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2014年10月26日 (日)

「将棋月報」好作集 その3

 「将棋月報」好作集第三弾です。

川辺告次作1941年1月

3198

12歩成、同金、13桂、同金、32歩成、同飛、33桂、同飛、22金
まで9手詰

 右と左で歩を成り捨てては桂捨て。これはうまい。



里見義周作1941年1月

3256

23歩成、同玉、41角成、同馬、24歩、13玉、14歩、同馬、23歩成、同馬、
14歩、同馬、同銀、同玉、15歩、同玉、24角、14玉、15歩、23玉、
22銀成、同玉、32歩成、11玉、21と、同玉、22歩、11玉、23桂、22玉、
33角成、13玉、14歩、同玉、24馬
まで35手詰

 取歩駒(馬)を呼んでおいてこれを奪い、今度は24角を24馬に変えて終わり。
 手数の割には易しい作品ですが、論理的な作風が感じられます。



土屋健作1941年2月

3267

25桂、同歩、68角、同龍、35角、22玉、14桂、同香、13角成、32玉、
14馬、42玉、43金、51玉、41馬、62玉、74桂、同歩、51馬、72玉、
73金、81玉、83香、92玉、82香成、93玉、83金、94玉、B86桂、同と右、
97香、同と、95歩、同と、84馬
まで35手詰

 作家としてより、むしろ図研会を組織して新人を育成したり、戦後は名解説者として名を残した人です。黒川一郎氏や山田修司氏の浪漫派を擁護し、新しい流れをつくった功績は大きいものがあります。

 さて本局は、
68角の豪快な邪魔駒消去が眼目の一手。
 
24桂合は、23金、14玉、24金、15玉、27桂以下。
 小味な手を交えながら淡々と進んで29手目、86角が残っていると桂が打てないしくみです。
 惜しくも
44桂、42玉、31馬、同玉、32金、同金、同桂成、同玉、44桂、41玉、43香、42歩合、同香成、同玉、43金、41玉、42歩以下の余詰。
 42歩を打てないようにすればいいので、攻方47歩配置で完全作になります。



有馬康晴作1941年2月

3278

12歩、22玉、23香、33玉、34香、23玉、32角生、12玉、33香生、11玉、
12歩、22玉、23角成、21玉、32香成
まで15手詰

 
23歩は、12玉で逃れ。
 
34歩は、23玉で逃れ。

 香を打つのは利かせるため。歩では打歩詰に関係なく詰まないので、こういうのは香先香歩とはいいません。
 打歩絡みになるのは香を打ったあとです。角不成も香不成も地味な手ですが、さっぱりした配置で感触は悪くありません。
 もう一手欲しかったところですね。



森田耕次作1941年7月

3345

95角、同銀、94金、同玉、95歩、84玉、96桂、95玉、86銀、94玉、
84桂、96桂合、同香、84玉、95銀、85玉、86歩、96玉、88桂、95玉、
97龍、84玉、96桂、94玉、95歩、同玉、87桂、94玉、84桂、同玉、
95龍
まで31手詰

 作者は月報のみに3局発表。

 96桂~84桂のリフレイン。なかなか良くできた作品だと思います。
 
93銀生の無駄手が成立しています。これをなくすには攻方93香と置いてしまうくらいでしょうか。また、61金は不要駒で、これを取り去っても初手73銀生、同玉、65桂は72玉で詰みません。



有馬康晴作1942年2月

3471_3

15銀打、25玉、26銀打、16玉、17銀打、27玉、28銀、16玉、17銀引、25玉、
26銀引、14玉、15銀引、23玉、
24銀、14玉、15銀上、25玉、26銀上、16玉、
17銀上、27玉、29飛、同成桂、28歩、同成桂、同銀、16玉、17銀上、27玉、
39桂、同飛生、28銀、16玉、17銀引、25玉、26銀引、14玉、15銀引、23玉、
24歩、32玉、42歩成、同香、54角、43歩合、23歩成、同玉、24銀、14玉、
15銀上、25玉、26銀上、16玉、17銀上
まで55手詰

 縦型の銀知恵の輪。
 最初は23歩を消去、次に28歩を打って桂を獲得、その桂を39に打って飛車を呼んでおく(後で打つ54角を取られないため)、対してお約束の不成、もう一度上部へ追って角を入手、54角打ちで27への利きができたので、今度は下段へ追っていけば終わるというわけで、序奏も収束もない素っ気なさですが、これはこれで良いと思います。
 
