えて「不完全は返却いたしますから修正の上再投稿して下さい」とあるので、検討はされていたのでしょうが。


曲詰之部

住所 作者 手数
1 佐世保市 富田忠男 11
2 兵庫県(ママ) 田宮克哉 37
3 福島県 渡部正裕 45
4 東京都 関根重治 17
5 横浜市 日下寅雄 11
6 苫小牧市 渡辺一平 27
7 愛知県 植田尚宏 11
8 東京都 門脇芳雄 25
9 横浜市 市川靖雄 19

 9局中5局不完全。曲詰の順位はありません。

門脇芳雄作

0847

55金、同玉、67桂、65玉、76龍、同桂、74銀、同金、77桂、54玉、
43銀生、同桂、45金、同玉、36金、54玉、45金、同玉、35と、同と、
34角、同と、27馬、35玉、36馬
まで25手詰



趣向之部

住所 作者 手数 結果
1 静岡県 村木徳 75
2 横浜市 市川靖雄 39
3 横須賀市 猪瀬達郎 43 佳作
4 沼津市 鈴木幸之助 95 3位
5 東京都 黒川一郎 129 1位
6 福島県 渡部正裕 59 2位
7 北海道 黒坂隆身 53 佳作
8 東京都 堤浩二 35

 8局中7局不完全でした。ここも入選作は全滅。

市川靖雄作

Tumekikai0833

86桂、75玉、87桂、76玉、88桂、67玉、56銀、66玉、67歩、同角生、
55銀、65玉、77桂、同角生、66歩、同角生、54銀、64玉、76桂、同角生、
65歩、同角、53銀生、63玉、75桂、同角、64歩、同角、52銀生、62玉、
74桂、同角、63歩、同角、同銀成、同玉、41角、62玉、52角成
まで39手詰

67同角成は、55銀、65玉、66歩、同馬、54銀、64玉、65歩、同馬、53銀生、63玉、64歩、同馬、同銀成、同玉、73角以下。

67同銀、同玉、85角、66玉、67歩、65玉、74角以下。


 こ、これは…。

久留島喜内『橘仙貼壁』第120番

250120

75歩、同玉、76金、同玉、77飛、同玉、86銀、76玉、68桂、同角生、
77歩、同角生、85銀、75玉、67桂、同角生、76歩、同角生、84銀、74玉、
66桂、同角成、75歩、同馬、同銀、同玉、84角、74玉、75歩、83玉、
93角成、同玉、63飛成、94玉、83龍、95玉、84龍、96玉、86龍
まで39手詰

77同銀、同玉、86角、76玉、77歩、85玉、53角成、87飛合、65飛成、94玉、95歩、93玉、85桂以下。

 市川作は単に桂を打ち捨てず、縦に並べたあと跳ね出して捨てる点が違いますが、同工異曲と言えないこともありません。しかも潰れている箇所も同じ。しかし、「將棋月報」1936/10~12の「橘仙貼璧氏作」にこの図はなく、市川が独自に想到した手順と思います(
山村兎月の写本を知っていたとしたら別ですが)。
 市川作は玉方94銀配置で直ると思います。


 趣向之部、唯一の完全作がこちら

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