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2015年1月13日 (火)

田中鵬看著『詰将棋集』 その6

 巻尾の5局の解説を順次掲載します。

2

 その前に、答え合わせがしたい方はどうぞ。

作品番号 作意
7手詰 第31番 22金、同玉、34桂、12玉、32龍、同銀、22金
第39番 32金、同金、42飛成、同金、43桂、同金、32金
第43番 83角成、同玉、94角、同歩、84歩、93玉、73龍
第48番 49金打、同香成、28龍、同玉、17馬、同玉、27金打
第50番 16金、同と、35銀、同銀、15飛成、同玉、25金
9手詰 第52番 65桂、同金、74角成、同玉、73飛、同玉、84金、同馬、63龍
第57番 42飛、32歩、33角、同桂、23歩、31玉、43桂生、42玉、53金
第58番 23金、同桂、31飛成、同玉、41飛、22玉、32金、同玉、42飛成
第59番 23金、同玉、15桂、12玉、22飛、同玉、14桂、31玉、23桂生
第60番 24桂、同飛、21銀、同飛、22金、同飛、13銀、21玉、33桂生
第66番 12龍、同玉、22金、同玉、33桂左成、同桂、23香、同玉、13金
第67番 22金、同銀、13銀、同銀、21飛成、同玉、32銀、22玉、23銀打
第68番 24桂、同金、13金、同龍、23金、同龍、21角成、同龍、13金
11手詰 第73番 13角、同玉、12飛、同香、15飛、22玉、12飛成、同玉、23金、11玉、12香
第75番 13金、同玉、24角、12玉、13角成、同玉、14龍、同玉、11飛成、同銀、15香
第76番 15桂、同馬、24銀、同馬、33金、13玉、25桂、同馬、23金、同玉、33飛成
第77番 21角、31玉、43桂、同馬、32角成、同玉、31飛、同玉、33香、同馬、21飛成
第85番 37金、同歩生、38角、同歩生、28銀、18玉、19銀、27玉、28歩、17玉、35馬
第88番 42龍、同玉、33角生、同桂左、43歩生、31玉、32歩、同玉、52龍、31玉、42龍
第90番 31龍、同玉、23桂、同飛、22角、同玉、34桂、31玉、41馬、同玉、42金
13手詰 第91番 14飛、13角合、同飛成、同玉、14飛、23玉、12角、同香、24飛、13玉、22飛成、同歩、24銀成
第92番 81角成、同玉、63馬、71玉、81馬、同玉、73桂、71玉、63桂、同歩、61桂成、同玉、62金
第93番 23桂成、同玉、35桂、22玉、32角成、同玉、23銀、21玉、32金、11玉、22銀成、同角、23桂生
第94番 73銀生、同玉、74飛、82玉、71角成、同金、93角、同玉、94歩、82玉、71飛成、同玉、72金
第101番 23角、同金、31飛、22玉、12飛、同玉、32飛成、22金、23桂成、11玉、22龍、同銀、12金
第102番 31角成、同玉、42銀、22玉、32角成、13玉、14歩、12玉、13金、11玉、21馬、同玉、22金打
第105番 23馬、11玉、12香、同飛、33馬、22歩、23桂、21玉、32馬、同玉、42銀成、21玉、31成銀
15手詰 第111番 33角、12玉、22角成、同玉、33金、11玉、12香、21玉、32金、12玉、23馬、同玉、33銀成、12玉、22金
第112番 23歩成、同桂、11飛、同銀、25桂、12玉、32飛成、22金合、21龍、同金、 24桂、22玉、21馬、同玉、32金
第117番 24桂、11玉、22龍、同玉、32桂成、12玉、21角、11玉、22龍、同金、 12歩、同金、同角成、同玉、22金
第120番 22角、21玉、32角、12玉、24桂、同歩、11角成、同玉、21角成、同玉、 23香、31玉、22香成、41玉、32成香
第129番 13歩成、同金、14桂、同金、23歩、12玉、13歩、同金、21飛成、同玉、 31角成、同玉、13馬、同香、22金
17手詰 第134番 33馬、同金、32金、同金、12金、同香、23香、11玉、21香成、同玉、 31金、11玉、23桂、同金、21金、同玉、31龍
19手詰 第135番 11角成、同玉、23桂、同銀、22角、21玉、13桂、12玉、24桂、同銀、 11角成、同玉、21桂成、同玉、23香、12玉、22香成、13玉、23金
21手詰 第142番 23角成、同金、14銀、同金、23飛、12玉、21銀、11玉、22飛成、同玉、 32香成、13玉、23桂成、同玉、33歩成、13玉、12銀成、同玉、22成香、13玉、23成香
23手詰 第144番 22と、同玉、13歩成、同玉、24と上、12玉、23と左、11玉、22と、同玉、 33と左、31玉、32歩、21玉、22歩、11玉、12歩、同玉、23と上、11玉、21歩成、同玉、22と