24歩、32玉、42歩成、同香、23歩成、43玉、33成香、44玉、35銀、33玉(45玉は、36角、56玉、59飛以下追い回して詰む)、24銀右、43玉、44歩、54玉、59飛、65玉、54角以下。52玉は、59飛、53歩合、74角、61玉、51飛以下。
 
65角でも、43歩合、23歩成、同玉、24銀、14玉、15銀上、25玉、26銀上、16玉、17銀上、27玉、54角、36合、37金までの詰み。
 上記、
を修正するには玉方53桂と置くのがいちばん簡単ですが…。



岡田秋葭作1942年2月

3495

13飛、同玉、23と、同玉、32馬、同玉、42飛、23玉、41角、32桂合、
同角成、13玉、25桂、同歩、23馬、同玉、22飛成、14玉、25龍、13玉、
22龍、14玉、15歩、同玉、25龍
まで25手詰

 岡田秋葭の月報初登場作。使用駒制限コンクール応募作です。
 過不足のない手順で、完成度の高い作品だと思います。



佐藤千明作1942年2月

3502

12歩、21玉、43馬、32香打、11歩成、同玉、44馬、33香、12歩、21玉、
43馬、32香打、11歩成、同玉、33馬、同香、13香、21玉、12香成
まで19手詰

 これは文句なしに楽しい作品。
 歩打ち、歩成捨ての間に馬を動かせば、その都度香合の一手。14角は実は守備には何の役にも立っていない合駒制限のための駒です。34歩は歩合防止。それでもたったこれだけの配置で成立しているので、理想的といえます。



土屋春雄作1942年3月

3530

57龍、69玉、78銀、同玉、77龍、69玉、58銀、同玉、57龍、69玉、
87角、同龍、59龍、78玉、79龍
まで15手詰

 退路に捨駒三回。龍の往復も加わって、趣向的な味わいがあります。
 作者は、図研会の一員。月報のみに6局の発表作があります。



里見義周作「南十字星」1942年3月

3533

59龍、67玉、68龍、76玉、77龍、65玉、75龍、54玉、55龍、63玉、
53龍、72玉、73龍、61玉、71龍、52玉、55香、54香、同香、63玉、
73龍、54玉、53龍、65玉、55龍、76玉、75龍、67玉、77龍、58玉、
68龍、49玉、59龍、38玉、39龍、27玉、28香、同成香、同龍、36玉、
37龍、45玉、46龍、54玉、55龍、63玉、53龍、72玉、73龍、61玉、
71龍、52玉、55香、54桂、同香、63玉、73龍、54玉、53龍、65玉、
55龍、76玉、75龍、67玉、77龍、58玉、68龍、49玉、59龍、38玉、
39龍、27玉、28龍、36玉、37龍、45玉、46龍、54玉、55龍、63玉、
53龍、72玉、73龍、61玉、71龍、52玉、64桂、63玉、73龍、54玉、
53龍、65玉、55龍、76玉、75龍、67玉、77龍、58玉、68龍、49玉、
59龍、38玉、39龍、27玉、28龍、36玉、37龍、45玉、46龍、54玉、
55龍、63玉、53龍
まで113手詰

 月報でいやというほど見かける龍追いですが、本局は(月報では)珍しく中合が出てくるので少し面白い作品かなと思います。



岡田秋葭作1942年5月

3602_2

27銀打、同香生、17飛、同玉、35角、18玉、19金、同玉、46角、18玉、
19金、17玉、35角
まで13手詰

 歩無し作品の投票で一位を獲得した作品。ちなみに既に紹介した高田公城作 は三位でした。
 
27同香成は、19飛、同玉、29金まで。
 利かせるための香不成が眼目の手で、あとはまったく難しくありませんが角の往復も入ってまとまりの良い作品。
 配置が簡潔で無理、無駄がなく、時代は重厚・複雑から軽み・洗練へと変わろうとしています。作者はこのあと矢継ぎ早に近代的感覚の
秀作を発表していきます。



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コメント

初めまして。
佐藤千明作、王様殺人事件で、作者の少年時代の作品ということで載っているのと同手順です。
23金→23馬で14角がありません。
特にどうということでもないですけど。

秀和歌さま

初めまして。
コメントありがとうございます。
「王様殺人事件」の図は承知しておりませんが、この作品は佐藤千明の代表作と目されているようで、著者はたぶん知っていたんでしょうね。
23馬とはうまいことを考えつきましたね。

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