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2015年1月18日 (日)

「将棋評論」好作集

 「将棋評論」は月刊誌で1947年3月から1952年12月まで66号発行されました。発行者は将棋研究会。詰将棋欄選者は松田茂行七段(当時)。基本的に毎号6題ずつ詰将棋が掲載されていたようです。
 創刊当時、他に発行されていた将棋雑誌は「将棋世界」だけでした。
 登場回数の多い順に上位10人を並べてみます。
   

作家名 登場回数
柏川悦夫 28
金田秀信 23
野口益雄 11
宇佐見正 8
山田修司 8
北村研一 7
真木一明 7
増沢幸三 7
村山隆治 7
米津正晴 7

※ この回数は「詰将棋新題」だけの回数で、付録の分は入っていません。データベースに無いので。しかし、柏川作は評論誌入選40回とカウントされたうえで近代将棋の入選回数に合算されています。『詰将棋半世紀』のあとがき参照。

 金田秀信、野口益雄、山田修司といった作家が「将棋評論」で雑誌初入選を果たしています。全体を通してみて、質量ともに柏川作品が一歩も二歩も抜け出ているように思います。氏の「将棋評論」掲載作品は、このブログでも4局掲載していますので(★紹介作家一覧★を参照=カテゴリーの一番上にあります)、重複しないようにします。
 また、同誌には吉原輝彦の全発表作がありますが、既に掲載ずみなのであらためて紹介はしません。

盛山文質作1947年3月

0003

56角、同玉、57金、同玉、67飛、同玉、68銀左、56玉、57金、65玉、
75金、54玉、
45馬、同歩、44飛成、63玉、64龍、52玉、61龍、42玉、
32と、同玉、52龍、42角合、22と、同玉、42龍、32飛合、同龍、同玉、
23角、21玉、22歩、同玉、32飛、21玉、12飛成、31玉、32龍
まで39手詰

 
44飛成は、63玉、64龍、52玉、61龍、42玉、32と、同玉、52龍、42歩合で逃れ。
 
42香合は、22と、同玉、42龍、32合、23香以下。
 
32金合は、31角、11玉、12歩、21玉、32龍以下35手。

 のっけからいかつい作品。
 手順もゴツゴツしている感じですが、狙いは
45馬であることは一目瞭然。歩を取るとあとで歩合をされるので馬を犠牲に歩を動かしておくというわけです。
 三代宗看の『将棋無双』第二番と同じですね。

 ところで、この作者ご存じですか? 作家としては殆ど無名の存在ですが、実は妙手説の駆逐、及び変別論争で重要な役割を果たした人らしいです。



草柳俊一郎作1947年4月

0009

65角、
43角合、同角成、同金、32角、22玉、43角成、13玉、23金、同玉、
33馬、14玉、12龍、13金合、同龍、同玉、23金、14玉、26桂、同と、
24馬
まで21手詰

 
54歩合は取って22歩、54桂合は取って13桂以下。43歩合も同様。
 
13飛合も可。

 無理なく角合が入ったところが良く、収束まで無難です。金合は非限定ですが、無理に飛車をもう一枚置くほどでもないでしょう。
 「簡素図式精選」にも収録されています。



金田秀信作1947年5月

0018

23銀、同金、34桂、同金、23金、同玉、41角、22玉、32角成
まで9手詰

 これぞ手筋といった感じの作品。純実戦型にこだわったのでしょうが、21桂はなくても全く影響はありません。



柏川悦夫作1947年10月(『詰将棋半世紀』最終修正図)

Hyoron0032

48香、47歩合、44と、同玉、46香、45桂合、同香、同玉、47香、46歩合、
同香、同玉、48香、47歩合、38桂、45玉、46香、34玉、35歩、同玉、
53馬、同銀、36歩、同玉、26飛、35玉、36歩、34玉、33銀成、同玉、
32桂成、34玉、33成桂、同玉、22飛成、34玉、26桂
まで37手詰

 初手は非限定で49香も可。同桂成は、55馬、36玉、38飛、25玉、26歩、15玉、16香、同玉、18香、17桂合、同香、同玉、18香、26玉、37馬以下。
 歩合をしている間に香と桂を交換しておくのが肝心なところ。二度目の48香、47歩が残ってしまうのは残念です。
 ところで、この図は『詰将棋半世紀』のあとに配付された修正図ですが、まだ余詰があります。
 
47同香、45歩合、55馬、53玉、54香、63玉、67香、65桂合、同香、74玉、78飛以下。
 
33銀生、同銀、45香、同玉、47香、46歩合、55馬、34玉、35香、43玉、33香成、52玉、44桂、63玉、67香、65桂合、同香、74玉、78飛以下。
 C55馬、34玉、35香以下。
 修正は玉方66と追加くらいでしょうか。



岩隈静雄作1947年12月

0044

24桂、同龍、22銀成、13玉、25桂、同龍、12成銀、同玉、13歩、同玉、
22銀、12玉、24桂、同龍、13歩、同龍、11銀成
まで17手詰

 龍の利きを外して11銀を22銀に変え、今度は打歩を回避するために龍を呼ぶ。
 詰上りは11生銀が11成銀に変わっただけ。実に明快な佳作です。



金田秀信作1948年2月

0059

24歩、13玉、23歩成、同玉、15桂、同歩、13角成、同香、35桂、12玉、
24桂、11玉、12歩、同角、同桂成、同玉、34角、21玉、22銀成、同玉、
33銀成、21玉、12角成、同玉、23桂成、11玉、22成銀
まで27手詰

 盤上35角が邪魔駒で、これがなければ35桂~24銀成~33銀成で簡単。飛躍した手はありませんが、入手した角もきちんと捌いて既にベテランの味ですね。



野口益雄作1948年3月

Hyoron0063_3

12飛成、同玉、23龍、11玉、13龍、21玉、23龍、22桂合、32銀、11玉、
13龍、12角合、同龍、同玉、23銀成、21玉、43角、11玉、12成銀、同玉、
34角成、同桂、23歩成、同玉、14馬、22玉、
32金、11玉、12歩、同玉、
24桂、11玉、21金、同玉、32馬、11玉、33馬、22金合、23桂、21玉、
32桂成、同金、11馬
まで43手詰

 23金、11玉、12歩、21玉、32金の迂回手順あり。

 作者の最長手数作です。
 合駒を交えながら手を紡いでいくタイプの中篇。33馬、22金合以下の収束は「将棋月報」にもさかんに出てきます。


つづく

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コメント

岩隈作って、深和作の元ネタのような感じ。もちろん偶然でしょうが。

解答欄魔さま

コメントありがとうございます。
これ、いいですね。
作者は、詰将棋パラダイスにも入選していて、今のところ最後の発表作は1993年2月の中学校です。
守備駒を動かすのが得意なようです。

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