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2014年12月13日 (土)

中合の意味 その2

 前回の続きで、②複数の攻駒の利きを絞る例。今回は作意にあらわれず、紛れ手順で顔を出す中合。
 これに気付かないと、誤答になります。飛角香が動くときは、移動先は限定されていると思った方が良いです。

谷口均作「詰将棋パラダイス」2009年11月

Para060911taniguchi

67馬、85玉、16飛、67桂成、25飛、84玉、14飛
まで7手詰

 3手目、飛車をどこに開くか。
 56飛なら、67桂、25飛、55歩合。46飛なら、67桂、25飛、45歩合というわけで、中合で飛車が重複してしまうので失敗。中合を打たれないのは16飛だけです。



 桂中合を喫すると詰まない例。

桑原幹男作「詰将棋パラダイス」1980年5月

Para76804679

29飛、34玉、38飛、43玉、49飛、48歩合、同飛上、52玉、58飛、61玉、
62角成、同玉、32飛成、同銀、63歩、61玉、72角成、同玉、52飛成、71玉、
62龍、81玉、83香、91玉、82龍
まで25手詰

 
28飛は、34玉、39飛、38歩合で逃れ。
 
37飛は、43玉、49飛、47桂合で逃れ。36飛は、43玉、49飛、46桂合で逃れ。

 これも攻駒の利きを絞る例です。
 4筋で飛車の焦点に打つ桂中合だけが詰まず、他の合駒は詰みます。飛車を最遠打すれば、8段目に焦点が来るため、桂を中合することができず詰むのです。


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③攻駒を活用するスペースをつぶす

植田尚宏作「近代将棋」1979年8月

70852955

33銀、21玉、24龍、23飛合、同龍、11玉、21龍、同玉、11飛、同玉、
23桂、21玉、31桂成、同玉、22銀打
まで15手詰

 
11玉は、23桂、21玉、31桂成以下。
 
23歩合は、22銀成、同銀、同角成、同玉、14桂、32玉、33銀以下。従って22に利く中合が必要。かといって23金合では、同龍、11玉、22金以下。後ろに利いて斜めに利かない合駒は飛車しかない。

 桂を打つ場所をつぶす中合。取ったあと龍は邪魔駒になるので消去して当初の予定通り桂打が実現します。



大野雄一作「詰将棋パラダイス」1980年4月

Para76804594

27飛、
26角合、同飛、15玉、16金、14玉、24飛、同歩、32角、23合、
26桂
まで11手詰

 
15玉は、26金、24玉、36桂、16飛まで。
 
26桂合は、35金打、15玉、17飛、16合、27桂、14玉、16飛まで9手。
 
26銀合は、同飛、15玉、16銀、26玉、27金まで。

 単に15玉と躱すと26金と打たれるので、その場所を角中合でつぶしておくという狙いです。



 活用場所をつぶす中合を喫すると詰まない例。

 簡単な図で示します。

Photo_2

 26以遠に香を打つと、25歩合、同香、13玉で桂を打つ場所をつぶされて詰みません。この場合は、中合をかいくぐって24香と短く打つのが正解。取らせ短打の原理もこれです。ただし、取らせ短打の場合は取られるので、つい遠くから打ちたくなるという心理が働きます。

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④攻駒の転回を予防する
 飛龍、角馬に対する中合にあらわれる意味付けです。

柏川悦夫作「近代将棋」1963年3月

50692849_2

14金、同玉、11飛、
12桂合、同飛成、24玉、33銀、同玉、25桂、24玉、
13龍
まで11手詰

 
12香合は、同飛成、24玉、25香、33玉、23香成まで。
 
12銀合は、同飛成、24玉、13銀、14玉、25銀まで。

 31飛成で一巻の終わりの形なので、転回させないように動かす中合です。



柳田明作「詰将棋パラダイス」1983年4月

Para81852594

55馬、75玉、54馬、45角合、同龍、86玉、64角、同歩、75龍、同玉、
76馬
まで11手詰

 
77馬は、65桂合、76馬、64玉、65馬、53玉で逃れ。
 
86玉は、76馬、97玉、37龍まで。
 
45桂合は、76馬、64玉、44龍まで。

 76馬~37龍を防ぐには龍の筋を変えるしかありません。しかも44龍にも備えなければならないので角合が最善です。



 作意にあらわれない転回予防中合の例。

添川公司作「近代将棋」1980年9月

70853068

17角、62飛合、83桂生、81玉、91桂成、同玉、82角、81玉、71角成、同玉、
62角成、同玉、63飛、71玉、82龍、同玉、74桂、71玉、61飛成、同玉、
62金
まで21手詰

 
62歩合は、83桂生、81玉、91桂成、同玉、28角、73香合、82角、81玉、73角引成、84と、82馬まで。

 どこにも中合は出てきません。
 これは初手17角と最遠打したことによります。もし26角と打つと、35香合、同角、44香合、同角、53香合、同角成、62香合、83桂生、81玉、91桂成、同玉で64馬を同香と取られてしまいます。
 それでは35香合のとき取らずに83桂生なら? やはり、37角とはできません。このための香合です。26角のときは四香で止められるが、17角のときは四香では足りないので連続中合が成立しないのです。仮に、35香合~62飛合と省略せずに打ってみると、62飛合を同馬と取られ、同玉、63香、同玉、83飛、62玉、63香、53玉、54龍まで2手早くなります。


 角を連結させないための香合…、これは田島秀男作の飛車に対する銀中合と同じ意味付けですね。そしてこれらの作品が参照しているのは、山田修司作であり、上田吉一作であり、さらには若島正作です。



若島正作『盤上のファンタジア』第53番(「近代将棋」1979年12月の改良図)

053

97飛、36玉、37飛、26玉、38飛、16玉、25銀、同玉、28飛、14玉、
58馬、47桂合、同馬、同歩成、23銀、13玉、25桂、23玉、33桂成、14玉、
23飛成
まで21手詰

 
87飛は、37歩合、同馬、17玉、38馬、77桂合、同飛、67桂合、同飛、57桂合、同飛、47桂合、28銀、18玉、27馬、29玉で59飛と引く手がなく逃れる。


 つづく

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