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2014年8月 4日 (月)

北川邦男好作選8

第81番「近代将棋」1969年4月

081

78角、67桂合、同角、66玉、85角、56玉、66飛、同玉、78桂、56玉、
57飛、同玉、58金、56玉、67角
まで15手詰

 
67歩合は、同角、66玉(57玉は、78角、57歩合、同飛寄、56玉、57飛以下)、94角、76玉、77飛、84玉、88飛、94玉、84金まで。
 47玉は、34角、57と、38金、46玉、47歩以下。
 56玉は、57歩、同と、46金まで。
 
57玉は、78角、57歩合、同飛寄、56玉、57飛以下。
 
47玉は、23角成、47と、58桂以下。
 
94角は、56玉、66飛、同玉、78桂、75玉で逃れ。85角なら、74金で詰み。

 角の開き方の問題。玉方の対応によって34に行ったり、94に、78にという変化が見事です。歩合と桂合の違いは、歩合なら85角では67歩合が利いて詰まないが、桂合なら67歩合、同飛上、56玉、68桂、45玉、34金までで詰むことです。従って、歩合の場合は67歩合を同飛寄と取ったあと角を抜かれないように94角と開いておくことになります。この辺り、実にうまくできています。
 なお、『近代将棋図式精選』には塚田賞を受賞した四局の他、第28番と本局が収録されています。


第82番「近代将棋」1969年6月修正図

082

17香、同と、27桂右、同と、19香、同馬、17香、同と、27桂、同と、
16香、26玉、27銀、17玉、18歩、同馬、同銀、同玉、27角、17玉、
18歩、28玉、38金、29玉、39金、同玉、38馬
まで27手詰

 1994年1月、柳原編集長(当時)から一通のハガキが来ました。「単発で何かエッセイでも書いて頂けませんか? 短くても良いです。お待ちしてます」
 すぐに書いて送ったのが北川氏についての雑文で、本局を採り上げました。
 編集長からの返信。「紹介して頂いた一局は発表時不完全ということもあって、さほど有名ではないので、こういう機会に誌上で発表できたことは意義のあることでした」
 書いた甲斐があったというものです。

 二歩禁回避の香先香歩。巧妙な下工作には感心する他ありません。斎藤仁士氏作に迫る傑作。
 16歩は、同玉、27銀、17玉、18歩、28玉で19に潜られて逃れ。
 
27桂右(左)は、16玉で銀が27に出られず逃れ。
 初形で19桂と39桂は邪魔駒で、27とも玉方にすれば初手17香とする防ぎにはなっているものの、その一方で17との形になると退路を塞いでいる邪魔駒です。
 そこで、攻方は玉方17と無しで27桂、16玉の形にならないように17との形にしてから桂を捌く必要があるというわけです。途中、あとで19玉と潜られないように、19馬の形にしておくのが肝要なところ。
 18歩合は、16歩、同玉、27銀、17玉、18銀、28玉、29銀、同桂成、37角以下。
 
16歩は、26玉、27銀、17玉、18香、同馬、同銀、同玉、27角、17玉で18歩が二歩。このように、同じ筋で2回歩を打つためには先に香を打っておくというのが、この手筋の約束事です。
 16同玉は、27銀、17玉、16金、28玉、38馬まで。
 発表図は49飛で、余詰を生じたのが実に残念です。3手目より37馬、26銀合、27桂、25玉、26馬、34玉、35馬、43玉、53金、32玉、34香、33歩合、同香成、同玉、34香、22玉、14桂、23玉、32銀以下。

 この主題もつくりたいと思うのは、これまでの流れからして当然。(笑)

「詰将棋パラダイス」1994年2月

Para91952395

59香、54歩合、45桂、同歩、54香、42玉、52香成、同玉、44桂、53玉、
54香、64玉、65歩、同玉、56馬、同玉、45龍、66玉、75龍、56玉、
57歩、同と、45龍、66玉、77金
まで25手詰

 54歩と打てば、64玉、66香で合駒が稼げるところにちょっとした主張があったのですが、これに触れた短評は皆無でした。(T_T)


