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2014年1月23日 (木)

酒井桂史名作選5

 あたしゃ常々思っているんですがね、手筋物と構想物の境界は何かとね。(←駒場さんになっとるがな)
 実際、上田さんの中篇は手筋物の極地とも言えるし、構想物とも言えるのではないでしょうか。
 そこで一句。
 手筋物しつこくつくれば構想物
 失礼しました。(笑)

『作品集』第18番「将棋月報」1932年4月
18

59香、同龍、79角、同龍、69桂、同龍、68銀、同龍、49桂、48玉、
38龍、59玉、68龍、同玉、69飛
まで15手詰

 例えば、この作品。やっぱり手筋物というのでしょうか。
 狙いは退路塞ぎなんですよね。
 しかし初手79角は、同と、68銀、同玉、66龍、59玉で詰みません。68銀のところ、58香は48玉で不詰。また、初手69桂は68玉と潜られて逃れ。いったん59地点を塞いでおく必要があるので59香。
 58歩合は、龍の利きが止まっているので、68銀、同玉、66龍、79玉、97角、同と、69龍で詰み。
 58金合は、同香、同龍(68玉は69金、同龍、66龍、79玉、97角、同と、69龍以下13手)、68銀、同玉(同龍は39角、48合、49桂まで)、69金、同龍、同銀、67玉、68飛、57玉、48角まで13手。66龍から69龍を許さないために、同龍は絶対。
 58銀合なら詰みませんが、銀は出払っています。86金でなく、成銀になっているのはこのためですね。86金、45銀の配置の方が良いとは思いますが。
 同とは、68銀、同龍、49桂、48玉、38龍、59玉、68龍、同玉、58飛まで13手。
 68歩合は、69桂、同龍、68角、同龍、49桂、48玉、38龍、59玉、68龍、同玉、69飛まで同手数駒余り。
 同玉は、69銀、67玉、68飛、57玉、49桂まで13手。

 収束、ちょっと緩んだのが惜しいです。
 ところで、29桂は不要駒ですね。何で置いたんだろ。湯村さんもこのことを書いていたのかなあ。


『作品集』第20番「将棋月報」1925年3月
20

78金、96玉、87金打、95玉、68馬、77飛合、96歩、85玉、76金右、同飛成、
同金、同玉、67馬、75玉、76飛、85玉、73飛生、96玉、87金、95玉、
85馬、同歩、96歩、84玉、83と
まで25手詰

 これはさっぱりした配置。打歩物です。囲い駒を消去する手筋。
 77金合は、同馬、同桂成、96金打まで。
 77他合は、96歩、85玉、67馬まで。
 86玉は、76飛、85玉、56飛、75玉、76飛、85玉、73飛生以下4手変長。

 73飛不成や87金の軽手が心地良いですね。68馬を同桂成とは取らないので、56桂は余計な配置でしょう。ただし、86玉、66飛、75玉、76飛で27手なら良いのですが、76飛、85玉、66飛、75玉、76飛の迂回手順が生じます。変長よりはマシかな。


『作品集』第21番「将棋月報」1931年9月
21

38銀打、48玉、58飛、39玉、59飛、48玉、49飛、57玉、59飛、48玉、
58飛、39玉、66角、同成桂、59飛、48玉、49飛、57玉、52飛、同歩、
59飛、48玉、58飛、39玉、29金、同銀、17角成、同歩成、59飛、48玉、
49飛、57玉、59香
まで33手詰

 26玉は、32飛成、15玉、26馬、14玉、34龍以下。
 29金、同銀、59飛、48玉、49飛、57玉、52飛、同歩、59飛、48玉、58飛・・・の手順前後あり。
 53香合は、同飛成、56成桂、46銀、66玉、56龍、同玉、47銀、66玉、44角まで。
 26角成、37歩合、58飛、39玉、29金、同銀、17馬・・・の手順前後あり。

 ミニ趣向作です。58飛→59飛→49飛が3回。
 成桂が二枚ありますが、合駒制限です。85成桂は、39角、同銀、59飛、66玉のとき、75銀を防ぐ配置。55成桂は、これを55とにして玉方の持駒に桂を加えると、52飛に対して53桂合で詰まなくなります。
 の手順前後は、玉方15と配置で消えますが、の手順前後は作意を変えないと消せないようです。
 成生非限定が多いので、手順前後を防ぐ15と・16歩は15歩・16とに、71角、62飛は両方とも成駒にしたいですね。52龍のところ、51龍と歩を取ると53歩合で詰まないので。取れる駒を取らない、意味は取らなければ二歩で歩合ができないから。無双第2番ですね。勉強の成果が出ました。わはは。


『作品集』第23番「将棋月報」1934年2月
23

38銀、同玉、28飛、47玉、25角、56玉、65銀、同成桂、同馬、67玉、
76馬、56玉、68桂、同と、58飛、同と、68桂、同と、55飛、同玉、
65馬、45玉、57桂、35玉、36歩、26玉、27歩、15玉、16歩、25玉、
43馬、36玉、25馬、同玉、26金、34玉、33銀成
まで37手詰

 68桂、同と、58飛、同と、68桂、同とに惚れました。(^^;
 55飛は、36歩が打歩詰。
 57歩合は、55飛、同玉、57飛、56歩合、65馬、45玉、56馬、35玉(54玉は、43角成、同玉、35桂、53玉、74馬以下33手)、37飛、26玉、27金、25玉、26歩、15玉、16歩、14銀成。
 45玉は34角、35玉、36歩、同玉(34玉は43馬以下。26玉は27歩以下)、28桂、26玉、27歩以下31手。
 同金は54馬、35玉、37飛、26玉、36馬、15玉、27桂、16玉、28桂まで31手。
 同玉は、43馬以下。
 55飛は、57桂が打てない。
 攻方47歩は、2手目18玉、19歩、28玉、18飛、39玉、49馬で詰ませるため。
 28飛の消去を中心に組み立てられた作品で、全体に無双のような雰囲気が漂っています。
 玉方25成桂は25と、64成桂は64とに置き換え可能だと思ったのですが、初手38銀に18玉の変化で歩が二枚必要なので、これはダメでした。
 18玉の変化を見せたかったわけでもないと思いますので、3手目からはじめれば25と、64とで桂を持駒にすれば良く、攻方47歩も不要だったのですが、酒井桂史は小駒成駒が気にならなかったのですね。今田政一あたりだと小駒成駒を置かないように意識していたフシが伺えます。
 玉方88とは、79とがおすすめ。構図はすこしでも小さくしたいです。

-----予告。第25番から50番はイロハ字詰(ノまで)ですが、面白くないので採り上げません。つづく-----

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