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2015年12月22日 (火)

『将棋駒競』考 番外その2

 龍谷大本は元々西本願寺の「写字台文庫」に収められていたもので、同文庫には絶板になった『象戯勇士鑑』もあります。
 ここの『駒競』は、清水孝晏ワープロ版の説明では献上本系の扱いとなっているのですが、中身を見るとかなり異図があります。

作品番号 清水孝晏本 龍谷大本 備考
25 040025 25_2 左、完全。
右、余詰。
27 040027 040027_2 左、余詰。
右、余詰。
ともに持駒歩は不要。
42 040042 42_2 左、完全。
右、余詰。
44 040044 44_3 左、完全。
右、余詰。
47 040047 47_2 左、完全。
右、不詰。
49 040049_3 49_3 左、余詰。
右、不詰。
61 040061_2 040061_4 左、42歩不要駒。
71 040071 71 左、完全。
右、余詰。
75 040075 75 左、完全。
右、余詰。
83 040083 83 左、36歩不要駒。
84 040084 84 左、完全。
右、余詰。
85 040085 85 左、完全。
右、余詰。
93 040093 93 左、完全。
右、余詰。
96 040096 96_2 左、11手目から余詰。
右、初手から余詰。
98 040098 98 左、余詰。
右、不詰。

(2015.12.23記 当初13図異なるとしていましたが、15図でした)

 上記龍谷大本の15図のうち、11図は古図鑑版と同じなのです。すなわち、25、42、44、49、61、71、75、83、84、85、96番です。47番と93番は、清水本と古図鑑版は一致していますが、龍谷大本はかなり違います。27番、98番は清水本とも古図鑑版とも違います。

 龍谷大本は、清水孝晏が言うような献上本系なのでしょうか? 確かに林羅山の序、宗看の跋と印影は、清水本と同じです。大きさは、27.5㎝×20㎝くらいと思われます。これは清水孝晏が「献上本」と呼んでいる29㎝×21㎝より小さく、内閣文庫本(旧・昌平坂学問所蔵書)の26.5㎝×19.5㎝より大きいです。
 作品配列は清水本と同じだが、個々の作品の配置は古図鑑版に類似しているものが多いのです。
 古図鑑版には「種本は主に、横田幸歩編纂昭和四年一月將棋月報社発行書である」と明記してありますが、その月報社版の原本は「寫本」で誤りが多いものの、正誤表により訂正すると古図鑑版に近い姿になります。そしてその写本の底本は元禄7年版の流れだろうと思います。
 というわけで、龍谷大本は献上本系の配列でありながら、個々の駒配置、持駒はむしろ元禄版系に近いという不思議な本なのです。

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