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2014年12月 2日 (火)

金とはどういう駒か

 どういう駒かシリーズ第五弾、金とはどういう駒か。

 金とはどういう駒でしょうか。
①1マスずつの動き。玉及び成った大駒(龍、馬)を除けば利きの方向が最も多い。攻駒としても守備駒としても強力。利かないのは斜め後ろの二箇所だけ。成れない。打っても動いても取られても常に金。
②4枚ある(4枚しかない)
というところでしょうか。

①守備駒として強力

山本昭一作「将棋ジャーナル」1981年7月

Journal0190

41香成、同玉、44香、43金合、42桂成、同金、同香成、同玉、43金、41玉、
51桂成、同玉、61と、同玉、64香、63金合、62桂成、同金、同香成、同玉、
63金、61玉、52金右、71玉、72金
まで25手詰

 
43歩合は、42桂成、同玉、43香成、41玉、42歩以下。桂合なら、42歩が33桂。
 
43飛合は、42桂成、同飛、同香成、同玉、43飛、32玉、13飛成、41玉、51桂成、同玉、61と、52玉、43龍、61玉、63香、72玉、62香成まで21手。

 大道棋では香打、金合は一つのパターンですが、左右で似たような手順を繰り返すのが面白い。

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 攻駒として強力

 強力なので、金を残しておきたいという心理が働きます。実際、金を打ったり動いたりして詰上がるのは見慣れた光景ですね。それを逆手にとって、先に金を使うことで妙手感が生まれます。

山内大輔作「詰将棋パラダイス」1987年1月

Para86900758

41金、52玉、43銀、同金、61龍、同玉、51角成
まで7手詰

 初手角を動かす手がチラチラして、金打にはなかなか思い至りません。

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 強力なので取りたくなる

 盤面に玉方の金が落ちていると取りたくなるところを、あえて取らないことで主題になります。

橋本樹作「詰将棋パラダイス」1980年8月

Para76804897

35角、同金、34角、26玉、17飛成、同玉、16金
まで7手詰

 
34角は、26玉で、以下17飛成は35玉、15角は35玉で逃れ。

 取れる金を取らずに動かすことで退路を塞ぐ狙いです。

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 強力すぎるので困る

 これは打歩禁に関係しています。
 金先金歩はここにまとまっています。

 金が残ると強力すぎて打歩詰になるので、金を捨てて歩を残します。

作者不明『古作物諸集』第22番

540022

23金、11玉、22金、同玉、23歩生、11玉、12歩、同玉、32龍、11玉、
22龍
まで11手詰

 
13金は11玉で逃れ。
 
23歩成は、11玉で以下12とでも22とでも打歩含みで逃れ。

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 金よりさらに強力な駒があるので困る
 これも打歩禁関係です。

若島正作「近代将棋」1985年4月

70854500

13歩成、同玉、14金、12玉、23龍、11玉、22龍、同玉、23金、11玉、
33馬、同桂、12歩、21玉、13桂
まで15手詰

 
23金は、同歩、13歩成、11玉、22と、同玉、23歩生、12玉、14龍、13歩合で逃れ。
 
同桂は、23歩成、同歩、22金、同玉、33馬、21玉、23龍まで。
 
同玉は、41馬、15玉、35龍、16玉、38角、17玉、37龍以下、同手数駒余り。

 23金~22金~23龍では打歩詰になるので、23金を打たないように14金と据えてから23龍が用意周到な手順です。
 龍金すり替えは無双第61番にもありますが、本局は龍・金と盤上にあって強い駒の方を捨てるという点が違います。

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②金は4枚ある(4枚しかない)

中村雅哉作「詰将棋パラダイス」2002年3月

Para01051470

27香、26銀合、同馬、24玉、25香、同銀、同馬、23玉、43馬、25金合、
14銀、同玉、25馬、23玉、43馬、25金合、14銀、同玉、25馬、23玉、
43馬、25金合、14銀、同玉、25馬、23玉、43馬、25金合、14銀、同玉、
25馬、23玉、43馬、25飛合、14金、同玉、25馬、23玉、34金、同飛、
14馬、同玉、15金、同玉、17飛、同と、25金、16玉、26金
まで49手詰

 
26桂合は、同馬、24玉、25香、同銀、同馬、23玉、43馬、26金合(14銀、同玉、25銀の防ぎ)、同香、24香合、15桂、14玉、25銀以下。
 
25香合等は、14銀、同玉、15銀で早詰。
 
25飛合は、32銀、同飛、14銀、24玉、25馬、33玉、53飛、43歩合、34銀、42玉、43銀成、31玉、32成銀、同玉、33飛打、21玉、43馬、同香、51飛まで。
 
同玉は25馬、23玉、53飛、43歩合、同馬、26金合、14銀、24玉、25銀打、15玉、16歩、同金、同銀、14玉、25馬まで。

 これは傑作。
 金は4枚しかないので、出尽くしたあと最後は飛合に変わります。

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宮原航作「詰将棋パラダイス」2013年5月

201305miyahara

38龍、28金合、同龍、同玉、39金、18玉、27馬、同玉、25龍、26飛、
同龍、同玉、25飛、16玉、23飛成、34金、27龍、同玉、17金
まで19手詰

 
27馬、同玉、25龍は、26金合、同龍、同玉、28龍、27飛合、25金、16玉、19龍、17歩合で逃れ。
 同桂成は、48龍、38歩合、39馬、27玉、17馬まで。

 これは4枚目の金をめぐる攻防です。
 
27馬と単に行くと、26金合が生じて逃れ。そこで先に金合を出させ、39龍を39金と置き換えておきます。一見、金が取られそうなのも良いですね。こうしておいて27馬~25龍なら玉方には金の持駒がないので26飛合が必然となり、詰む。
 実に明快で冴えた手順です。



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コメント

山内氏の半期賞受賞作懐かしい。
彼とは大学将棋部同期で生年月日が同じです(四百人一局集参照)。

HYO牛TAN党さま

コメントありがとうございます。
この作は解くのに苦労したので、いつまでも忘れられないです。

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