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2014年9月19日 (金)

平松繁治好作集

 作者については、何の知識もありません。
 仮に知識があったところで、発表された作品は新たな文脈の中で居心地の良い場所に置かれるので、作者名は識別する表札以上の意味はないのです。
 作者は発表したあともそれは自分の所有物だと主張したいところですが、作品は既に作者に凭りかかることなく自立しているので、作品にとってみれば、誰がつくったのかは知ったことではないのです。誰かがつくったのですから。
 従って、むしろ作者個人についての情報は無い方が鑑賞には余計な先入見がなくてよろしい。

※「詰棋界」で生年月日を見つけました。1931年生まれ。和歌山の人。
2015年5月16日記。

 発表作は1951年8月の「旧パラ」から1967年5月の「詰将棋パラダイス」まで59局。手数は7手から31手。完全作は51局と思われます。
 1950年代初頭、将棋雑誌は「旧パラ」「近代将棋」「将棋世界」「将棋評論」「風ぐるま」「詰棋界」「旧・王将」「将棋時代」と、たくさんありました。
 今回はいわゆる初心詰が多いですが、感触の悪くない作品を選びました。

 発表順に紹介します。

「将棋世界」1954年5月

Sekai46800953

14桂、23玉、32角、24玉、23角成、同玉、22飛、14玉、25金、同角、
26桂
まで11手詰

 
同歩は、32飛、23玉、12飛成、24玉、13角まで。

 14桂、23玉となった時点で、24桂は邪魔駒。これを消去して桂吊しの詰上り。




「詰将棋パラダイス」1954年8月(復刊第一号)

Para54600061

15角、22玉、13角、12玉、11金、同玉、33角成、同龍、12歩、同玉、
31角成
まで11手詰

 15角に合駒が利かないのがミソ。13角、12玉となって、香の利きを角が二重に遮っています。積崩しのような雰囲気です。



「詰将棋パラダイス」1954年12月

Para54600391

13飛、同玉、33飛、24玉、35飛成、13玉、33龍、同馬、14金
まで9手詰

 
24玉は、34飛、13玉、33飛成、同馬、14金まで7手。

 飛車の二段活用。全く無駄なくできています。



「詰棋界」1955年1月

Tumekikai1093

35角、同金、25桂、同金、22角、24玉、25歩、同玉、36金、24玉、
25歩、15玉、33角成、24角合、同馬、同歩、37角、26角合、同角、同桂、
16歩、14玉、12飛成、13歩、23角
まで25手詰

 
26桂跳ねは12飛成、14合、26金まで。

 初手は退路塞ぎ。続く25桂は金を質駒にする意味です。角合が2回出るところが狙いでしょう。収束はやや残念。



「詰棋界」1955年1月

Tumekikai1117

34歩、22玉、24香、23歩合、同香生、12玉、21角生、23玉、24歩、22玉、
32桂成
まで11手詰

 23歩合に同香生が当然ながら味の良い手。最後は鮮やかな詰上りです。



「風ぐるま」1955年6月

Kazaguruma1356

25金、同角生、33角生、34金、15歩、23玉、22角成
まで7手詰

 双方大駒不成が7手でできるとは大したものです。



「詰将棋パラダイス」1956年1月

Para54601516

32角、23歩合、同角成、15玉、33馬、24歩合、同馬、同金、同銀、16玉、
17金、25玉、26歩、14玉、23銀生、24玉、25歩、15玉、16歩、25玉、
34銀生、14玉、15歩、同玉、26金、14玉、23銀生、24玉、34銀成、14玉、
24成銀
まで31手詰

 
15玉は、25飛、同香、24銀以下。

 歩合を稼ぐ序奏から、歩打、歩突捨てとのセットで銀を24→23→34→23→34→24と細かく動かす狙いでしょう。



「詰将棋パラダイス」1960年12月

Para54605281

35角、同龍、22銀生、同玉、13角、33玉、25桂、同龍、43金、34玉、
44金
まで11手詰

 初手25桂、24玉、14銀成、35玉、33飛、46玉、13角の筋が危ないのですが、助かっているようです。
 23銀が邪魔駒で、24龍を動かして、銀を消せば23金まで。その方針に沿って角を打ったあとで龍を元に戻して金引き。趣向のカケラ(と、吉田健氏は呼んでいたような)ですね。



 作者の作品には難しいものは一つもありませんが、センスの良さを感じました。

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