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 「煙詰」…それは妖しくも美しい、詰将棋という姿をかりて結実された一個の芸術品ではありますまいか。そう称した人がいる。
 今から約二百年の昔、時の名人伊藤宗看の弟大天才伊藤看寿(贈名人)によつて第一号局が誕生、いまやその氾濫時代とも呼ばれている。「煙詰」とは実に華麗で、鑑賞する人をして魅了せずにはおかない詰将棋の芸術品ともいうべきところか。盤上三十九枚の駒が王手王手と詰めあげて行くうちに、駒は木の葉でも散るように消えてゆき、詰上りに駒三枚になるという魔術のような作品のことで、解後感の爽快さは筆舌に尽くし難いものがあろう。
 二百年の泰平の夢を破り、昭和二十九年に某氏により第二号局が誕生、現在は粗製濫造され、新機軸の「煙詰」をも含めて約六十局に達している。希少価値の王座よりすべり落ちた「煙詰」ではあるが、その創作の困難さは大変である。筆者は現在十五局発表している。「煙詰」の希少価値を落した張本人は筆者であるが仕方あるまい。なお「煙詰」創作に達成した人は、現在まで約二十名に達している。

還元玉煙詰「アトラス」

近代将棋(発行所東京都世田谷区宮坂1丁目42番22号)昭和三十五年五月号に発表
塚田賞受賞

50692104

79と、同玉、78金、89玉、88金、同玉、87と、同玉、77龍、96玉、95と、同玉(第一図)

(第一図は95同玉まで)

15jan10a_2

※玉の飛翔
百手オーバーの長道中ゆるりと参ろう。79とは絶対手といえよう。79同玉のところ同金では収束になつて早詰を生じる。78金~88金~87とで玉を吊り上げる。77龍から95とは必然の追撃。

第一図以下…75龍、94玉、93と、同玉、82馬、同成香、同銀不成、同玉、83歩成、同玉、73歩成、同成桂、89香(第二図)

(第二図は89香まで)

15jan10b_2

※至妙"89香"
75龍に94玉、93とから82馬が好手。94玉は72馬で95香まで。82で駒を精算して83歩成~73歩成と軽手の連発。89香が絶妙窮まる遠香で、遠大なネライは収束近くで諸賢にわかろう。

第二図以下…72玉、73龍、同玉、65桂、72玉、74飛、61玉、62歩、同玉、73飛成(第三図)


(第三図は73飛成まで)

15jan10c

※龍のバトンタツチ
72玉の逃げは必至で、歩の中合は数十手先で早詰になる。73龍と切つて捨て65桂は、44飛の今後の活躍を見越してのことだ。74飛と長打力を発揮して玉にネライをつける。61玉に62歩は絶対手。73飛成も必然手。

第三図以下…61玉、63龍、71玉、73龍、61玉、53桂不成、同と、51歩成、同玉、53龍(第四図)

(第四図は53龍まで)

15jan10d

※二代目龍の始動
頼みの立役者二代目の龍が誕生した。61玉に63龍、71玉に73龍と執拗に追撃の手を緩めない。再度の61玉に今度は53桂と跳ねられる。同とに51歩成と軽く成り捨て、53龍と玉を追う。

第四図以下…41玉、31歩成、同玉、22歩成、同玉、34桂、同成香、42龍、21玉、13桂(第五図)

(第五図は13桂まで)

