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2014年1月20日 (月)

酒井桂史名作選2

 「詰棋めいと」最終号を読んでいたら、バックナンバーに酒井桂史特集があることを知った。湯村光造さんの解説。持ってねー。「詰棋めいと」は、よいこの読む本ではないと思っていたので数冊しかない。ええい、ままよ。
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『作品集』第3番「将棋之友」1925年4月
03

34と、同玉、43銀、同玉、53角成、34玉、43角、23玉、32角生、12玉、
21角生、23玉、32角生、同玉、42馬、23玉、33馬、12玉、13歩、21玉、
43馬、32合、33桂生
まで23手詰

 打歩物です。不利逃避。
 初手は余計な感じがします。
 同玉は、42馬、23玉、24馬、12玉、13馬まで。
 同玉は、31馬、12玉、24桂、23玉、32馬、24玉、33馬まで。
 12玉は、24桂、同香、13歩(ここに歩を打てるのが角不成の意味)、22玉、31馬まで。
 これは打歩物ではありますが、不利逃避の意味は打歩誘致ではなく退路を開けるためですね。つまり、最初の32角不成に対して同玉と取ったときと、21歩を取らせた後32同玉と取ったときの違いは21地点が空いているか(と持駒に歩があるか)どうかです。攻方は21地点が空いているときは歩がないと詰まない、玉方は21地点を空けるために歩を取らせて延命を図る、いずれにせよ打歩詰には無関係、というわけです。
 それにしても、この意味付けは酒井桂史の独創であることは間違いありません。
 
 不利逃避といえば、何といっても次の作品が有名ですね。

山田修司氏作「近代将棋」1963年1月
Photo_4

34銀打、同飛、55桂、42玉、51馬、同角、41桂成、52玉、51成桂、42玉、
41成桂、33玉、34銀、24玉、25飛、14玉、23角、同桂、15歩、同桂、
23飛成、同金、25銀
まで23手詰

 33玉は、34銀、24玉、25飛、14玉、15歩、同角、23飛成、同桂、25銀まで。
 わざわざ52玉とよろけて取歩駒の51角を取らせて打歩詰に誘うのが絶妙の構想で、打歩誘致の意味付けでは山田氏作が第一号です。

 不利逃避という用語も山田氏によるものですが、退路開け
と打歩誘致の意味付けがあるということですね。
 それでは退路開けの作例をいくつか紹介しましょう。

七條兼三氏作「詰パラ」1976年8月
Para76800684

15銀、同玉、25飛、14玉、24飛、同角、15銀、同玉、25飛、14玉、
24飛、15玉、25飛、16玉、27銀、17玉、18銀、16玉、27銀、25玉、
36角、35玉、24角、同玉、25金
まで25手詰

 
14玉が不利逃避。16玉なら27銀、17玉、18銀、16玉、27銀、25玉、36角、35玉、45金まで。36角のとき、24地点が空いていれば、35玉、45金、24玉で逃れるというわけです。


若島 正氏作「近代将棋」1983年7月
70853995

24飛、13玉、14歩、同桂、12銀成、同玉、23角、13玉、14角成、12玉、
23馬、21玉、13桂、11玉、12馬、同玉、21飛成、13玉、25桂、同角、
24銀、14玉、23龍
まで23手詰

 13玉が不利逃避。21玉は13桂、11玉、12角成、同玉、21飛成、13玉、24銀まで。14桂を取らせておけば24銀に14玉と退路が開けてきます。
 それにしても、何でこう簡潔に出来るんですかね~。


山田康平氏作「将棋世界」1992年7月
81992298

59金、同玉、58金、69玉、68金、59玉、58金、49玉、38馬、58玉、
47馬、同玉、58銀
まで13手詰

 これは49玉なら38馬、58玉、48馬、69玉、58馬まで。68銀を取らせておけば、38馬~48馬では左辺が広くて詰みません。


 打歩誘致の不利逃避も。

大野雄一氏作「近代将棋」1992年8月
86992256

46龍、同角、45飛、56玉、46飛、55玉、45飛、54玉、43角、同桂、
55歩、同桂、43飛成、同金、45銀
まで15手詰

 54玉は、55歩、同角、43飛成、同金、45銀まで。
 2手目46同角となったところで、この角は取歩駒になっています。そこで角を取らせて打歩誘致する狙い。
 大野氏は発表作こそ多くありませんが、短篇の打歩物が非常にうまい作家です。


富樫昌利氏作「近代将棋」1993年10月
86992616

25桂、24玉、35馬、15玉、26馬、24玉、35馬、23玉、12銀生、同香、
13桂成、同香、24歩、12玉、34馬
まで15手詰

 23玉は、32銀不成、同銀、34馬、23香合(桂合は同歩成、同銀、24桂まで)、同歩成、同銀、13香まで。
 わざと歩を取らせておくのは23歩合で打歩詰に誘うため。26歩が残ったままだと、二歩で打てないのです。
 作意では12銀不成、変化では32銀不成とする対称性も見事。
 復活して欲しい作家の一人ですね。

 ところで、この不利逃避、酒井桂史作よりさらに古い作例があるらしいです。Sさんの発見とのこと。
 ここに出すわけにはいかないので、いずれご本人がどこかに書かれるのを待ちましょう。

-----気まぐれで更新したが、あくまで週1ペースが目安なので、つづく-----

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コメント

ほんと気まぐれですね。なのでときどきチェックしてます。
酒井作はW氏がtwitter上でも紹介されてました。個人的には森長さんのも好きです。
ところでS氏ってだあれ?(笑)

相馬さま

コメントありがとうございます。
森長さんは、デリケートな方のようですので、出さない方が無難かなと。
Sさんは、相馬慎一さんという方らしいです。(笑)

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