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2015年6月18日 (木)

「詰棋界」 その23

 第2巻第5号の続きです。全体のページ構成はこちら

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御注意肝要也 箱根雲助

 すこしでも大道棋に興味を持ったひとなら第一図は金問題の基本型だという事を御存知だろう。これが盤の上に並べてあった。

第一図
195211

 新宿の街角である。十四、五人がかたまっている中で、大道棋屋、俗にいうギショウ屋が何かしゃべっていた。
 小さい板にかすれた細かい字が、ゴチャゴチャ書かれてあり、五十円という字だけを目立つように赤鉛筆で印しをつけてあった。しかし、その五十円という上には一手毎に研究料と記されている。
 サクラがまずい手を指して五十円払う。本当の客はなかなか食いつかなかった。
 手を出してみようかと私は思った。わかりきった手順とはいえ指しているうちにサッカクを起すと一手五十円だから千円ぐらいを取られるかも知れない。ちょっとその場をはなれ、財布をとり出し百円札二枚と十円札五、六枚を残して、あとを内ポケットに入れた。失敗して「一手でなく一回五十円だと思った」と言っても大道棋屋は承知しないが結局「財布を見せろ」と言うだろうし、その時は財布の中身を全部-二百五十円ぐらい渡せばたいがい大丈夫だ、さう考えた。手を出す前にこの程度の用心が必要である。元の場所に帰ったがまだ誰も客は食いつかないらしかった。「それじゃこの答えを教えてもっと易しい問題を出しましょか」などと言って客が飽きて散ってしまうのを防いでいる。…私は置いてある金を取り上げた。見物人ものり出し、ギショウ屋も身構える、不慣れな手つきで私は九六え打った。九六金、八四玉、八七香、八六飛、八五金、同飛、同香、同玉、八六飛、七五玉、五六飛、八四玉、八七香、八五角、同香、同玉、八六馬、八四玉、五七角、七五香、同角、同歩、五四飛

第二図
195211_2

 こゝで第二図となった。投了の直前である。相手は観念したらしい顔で桂馬をつまんで合駒した。だが、それはギショウ屋必死の反撃であった。
 香を八五へ打ってとどめを刺さうとした私はギクリとした。
 大道棋でなくては見られない馬鹿々々しさ! 合駒の桂の位置は六四なのだ。
 せいては事を仕損じるとは正にこの時を言うのであろう。第二図以下は香車を打つだけでよいのだ、と即断しては敗北である。
 台の上の小さな板には「待ったなし」と、かすれた細かい字で書かれてあった。

※個人的に大道棋には関心がないのですが、いつもリンクを貼っていただいているTETSUさんに大サービス(笑)


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Aクラス解答 第二巻・二号 S・T生

※第二巻・二号は三号の誤り。

(マ)「望蜀」黒川一郎氏作

0356

22歩、同銀、12銀、同玉、13歩、同銀、23銀、同玉、24歩、同銀、
同金、同玉、15銀、23玉、24銀打、12玉、13銀成、同玉、25桂、12玉、
13桂成、同玉、23金、同玉、27飛、12玉、14香、13桂、同香成、同玉、
24銀、14玉、16香、同飛成、15歩、同龍、同銀、同玉、25飛打、16玉、
26飛上、17玉、39馬、同成桂、29桂、同成桂、27金、18玉、16飛
まで49手詰

12銀、同銀、22歩も可。
28銀合で2手変長となる。

● ロマンチストをもって知られる黒川氏の力作。
"望蜀"は名付けたりやな。
斗病子氏「黒川氏独得の趣向。玉を吊り上げる手段は見事である」
小西稔氏「むずかしい手はないが、スラスラと気持よくさばけるはよい」
里見良幸氏「本局の趣向すこぶるおもしろし。中盤飛者のさばき鮮やか。終盤の手筋又、ユーモアを含む」


※他の2局は不完全作でした。

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Bクラス 第二巻 三号 清水孝晏

46武田昇氏作

0360

32飛、同玉、43銀、22玉、31角成、12玉、22飛、13玉、23飛成、同玉、
41角成、12玉、13歩、同桂、21馬、同玉、32銀生、12玉、A23銀、21玉、
32馬
まで21手詰

黒坂隆身氏「手筋としてわ眼新らしくないが、飛打ち飛捨ておもしろく好感が持てる。好局」
堤泰氏「好手二三飛捨てスラスラと気持よい作品」


※6局中5局余詰でした。

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棋の友

● 朝夕めっきり涼しくなりましたが編集部の皆様お元気ですか。松本朋雅翁作「裸玉」「図巧十番」を見せて下さい。
飯田市 北原義治


松本朋雅翁作

370001


33飛、32金合、42銀、同玉、51角、同玉、53飛成、52角合、43桂、同金、
62金、41玉、52龍、31玉、13角、21玉、22龍
まで17手詰


34飛、41玉、44飛、42桂合、32銀、同玉、14角以下。
22銀、同玉、11角、同玉、12金、同玉、24桂以下。
23桂、22玉、11角、13玉、14銀、同玉、34飛成以下。

※『將棋萬象』(1905年)第1番です。



伊藤看寿作『将棋図巧』第10番

100010

31馬、同玉、32歩、42玉、52と、同銀、43歩、同銀、53銀、32玉、
43金、同玉、44銀打、54玉、45金、同成桂、同龍、同玉、37桂、同龍、
36金、54玉、46桂、同龍、45金、63玉、55桂、同龍、54金、72玉、
64桂、同龍、63金、同龍、73馬、61玉、71銀成、同玉、82と、61玉、
72と、同龍、同馬、同玉、82飛、63玉、62飛成、54玉、64龍、45玉、
55龍、36玉、46龍、同玉、47金、45玉、46金、54玉、55金、63玉、
64金、72玉、73歩、71玉、62銀成、同玉、53銀成、61玉、72歩成、同玉、
63金、71玉、62成銀
まで73手詰

▽ 図巧十番は金と桂で竜と玉を追い上げる手順が一番の妙手と見られます。


※実際の誌面には、手順の記載はありません。


● 第二巻四号Aクラスの(エ)小生作は、このままでは不詰でした。玉方角合無いよう五二金を五二角に訂正して下さい。
横浜市 市川靖雄

※第三巻第一号の結果稿は、52角になっています。


● 左図将棋貫珠第十五番川村古仙作の詰手順御教示下さい。
福山市 日野秀男

350015

▽お答えいたします。

83桂、同銀、72桂成、55歩、82成桂、同玉、83角成、同玉、74銀、82玉、
62龍、81玉、82歩、91玉、71龍、92玉、93歩、同玉、73龍、94玉、
83龍、95玉、85龍
まで23手詰

※実際の誌面の表記は漢数字+漢数字ですが。


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