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2014年11月25日 (火)

桂とはどういう駒か

 どういう駒かシリーズ第二弾、桂とはどういう駒か。
 桂は私の好きな駒で、桂を使わせたら私の右に出る作家はおそらく50人くらいしかいないのではないかと。(多すぎるやろ)

 桂の作例は随分紹介した(こことか)ので、あまり残っていないのですが...。

 さて、桂とは?
 利きの重なる駒はない。ただし、成ると銀、香、歩と同じく金の機能に変わる。
 2箇所のみに利きがある、及び接するマスに利きがない。遮る駒があっても通過できる唯一の駒。
 最も簡潔な配置で、1枚だけで詰めることができる。
 ①攻方の桂は二段目に打てない、不成で移動できない、これも唯一の駒。一段目に打てない、不成で移動できないのは香、歩と同じ。
 ②桂は4枚ある(4枚しかない)。
 小駒の中で、唯一四連続打捨てができない(三連続もできない)。

 桂打ちは同玉と取れない。
 桂合は歩合とともに多い(川崎弘氏調べ)。
 森田手筋第一号局は桂合だった。

三連続打捨てはできないと思っていましたが。

広瀬稔作「詰将棋パラダイス」2015年8月

201508hirose

67桂、同飛生、47桂、同飛成、67桂、同龍、44銀、54玉、66桂、同龍、
55歩、同龍、43銀生
まで13手詰



①攻方の桂は二段目に打てない、不成で移動できない。

 打歩禁に関係している例です。

山田康平作「詰将棋パラダイス」1993年9月

Para91952092

32桂成、同玉、33歩、22玉、23金、21玉、11歩成、同玉、32歩生、21玉、
11角成、同玉、12歩、21玉、33桂
まで15手詰

 
23金は、21玉、11歩成、同玉、32桂成、44桂で打歩詰。

 四段目の桂は二段目では成らなくてはならないが、三段目の歩は二段目で成らないことができる。その約束事を利用した打歩詰回避作です。
 
23金以下、32桂成でなく32桂生が可能なら詰むのですが、それを可能にするのが32桂成から33歩への打ち換えです。

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 玉方の桂は八段目に打てない。
 攻方の裏返しです。
 ここで山田修司作「禁じられた遊び」が出ると思うのは甘い。(笑)

三角淳作「詰将棋パラダイス」2000年11月

Para96005223

28馬、
37角合、55金、75玉、39馬、48角成、同馬、57桂合、同馬、同飛成、
67桂、同龍、66金、同玉、75角
まで15手詰

 
55金、75玉、48馬は57桂合で逃れ。
 37歩合は、55金、75玉、39馬まで。37同馬と取っても詰む。
 従って、前に利く駒は合駒できず、39馬のとき48に利く駒でなければならない。つまり角合が最善。
 
48桂合ができれば逃れるが、打てない。

 八段目の桂合禁止を利用した作品です。結局、前に利く駒は入手できませんが、移動中合を余儀なくされた角により収束。


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 もう一局。

森長宏明作「将棋マガジン」1983年12月

1064

29龍、28歩合、同角、71玉、82角成、同玉、83歩、92玉、99龍
まで9手詰

 龍をどこに動かすかですが、
18龍では28歩合、同角、92玉で逃れ。
 A38龍では37桂合、48龍では46桂合、58龍では55桂合で逃れる。
 これはタテに動く一手。さらに92玉に備えて9筋に動かすために龍の動く範囲は25から29までしかありません。
 
27龍は、37桂合、同角、92玉で逃れ。
 A26龍は46桂合、25龍は55桂合というわけで、桂の中合を打たれないのは29龍のみ。
 たった9手でできるとは...。



②桂は4枚ある(4枚しかない)

柏川悦夫作「将棋時代」1950年1月『詰将棋半世紀』収録図再修正

Photo

84角、94玉、86桂、同桂、93角成、同玉、92銀成、94玉、95歩、同玉、
86金上、94玉、95金、同玉、68馬、94玉、
54龍、74桂合、86桂、95玉、
74桂、94玉、93成銀、同玉、92金、94玉、82桂成、74桂合、86桂、95玉、
74桂、94玉、93金、同玉、92成桂、94玉、82桂成、74桂合、86桂、95玉、
74桂、94玉、62桂成、54と、86桂、95玉、74桂、94玉、93成桂、同玉、
57馬、94玉、84馬
まで53手詰

 
44龍は、74桂合、86桂、95玉、74桂、94玉、62桂成、74桂合、86桂、95玉、74桂、94玉で桂を捌く先が無く逃れ。
 93成銀は、同玉、92金、同玉、42龍、83玉、75桂、74玉で逃れ。このとき、42龍でなく52龍なら63龍で詰む。
 
54同とは86桂、95玉、74桂、94玉、93成銀、同玉、57馬、94玉、84馬まで。

 四枚の桂を順次奪い、最後は桂合がなくなって詰むという物語です。
 構図はさっぱりしている上に、変化紛れも至って簡潔でありながらその狙いは独創的。名局中の名局です。
 この図は初出47手詰=完全、『駒と人生』収録時の改作51手詰=完全、『詰将棋半世紀』収録時の改作53手詰=不完全、その修正53手詰=完全という経緯を辿っています。



相馬康幸作「詰将棋パラダイス」1984年4月

Para81853750

27銀、同玉、63角、26玉、36角成、17玉、35馬、27玉、45馬、26玉、
27歩、17玉、44馬、27玉、54馬、26玉、27歩、17玉、53馬、27玉、
63馬、26玉、27歩、17玉、62馬、35桂合、同馬、27玉、45馬、26玉、
27歩、17玉、44馬、27玉、54馬、26玉、27歩、17玉、53馬、27玉、
63馬、26玉、27歩、17玉、62馬、35桂合、同馬、27玉、45馬、26玉、
27歩、17玉、44馬、27玉、54馬、26玉、27歩、17玉、53馬、27玉、
63馬、26玉、27歩、17玉、62馬、35桂合、同馬、27玉、45馬、26玉、
27歩、17玉、44馬、27玉、54馬、26玉、27歩、17玉、53馬、27玉、
63馬、26玉、27歩、17玉、62馬、35桂合、同馬、27玉、45馬、26玉、
44馬、27玉、54馬、26玉、53馬、27玉、63馬、26玉、62馬、25玉、
35馬、14玉、26桂、同香、13馬、同玉、25桂、24玉、36桂、25玉、
37桂、14玉、23飛成、同玉、24飛、33玉、45桂、42玉、44飛、52玉、
53桂成、同玉、64銀、52玉、53歩、61玉、41飛成、51桂、52歩成、71玉、
51龍、82玉、74桂、同香、73銀成、同玉、62龍
まで137手詰

 
44馬は、25玉で逃れ。
 
27玉は、72馬、17玉、18歩以下。

 これも四桂を出尽くさせるのが狙いです。
 馬があと一歩で香奪取というところで桂合による呼び戻し。桂がタダで取られて間尺に合わないようですが、歩を消費させることと見合いになっているために成立するのですね、これが。
 攻方は27歩と打たず、単に44馬や53馬とすることはいつでもできるのですが、25玉と躱されると桂が揃っていないために詰みません。
 最後の馬鋸行きでは、玉方は桂がなくなっている代わりに攻方も歩一枚しかなく27歩と打つと後続手がないので、単純馬鋸に変わり25玉から収束に入ります。
 まったく無駄なく四桂を使い切ったうえに、さらに桂合まで出てくる念の入れようで、正に傑作。
 山本昭一氏の作家評「相馬康幸は遊び人やな。変化がないように作る」という言葉がぴったりです。

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