第85番「近代将棋」1969年9月

085

25桂、24玉、33飛成、14玉、44龍、24桂合、13桂成、同玉、22角、12玉、
11角成、13玉、24龍、同歩、25桂、同歩、22馬、14玉、15歩、24玉、
33馬、13玉、14歩、同玉、15銀、13玉、22馬
まで27手詰

 本局は、44龍のソッポ行きと12玉が狙いという作者の言があります。
 17桂を持駒にできれば良いのですが、初手から22角、12玉、24桂で潰れます。
 34龍は、同角なら詰みますが24香合で逃れ。
 同香は、15歩、24玉、13角、34玉、33とまで。

 手順中の12玉。角を成らせて打歩詰に誘う意味ですが、不利逃避(森田銀杏氏の評)という感じがしないのは、この手の筋を見過ぎたせいでしょうか。
 『将棋龍光』第24番に「これも不利逃避というのでしょうか」とコメントしたのは、北川作が不利逃避なら当然『龍光』の方もそう呼ぶべきですが、この手筋は玉方の駒をわざと取らせることが必須だと思っているので、疑問符を付けたつもりで書いたのです。
 ともあれ、よくできた作品であることは確かで、やや長めの収束は最近流行らないようですが、私は気になりません。


第90番「近代将棋」1971年12月修正図

090

52飛、32金合、34桂、同飛、23金、31玉、32金、同飛、22角、同飛、
23桂生、同飛、32金
まで13手詰

 32銀合等42に利かない合駒は、14桂で詰み。
 41玉は、51金まで。従って52飛は、限定打。
 これが好作? というなかれ。いかにも新聞向きの作品のようですが、なかなかつくれないものだと思っています。
 発表図は44歩がなく、62飛(以遠打)、32金合、34桂、同飛、44角、33飛、23金、31玉、22金、同角、53角成、41玉、32飛成、同玉、42飛、33玉、44飛成以下の余詰がありました。
 『渓流』では玉方43歩を追加していますが、それでも62飛、32金合、14桂、31玉、41金、同玉、63角、31玉、61飛成以下の余詰が生じています。44歩で修正できていると思います。
 22角と打つ感触が良いですね。


第100番「近代将棋」1980年7月

100

17飛、同玉、29桂、16玉、43馬、34歩合、同馬、25桂合(途中図)、17歩、26玉、
27飛、同玉、37馬、同桂成、16馬
まで15手詰

途中図

100_2

 38玉は、37飛寄、49玉、39飛打、58玉、68馬、同玉、77馬以下。
 25桂合は、17飛、26玉、44馬以下。香を取らせないために、いったん歩合。

 北川氏、最後の発表作です。
 吉田健氏「敢えて<飛先飛歩>だなどといわないところが、いかにもこの技巧派の大家らしい」
 森田銀杏氏「むしろいうなら<歩先飛歩>というべきか。飛車の不利先打に飽いたマニアにとってはかえって新鮮に見える」
 湯村光造氏「歩詰手筋総まくり」より
 「確かに途中図で歩を先に打ちますが、飛を先に打って打歩詰となる27歩とは打場所が異なるので、筆者の定義による打歩詰回避の作品ではありません」
 湯村氏の説が正鵠を得ていると思いますが、打歩物かどうかに関わらず、好作だと思います。

 後半はかなりはしょった印象を持たれたかもしれませんが、1970年代に入ってからの作品には、どうも冴えを欠いた作品が多く見受けられるような気がしてなりません。(終)

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コメント

私の中では北川氏に一番近い作風は森田氏かと思っているのですが、
両人とも最盛期の作品群には、キレと同時に粘りがあるように思います。
昭和50年代以降はきれいですが、あっさりとしたまとめになっており、
ブログ主と同様な感を受けています。

解答欄魔さま

コメントありがとうございます。
森田氏と作風が近いというのは目から鱗かな・・・。
ただ、森田氏は手順がこなれているが、北川氏は生硬な感じがあって、そういうところも好きなのですが。

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