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2014年3月21日 (金)

冬眠中?

斎藤仁士氏作「近代将棋」1976年2月
70851581

23歩成、11玉、12と、同玉、24桂、11玉、12香、22玉、23歩、同玉、
15桂、22玉、34桂、同歩、23桂成、同玉、34角成、22玉、33龍、同桂、
23歩、21玉、11香成、同玉、22歩成、同玉、12馬
まで27手詰

 
12歩は、22玉、23香、同玉、15桂、22玉、34桂、同歩、23桂成、同玉、34角成、14玉と進んで15歩が二歩。

 これが斎藤氏のデビュー作。あな、恐ろしや。


 何の変哲もない実戦形に非実戦的な手順。
 余談ですが、構想作の舞台としては実戦形が一番ふさわしいのではと思っています。
 二歩禁回避香先香歩史上、私が最高傑作と思っている作品です。これはつくれませんよ。
 特に感心するのは、いったん盤面に残った香を消すところです。こういう香はなかなか消えないもので、私なんか四局つくって四局とも残ってしまいました。(笑) まあ一局は応手非限定というヤツで取ってくれれば消えるんですが。
 本局は塚田賞も当然という出来映えですが、酒井克彦氏の代表作(49銀の邪魔駒消去)と同時期になったのは不運としか言いようがありません。相手が悪すぎました。私は斎藤作の方が好みですが…。

 斎藤氏の発表作は19局しかないようです。38年間で19局ということは2年に1局。寡作派ですね。もっとも2年かけて1局を推敲しているわけでもないでしょうから、ときどき思い出してはつくるということでしょう。従って、ご本人は冬眠中という意識はないでしょうね。

 斎藤氏は私と同じ年生まれ。学年でいうと、一年下です。私と同学年は、秋元龍司氏、大村光良氏、木脇克弘氏、水上仁氏、三宅英治氏など。飯田繁和氏は『三百人一局集』に生年しか書いてないので、不確かですが同学年かもしれません。
 いずれにしても私は思いきり出遅れましたので、最後の一兵卒になるまでつくり続けます。(笑)

 さて、斎藤氏の作品はどれも面白く、時間をかけてつくっているんだろうなと思います。全部紹介してもいいくらいですが、私好みの作品を厳選してみました。
 なお、発表時不完全だった作品の中には「冬の旅」(無防備煙「近代将棋」1981年9月)のような大作もありますが、完全作だけに絞りました。「冬の旅」の龍角馬による回転追い廻しは近藤真一氏の貧乏煙でさらに徹底して再現されています。また香に対する四桂連合+四桂詰(「近代将棋」1987年3月)は完全ですが、やや類型的なので外しました。
  打歩詰大賞のページにも一局あります。「詰棋めいと」に掲載された図(実は誤図で余詰あり)を正しい図と即断してしまい、ここに掲載しなかったものです。


「近代将棋」1980年4月
70852964

15香、14歩合、同香、22玉、34桂、同歩、23歩、同銀、12香成、同銀、
23歩、同銀、同桂成、同玉、14銀、同香、21飛成、22合、24歩、13玉、
25桂
まで21手詰

 2手目の14歩合は香を近づけておいて、あとでここから脱出しようという意味。23歩、同銀の局面で、14香は邪魔駒になっているので4手一組で香を消します。詰上りにすべての攻駒が参加しているところなど理想的ですね。



「近代将棋」1989年3月
86991215

21金寄、12玉、22金引、13玉、24金、同玉、15金、13玉、25桂、同銀上、
14歩、同銀、同金、同玉、15銀打、13玉、25桂、同銀右、14歩、同銀、
同銀、同玉、15銀打、13玉、25桂、同銀、14歩、同銀、同銀、同玉、
15歩、13玉、14銀、24玉、25銀右、13玉、14歩
まで37手詰

 金銀図式。初形と持駒を見れば銀はがしであることは想像がつきますが、実に無駄なくできています。



「近代将棋」1997年8月
86993805

14桂、同金、11飛成、同玉、44角、33桂合、同角成、21玉、31香成、同角、
11馬、同玉、23桂、21玉、31桂成、同玉、23桂、21玉、11桂成、同玉、
44角、33桂合、同角成、21玉、22馬、同玉、33歩成、31玉、23桂、21玉、
11桂成、同玉、22と、同玉、34桂、11玉、23桂、21玉、31桂成、11玉、
21成桂、同玉、23飛成、31玉、22龍
まで45手詰

