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2014年11月 5日 (水)

「将棋世界」好作集

 戦前の「将棋世界」好作集です。
 同誌は1937年10月創刊です。1945年1月まで発行され休刊。戦後は46年6月に復刊しました。
 創刊号の次月には早くも「詰将棋愛読者作品」が掲載されています。
 現在の詰将棋サロンは17手までですが、当時は100手を超える作品も出題されています。

 雑誌の性格上、プロ棋士の作品が多く見受けられますが、アマチュアの作品しか目を通していません。

米田真隆作1938年7月

0058

95金、83玉、92角、同玉、93角成、同玉、84銀、92玉、93歩、81玉、
73桂、同銀、72銀、91玉、83桂、同歩、92歩成、同玉、83銀右成、81玉、
72成銀、91玉、92歩、同玉、83銀成、91玉、82成銀右、同銀、92歩、81玉、
72と
まで31手詰

 
83銀右生も可。非限定。
 
83銀生も可。非限定。

 作者の発表作は世界誌のこの一局のみ。
 この作品の面白いところは72成銀(83銀右生のときは72銀成)と成ってしまうところ。不成だと打歩詰、成だと打歩にならないというわけで、銀はこういうことが生じるのですね。
 非限定が二箇所もあるので損をしていますが、序奏もうまく、なかなかの出来だと思います。



杉本兼秋作1939年1月

0216

12香、同玉、24桂、同銀、13歩成、同銀、24桂、同銀、23銀、13玉、
14銀成、12玉、23成銀、11玉、22と、同香、12歩、21玉、32角成
まで19手詰

 この図は一度紹介しましたが、おそらく作者の代表作と言って良い作品です。
 二歩禁を解消するために歩を成り捨てておくのですが、これが取れる駒を取らない手にもなっているのでトリッキーに見えます。



太田賢二作1941年12月

0711

32銀、同金、12金、31玉、42銀、同金、22金、41玉、32銀、51玉、
62銀、52玉、53歩、同金、51銀成、同玉、41銀成、同玉、32金、51玉、
42金
まで21手詰

 作者は世界誌のみ三局発表。
 12に打った金が42まで動く(最終手は42飛成でなく金でしょう)。
 難しさはありませんが、ユーモアがあります。



三好鉄夫作1942年7月

0798

84桂、同歩、74角、82玉、83角上成、71玉、81角成、同玉、73桂打、71玉、
61桂成、同龍、81飛、同玉、73桂左生、71玉、61桂成、同銀、81飛、同玉、
73桂生、71玉、61桂成、81玉、82銀
まで25手詰

 
82玉は、73角、71玉、81角成、同玉、82角成、同玉、73桂右成以下。
 
同銀は、72飛、同銀、同馬、同玉、73桂左成、61玉、62銀、52玉、53桂成まで。

 作者の雑誌初登場作。
 73桂、71玉、61桂成を三回繰り返すのが面白い。桂の順番も限定されています。
 特に二枚の桂を動かさずに73桂打から始めるのが巧妙。73桂右生からだと、53への利きがなくなり、73桂左生からでは61桂成を同銀と応じられて詰みません。
 これは好作というより秀作。



加藤玄夫作
1942年11月

0842

92飛、71玉、93角、同金、81金、同玉、82銀、92玉、93銀成、同玉、
83金
まで11手詰

 この本名より、有田辰次の筆名の方が有名ですね。
 県代表にもなった指将棋の強豪で、東京の全国大会で、上田吉一氏も強豪と思われていたのか、将棋を指しましょうと盤の向かい側に座られて困ったという話です(上田さん曰く、創棋会では柴田さんとどちらが弱いかというくらい弱い)。
 この当時は奨励会員でしょうか。
 狭いところでの大駒は使いにくいもので、71金~82銀は指し難い雰囲気があると思います。



大井美好作1943年10月

0956

43金、同玉、55桂、同歩、54角、53玉、43金、62玉、52金、同金、
63金、51玉、52金、同玉、63角成、43玉、54馬、52玉、63銀成、41玉、
32金、51玉、42金、同玉、53馬、32玉、14角、22玉、23銀成、11玉、
44馬、33桂打、12成銀、同玉、34馬、22玉、23角成、31玉、32歩、41玉、
52馬
まで41手詰

 
52金も可。非限定。

 戦前から1980年代まで長く活躍した人です。合駒を交えて切れそうで切れない中篇を得意にした作家で、山田修司氏の「名局リバイバル」でも「近代に至って開発された詰棋の新しいジャンル」であり「この型の作品のパイオニア」と高く評価されています。
 序奏から小気味のいい手が続き、桂合を余儀なくさせてしれっと歩を掠め取るあたりは皮肉な手順。
 全体として一つの妙手順というべきで、この時期の作品としては出色の出来と思います。



大沼和夫作1944年7月

1034

92金、同玉、81銀、82玉、72銀成、同金、92金、同玉、81銀、82玉、
72銀成、同玉、71金、82玉、62龍
まで15手詰

 作者は世界誌のみに二局発表。
 92金、81銀、72銀成を繰り返しているだけですが、何とも憎めない作品。
 簡潔で無駄がない構図も買えます。



相馬夢龍作1944年8月

1039

14桂、同歩、23飛生、11玉、12歩、同玉、13歩、11玉、22飛成、同玉、
23歩成、11玉、12歩成
まで13手詰

 一見して、また歩不成かと思いますが飛で行くところが妙な感じ。良い作品なのかそうでないのかよく分かりませんが、私は面白く感じました。



三好鉄夫作1944年11月

1069

83桂、同歩、92歩、同玉、84桂、91玉、92桂成、同玉、84角成、82玉、
92飛成、71玉、63桂、同飛生、81龍、同玉、63角成、同香、82歩、同玉、
74桂、81玉、91飛、同玉、73馬、92玉、82馬
まで27手詰

 
同飛成は、72歩、同龍、同飛、同玉、83馬以下。

 『三百人一局集』掲載作。
 打歩詰をめぐる攻防で、簡潔にできています。収束までまったく渋滞するところがありません。
 作者の代表作と思いましたが、
94桂、71玉、72歩、同玉、83馬、71玉、82桂成、62玉、67飛、53玉、52角成、同玉、61馬、41玉、44香、43歩合、42飛、同玉、43馬、31玉、61飛成、22玉、21龍、13玉、14歩以下の余詰がありました。
 修正は67飛→68飛で。



青木一博作1944年11月

1076

44角、13玉、33飛、14玉、23飛成、同玉、33角成、14玉、15金、13玉、
24金、12玉、23金、21玉、11馬、同玉、12歩、21玉、33桂
まで19手詰

 
32玉は、33金、41玉、71飛、52玉(41金合は同飛、同玉、52金以下)72飛成、41玉、53桂以下。

 作者は世界誌のみに四局発表。
 スカスカなので、詰めにくい。44角の限定打から33飛はダンゴになって上部に逃しそうですが、23飛成と活用して解決。最後は桂の打ち場所まで限定されているのは出来過ぎの感があります。




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