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2014年12月 1日 (月)

香とはどういう駒か

 どういう駒かシリーズ第四弾、香とはどういう駒か。

 香については、廣瀬崇幹氏の詰将棋解析9:香の使い方(限定打の分析に特化されている)という素晴らしいまとめがあるので書くつもりはなかったのですが…。

以下、引用。
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香の特質ですが、「成ったり駒を取ったりせずに王手をかけるとき、盤上にある駒を動かして王手をかけることのできない駒」であるところだと思います。
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 確かに、成ったり駒取りせずに盤上にある香を動かして、その香で王手はかけられませんね。既に香で王手がかかっている状態ですから。

 あらためて、香とはどういう駒かというと、
①前方向に盤端まで利く(動ける)、後ろへの利きはないので生香は戻ることができない、斜め、真後ろ、ヨコ方向への利きはない、遮る駒を飛び越えることはできない、成ると金の機能に変わる。
②4枚ある(4枚しかない)
というところでしょうか。

①前方向に盤端まで利く(動ける)

 利かせるために成らない

市島啓樹作「詰将棋パラダイス」2001年9月

Para01050807

55角、43玉、44香、34玉、33飛、同玉、22飛成、同玉、43香生、31玉、
22金
まで11手詰

 狙いが分かりやすい作品ですね。

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 前方向にどこまでも行けるのに歩のように使う

 既に河辺昭光作は紹介しましたので、別の作品で。

塩見倫生作「詰将棋パラダイス」1987年4月

Para86900922

34香、35歩合、同馬、23玉、24馬、同玉、25歩、23玉、33香成
まで9手詰

 
33香成は、35歩合(桂合も可)、同馬、33玉で逃れ。
 
32香成は、35桂合(限定)、同馬、23玉、45馬、34歩合(桂合も可)で逃れ。

 河辺作と同じく、最小限の移動で前方の利きを確保する狙いですが、玉の近くに成れる点が違います。

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 遠くから打てるのに短く使う

小林敏樹作「詰将棋パラダイス」1988年4月

Para86901786

16香、25玉、61角、35玉、39角、44玉、35龍、同玉、17角
まで9手詰

 
19香は、17歩合、同香、25玉で逃れ。
 最終手17角を邪魔しないように短く打ちます。

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 歩で良いところを持駒香にして短く打つ

原島利郎作「将棋ジャーナル」1988年10月

Journal1286

21飛成、同玉、22香、同玉、33馬、同玉、43歩成、23玉、32龍
まで9手詰

 持駒歩にして22歩でも良いところを香にしています。狙いは、13角の利きを止めること。

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 飛車との差異を強調した作品は「飛車とはどういう駒か」で既に掲げましたので、あらためて紹介はしません。
 香先香歩は、歩との違いを際立たせることができます。打歩詰回避、二歩禁回避、香合回避などの意味付けがあります。

 香先香歩関係は既にいくつかは紹介ずみですが、未紹介の作品を。

 打歩詰回避の香先香歩

山本勝士作「詰将棋パラダイス」1963年10月

Para61652163

11銀成、同玉、12歩、同玉、24桂、11玉、
12香、22玉、23歩、31玉、
33香生、同桂、32歩、21玉、11香成、同玉、22歩成、同玉、13銀成、同玉、
15龍、23玉、14龍、22玉、12龍
まで25手詰

 
12歩は、23香となり、32歩で打歩詰。非常に分かりやすいです。

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 玉方の例。

巨椋鴻之介作「詰将棋パラダイス」1974年10月

243

46銀、同と、44角、25玉、15金、同玉、55飛、
45香合、同飛、同と、
18香、17歩合、同香、同と、27桂、同と、16歩、24玉、15銀、25玉、
17桂、同と、26銀、14玉、15歩、13玉、22角成、24玉、36桂、同と、
23角成、同桂、25歩、34玉、44馬
まで35手詰

 
45歩合は、同飛、同と、16歩で作意に短絡します。
 
16香は、24玉、15銀、25玉、17桂、同と、26銀、24玉、36桂、同とで25歩が打歩詰。
 
18同とは、27桂、24玉、15銀、25玉、14銀、同玉、26桂、24玉、34角成、13玉、22角まで。従って、27への利きを保持するために歩合で頑張る(桂は品切れ)のですが、攻方は香を歩に交換できることになります。香歩不利交換です。
 
17香合は、同香、同と、26銀、24玉、16桂打、同と、同桂、13玉、14歩、同玉、15香まで。

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 二歩禁回避の香先香歩

村山隆治作「近代将棋」1974年2月

70851056

41銀、51玉、
52香、42玉、32歩成、53玉、54歩、63玉、53歩成、同玉、
63飛、
同玉、54銀、62玉、63歩、同飛、74桂
まで17手詰

 
52歩は、63同飛で54歩が二歩。作意なら54歩と打てる。

 63飛からの手順は小林豊作と同一ですが、主眼部ではないので問題にはならないと思います。

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 玉方の例。
 首猛夫作 は紹介したので、仕方なく自作を。(笑)

拙作「詰将棋パラダイス」2010年7月

Para0610kaneko57

53歩成、34玉、33桂左成、45玉、34角、55玉、75飛成、
65香合、54と、同玉、
43角成、63玉、64歩、62玉、52馬、同玉、72龍、62飛合、63歩成、41玉、

31銀成、同玉、21桂成、41玉、32成桂、同玉、62龍、43玉、53龍、34玉、
24飛、同玉、33龍、14玉、13桂成、同香、34龍、24合、25金
まで39手詰

 
65歩合は、64と、同玉、43角成、63玉、64歩、62玉、52馬、同玉、72龍、62飛合、63歩成、41玉、71龍のとき、61歩合は二歩なので、51歩合、31銀成、同玉、61龍、41香合、32歩、同飛、同成桂、同玉、34飛以下。
 
