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2014年9月17日 (水)

井上雅夫好作集

 井上雅夫は1937年生まれ。1966年頃病没。京都府舞鶴の人。本名は富太と『三百人一局集』にあるので、それを加えると発表作は36局(必至図1局含む)のようです。
 発表は1961年12月の「将棋世界」から1965年8月の「近代将棋」まで。
 当時、将棋雑誌は「詰将棋パラダイス」を含めた三誌だけになっていました。
 現在は「近代将棋」がなく二誌のみです。戦前の「将棋月報」「将棋世界」の水準に戻っている状態ですね。

 発表順に紹介します。

「将棋世界」1962年3月

Sekai46802329

35桂、34玉、46桂、同馬、43角成、45玉、65馬、34玉、44飛成、同玉、
43桂成、45玉、44成桂、同玉、54馬
まで15手詰

 香頭桂です。
 角を馬に変えておいて、主力の飛と邪魔になった桂を捌く教科書のような構成。43角成も44飛成も成生非限定ですが、たいして気になりません。



「詰将棋パラダイス」1962年4月

Para61650946

43銀生、13玉、22飛成、14玉、24金、同玉、35角、同玉、33龍
まで9手詰

 銀のソッポ行き。
 作者は、飛と金・銀、角と金・銀のソッポ行きをいろいろ試しています。
 52角は初手23銀成から43飛成の余詰防止駒です。
 収束のたたみ込みが見事。



「近代将棋」1962年7月

Kinsho50692526

43角、34香、33銀成、22飛、34角成、14玉、15香、同玉、16馬上、14玉、
23馬、同飛、15歩、24玉、34成銀
まで15手詰

 これもソッポ行きです。
 初手は玉方の飛を動かす意味で、当然限定打です。
 打歩形になりますが、見たことがある収束ですね。



「将棋世界」1962年7月

Sekai46802371

14銀成、同玉、31銀生、24玉、23角成、同玉、22飛、33玉、43金、同玉、
42飛成
まで11手詰

 初手は成限定。
 これもソッポ行きですが、31銀生は逃してしまいそうで、かなり指し難い雰囲気です。
 収束からつくったのでしょうか。



「詰将棋パラダイス」1963年1月

Para61651476

33金、13玉、32金、43角合、22角、24玉、33角成、13玉、25桂、同角、
22馬、24玉、13龍、同銀、33馬
まで15手詰

 
21玉は、51龍から32角。
 
23合は、22角、24玉、33角成、13玉、25桂まで。22金合なら、22角、24玉、23龍、同玉、33角成、13玉、25桂まで。

 表紙作。『古今短編詰将棋名作選』収録局です。
 初手33金以外はすぐに切れてしまうので、ソッポ行きの意外性はあまりありませんが、角合が出てから22~33の馬の往復手順の味も加わって、うまさを感じます。




「詰将棋パラダイス」1963年5月

Para61651858

32角生、34玉、46桂、同と、43角生、23玉、22と、24玉、36桂、同と、
23と、同玉、32飛成、24玉、21龍、23銀、25歩、33玉、32角成、同銀、
45桂、同龍、24龍
まで23手詰

 
32角成は、34玉、46桂、同と、43馬、23玉、22と、24玉、36桂、同と、
23と、同玉、21飛成、22桂合、同龍、同玉、44馬、同香、12歩成、33玉、53飛、34玉、43飛成、25玉、23龍、24香合で逃れ。
 
22とは、24玉、23と、同玉、21飛成、22桂合、32龍、24玉、22龍、23香合で逃れ。
 
32飛成は、24玉、21龍、23銀合、25歩、33玉、23龍、同玉、24銀(15桂は14玉)、22玉、34桂、31玉で逃れ。
 
同歩は、23と、同玉、35桂、同龍、24歩、同玉、35龍、同玉(24玉は21飛成から25龍)、33飛、24玉、34飛成まで21手。

 『三百人一局集』収録局。半期賞受賞作です。これが代表作だと思います。
 作者には、本作より長い手数の作品が2局(27手、33手)あるのですが、ともに余詰で、内容的にも本局には及びません。
 龍を動かすにいたるまでの桂打捨ての味が良く、収束も無難な秀作です。



「詰将棋パラダイス」1963年8月

Para61652030

45銀、同と、44角成、同と、43角、同玉、33金
まで7手詰

 
45角成は、同玉、33角、43玉で逃れ。
 
66角は、55銀合で逃れ。

 邪魔駒消去。
 33角がなければ43角と打って詰み。そこで角を消去するのですが、駒を取ったりして原形を壊してはいけません。
 44とが44金なら、初手44角成が有力な紛れになるのですが、この形では難しそうです。



「詰将棋パラダイス」1965年5月

Para61653446

28飛、同と、46飛、同香、36金、27玉、25金
まで7手詰

 初手は退路封鎖、3手目は角の利きを止める香を通過させておく意味。
 ところで、この収束は見覚えがありますね。あとで出てくる塚田賞作の準備作のように思えます。



「将棋世界」1965年6月

Sekai46802731

25香、23香、同香生、11玉、22香成、同玉、31飛成、23玉、25香、24角、
35桂、13玉、33龍、同角、23香成
まで15手詰

 
23桂合は、同飛成、22合、33桂、11玉、22龍、同角、23桂まで。

 香打ちが2回入るところに統一感あり。形も手順もあっさりしていますが、好感の持てる図です。



「近代将棋」1965年7月

Kinsho50693365

17歩、26玉、36金、27玉、46金、26玉、36飛、25玉、26飛、同玉、
36金、27玉、25金
まで13手詰

 
36飛は、25玉、26飛、35玉で逃れ。

 塚田賞受賞作。最もよく知られている作品ではないでしょうか。
 初手27角のような手では25玉で逃れ。17歩は気が利かない感じで指しにくい手です。
 36金も筋の悪そうな手ですが、
の紛れ順26飛に35玉とさせない意味があります。邪魔駒25歩を飛で消去して、今回は最後に金のソッポ行きが出ました。
 心理作ということになるでしょうか。
 

 夭折が惜しまれる作家です。

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