 桂を補充しては23桂から11へ成ったり31へ成ったり。こういう作品はときどき見かけますが、コンパクトなのが良いですね。



「近代将棋」1997年12月
86993894

42龍、32角、13銀、21玉、51龍、41角、22銀打、32玉、62龍、52角、
33銀打、41玉、31銀成、同玉、61龍、同角、21飛、同玉、22銀成
まで19手詰

 龍で銀を取るたびに、玉方の角がにじり寄ってくるのが何ともユーモラス。退路を開けているだけなのですが。収束まで引き締まっています。



「詰パラ」2003年8月
Para01053084

44歩、同玉、66角、54玉、55銀、43玉、44銀、54玉、72馬、65玉、
83馬、54玉、55銀、43玉、61馬、52桂合、44銀、54玉、72馬、65玉、
83馬、54玉、55銀、43玉、44歩、同桂、同銀、54玉、55銀、43玉、
61馬、52桂合、44銀、54玉、72馬、65玉、83馬、54玉、55銀、43玉、
44歩、同桂、同銀、54玉、55銀、43玉、61馬、52桂合、44銀、54玉、
72馬、65玉、83馬、54玉、55銀、43玉、44歩、同桂、同銀、54玉、
55銀、43玉、61馬、52桂合、44銀、54玉、72馬、65玉、83馬、54玉、
55銀、43玉、44歩、同桂、同銀、54玉、55銀、43玉、61馬、52銀、
同馬、同金、54銀打、同歩、44銀、42玉、52と、同玉、64桂、63玉、
53銀成、同玉、45桂、63玉、74金、62玉、44角、61玉、73桂、51玉、
63桂、41玉、52桂成、同玉、53桂成、41玉、51桂成、同玉、61桂成、41玉、
52成桂、同玉、63金、41玉、51成桂、同玉、62角成、42玉、52馬
まで119手詰

 「近代将棋」一辺倒だった斎藤氏のパラ初登場作品。森田手筋ですが、桂合を4回行ったのはこの作品が初めてです。収束は神業ではないでしょうか。



「詰パラ」2005年1月
Para01054765

65桂、52玉、62角成、同玉、63銀、51玉、52歩、同金、同銀成、同玉、
63金、61玉、53桂打、51玉、41桂成、同玉、42歩、同金上、53桂打、51玉、
52歩、同金、同金、同玉、63金、51玉、41桂成、同玉、42歩、同金左、
14馬、32桂、同馬、同金、42歩、同金左、53桂打、51玉、52歩、同金、
同金、同玉、63金、51玉、41桂成、同玉、42歩、同金、53桂打、51玉、
52歩、同金、41桂成、61玉、51成桂、同玉、52金、同玉、53桂成、同玉、
63金
まで61手詰

 69馬がえらく離れたところにありますが、少しでも近づけると余詰になります。山中龍雄氏の作品に角がポツンと離れたのがありました(「近代将棋」1963年1月、53手詰)が、それを思い出しました。
 金はがしです。桂と歩のコンビで呼び出しては取る、この繰り返しですが、金の応手の順番はすべて限定されています。まったく無駄のない配置と構図。実に素晴らしいです。



 近年は短編コンクールにしか参加されていませんが、また中長篇を見せてもらいたいものです。
 これだけの実力がありながら、氏の受賞歴といえば打歩詰大賞の佳作が一回だけ。
 点数や受賞なんて、時の運以外の何物でもないなとホント思いますね。

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コメント

斎藤仁士さんの実戦型香先香歩の作品は近代将棋に載っていたのを見ました。
その時、なんて美しい作品だと思いました。
一生忘れられない作品です。

他の作品は今回初めてみました。
取り歩駒発生〜はがし趣向は凄くいい。
その上、もらった桂を一度打って全部捨てるとは良く出来ている。
僕だったら前半はいらないくらいです(笑)。

他の作品も面白く、斎藤仁士さんの作品には美しさがありますね。

三輪さま

コメントありがとうございます。
斎藤さんの実力は大変なものと思っておりますが、作品はあまり知られていないようなので、紹介した甲斐がありました。

完成度が高く、思わず盤と駒を引っ張り出して、全局並べてしまいました。

何でこんなにうまく収束がきまるんでしょうか。

あつおさま

コメントありがとうございます。
正算式でないとつくれない作品が多いと思うのですが、おっしゃる通り収束力が凄い人ですね。
もっと作品が見たい作家の一人です。

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