45玉は、65龍、55銀、54馬、46玉、55馬、47玉、67龍、57桂合、56馬、37玉、57龍、26玉、18桂、36玉、27銀、25玉、26歩、14玉、23馬まで31手。
 
61桂合は、同龍、同飛、53桂、51玉、61桂成以下。
 
71龍は、61歩合で逃れ。

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 香合回避の香先香歩

田島暁雄作「近代将棋」1977年3月

70851826

52龍、11玉、12香、21玉、29香、
24歩合、11香成、同玉、14香、13歩合、
同香生、同飛、12歩、同飛、23桂、21玉、12龍、同玉、19香、13歩合、
11飛、23玉、13飛成、32玉、33龍、41玉、42歩、52玉、62と、同玉、
53龍、72玉、73銀、83玉、84歩、同馬、同銀成、同玉、75角、85玉、
83龍、76玉、86龍、65玉、66龍、74玉、64龍、85玉、84龍、76玉、
77金、同玉、86龍、67玉、66龍、58玉、68龍、47玉、57龍、38玉、
48龍、29玉、39龍
まで63手詰

 
12歩は、23歩合、11香成、31玉、32香、22玉、14桂、13玉、12成香、14玉、15香、同玉、55龍、35香合で逃れ。
 
23歩合は、11香成、31玉、32香、22玉、14桂、13玉、12成香、14玉、15歩、同玉、55龍、45歩合(玉方持駒に香がない)、16歩、同玉、17香、同玉、57龍、18玉、27龍、19玉、28龍まで。

 香を捨てると35香合で詰まないので、15香でなく15歩になるように香を打っておくというわけですが、その意味が作意にあらわれないところが絶妙で、正解者はたった2名だったとのことです。
 余談ながら、このときの塚田賞は七條兼三作でしたが、初出余詰で修正図での受賞。修正図というだけでどうかと思いますが、それを脇に置いても、私見では明らかにこの作の方が上。

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 玉方の例。
 ……あったかな? 思いつきませんが。
 理屈としては、香合してそれを取らせて、攻方が香を捨てると香合が可能になって詰まなくなるので、香を捨てずに別の駒を捨てて取った香を温存しておくというようなしくみが考えられますが。


 歩香重ね打ち

中野和夫作「近代将棋」1995年8月

86993129

24桂、21玉、
22歩、同玉、23歩、21玉、22香、31玉、64角、53歩合、
21香成、同玉、22歩成、同玉、55角、21玉、32桂成、同玉、33と、21玉、
22と
まで21手詰

 
23香は、22歩合、同香成、同玉、55角、44香合、同角、同角で逃れ。
 
23香は、31玉、64角、42桂合で逃れ。
 
53歩合は22香成、同玉、55角、31玉、32桂成、同玉、33と以下詰む。
 
42桂合は、同角成、同歩、21香成、同玉、33桂以下。

 
23香では、42桂合で詰まないが、重ねて打っておくと42桂合ができず、53歩合になって詰みます。

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②香は4枚ある(4枚しかない)

山田剛作「スレイプニル」「詰将棋パラダイス」1997年10月修正図

Para96002034

37馬、17玉、18歩、同玉、36馬、28玉、46馬、18玉、45馬、28玉、
55馬、18玉、54馬、28玉、64馬、18玉、63馬、28玉、73馬、18玉、
72馬、28玉、82馬、37香合、同馬、17玉、18歩、同玉、36馬、28玉、
46馬、18玉、45馬、28玉、55馬、18玉、54馬、28玉、64馬、18玉、
63馬、28玉、73馬、18玉、72馬、28玉、82馬、37香
、同馬、17玉、
18歩、同玉、36馬、28玉、46馬、18玉、45馬、28玉、55馬、18玉、
54馬、28玉、64馬、18玉、63馬、28玉、73馬、18玉、72馬、28玉、
82馬、37香
、同馬、17玉、18歩、同玉、36馬、28玉、46馬、18玉、
45馬、28玉、55馬、18玉、54馬、28玉、64馬、18玉、63馬、28玉、
73馬、18玉、72馬、28玉、82馬、37香
、同馬、17玉、18歩、同玉、
36馬、28玉、46馬、18玉、45馬、28玉、55馬、18玉、54馬、28玉、
64馬、18玉、63馬、28玉、73馬、18玉、72馬、28玉、82馬、18玉、
81馬、28玉、91馬、18玉、81馬、28玉、82馬、18玉、72馬、28玉、
73馬、18玉、63馬、28玉、64馬、18玉、54馬、28玉、55馬、18玉、
45馬、28玉、46馬、18玉、36馬、28玉、37馬、17玉、18香、同玉、
27銀、17玉、18香、同と、26銀、同馬、同馬、同玉、38桂、35玉、
36香、同玉、25角、35玉、36香、24玉、23と、同金、同銀成、25玉、
27飛、36玉、26飛、45玉、46飛、54玉、64金、55玉、65金
まで179手詰

 91桂を取られる寸前に香の捨合で呼び戻し。
 相馬康幸作を思い出しますが、こちらは結局桂が取られてしまいます。この図では香と歩が等価なので、こんなことが成立するのです。

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小林敏樹作「詰将棋パラダイス」2006年9月

Para06100873

35角、67玉、68金、66玉、44角、同歩、36飛、55玉、57香、56香合、
同香、66玉、51香成、55玉、57香、56香合、同香、66玉、52香成、55玉、
57香、56香合、同香、66玉、53香成、55玉、57香、56桂合、同香、66玉、
55香、同玉、67桂、45玉、63馬
まで35手詰

 四香が出尽くしたあと、桂合に変わって収束。
 最後55香と止めるのもいいですね。



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