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2015年1月 1日 (木)

限定移動集

 皆様、あけましておめでとうございます。
 今年こそブログはそこそこにして、作図に注力したい。
 昨年も同じことを書いていたような。(笑)

 初詣に行ってきました。北野天満宮です。

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 なかなかたどり着けません
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 『80年代ショート詰将棋ベスト200』(将棋天国社1994年3月)というACT編集のアンソロジーがあります。文字通り80年代の「詰将棋パラダイス」に掲載された9手詰までの好短篇を集めた本です。

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 これを眺めていたら、限定移動作品がやたら目につきました。
 限定移動とはどういう手筋でしょうか。
 私の理解では、動く駒じたいは王手をかけない手筋であるということです。ただし、桂は右にも左にも跳べますが、どちらかしか詰まなくてもこれを限定移動とは言わない。ソッポ行きという用語がありますが、香以外の小駒の動きを限定移動とは呼ばないと思います。
 つまり飛龍角馬香のいずれかの組合せでバッテリーを形成している状態で、動く駒じたいが王手をかけずに特定の場所に移動するとき、限定移動と呼ばれる事象が生じる、と思っています。できればすぐには思いつかない場所への移動というのが理想的ですが。
 四の五の言ってないで、図面で示した方が早いですね。(笑)
 今回は短手数作品ばかりなので、動く将棋盤は省略します。

 

橋本樹作1980年5月

Para76804664

99角、64玉、88飛、19龍、65歩、55玉、89飛
まで7手詰

77角は、64玉、18飛、46歩合で逃れ。
 66桂合は、24飛、19龍、66角、64玉、56桂まで同手数駒余り。

 よく見ると、99遠打+88限定移動+89限定移動という豪華な組合せですね。
 88飛は99角の利きを遮って打歩詰を避けるため、89飛は19龍の利きを止めるためです。
 遠打の作例にも使えたなあ。


長谷川哲久作1980年10月

Para76805018

66角、45玉、58角、54玉、36角、同香、58飛
まで7手詰

 55合は、25角、54玉、43角成、同金、同飛成まで同手数駒余り。

 本局もすぐには動かず66角の限定打(57に利かせる)からスタート。
 58角は、67に利かせるためです。54玉となったとき、邪魔駒になっているのが面白いですね。


捨てられ人作1981年2月

Para81850164

49飛、14玉、26桂、25玉、14桂、同玉、19飛
まで7手詰

 47飛は、37桂合、同馬、14玉で逃れ。

 49飛と深く引いて、焦点に中合を打たせないのが狙いです。


飯田繁和作1981年9月

Para81850791

36龍、54玉、66龍、44玉、64龍
まで5手詰

 初手46龍のような手では34玉で捕まりません。3筋への逃げを封じるために36龍と動くしかありませんが、歩を取られてしまいました。
 これが狙いで、54歩が邪魔駒だったというわけです。


捨てられ人作1982年7月

Para81851701

51香成、59銀合、同飛、48玉、57銀、同と、58飛、同と、42飛成
まで9手詰

 53香成は、58玉で52飛成ができず逃れ。
 48玉は、59角、49玉、37角、58玉、68金まで。

 最遠地の51まで移動して、82飛の動く邪魔にならないようにする狙いです。


赤羽守作1983年9月

Para81853033

55飛、77玉、66龍、同玉、57銀、55玉、76桂
まで7手詰

 54歩合は、76龍、97玉、95飛まで。
 65桂合は、同角成、97玉、98銀、同桂成、同馬引まで同手数駒余り。

 初手はいろいろありそうですが、95歩に狙いを付けて55飛が正解。同じようでも94飛では、77玉で逃れ。
 詰んだかどうか目を凝らさないと分からないような詰上りからの逆算だと思いますが、限定移動じたいは素直な感じがします。


原田清実作1983年10月

Para81853116

83角左成、95桂合、74馬、86玉、87歩、同桂成、76金
まで7手詰

 74角成は、86玉で打歩詰。
 95歩合は、74馬、86玉、87歩、97玉、95飛成まで同手数駒余り。

 74角成で両王手をかけたくなりますが、83角成と控えて動かし75玉の余地を残すのが渋い手です。これで95に壁をつくらせれば飛筋が止まるので87歩が打てます。あまり類例のない狙いかもしれません。


有吉澄男作1983年12月

Para81853294

74馬、16玉、25龍、同玉、45飛、同馬、36金、同馬、52馬
まで9手詰

 これは限定移動の典型的な形。16玉の対策を考えれば52と38を睨む74馬の一手となります。
 25龍で引きずり出して45飛~36金が馬の利きを絞る好手です。


岡本正貴作1984年6月(『竹馬』改良図)

Okamoto

58角、56玉、25角、65玉、52角成、76玉、85馬
まで7手詰

 3手目は左辺へ転回するため、5手目は74玉と逃さないため。
 7手で角が見事に一回転。素晴らしい!


小林敏樹作1984年7月

Para81853982

39飛、44玉、33飛成、同玉、22角成
まで5手詰

 38飛は、46玉、24角成、47玉で逃れ。
 46玉は、24角成、47玉、57馬まで同手数駒余り。

 39まで深く引いて玉に取られないようにします。無理、無駄のない構図で狙いを端的に見せることができる作家です。


柳原裕司作1986年2月

Para86900103

66金、44玉、74龍、45玉、44龍、同玉、56金
まで7手詰

 さて、どこに龍を開くかと見せかけて、実は重く金を打つという皮肉な作品です。


長谷川哲久作1986年5月

Para86900277

59龍、47玉、56龍、同玉、58龍
まで5手詰

 58龍は、57歩合で逃れ。
 57合は、48龍寄、67合、57龍まで同手数駒余り。

 これも皮肉なことでは負けていません。78龍がどこに動くかと思いきや、何と68龍が邪魔駒で、原形のまま消去するという妙技を見せてくれます。

 はしょってきましたが、これでやっと半分。あと半分はそのうち気が向けばということで。

 

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コメント

拙作のご紹介、ありがとうございます。
この作品は、『竹馬』59番に改良図を掲載しておりますので、ご連絡まで。
攻方54歩→なし
攻方69桂、78銀→攻方68銀、受方87歩

おかもとさま

コメントありがとうございます。
図面、差し替えました。
おかもとさんの作品は私好みで、どストライクです。(笑)

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