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2014年9月20日 (土)

中山修一好作集

 作者については、「詰棋めいと」15号(1993年10月)に湯村光造氏の次のような記述があります。

 「作者は同誌の選者で詰棋欄の解説を書いています。このほかに中山修一
の名前でも沢山出題されているので、それが本名かと思われます。越智信義氏によると中山修一は当時の学生将棋のチャンピオンだったそうです」
下記「将棋日本」1939年7月・43手詰について述べた文で、「中山初段」名義。

 発表作は1934年12月の「将棋日本」から1957年7月の「詰将棋パラダイス」まで27局。手数は11手から75手。完全作は21局(変長作3局含む)と思われます。「将棋月報」の発表作はありません。
 「将棋日本」は、1934年10月に創刊され、1939年10月まで60号発行されたようです(1938年3月は休刊?)。

 発表順に紹介します。

「将棋日本」1934年12月

Nihon0014

83角、同玉、95桂、同歩、84金、72玉、94角、71玉、82銀成、同玉、
83金、71玉、63桂生、61玉、82金、94香、71金
まで17手詰

 重く84金と打ったあと、71まで活用されるのが面白い。



 ハテ、この収束はどこかで見たことがありますね。

柏川悦夫「将棋評論」1951年2月

0276

22金、13玉、12金、23玉、34銀、32玉、14角、31玉、22金、同玉、
23銀成、31玉、43桂、41玉、22成銀、14香、31成銀
まで17手詰

 もちろん、柏川氏はご存じなかったのでしょう。中山作はこの収束第一号のようです。


「将棋日本」1935年1月

Nihon0021_2

35桂、同歩、22金、同玉、12桂成、同玉、23角、22玉、78角成、32玉、
43歩成、同玉、23飛成、54玉、64金、同金、44銀成、同玉、34馬、54玉、
43龍
まで21手詰

 飛車が向かい合っているので、これを止める算段を講じるのが狙い。88角成は成限定です。収束もスッキリしています。



「将棋日本」1935年4月

Nihon0038

84角、82玉、93角成、同玉、94銀、同玉、95香、同角、85銀打、93玉、
92金
まで11手詰

 邪魔駒消去です。
 玉方55とは、初手から84銀、同歩、同角、同玉、95銀、74玉、65金の余詰防止駒です。

 い同角は、94銀、同玉、85金、93玉、84角、82玉、93角成、91玉、82角以下。



「将棋日本」1935年10月

Nihon0071_2

73香、81玉、27角、91玉、51飛成、92玉、81龍、93玉、94歩、同玉、
72角成、95玉、96歩、同玉、63馬、97玉、98歩、同玉、54馬、99玉、
92龍、88玉、98龍、77玉、68金、同歩成、87龍、66玉、55銀、同銀、
76馬、56玉、48桂、45玉、46歩、同銀、44金、
同玉、84龍、33玉、
32馬、24玉、36桂、13玉、14歩、12玉、24桂、11玉、21馬、同玉、
32銀成、11玉、81龍
まで53手詰

 初手73香が限定打とはすぐには気がつきません。75あたりに打つと、74歩合と中合を喫して後の63馬が王手にならないのです。
 55玉は、85龍、44玉、74龍、53玉、75馬、43玉、65馬、42玉、44龍、51玉、53龍、41玉、42歩、31玉、33龍まで同手数。85龍のほか54金から85龍とする手もあります。



「将棋日本」1936年5月

Nihon0120

66桂、
同歩、94飛、同香、86桂、同金、65飛成、同銀、63角、84玉、
75馬、95玉、85角成、同金、87桂
まで15手詰

 初手75歩と馬の利きを遮るのは論外。

同銀は、64飛打、同桂、同飛成まで。
同金は、86桂、84玉、75馬、95玉、96歩、同玉、87角以下。
94同金は、75歩、84玉、73飛成、同玉、74金、82玉、73角、81玉、91角成、83桂、82玉、71馬まで2手長駒余り。
84金は、75歩、83玉、84飛、同玉、73飛成、95玉、96歩、同玉、87金、95玉、86角、94玉、95金まで2手長駒余り。

 63飛は邪魔駒。消去する前に、徹底して退路を塞いでおくのが狙いです。変長がありますが、当時は2手長駒余りなら全く問題にされなかったのではないでしょうか。
 変長は、攻方91と配置で完封できます。



「将棋日本」1936年8月

Nihon0139

24角、41玉、32銀成、同玉、33飛生、41玉、42歩、同玉、54桂、同桂、
63飛生、41玉、42歩、32玉、33飛生、42玉、73飛生、41玉、42歩、32玉、
33飛生、42玉、83飛生、41玉、42歩、32玉、33飛生、42玉、93飛右生、41玉、
42歩、32玉、33飛生、42玉、
73飛成、32玉、33角成、21玉、22馬、同玉、
13歩成、32玉、23と、21玉、12香成、同歩、22歩、11玉、12と、同玉、
13歩、22玉、24香、32玉、23香成、41玉、91飛成、
51桂合、同龍、同玉、
62香成、41玉、52成香、同玉、64桂打、41玉、42歩、同玉、33龍、51玉、
53龍、61玉、52龍、71玉、72龍
まで75手詰

