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2015年4月 2日 (木)

めいと賞 その9

中野和夫作「詰棋めいと」第28号 長編の部1
受賞:銀賞

4318

47銀、35玉、36銀、同玉、37銀、35玉、13角、24角合、36飛、25玉、
26飛、35玉、24角成、同と、53角、44角合、同角成、同歩、36飛、25玉、
43角、34角合、同角成、同と、26飛、35玉、57角、46角合、同角、同桂、
13角、24角合、同角成、同と、36飛、25玉、43角、34角合、26飛、35玉、
45金、同歩、36飛、25玉、34角成、同と、26飛、35玉、13角、24角合、
同角成、同と、53角、34玉、44角成、23玉、22銀成、13玉、14香、同玉、
16香、15歩、同香、同玉、16飛、25玉、26銀、16玉、17歩、27玉、
37金
まで71手詰

 
55玉は、75飛、65角銀桂香歩合、64角、66玉、55銀、67玉、58金まで。
 
65飛金合は、64角、66玉、57銀、67玉、58金まで。
 
24玉は、21飛、23金合、13銀、同玉、31角、24玉、23飛成、同玉、22角成、24玉、23金まで。
 
24歩合は、36飛、25玉、26飛、35玉、24角成、同と、36飛、25玉、26銀、16玉、17歩以下。この17歩を打たせないための角合。

野口賢治-いきなり銀の打ち換えで意表を衝き、角の攻防で徐々に膠着した局面を打開してゆく手並みの鮮やかさ。長編でこのような好作に出会えたのは幸運。

聖鬼神-51手目
45金が見えにくい。

鈴木芳巳-角打ち角合七回はお見事。大傑作なり。

新田道雄-この好形から楽しい趣向で、不動駒も二枚とは凄い。

松沢成俊-両端の銀がなければ傑作。

 作年12月に亡くなられた中野和夫氏の作品です。
 氏の作品中、最長手数作は「近代将棋」1999年9月の金捨て金合周辺巡り91手詰、次がパソコン通信の会議室で1998年に発表された飛龍追いの85手詰で、本局は三番目に長い手数の作品と思われます。
 作者の言葉にもあるように「近代将棋」に発表された不詰作の修正改良図です。

 まず、なぜ銀を打ち換えるのでしょうか。
 
14角に24桂合(24歩合は37飛、36角合、同飛、25玉、26銀、16玉、17銀、25玉、26飛以下)、37飛、25玉で逃れ。ところが37銀の形なら13角、24桂合、36飛、25玉、26飛、35玉、24角成、同と、36飛、25玉、17桂で詰みます。つまり26飛にヒモをつけるというきわめて簡単な意味付けなのです。
 角打は、角を歩など他の駒に換えるため、角合は角のままで他の駒に換えさせないため。この応酬です。
 玉周りを狭めておいて
45金が局面打開の好手で、同玉なら46銀、56玉、57金まで。これで確かに詰んでいます。同角なら、46銀、26玉、37金、17玉、29桂まで。
 ここから角打角合を再度おこなって、53角と打てば合駒ができない形になります。すべては43歩を45まで吊り上げるための深謀遠慮だったというわけです。
 このようなありふれた素材を使って手順を練り上げ、別世界に誘う手腕は当代一流でした。
 作品集の準備も、7月の全国大会に向けて着々と進んでいるとのことで、楽しみに待ちたいと思います。



原図「近代将棋」1994年8月

86992838

37銀、35玉、13角、24角、36飛、25玉、26飛、35玉、24角成、同と、
53角、44角、同角成、同歩、36飛、25玉、43角、34角、同角成、同と、
26飛、35玉、57角、46角、同角、同桂、13角、24角、同角成、同と、
36飛、25玉、43角、34角、26飛、35玉、45金、同歩、36飛、25玉、
34角成、同と、26飛、35玉、13角、24角、同角成、同と、53角、34玉、
44角成、23玉、22と、13玉、14香、同玉、16香、15歩、同香、同玉、
16飛、25玉、26銀、16玉、17歩、27玉、37金
まで67手詰

 上記が作意ですが、
34玉、44金、23玉、24飛、同玉、42角成、23玉で不詰。

選評
 角打ち角合の反復趣向はもはや珍しくはないが、その順序や繋ぎの手に謎解きの面白さを含み、それを簡潔な駒配置で仕上げたところが見事。銀を繰り替える序奏も洒落ており、完璧な構成の傑作長篇である。

作者
 実は本作は新作ではなく、近代将棋(H6・8)に発表して不完全だったものを修正してアンデパンダンに再投稿したものです。それが編集者のウッカリミス(森田氏ご本人のメール)で長編の部に載ってしまいました。受賞通知を貰って私のアル中ハイマー頭は@状態になりましたが、「編集中なので受賞の言葉を大至急…」との仰せなので、とりあえず(?)何も考えないで有り難く頂くことに致しました。
 私は柏川氏の作品に感動して詰将棋を始めた一人です。一番好きな作家の柏川氏に選ばれて本当に幸せです。有難うございました。


 今回は一局だけでしたので、私が詰パラで解説させていただいた作品を紹介します。

「詰将棋パラダイス」1996年6月 C級順位戦

Para96000468

35桂、同と、22金、24玉、44飛、34角合、同飛、同と、23金、同玉、
12角、24玉、25金、同と、44龍
まで15手詰

 
24玉は、25金、同と、22龍、35玉、45金、26玉、25龍、37玉、27龍まで。
 
34桂合は、23金打、14玉、34飛、同と、26桂まで。

 波崎黒生名義での発表。
 何をやっているか分かりますか?
 盤上の46飛を角に換えているのです。10手目の局面を見れば、盤上では46飛が消えただけ、その代わり持駒に角が加わっています。
 高度な狙いでしたが、地味な動きは順位戦向きではなく、あまり評価は高くありませんでした。分かる人には分かる、というところでしょうか。


 謹んでご冥福をお祈りします。

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