« 「詰棋界」 その17 | トップページ | 「詰棋界」 その19 »

2015年5月30日 (土)

「詰棋界」 その18

 第2巻第4号の続きです。全体のページ構成はこちら

-----
飛角図式について 土屋健

戦前月報誌上で故有馬康晴氏が、飛角図式と命名し作品を募集した事があった。尤も飛角図式そのものは別に新しい趣向ではない。有名な小原大介の歴史的な作品があり、該図は優秀な作品で詰将棋に興味を持つ者は常識として知って居る筈である。
月報誌上で、故岡田秋葭君、佐賀聖一君等の若人が斬新な感覚を馳って佳作をものにしたものだが、さて本誌ではどうであろう。

※通巻第6号で募集された飛角図式です。9箇月後の発表。12局掲載されています。現在は盤上に玉と飛2角2だけの図を飛角図式と呼んでいると思いますが、この当時は持駒飛2角2の図も飛角図式と呼んでいたようで、4局含まれています。
 8局は解付き、4局は解答募集でしたが、どこを探しても結果発表がありません。石沢孝治氏の『詰棋界作品集』(上巻)でも「作意発表なし」。これはいただけません。
 土屋健の発表作はこの号が最後、「詰棋界」での執筆もこれが最後だったのかもしれません。通巻第6号で予告された土屋健解説『趣向局について』(第7号の編集後記でも触れてある)も結局発行されませんでした。この事情について、田辺重信宛私信の中で「無力竝に時間的に不可能で中途で打切って仕舞いました」(『私と将棋』)とあります。
 で、余詰10局。残る2局も今一つなので、ここで飛角図式の傑作を紹介しておきます。

塩野入清一作「詰棋めいと」1989年7月

2619

33歩、21玉、22歩、同飛、32金、同飛、同歩成、同玉、12飛、22歩合、
同飛成、同玉、43飛生、12玉、13歩、21玉、22歩、11玉、12歩成、同玉、
89馬、22玉、88馬、12玉、13歩、21玉、22歩、11玉、12歩成、同玉、
78馬、22玉、77馬、12玉、13歩、21玉、22歩、11玉、12歩成、同玉、
67馬、22玉、66馬、12玉、13歩、21玉、22歩、11玉、12歩成、同玉、
56馬、22玉、55馬、12玉、13歩、21玉、22歩、11玉、12歩成、同玉、
45馬、22玉、44馬、31玉、32歩、同玉、33馬、21玉、22歩、11玉、
12歩、同玉、13歩、11玉、21歩成、同玉、12歩成、同玉、42飛成、13玉、
22龍、14玉、24龍
まで83手詰

 この手数は乗り越え不可能ではないかと思いますが…。最長手数作というだけではなく、手順も美しいですね。


-----
図譜考検(1)

 毎月、誌上に発表される詰将棋をこゝに集録して、研究致したいと思います……が現在詰将棋掲載誌は多数あり、とうてい一人の蒐集では出来るものではありません。
 会員諸兄も蒐集した作品を本会迄(解答と同封でも可)お知らせ下さらば、これに過ぎたる喜びはありません。何卒お協力お願い申上ます。

※第1回分として、土居八段、花田八段、関根名人、神田八段、建部八段作が採り上げられています。
 図譜考検といえば、田辺重信が月報誌上で連載した「現代名家圖譜考検」を想起させますが、これは当時の専門棋士の発表作に古作物の盗作・改作が多かったことを糺さんとする意図に出たもので、「『下手の横槍』の詰将棋版」(湯村光造氏)の体、それに比べれば穏やかなものです。
 解答は第3巻第1号ですので、その際に。

-----
番付戦解答(1)

 前回活躍した天元老人、内山精一氏の名前が見られぬのは淋しい。かわって新進の活躍が期待される。

※6局中余詰1、不詰1、変長1でした。

山本武子作

0372

35龍、42玉、44龍右、31玉、51龍、22玉、42龍左、32金、同龍、同玉、
33金、21玉、24龍、31玉、22龍、41玉、42龍
まで17手詰

石川広氏「二枚竜の活躍が眼目。詰上りも三枚好作」

※「簡素図式精選」(岡田敏)でも採り上げられていました。



北原義治作

0373

13歩、21玉、31金、同金、12歩成、同玉、24桂、同歩、23金、21玉、
11馬、同玉、13香、21玉、12香成
まで15手詰

斗病子「ちょっと三一金は気がつきませんね」




奥薗幸雄作

0375

23飛、22角、32金、同玉、41角、同玉、43飛成、42歩、52金、31玉、
42金、21玉、32金、12玉、22金、同玉、44角、12玉、32龍、13玉、
22龍、14玉、15歩、同玉、33角成、16玉、34馬、17玉、35馬、18玉、
36馬、19玉、37馬、18玉、28馬
まで35手詰

佐藤次衛氏「流石、奥薗氏パーソナリティが、如実に現れている。裸玉は良く創作されている様だが、どうも、この詰手順見覚えがある様で気にかゝるが… 私の思い違いかな?」

※『夢の華』第25番(「旧パラ」1952年2月)との違いは81歩と71香の違いだけ。手順は同一です(細かいことをいうと、最終手が龍と馬の違いはある)。山田作の方が先行していますが、これは「玉探し問題」として出題されたもので、盤面は81歩のみで玉位置を見つけよというものでした。

« 「詰棋界」 その17 | トップページ | 「詰棋界」 その19 »

「詰棋界」」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「詰棋界」 その18:

« 「詰棋界」 その17 | トップページ | 「詰棋界」 その19 »

サイト内全文検索

酒井桂史『琇玉篇』解題

無料ブログはココログ