 初手は当たり前のようですが、限定打。15角だと、
21玉で逃れ。
73飛成は、後の
62香成に備えた限定移動。
51香合は、同龍、同玉、62香成、41玉、42香、同玉、33成香以下。

 飛車の不成連取りです。
 連取りの目的は97飛を世に出すため。
 気持ち良く捌ける作品。



「将棋日本」1936年8月

Nihon0140

92歩、同玉、81銀、同玉、72金、同玉、73桂成、81玉、71馬、同銀、
同と、91玉、82銀、92玉、84桂、同歩、81銀生、91玉、92歩、同角、
同銀成、同玉、83角、91玉、81と、同玉、72角成、91玉、82馬
まで29手詰

 金気を使い切った後、73桂成が好手。やや軽いながら、74角を逆用してうまくまとまっていると思います。



「将棋日本」1939年4月

Nihon0310_3  

16飛、29玉、28金、39玉、48銀右、49玉、19飛、同香成、16馬、27桂合、
同馬、58玉、59銀、69玉、36馬、同歩、79金、同玉、68銀引、88玉、
79銀、同玉、13角、88玉、89銀、同玉、69飛、88玉、79角成、77玉、
68銀、66玉、57銀、77玉、67飛、同桂成、69桂
まで37手詰

 初手16飛は、同香に27馬を見た限定打。

58玉は、59銀、69玉、25馬、36香合、79金、同玉、68銀引、88玉、79銀、77玉(同玉は35馬以下)、33角、67玉、68銀左、56玉、57飛、45玉、55角成まで。27桂合は、取らせて25馬と行けなくする意味。
27歩合は、同馬、58玉、59銀、69玉、79金、同玉、68銀右、88玉、89歩、同成香、同銀、同玉、79飛、88玉、98金、同玉、99香、88玉、97角まで。このための99成香配置。私なら99金にします。11香は14香あたりで。
77玉は、33角、67玉、68銀左、56玉、55飛、47玉、39桂、46玉、57銀まで。

 16馬に27捨合。作意で13角、変化で33角と打つ対照の妙。そういう手が生じたのも、初手16飛から19飛の活用のおかげです。
 収束は短篇の切れ味ですね。不成連取りに優る代表作でしょう。



「将棋日本」1939年7月


Nihon0321


23歩生、11玉、12歩、同玉、42飛生、23玉、34金左、同歩、24歩、33玉、
55角、同馬、23歩成、同玉、35桂、同歩、24歩、33玉、45桂、同馬、
34歩、同馬、
23歩成、同馬、34歩、同馬、同金、同玉、52角、23玉、
24歩、同玉、44飛成、23玉、34角成、22玉、42龍、32桂合、23歩、11玉、
44馬、同桂、22龍
まで43手詰


 34同金は、同玉、52角、43歩合で逃れ。24歩が邪魔で詰みません。
43歩合は、同飛成、25玉、23龍、15玉、25龍まで。

 序盤は倣いある手筋です。55角と桂を取ってからの趣向的な手順が秀逸。
 
32桂合~44馬、同桂は作意ですが、44馬には33合が最長になるので、明快さを欠いたことが惜しまれます。



「詰将棋パラダイス」1957年7月

Para54603435

51馬、同銀、15角、14玉、51角成、16銀、同香、25玉、15馬、36玉、
37馬、25玉、26香、16玉、27銀、15玉、23香成、14玉、15馬、23玉、
26香、
25桂合、同香、24桂合、同馬、22玉、42馬、23桂合、同香成、同玉、
15桂、22玉、14桂、同歩、23銀、21玉、13桂、11玉、33馬
まで39手詰


24歩合は、同馬、22玉、33銀、11玉、12歩、23馬以下。
24桂合は、同馬、22玉、33銀、11玉、23桂、12玉、13馬、同玉、14歩、同玉、24銀成、15玉、25成銀まで。25桂合は、25成銀を消す意味です。
23歩合は、同香成、同玉、15桂、22玉、23歩、12玉、24桂、21玉、12銀まで2手早い。

 戦後唯一の発表作。同姓同名の別人の可能性はありますが、今田政一の例もあるので、同一人物としておきましょう。
 15角が、51~15~37~15~24~42~33と大活躍。特に単騎の15馬は痛快です。
 二段桂合がうまく入って、収束も無難。


 ご覧の通りの実力の持ち主。発表作が少ないこともあって、あまりにも知られなさ過ぎている作家だと思います。

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コメント

中山修一氏は400人1局集に載せようと思ったのですが、故門脇氏に言ったら「そんなに良い作品がありましたかな?」と言われました。私は「将棋日本」を所有していて、昭和初期の作家としては記録すべき作家だと思っていました。もう少し余力があれば400人1局集に載せたのですが、自分の分も含めて15人分書いたので、もう書けませんでした。本当は他にも書きたかった作家が居たんですが、、、。

利波さま

コメントありがとうございます。
中山修一は充分掲載する値打ちがありましたね。
他にも書きたかった作家とは?
好作集のネタに困っているので、内緒で教えて下さい。(笑)

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