15jan10e

※玉の横バイ
41玉に31歩成~22歩成と軽やかに捌く。もう諸賢もとつくの昔にお気付きのことと察する。盤上の駒が次々と消え去つていく過程を。84桂で桂を入手、42龍と追い込み13桂と迫る。

第五図以下…11玉、31龍、12玉、21龍、13玉、25桂、同成香、14と、同玉、25と(第六図)

(第六図は25とまで)

15jan10f

※龍の追い回し
11玉と雪隠へ逃れる。31龍、12玉、21龍、13玉と絶対手の応酬だ。25桂は香を質駒にする手段。同成香はどつちで取つても一緒。14とで玉を誘つて25とと香を取るのはネライの実現。

第六図以下…同成香、15香、同成香、同歩、同玉、16歩、同玉、17歩、同玉、18香(第七図)

(第七図は18香まで)

15jan10g

※タタキ歩で玉を呼ぶ
25同成香に15香でサツパリと精算する。16歩~17歩と叩き玉を連れ出し、18香のデンガク刺しで馬の入手を図る。序盤89香の妙手に中合はないといつた。歩の中合でもしていれば、18歩で簡単だ。

第七図以下…18同馬、同と、同玉、36角、19玉、12龍、28玉、18龍、39玉、49と、同玉(第八図)

(第八図は49同玉まで)

15jan10h

※好手36角
18同馬に同とと角を捕獲。36角の限定打が58の地点へ利かした好手だ。19玉、12龍、28玉に18龍と大回転を図る。49とと金を入手。最早収束も間近い感がする。

第八図以下…58角、同金、39金、59玉、49金打、同金、同金、同玉、48金、59玉(第九図)

(第九図は59玉まで)

15jan10i

※玉を裸にする
初手の79とに同金は収束で早詰が生じると述べた。79金の形なら58龍で詰む。58角~89金が軽手。49金打に68玉は89香の威力で詰み。二十五手目の89香の意義はおわかりであろう。

第九図以下…58金、69玉、68金、79玉、78金、89玉、88金、99玉、98金、89玉、88龍(詰上り図)まで百七手詰

(詰上り図は88龍まで)

15jan10j

※金のズリ押し
58金以下は金をズリ押して最後は龍のトドメとなる。89の地点より発して89の地点に還元した玉、正に"アトラス"である。最初盤上に三十九枚の全駒が詰上り三枚になつた。煙の如く駒は消え失せたのだ。


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「約二十名」とありますが、まえがき執筆時点で完全作(とされていた作品)を発表していたのは18名ではないかと思います。
煙詰作者(1971年2月まで)
貧乏煙や小駒煙も含む

作家名 発表誌 発表年月 手数
伊藤看寿 将棋図巧第99番 1755 117
黒川一郎 風ぐるま 1954/03 95
植田尚宏 王将 1954/09 111
駒場和男 風ぐるま 1956/03 93
巨椋鴻之介 近代将棋 1960/01 117
北川明 近代将棋 1960/01 99
田中鵬看 近代将棋 1960/05 ※107
長谷川愈洋 近代将棋 1961/09 121
藤井孝一 詰将棋パラダイス 1963/03 99
田中至 詰将棋パラダイス 1963/12 93
横田進一 詰将棋パラダイス 1963/12 121
山田修司 詰将棋パラダイス 1964/05 ※93
黒岩郁典 詰将棋パラダイス 1966/08 85
若島正 詰将棋パラダイス 1968/09 97
佐藤吉男 詰将棋パラダイス 1969/01 105
森田拓也 詰将棋パラダイス 1969/09 121
近藤善太郎 詰将棋パラダイス 1970/02 131
花田尚一 詰将棋パラダイス 1970/04 ※105

※田中鵬看(輝和)は同時に4局発表。107手詰は最長手数の「アトラス」
※『近代将棋図式精選』の不完全指摘表(森田銀杏氏作成)に
長谷川愈洋作は不詰作であることが記載されているが、初手から19手詰の余詰もある。この時点では完全作とされていたようである。
※山田修司作は貧乏煙、同時に歩無し煙65手詰も発表。花田尚一作は小駒煙



引用者注記
先後記号は省略。及び「7九玉」は「79玉」のように表記を変えた。
あとは原文のまま。次回以後も同様。

つづく

 

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